魔法少女と異世界の暗殺者   作:繊月紅

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この話からかなり時間経過が早くなります。
誤字脱字、文略の違和感などありましたらご報告をお願いします。


─第五話─[時間は消し飛ぶもの…ですか?]

 

 

 

 

 

 

────日本・京都某所────

 

 

 

 

 

 

八神家に新たな家族が増えてもう一年ほどが経過した。

ちなみに現在の八神家の家族構成はこうなってる。

 

父:    八神アラシ

母:    八神ツバメ

娘:    八神はやて

養子その一:八神アオイ

養子その二:八神アリス

 

とまぁあの時生まれた赤ちゃん…、はやてが生まれてからこの一年はあっという間だった。

はやてが生まれて少ししてから、アラシに伝えた私の気持ちはその後すぐにツバメにも伝えた。

流石に産後で疲れているだろうから少し時間を開けて伝えたんだけど、

ツバメはなんですぐ言わないのー!と大変ご立腹で…。

そのおかげで暫くの間ツバメのご機嫌取りに大忙しだった。

 

その後暫くしてアラシとツバメの二人から養子縁組にならないかと持ちかけられ、

私とアリスはその申し出を受け入れた。

この世界で住む場合は戸籍と呼ばれるモノが必要らしいのだけど、

そこはアラシとツバメの二人が市役所とやらに行って色々と掛け合ってくれたらしい。

 

無事戸籍ができた私を間髪いれず養子に取って、

これで晴れて私は世間様から八神家の子供と認識される事となった。

本当の両親ではないけれど、それでも頼る場所のない場所でできた新しい両親。

嬉しくてこの気持ちを素直に出したかったがそれは止めておいた。

言ったら言ったであの二人の事だ、『アオイちゃんが! アオイちゃんがああああ!!』

とか言って世間様に号外をばら撒く勢いで語りだすに決まってる。

 

そんな私だが今現在も元の世界に戻る事は諦めていない。

これについてはアラシもツバメも納得の上で了解を得ている。

その時に二人から『たとえ元の世界に戻っても、この世界のアオイちゃんの両親は僕たちだからね』

とまぁ…聞いてるこっちが恥ずかしくなるような事を平然と言ってのけやがりましたよ…えぇ。

 

 

 

 

 

そして現在八神家一同はアラシの仕事の都合で、日本の京都と呼ばれる街に住んでいる。

海鳴と違って独特な話方だったため、少し慣れるのに時間はかかったが今は全然問題なし。

こちらの料理は薄味で海鳴の料理の味付けとはだいぶ違ったが、

この薄味は薄味で味わいがあって、素材の味が存分に楽しめる感じだったかな。

まぁ何にせよ順風満帆に私は八神家で毎日を過ごしている。

 

 

 

なんたってこんなに可愛い妹ができた訳だしね。

 

 

「んーーーーー…! はやては可愛いねぇー!」

 

「はぅ…ご主人様ー、顔が蕩けきってますよー…?」

 

 

アリスに指摘されようがお構いなしではやてを可愛がる私の姿を見て、

アラシやツバメは苦笑を浮かべながら飲み物を飲んでいた。

確かに私の顔は蕩けきっているのだろうが、そんな事はどーでもいい。

元の世界では一人っ子だったのもあって、妹とか弟には憧れてたんだよね、うん。

 

 

「あー…う?」

 

「おぉぉぉぉぉ…、見てアリス! はやてが喋ったよ!」

 

「ご主人様ー…、いい加減自重してくださいー!」

 

 

私がはやての一挙一動に喜ぶ姿を見て溜息をつくアリス。

まったくご主人に対して溜息をつくなんて失礼だって自覚はないのだろうか。

まぁ確かにはやてが生まれてからと言うもの、

私の性格はある意味崩壊してるのは確かなんだけどね…。

でもこれははやてが可愛いから仕方ないことなんだよ、うん。

だから私は悪くない、誰がなんと言おうと絶対悪くない…よね?

 

 

「それにしてもアオイちゃんはほんとはやてにベッタリよねぇ」

 

「ははは、確かにそうだねツバメ。 でも僕たちも負けてないじゃないか」

 

 

そして私やアリスの背後で桃色空間を発生させるバカップル夫婦。

でもまぁ…、なんだかんだでこんな日々を楽しんでる私がいるわけで…。

 

 

「ねー…たん?」

 

「ちょ!?!!?? 聞いた!? ねぇ聞いた今の絶対お姉ちゃんって言ったよね!」

 

「分かりましたから、ご主人様少しは自重しててくださいよーーーー!!」

 

「アラシさん…、私は貴方が世界で一番好きよ?」

 

「ははは、僕だってツバメの事が一番大好きさ…」

 

 

はやてのお姉ちゃんと多分呼んだであろう発言の後、

感激のあまりはやてを抱っこしながら走り回る私とそれを諌めるアリス。

その後ろで濃密な桃色空間を発生させる八神家のバカップル夫婦。

今日も八神家には笑顔と笑い声が絶えないわけで、

そんな日常を私が元の世界に帰るまで続けられたらいいなと思った。

 

 

 

 

 

 

────京都・嵐山────

 

 

 

 

 

 

はやてを可愛がり続けてすでに半年ほど過ぎた。

正直あの頃の私は親バカならぬ姉バカだったと今ものすごく反省してる。

あの時の私は初めての妹ってのもあってきっと浮かれすぎていたんだ。

改めて思い出しても恥ずかしさで穴があったらハイディングしたいわ…マジで。

 

そんな八神家ですが今日はアラシの仕事が休みだったので、

家族揃って京都の嵐山という場所に遊びに行くことに。

自然は綺麗だし桂川っていうすごく大きい川も見に行った。

この桂川は昔の偉い人が船遊びした所らしく、

やけに熱心にツバメが説明していたのが印象的だったな。

理由を聞けば嵐山→あらしやま→アラシさん!みたいな感じで、

ツバメにとっては大好きな旦那様の名前と一緒の場所だからと言う理由…。

 

アラシが好きなのは嫌すぎるほど分かったからできればもう少し自重なさってください。

そしてアラシもそんなツバメを見て桃色空間を形成しようとするな!

 

 

 

嵐山の景観を見ながら手近な甘味処で餡蜜という甘味と食べる私とアリス。

ちなみにアラシとツバメは甘味を食べ終わったあと、

二人でブラブラしてくると言ってこの場にはいない。

そんな私の膝にははやてがちょこんと座っており、私の食べる姿をなぜかガン見している…。

 

 

「どーしたのはやて? 私の顔になんかついてる?」

 

「なんかジッとご主人様の顔を見てますねぇ…、どうしたんでしょうか?」

 

 

アリスにそう言われても私には理解できる訳が無い。

まぁこの時期の子供は何にでも興味を示すらしいし、別段変わった行動じゃないんだけど…。

こうね、ジッと食べる姿を見つめられるとなんだ、恥ずかしいというかなんというか。

 

 

「ねーたん、ねーたん」

 

「んー? はやて何かな?」

 

 

はやてに話しかけられて咄嗟に食べるのをやめて、はやての顔を見ながら話しかける。

多少喋れるようになってきたと言っても、

やはりカタコトなのではやてが焦らないようにゆっくり話しかける。

伝えたい言葉をどう喋るか迷っているのか口をモゴモゴしながらはやてが話してくれるまで待つ。

しばらくしてようやく言葉が決まったのかはやての口から飛び出した言葉は…。

 

 

「あーん」

 

「あーん…? あぁはやても餡蜜が食べたかったのか」

 

 

しかしこの歳の子供に餡蜜など食べさせて大丈夫なのか少し心配なんだけど…。

そう思ってるとお店の人から蜜が少しついた寒天を、

小さめに切ってあげれば食べれますよと教えてもらった。

早速あまり蜜のついてない寒天を選んで小さめに切り、スプーンではやての口に運んでみた。

 

 

「ほらはやてあーんして?」

 

「あー…ん、おいちーね」

 

 

満面の笑みを浮かべながらそう私に話しかけてくるはやて。

ふと視線を感じ周りを見渡すと、歩いてた通行人から微笑ましい感じで見られていた…。

恥ずかしくてそっぽ向きながらポリポリと頬をかいてると、再びはやてからの餡蜜の催促。

結局私は恥ずかしさを感じつつも、はやてとアリスの三人で甘味処で時間を潰すのであった。

 

 

 

 

 

 

────京都・宇治川────

 

 

 

 

 

 

八神家で嵐山に出かけてから一年ほど時間が過ぎた。

あの後もちょこちょこ京都の街をブラブラしたり、少し遠出をして大阪という街に行ったりと、

家族揃っては色んな所へ遊びに行くといった生活を続けていた。

だがそんな楽しかった京都の街も今日でお別れとなる。

 

アラシの今の職場の仕事が軌道に乗ったため、再び海鳴の職場へ戻る事が決まったのだ。

以前住んでいた家は今はもう別の人が住んでるので、海鳴に帰ったら新しい八神家とご対面である。

 

なんでもアラシとツバメの二人で私たちに内緒で決めていたらしく、ビックリさせたかったらしい。

ちなみに新居は新築庭付き一戸建てで、二人の貯金や両親の遺産を使って購入したとのこと。

まぁ以前の家は中古で庭も小さく少し年代を感じさせる趣のある家だったが、

新築ということは何もかも新品ということであり、少しだけ私は楽しみだった。

 

そんな八神家一同は京都最後の思い出として、宇治川という川で開催される花火大会に足を運んでいた。

はやても二歳半になりある程度言葉を話せるようになったのだが、

嵐山に遊びに行った数ヶ月後のある日はやては原因不明の足の麻痺に襲われた…。

それ以来はやては子供用の車椅子に乗りながら、病院でマヒの治療を頑張っている。

私とアリスははやてが悩んで暗くならないように、

そして悲しまないように一緒に色んな所へ出かけたり遊んだりと色々やったおかげか、

私たちが心配したような事にはならずはやては明るく育ってくれた。

 

 

「ねーたん、はなびたのしみやねー?」

 

「そーだねはやて、でも花火の音は凄く大きいから、

 はやてがビックリして泣かないかお姉ちゃんは心配だなー」

 

 

はやての言葉に少しだけ意地悪しつつ答えると、はやては頬を膨らませながら、

『はーて、なかへんもん! ねーたん、いじわるー!』とそっぽ向いて拗ねちゃった。

流石にちょっと意地悪してしまったかと思いはやてにゴメンネと謝る。

 

 

「ねーたん、もーはーてに、いじわう、ちない?」

 

「しないしない、可愛いはやてにもう意地悪なんてしないよー。

 良い子なはやてにはりんご飴をあげるから、お姉ちゃんを許してね?」

 

「ほーと? じゃーねーたん、ゆるちてあげう!」

 

 

りんご飴を買ってはやてに渡すと、満面の笑みを浮かべながらペロペロと舐め始めた。

そんな様子を微笑ましく見つめるアラシとツバメはこの際無視しておこう。

後でどーせこの事をネタに私をからかってくるのは目に見えて分かっているのだから。

 

しばらく進んだところでなるべく人がいない所を探し、

丁度いい感じの場所を見つけたので八神家全員でそこで花火を見ることにした。

流石に人の多いところへ行けばはやての乗る車椅子が他の人の邪魔になるだろうし、

何より車椅子を見て他の人の何気ない一言ではやてが傷つく姿を見たくなかったから。

 

 

「かーちゃ、はなびたのしみやねー?」

 

「そうねはやて、お母さんもとっても楽しみだわー」

 

 

はやてがツバメと会話しているのを少し離れた所で眺める。

せめて今だけは足のことを忘れて楽しんでもらいたいんだけどと考えてると、

私の傍にアラシがやってきて話しかけてきた。

 

 

「アオイちゃんありがとね、はやての事ずっと気遣ってもらって」

 

「…お礼を言われるような事じゃないよ、だって私たちは…家族なんでしょ?」

 

 

私の発言に少しだけ目を白黒してたアラシは、

暫くすると笑みを浮かべて私の頭に手をのせて撫でてきた。

見た目は子供ではあるが子供扱いされる年齢でもないので、

抗議の意味を込めて少しだけ強めにペシペシとアラシの手を叩く。

それが分かってかアラシは私の頭を撫でるのを止め再びツバメ達の所へ戻っていた。

 

 

 

それから暫くして夜空に大輪の花火が打ち上がる。

打ち上がった花火が夜空で咲き誇りそして散っていく様は儚げで、でも同時に力強さも秘めていた。

そんな花火を打ち上がる姿を見てはやてはキャッキャと大喜びし指を挿して見ており、

アラシとツバメはそんなはやてを微笑ましく見つめていた。

その光景を見て不意に私は元の世界にいる両親の事を思い出してしまった。

 

 

「ご主人様、もしかしてご両親の事を思い出されてました…?」

 

 

アリスからの問に私は無言で頷くことで肯定する。

八神家の養子となってからもやっぱり両親の事を時々思い出してしまう。

多分アラシもツバメもそんな私の考えが分かってるんだろうけど、あえて口にする様な事はしなかった。

 

 

「まぁ時々不意に思い出すことがあるんだよね…。

 いつ戻れるかも分からないし戻れないかもしれないけど…ね」

 

 

そんな私の独白にアリスは無言で私の言葉を聞いていた。

正直何処かですっぱり割り切るか、気持ちの落しどころを見つけないといけないと思うのだけどね。

 

 

「ま、私は大丈夫だよアリス」

 

 

『なんたって今はお人好しなあの両親と可愛い妹がいるしね』と呟いた言葉は、

夜空に打ち上げられた花火の音に重なって消えていった…。

 

 

 

こうして短くも長い二年半の京都の街を背に、私たち八神家は海鳴へと戻っていった。

その後訪れるあまりにも残酷な出来事に気がつくことのないまま…。

 

 

 

 




ここまでの読了大変お疲れ様でした。
今回の話は若干短めになっておりますが、いかがだったでしょうか?
この話で一番苦労したのは幼児の話方や行動をどう書くかでしょうか…。
子供がいればそーいうのもよく分かるんですけどね。

そしてアオイちゃんに家族ができました。
やったねアオイちゃん! 家族がふえr(以下略
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