魔法少女と異世界の暗殺者   作:繊月紅

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─第四話─[おいでませ八神家へ…ですか?]

 

 

 

 

 

 

────海鳴市市内八神家────

 

 

 

 

 

 

アリスと合流しツバメに家に来ないかと誘われて三ヶ月が経過。

ツバメとの依頼の内容はお互いが意見を出し合い、納得できる内容で纏めることに成功した。

簡単に纏めるとこんな感じになるかな。

 

一.

アオイ・アリス両名はこの世界滞在中は八神家にお世話になる。

その対価としてアリスはメイドとして家事手伝いを中心にツバメのサポートを。

アオイはアリスの家事手伝いを手伝いつつ家の警護及び不審者などの撃退。

 

二.

アオイ・アリス両名が八神家に滞在する間、雇用主であるツバメは賃金など必要に応じて支給する。

アオイ・アリス両名は経費が必要な際はツバメにその旨を申告し必要に応じてツバメに支給してもらう。

 

三.

雇用主であるツバメが依頼継続の困難な状態に陥った場合、

ツバメの夫であるアラシが代わりに依頼を継続するものとする。

またアラシも依頼継続の困難な状態に陥った場合は、

アオイ・アリス両名の裁量により依頼内容を変更または破棄する事を可能とする。

 

四.

依頼内容については変更がある際、随時アオイ・ツバメの両者で話し合いをし、

納得した上で変更に合意するものとする。

 

五.

みんな仲良く家族のように過ごしましょう。

 

 

以上が依頼の簡単な内容である。

一.に関しては概ねお互いの意見が噛み合った感じだったかな?

まぁ実際、家事手伝いに関してはアリスには勝てないし納得できる内容ではある。

 

二.に関しては依頼の際の賃金関係なのだが…。

家に住ませてもらいなおかつ食事まで提供してもらう以上、

お金までもらうのは私としては納得できないと反論したのだが、

自分で自由に使えるお金は必要でしょとのツバメの鶴の一声で決定してしまった。

経費に関してはまぁ私のささやかな抵抗の証である…。

 

三.に関して私たちがいつこの異世界から元の世界へ戻れるか分からないため上、

人間いつ死ぬかなんてさっぱり分かんないからね。

だからこそ一応その事も踏まえたうえで依頼内容に盛り込んでおいた。

流石に二人同時に死ぬとかありえないとは思うけど、

世の中どんな事があるか分かったもんじゃない。

 

四.については依頼内容の変更などについての事である。

実際いつまで八神家にお世話になるかも分からないため、

このままの内容で永遠と依頼を実行し続けるのは不可能と思い内容に追加した。

まぁ滅多に依頼内容の変更なんてことはしないだろうけどね。

 

五.については…、なんだツバメの鶴の一声で依頼内容として入れられてしまった。

正直まったくもって意味が分からないが、アリスが喜んでたからまぁよしとしておこう…。

そうでも思ってないととてもじゃないけど正気を保ってられない。

 

 

 

こんな感じで依頼内容も決まり、八神家にお世話になる事になって三ヶ月が経過し、

私の着ていた服では目立つため、普通の一般服を買ってもらい日々を過ごしてたわけなのだが、

正直八神家…、いやこの脳内お花畑夫婦を侮っていた…。

一応依頼内容が決定したその日の夜にツバメの旦那である八神アラシが帰宅。

アリスの主人である私が見つかった事や、

依頼内容についての話を進め終わって一息ついた時それは起きた。

 

…いやまぁそんな大事件みたいな感じではなかったけれど、

正直私にしてみれば大事件にも匹敵するほどの出来事だったんだ。

アリスが含み笑いしていた理由も今となればはっきり分かる…。

 

 

 

どんな出来事が起きたかだって?

ごくごく一般的な家でも過剰だろうと思えるような桃色空間が形成されたってだけだよ。

世間一般で言うところのバカップルというのはきっとこの二人の事を指すに違いない…。

所構わず桃色空間を形成しては『ツバメ…』、『アラシさん…』などとお互い言い合うのだ。

普通なら他の人間がいる場所では自重するだろうけど、

この二人は私やアリスがいようがお構いなしで桃色空間を形成してくるので、

正直八神家に居候する事になった私はこれの対応に一番苦労していると言えるだろう…。

 

大体ツバメはすでに、その…、なんだ、アラシとの間に授かった子供がお腹にいるだろうに…。

それだけじゃ足りないものなのか?と小一時間ぐらい問い詰めてやりたい。

が、そんな事すればツバメのアラシさんとの馴れ初めマシンガントークが展開されるので自重する。

実際にそのマシンガントークは一度経験済みだ。

時間で言えばおよそ五時間弱近くのマシンガントークを誰がもう一度聞きたいと思えるだろうか?

少なくとも私は二度と聞きたいと思わないし、思いたくない。

大体それでもまだ物語や小説などで言えば序章ぐらいだとツバメが言ってたのだ。

そんなもの余計聞きたいなどと思えるわけがない。

 

そんな私の様子を見てクスクス笑ってたアリスに私は、

後日、きっちりと、丁寧に、お仕置きをしておいたのは言うまでもない。

 

まぁ…そのなんだ、あまり家族とこういった日々を過ごしたことのない私にとっては、

小さい頃に少しだけ憧れた一家団欒の光景だったのかもしれない…。

多分…、きっと…、いや多分違うなうん、惑わされるな私。

 

 

 

そんな事があって三ヶ月があっという間に過ぎた訳だが、現在八神家にツバメはいない。

理由はもうすぐアラシとの愛の結晶である赤ちゃんが生まれるため、

大事を取って病院に入院する事になったからだ。

もちろん私とアリスは依頼内容である家の警備をしつつ家事をした後、

二人で空いた時間にツバメの入院先である病院へ毎日様子は見に行っている。

 

元の世界にいた私は別にこういった事に関しては興味もなかったのだが、

それでもやっぱり私も女の子だったということなんだろう。

もうすぐ生まれるという赤ちゃんの事が楽しみで仕方ないんだと思う。

まさか元の世界じゃなくてこの異世界で女の子としての意識が芽生えるとか…。

向こうにいる両親やギルドの仲間達は私の事をどう思うだろう?

 

 

…きっと馬鹿笑いされるに決まってるな、うん。

 

 

向こうじゃ私には男の影なんて一切なかったし、むしろそれとは縁遠い生活してたしね。

まぁ何にしてもツバメには元気な赤ちゃんを産んでもらいたいものである。

ちなみにアラシさんは数十分置きぐらいに私にツバメの容態を聞いてきたり、

赤ちゃんの様子を確認したりとシツコイぐらいに連絡してくる。

 

そんなアラシへの連絡方法はこの世界にある携帯電話という、

遥か遠く、遠距離にいる相手に声を届けるカラクリ機械だ。

八神家に居候して三日後ぐらいにツバメが買ってきたらしい。

正直使い方も分かんない機械なんぞいらないと言いたかったが、

『これは必要な物として支給するものよー』と依頼主であるツバメに言われたら逆らえない。

 

…いや決してちょっとばかり珍しいから触ってみたいなーとか、

どれだけ離れていても声を届けることができるのかとかそーいった興味は一切なかったよ?

ほんとになかったんだからね?!

 

まぁそんな理由で携帯電話というカラクリ機械をもらった訳なのだが、

ツバメが入院してからというものアラシからのツバメの様子を教えろコールが凄まじい。

あまりにもしつこすぎて一度だけツバメにどうにかしろと言ったことがあるが、

それが間違いだったと咄嗟に気がついたが時すでに遅し。

電話越しにツバメとアラシの桃色空間が形成されてしまい、

咄嗟に逃げ出した私は絶対に悪くない…、悪くないよね?

 

 

 

 

 

 

────海鳴大学病院内・産婦人科病棟────

 

 

 

 

 

 

病院独特の匂いがする廊下をアリスと一緒に歩く。

元の世界では一般の人が入院したりすることが多く、

私たち冒険者は逆にあまりお世話になる事のない場所。

冒険者は基本、体力もあるし聖職者であるアコライトやプリーストは傷を癒すスキルがあるため、

そんな聖職者とパーティーを組む冒険者はまずお世話になることがないのだ。

まぁそれでも重病やウィルス性の病気にかかると、いくら聖職者でも治療する事ができない。

それゆえに元の世界でもちゃんと病院があるわけなのだが。

 

それは兎も角、ツバメが入院している病室までたどり着いた私とアリスは、

他の出産を控えた人達の迷惑にならぬよう控えめにノックした後入室した。

 

 

「あら、アオイちゃんにアリスちゃん今日もご苦労さま」

 

「別に気にすることでもないでしょ、ツバメも様子は変わりないようだね」

 

 

昨日とあまり変わらないツバメの様子をみて少し安心する。

たまに話する看護婦の人から入院中はその閉塞感から情緒不安定になる人や、

始めて出産する人だとその不安感からちょっとした事でイライラする事もあると聞かされたため、

出産間近に迫ったツバメを少しばかり心配していたのだがいらぬ心配だったようだ。

 

 

「アリスちゃん、アラシさんはお仕事の事なんて言ってたかしら?」

 

「えっとですね、なんとか出産前には纏まった休みが取れるから、

 僕が行くまで絶対産んじゃダメだぞ!って仰ってましたよ?」

 

「相変わらず、無茶苦茶いう奴だな…」

 

「ふふ、アラシさんらしいわね。 やっぱりアラシさんは素敵だわ」

 

 

…一瞬だけ桃色空間が発生しようとしたがそれはすぐ引っ込んだ。

まぁツバメしかいないのだから桃色空間は発生しないだろうが、

ツバメだけだとマシンガントークがまだ残ってるのだ油断はできない。

 

 

「ま、何にしても安静にして看護婦のいう事をちゃんと聞くこと。

 出産間近でちょっとした事でも大事になるかもしれないんだから」

 

「えぇ分かってるわアオイちゃん、それより家の事は大丈夫?

 アラシさんの事だから私の手料理食べれなくて嘆いているんじゃないかしら…」

 

 

私とアリスはツバメのその言葉に苦笑で返す。

その意味に気がついたツバメもまた苦笑で私たちに返す。

 

まぁここまで言われれば大体理解はできるだろう。

ツバメが入院して以来、八神家の料理は全部アリス任せなのだが、

アラシはツバメの料理が食べたくて一度だけ病院に突撃しようとしたのだ。

それを止めたのは私なのだが、あの時だけアラシの身体能力は熟練の冒険者のそれに近かった。

なんとか縄で縛り上げてそれでもなお藻掻くアラシに対して私は、

『病院の人達に迷惑をかければツバメの体調が悪くなる!』と説得。

その言葉に納得したアラシはツバメが退院するその時まで、ツバメの料理は我慢すると約束したのだ。

 

ほんとこの夫婦は常人では立ち入れない桃色空間は形成するわ、

妻の料理が食べたいだけで熟練の冒険者並の身体能力を発揮するわ、

一緒に過ごしていて飽きることがない…。

 

 

 

それから日が暮れるまでツバメと私、アリスの三人でお喋りを続け、

そろそろ面会時間も終わるなとなった矢先の事だった。

 

 

「う…うぅぅぅぅぅ…いたっ…!」

 

「へぅ!? ツ、ツバメ様どうしましたか!?」

 

 

突然お腹を抑え額に大粒の汗を流すツバメの姿を見て、咄嗟に近くを通った看護婦を呼び止める。

ツバメの様子を見た瞬間、看護婦は医師を呼ぶまで傍を離れないでくださいとだけ、

私やアリスに言った後ものすごい勢いで走って行ってしまった。

 

 

「ツバメ、もうすぐ医師が来るからそれまで我慢しなよ!

 アリスはすぐにアラシに電話して! 多分…もうすぐ赤ちゃん生まれるから!」

 

「は、はぃー、分かりましたご主人様ー!

 ツバメ様もう少し我慢していてくださいね、すぐにアラシ様をお呼びしますので!」

 

 

私たちの言葉にツバメは言葉は返さないものの、ゆっくり頷いて再び苦悶の表情でお腹を抑える。

そんなツバメの背中を優しく摩りながら額に浮かぶ汗をハンカチで拭う。

ただの気休めにしかならないだろうけど、それでも何もしないよりはマシだろうとの私の判断だ。

そんなツバメは私の服の裾を掴んで痛みを少しでも和らげようとしていた。

ツバメのそんな様子を見てふと私は元の世界にいる自分の母さんも、

こんな辛い思いをして頑張って私を産んでくれたのだろうかと思っていた。

 

 

 

暫くしてツバメの担当の医師と数名の看護婦が病室に到着して、

すぐさまツバメの出産の準備に取り掛かった。

分娩室の前にある長椅子にアリスと椅子に座りひたすら待ち続ける。

時々時計を見たりするがツバメが分娩室に入ってから時間はあまり経過していなかった。

アリスは時折携帯電話を持って電話の出来る場所まで移動したりしている事から、

恐らくアラシに連絡を取りつついつ頃病院につくのか確認しているのだろう。

 

ツバメが分娩室に入ってから二時間ほど経過したころ、

ようやく仕事場から帰れたのか上着を腕に抱えたアラシが到着した。

 

 

「ぜぇ…ぜぇ…、ア、アオイちゃんツバメは…!?」

 

「落ち着いてくださいーアラシ様、ツバメ様はまだ分娩室から出てきてませんよー…」

 

 

息を切らしながらツバメの様子を確認してくるアラシと、

そのアラシを玄関まで迎えに行っていたであろうアリスの二人を見て少しだけ苦笑する。

 

 

「分娩室に入って二時間ぐらいかな? 中の様子は分からないけど、

 まだ赤ちゃんの声が聞こえてないからもう少し時間がかかるかも」

 

「そ、そっか…、取り敢えず我が子の誕生に立ち会えるまでに間に合ったのはよかった…。

 ところでアオイちゃんは分娩室には入らなかったのかい?」

 

 

アラシの言葉にふと看護婦の人に言われた言葉を思い出す。

たしか…、家族の人なら出産に立ち会えますけどどうなさいますかだったかな?

その言葉を思い出した私はアラシにこう返した。

 

 

「確かに看護婦の人から立ち会うかと聞かれたけど、

 それはツバメの旦那であるアラシの仕事でしょ?

 居候してるだけの私が先に入っていいものじゃないと思ったから外で待ってた」

 

 

私の言葉を聞いたアラシは少し考えた後、私にこう言ってきた。

 

 

「でも、もうアオイちゃんもアリスちゃんも僕は家族同然だと思ってるよ?」

 

 

アラシのその言葉に一瞬、何を言われたのか理解するのに時間がかかった。

居候してる私やアリスが家族同然って言わなかったかこの人?

いやいや、いくら脳内お花畑のこの人でもいい間違えただけでしょ?

一応確認のためアラシにもう一度言ってもらったが、内容は変わらず先ほどと同じ言葉を聞かされた。

呆然としている私にアラシは再び言葉を紡ぐ。

 

 

「アオイちゃんの元の世界にアオイちゃんのご両親がいるのは知ってるけど、

 元の世界に帰る手段が見つからない今はその家族とも会えないじゃないか。

 だったら今この世界で家族と言えるのはアリスちゃんだけだけど、

 アリスちゃんは向こうの世界だとペットなんでしょ?」

 

 

アラシの言葉に呆然としていた私は一応頷いてみる。

 

 

「アオイちゃん達の住んでる向こうの世界の本当のご両親じゃないけれども…、

 それでも今いるこの世界では僕たちの事を両親だと思ってくれて欲しいなと僕は思ってる。

 きっとツバメもそう思ってると思うよ?

 それに…アオイちゃん多分だけど、この世界に来てから無理してないかい?」

 

 

その言葉に少しだけ身体を揺らして反応してしまった…。

確かにアラシの言う通り異世界であるこの世界に来て以来、

アリスと離れ離れになり身体の幼児化に食料問題など結構色々あった。

それでもなんとか元の世界に戻るための方法を探すために、

アリスには気づかれない程度に色々と頑張ってはいたが…。

 

 

「…まだ元の世界に戻る手段見つかってないんでしょ?

 一応ツバメに言われてさり気なくアオイちゃんの様子を伺ってみたけど、

 ここ一ヶ月前ぐらいから毎日夜遅くに庭で空を眺めてたのを見てね…。

 それで多分だけど向こうの両親が恋しいんじゃないかなって思ったんだよ」

 

 

あちゃー…夜に一人で空を眺めてたの見られていたのか…。

一般人であるアラシに見られて気がつかないなんて、

これじゃ両親やギルドの仲間に暗殺者として失格だって笑われちゃうな。

 

まぁ確かにアラシの言う通りこの数ヶ月色々と調べてみたが、

私の住むルーンミッドガッツ王国に戻る手段となり得るモノは何も見つからなかった。

おまけに仲睦まじいアラシやツバメの姿を見て、

向こうにいる私の両親を思い出して寂しかったのもアラシの言う通りだ。

 

今は五歳児の姿だがこれでも私は十九歳の女の子である、暗殺者ではあるが…。

もしかしたらもう二度と会えないんじゃないかと考えてしまった事もあるし、

夜寝ている時に皆と二度と会えない悪夢を見て飛び起きたこともあった。

 

元の世界に戻れるというのも現状を考えての希望的観測なのも分かってる。

きっと私は元の世界に二度と戻れないかもしれない。

この世界で死ぬまで生きなければいけなくなれば私はどうしたらいいのだろうか?

そんな考えが雁字搦めのようにグルグルと脳内を埋め尽くす毎日。

 

 

 

あぁ…、もう素直になろう、私は寂しいんだ。

もう二度と会えないかもしれない両親や、ギルドの仲間達。

向こうで出会った多くの友人たちにもう会えないと考えたら泣きそうになるんだ。

そしてそれと同時にアラシとツバメの私を思う気持ちがとても嬉しかったんだ。

たとえ二人が私の両親じゃなかったとしても、それでもこの世界で両親と思っていい人がいる。

 

 

「だから僕はせめて元の世界に戻るまで…、

 その時まで僕やツバメの事を本当の両親みたいに思って欲しいって思うんだよ」

 

 

私の考えが分からないであろうアラシは、自分の気持ちをどう伝えていいのか分からないのだろう。

アラシたちからすればもっと自分たちを頼って欲しい、甘えて欲しいって思ってるんだろうな…。

ふとアリスの様子を伺おうとアリスの方へ顔を向けると、

アリスは優しげな笑顔を浮かべて私の言葉を待っているようだった。

 

私が伝えるべき言葉…、アラシやツバメたちに言わなければならない言葉…。

 

 

「えっと僕も自分で何て言ってるのか分かんないんだけど…、

 つまり僕やツバメが言いたいのは…!」

 

「ありがとうアラシ。 私は元の世界に本当の両親がいるからきっと…、

 きっとアラシたちの事を本当の両親とは見れないと思う…。

 でも、それでも…この世界にいる間は…二人に甘えたり頼ったりしてもいいの…かな?」

 

 

その私の言葉を聞いてアラシはしばらく目を丸くしていたが、

私の話した内容が理解できると途端に花が咲いた様に笑顔になった。

 

 

「もちろんだよ! きっとツバメも喜ぶよ?

 なんたってアオイちゃんの事を一番心配してたのはツバメだったからね」

 

 

そのアラシの言葉に私は苦笑しつつも少しだけ目に涙を浮かべた。

きっとこんな私は暗殺者としては失格なのかもしれない。

でも暗殺者であろうと人は人だ、寂しい時は寂しいし嬉しい時は嬉しい。

…もしかしたら私の両親は、私にそれを知って欲しくて私とあまり会わなかったんじゃないかな?

何はともあれ知り合いが一人もいないこの世界で、私は新しい家族ができた。

まぁ二人の事をお母さんとかお父さんとか絶対言えないけど、

それでも本当の両親みたいに、本当の家族みたいに少しは甘えて、頼ってみようと思う。

 

 

 

 

 

 

そんな事を考えていた時だった。

まるで私の事を祝福するかのように分娩室から新しい命の産声が聞こえてきた…。

さてそれじゃあまずはツバメに労いの言葉と、生まれた赤ちゃんの姿でも見に行きますか!

 

 

 

 

 

 

 




ここまでの読了お疲れ様でした。
今回はバカップル夫妻とはやて誕生、そして主人公の心の救済?がメインテーマでした。
まぁ暗殺者といっても人の子であるのは変わりないので、
そこらへんの心情とかちゃんと書けてればいいなぁと思います。
基本的に序章は結構駆け足で時間を進めていきますので、
このまま無印まで突っ走れたらいいなぁ…。
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