ムヒョとロージーの魔法律相談事務所~幻想郷出張~   作:二色蓮赤喋

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誰得?俺得です


プロローグ

夏のある日。ここは六氷魔法律相談事務所。霊やまやかしの相談を受け付け、そして解決することを生業としている事務所である

 

だが、態度が悪いのか、経営手腕が悪いのか、はたまた両方か。繁盛してるとはとても言いがたかった

 

六氷透(ムヒョ)は魔法律協会きっての天才であり、その実力は全執行人でも随一である

 

草野次郎(ロージー)も一級書記官でありながら、裁判官にも引けをとらぬ実力であり、ムヒョのサポートを懸命にしている

 

だがそれも魔法律界だけでのはなし。一般社会では彼らの知名度は役に立たず、一日の食事さえも苦労している有り様であった

 

いつものように閑古鳥が鳴いている事務所。しかしその日だけは違った。協会から手紙が届いたのだ

 

届け人はペイジ。ムヒョの師匠であり、高い実力を持つ執行人だ

 

フランクな人柄なため、暑中見舞いか何かかとロージーは考えた。しかしその内容はつまらないポエムを唄うペイジではなく、執行人としてのペイジが表れていた

 

手紙の内容はこうだ

 

 

 

『六氷透執行人、および草野次郎一級書記官に極秘指令を命ずる。霊魔が潜む世界、幻想郷を調査し、その結果とこちらの世界への影響を報告せよ。この指令は六氷透の友人以外への口外を禁ずる』

 

 

 

『ムヒョ、幻想郷って…?』

 

ロージーがそう聞いた瞬間、ムヒョは少し驚いたような顔をしながら答える

 

『幻想郷か…ヒッヒ、まさか実在していたとはナ』

 

『だから幻想郷ってなに~!?僕だけおいてけぼりにしないでよ~!』

 

『すぐにわかる。口で説明するよりは、こっちのが分かりやすいだろうな。おいロージー、事務所のドアを開けてこい。……迎えが来たようだナ』

 

『迎え?どういうこと?』

 

『いいからとっとと開けろっていってんだボンクラ』

 

怒ったムヒョは怖い、そう思ったロージーは慌てて事務所のドアを開きにいく。するとドアを開けた先には目の前には今まで見たことのない、しかし危険な香りのする女性が立っていた

 

白と紫が混じった道服のような格好をした金髪の女性は微笑みながら言った

 

『あら、驚かせようと思ったのに気付かれてたとはね。さすが六氷透執行人、と言ったとこかしら?……迎えに来たわ。六氷透執行人、そして草野次郎一級書記官』

 

そう言うとその女性はツカツカと事務所の中へ入っていった。そしてソファーに座っていたムヒョの前に立ったかとおもうと、軽く頭を下げた

 

「申し遅れました、私は八雲紫と申しますわ。…まぁ、事情を把握できてない草野さんに説明するなら、私は幻想郷の管理者にして妖怪の賢者、といったところです」

 

妖怪、その言葉を聞いたロージーは身構える

 

「まさか、人間を……!?」

 

「そんなことはしませんわ。『今』は、ね」

 

今は、という言葉にロージーは引っ掛かりを感じたが紫はそれを無視して話を進める

 

「私がここに来たのは貴方たちへの依頼のため。幻想郷で突然活発化している霊たちを鎮めるために、ね。そのために協会を通したのですから」

 

「ヒッヒ…あんたらの世界にもそういうのに長けてる奴はいるんじゃないか?わざわざ俺達に頼む必要は無さそうにも思えるんだがナ」

 

「そういうわけにもいきませんのよ。あの世や地獄にいる霊ならともかく、地上に居る霊は然るべき者達に任せないと色々煩い人がいますからねぇ」

 

「テキトーな理由つけてサボりたい、の間違いじゃねえのか?アンタの怠惰っぷりは有名だからナ」

 

「ふふふ、どうかしらね。そこは貴方の御想像にお任せしますわ。それで、依頼を引き受けてくださるので?」

 

ムヒョは溜め息をつきながら、めんどくさそうに答える

 

「断れないように協会を通して俺達に依頼をしたんだろ?…そして協会が断れないような理由も付けてナ」

 

ロージーは未だに困惑しているが、この女性は危険だというのは感じていた。だからこそ、珍しく反論する

 

「ムヒョ、まずいよ!もしかしたら霊たちの罠かも___」

 

「それはないな。この女が霊ごときに唆されるとは思えん」

 

「あらあら、失礼ですわ。私も怪談に身を震わせる乙女ですのに」

 

「よくいうゼ。生半可なバケモノや幽霊より遥かに長生きな妖怪女が…」

 

「妖怪!?ムヒョ、この人はいったい___」

 

そうロージーが言った瞬間、紫は口を覆うように扇子を広げた

 

「詳しい説明は向こうでしますわ。さぁ、こちらへいらしてくださいな」

 

そう言うと八雲紫は虚空に手をかざした。すると、そこから切れ目が生まれ、大量の目がこちらを覗いていた

 

「ヒッヒ…そいつが『スキマ』か。聞いてた通り薄気味悪いぜ」

 

「ムヒョ、なんかここ気持ち悪いよ…」

 

涙目のロージー。しかしムヒョは構わずスキマへと入っていく

 

「ム、ムヒョ!?待ってよ、置いてかないでよ~!」

 

ロージーも慌てて追いかける。そして事務所にはスキマと八雲紫だけが残った

 

「ふふふ…ようこそ、幻想郷へ。『腐れ縁の赤い糸』たち…」




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