ムヒョとロージーの魔法律相談事務所~幻想郷出張~   作:二色蓮赤喋

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リアルの都合により大遅刻orz


香霖堂

森近霖之助は香霖堂にムヒョ達を招待していた

 

 

その理由は二つある。ひとつはお礼としてのもてなしをするため、そしてもうひとつは___

 

 

「魔法律について詳しく聞かせてほしい。もちろん、答えられる限りでかまわない」

 

 

そう、自身の好奇心と知識欲のためだ。ムヒョ達は外の世界の住人、それでいて魔法律という特殊な力を使うのだ。霖之助が興味を持たないわけがない

 

 

魔理沙も便乗する

 

 

「私も聞きたいぜ。ただの徐霊かと思ってたが、どうやら違うみたいだからな。ただの徐霊なら地獄が出張る必要はないはずだぜ」

 

 

それを聞いたロージーは二人に向き合い、まず魔法律についての説明を始める

 

 

「ええと、まず魔法律っていうのは、霊に困ってる人間を___」

 

 

「ヒッヒ、オマエもまだまだ浅いナ」

 

 

ムヒョが横槍を入れる

 

 

「な、何が悪かったんだよムヒョぉ!まだなにも間違ってること言ってないじゃんか!」

 

 

「ああ間違ってはいない。だがそいつらに対しての正しい説明でもない」

 

 

ムヒョはヒヒヒと笑いながらロージーに言う。そしてロージーに向かって言葉を投げる

 

 

「こいつらは霊魔に関してなにも知らない素人なわけじゃない。この世界で戦う力があると言うのなら、おそらくその実力は生半可な執行人より高いだろうナ。そんな奴らに対してのオマエの説明の仕方は大学生にひらがなを教えるようなものだゼ。まぁこういう奴らは俺たちの世界だと数少ない。今回だけはそのミスを見逃してやる」

 

 

ショボくれるロージー。しかし仕方ないと考え、表情をキリリと引き締める

 

 

そしてロージーの代わりにムヒョが二人に説明を始める

 

 

「大体察してるだろうが、魔法律ってのは霊を裁き、ソイツのあるべき場所へ送る力だ。困ってる人間を助けるのは半ば建前、霊を裁くための理由付けみたいなもんだな。巫女やエクソシストとかと違って正義だの信仰だの、そんなもんは無ェよ。あくまで霊を裁くための力であり、ルールだ。霊ってのは本来存在してはならないモノ、てのが俺達の世界の常識だからナ」

 

 

霖之助は興味深い、という表情を浮かべる

 

 

「ふむ、外の世界では霊や妖怪などの超常的な存在はほとんど信じられてない…つまり、霊魔は存在を保てないと聞いたのだが?」

 

 

「アホか。霊ってのは、生物やその信仰のなれの果て。生物が…その意思が在る限り霊が居なくなるわけないだろうナ。まったくメンドクセエったらありゃしねえ」

 

 

「なるほどね。そして魔法律は霊を裁く力、つまりありとあらゆる霊に重い罰をあたえるのか?」

 

 

「それも少し違うな。場合によっては話し合いで成仏したり、罪が軽いことや情状酌量を理由に黄泉や三途の川行きといった軽い罰を執行する時もある。まぁ、オレが裁く霊は大半が重罪の悪霊。地獄に叩き落とすことのが多いけどナ」

 

 

ここで魔理沙が疑問をぶつける

 

 

「人間が勝手に霊を裁いたりして、地獄からなにか使者とか来たりはしないのか?閻魔あたりがうるさそうな気がするぜ」

 

 

「それは問題ないナ。霊を裁けるのはあくまで魔法律家の執行人のみ。執行人になるには才能はもちろん、地獄の試練にも耐えねばならない。内容は伏せておくが、生半可な人間は精神が耐えられず狂い死ぬだろうナ…ヒッヒ」

 

 

地獄の試練、それは執行人が霊を裁くための魔法律書を扱うための試練。霊を裁く人間は、地獄の拷問で苦しむ霊の悲鳴や苦しむ様を見せ付けられる。一定時間耐えれば晴れて地獄に認められ、執行人となれるが、それに耐えられなければ素質なしとみなされ、執行人にはなれない。執行人の少ない理由はこれも大きいだろう

 

 

詳細を伏せられたが、霖之助と魔理沙は薄々察してるようだ

 

 

そして霖之助がややドヤ顔をしながら言う

 

 

「言わなくても分かるさ。閻魔様は地獄にいる死者の苦しみを己に課すために煮え湯を飲み、鬼に叩かれる、と言われてるからね。君の言う試練はおそらく精神面に干渉してくるのだろうね」

 

 

「ヒヒヒ…やっぱ詳しい人間同士だと話が早いゼ。霊魔に関してはこのポンコツより知識があるかもナ」

 

 

そう言い、ムヒョはちらりとロージーを見る

 

 

「さ、最近は僕だって…!」

 

 

「だったらさっさと知識をつけて裁判官補佐になりやがれ。煉をうまく使うだけが魔法律家じゃないんだぞ?」

 

 

「うぐっ!」

 

 

ぐさり、という擬音が聞こえそうなくらいにムヒョの言葉がロージーの心に突き刺さる

 

 

魔理沙はけらけら笑いながらロージーに言う

 

 

「ま、知識が無くても霊をしばき倒せる実力があればなんとかなるさ。霊夢なんか知識を二の次にして勘で色々やってるからな。それがドンピシャで当たるだけになおさらひどいぜ」

 

 

そんな風にかれこれ雑談してたムヒョ達。しばらくして、霖之助がハッとした表情をしてロージーたちに向き直る

 

 

「そういえば、君達にお礼をしようと思ってたんだ。少し待っててくれ、君達の…『煉』という力を使う際のうってつけの道具がある」

 

 

そう言うと霖之助は傍の戸棚を漁る。店というより、がらくた置き場といった香霖堂。その姿は自分の商品を探すというより、コレクションを探してる、といった方が適切と言えるまである。香霖堂に来た人妖の大半はそう思うだろう

 

 

「あったあった、これだ」

 

 

そういって霖之助が差し出したのは銀色の赤い宝石がひとつだけ埋め込まれてあるだけのシンプルなブレスレットだった

 

 

しかしムヒョと魔理沙はそのブレスレットの『力』を見抜いていた

 

 

「ヒッヒ、まさかこんなところに魔具師の禁忌の腕輪があるなんてな…」

 

 

「おや、これを知っているのかい?この道具の名前は『無花果を食らう聖者(いちじくをくらうせいじゃ)』…効果は『煉の質を上げる』だ。使い方は分からないが、恐らく煉の力を使う人間の腕に装着すればいいのだろう」

 

 

それに対して魔理沙は苦い表情をしながら言う

 

 

「代償に目を瞑ればまさにロージー達にうってつけの道具だな。そういう道具の代償ってロクなものじゃないけど」

 

 

「同感だナ。そいつは伝説であり、同時に禁忌の腕輪だからナ」

 

 

ムヒョもそれに同意するように言う

 

 

ロージーはなにがなんだかわからない、といった様子でムヒョに尋ねる

 

 

「あのブレスレット、いったいなんなのさ?魔具師の禁忌って、どういうこと?」

 

 

「動かない魔具師が唯一、回収のために大騒ぎした道具だ。何十年も前に全ての腕輪の回収が終わり、処分されたと思ったんだが、まさかこんなとこに流れ着いてるとはナ。魔具師が動くと不吉が起こる、という伝説が生まれたのもあの魔具が原因だ」

 

 

その言葉を聞き、ロージーは青ざめる

 

 

「まさか、あれを着けたら魂を失うとか…?」

 

 

「ヒヒ、そこまで凶悪ではないぜ。だが、こいつは装着者の精神に大きく干渉する。装着者は強大な力に溺れ、傲慢になるだとか言われてる代物だ」

 

 

だが、とムヒョは言葉を続ける

 

 

「ただ傲慢になるだけならそんな危険でもない。問題は傲慢になったがゆえに己の限界を見極められなくなることだ。煉の出力を上げる、ということは煉の消費も大きくする。普通なら虚脱状態になる前に煉の消費に気がつくんだが、アレを着けた魔法律家は自分の限界に気付けず、虚脱状態になって魔法律家業を引退せざるを得なくなった、と言われてるナ。そんなものが出回って魔法律家が減ったら洒落にならない、つーワケで全ての魔具師があらゆる手段を用いて回収したと言われているゼ」

 

 

ロージーの顔は青を通り越して紫になる

 

 

「じ、じじじじ、じゃあもしアレを僕が着けたら僕、魔法律家引退しなきゃいけなくなるんじゃ」

 

 

そう言うロージーに対してムヒョは自信ありげな顔でロージーに告げる

 

 

「オマエなら大丈夫だ。こいつを使いこなした魔法律家はわずかだが、存在する。出力を上げるから上級霊相手にと単独で大立回りが出来るそうだ。そしてオマエはこのオレが徹底的に仕込み直した。力に溺れることも、傲慢になることも、虚脱になることもないだろう」

 

 

そしてムヒョは誰にも聞こえないような小さな声で呟く

 

 

「……それに、オマエは決意が強いから、こんなオモチャに惑わされはしないだろうよ」

 

 

人には聞こえないくらいの声量でボソボソと呟いたムヒョの声はロージーには伝わらなかった。しかし、人ではない霖之助にはしっかりと聞こえていたようだ

 

 

そして霖之助はムヒョとロージーを、魔理沙と霊夢を見るときと同じような暖かさに満ちた目をしながら言う

 

 

「ロージー、キミならこれをきっと使いこなせるさ。キミは傍目からは気弱そうにみえてもその心には強い意思が宿っている。心が強い人間は絶対に力に溺れないさ」

 

 

魔理沙や霊夢のように、と霖之助は心の中で付け足す

 

 

そしてロージーの腕をとり、そのブレスレットを着けようとする

 

 

「いやいやいやまってください!」

 

 

ロージーは慌てて腕を引っ込める

 

 

「なんで僕が着ける流れになってるんですか!?」

 

 

これに対して三人が同じ言葉をぶつける

 

 

「「「そりゃムヒョ(オレ)にはいらないから(ナ)」」」

 

 

「第一、オレはそんなもんなくても煉の強さは十分だ」

 

 

「そもそもロージーって身体は弱っちそうだしな。心が強いなら着けておけよ。まあ私はお断りだけどな。煉なんてモノ使わないし」

 

 

「道具というのは適切な使用者に使われることこそが在るべき姿なんだ。僕が保存するよりもキミに使ってもらう方が道具も幸せなはずさ。それにムヒョより力がないなら少しでも助けになるようにするべきだろう?ペアで行動するなら、力の強さは偏ってはいけないからね」

 

 

ボロクソに言われるロージー。やや涙目だ

 

 

「うう、分かりましたよ着けますよ…」

 

 

そう言いながらそのブレスレットを開き、手首から包む込むように着ける

 

 

しかしなにも起こらない。パワーアップした、と言う感じは一見無さそうだ。ロージーも拍子抜け、といった顔をしている

 

 

だがムヒョは満足そうな顔をしている

 

 

「予想通りだナ。普段と変わらないってことは、オマエは腕輪に意思を奪われてない、てことだ。だがそれが真髄を発揮するのは煉を出力した時……つまり、破魔の術などを行使したときだ」

 

 

そう言うとムヒョはロージーを連れて香霖堂の外に出る

 

 

「おい、そこの岩に向かって破魔の術を打ってみろ」

 

 

目の前にあるのは横5m、高さ2mほどの岩。普通に考えたらこんな岩に破魔の術を放ってもその堅さの前に破魔の術がポシュン,と音を立てながら消滅するだけだ

 

 

そう思ったロージーはムヒョに言葉をぶつける

 

 

「いくらなんでも、あの岩を壊すのは___」

 

 

「いいからやってみろ。今の自分の強さを知るためにも丁度いい頃合いだナ。ぐずぐずしてねえで、とっととやれカスが」

 

 

半ギレのムヒョ。こうなったら従うしかない

 

 

今まで無意味なことはさせてこなかったし、自分の強さを知る、と言う言葉にも一理を感じたロージーは札とペンを取り出す

 

 

そしてつらつらと札にペンを走らせる

 

 

「破魔の術!!」

 

 

そうして放たれた破魔の術。一見、いつもの破魔の術だ。ムヒョに続いて出てきた霖之助と魔理沙もこんなものか、という顔をしている

 

 

しかし岩に着弾した瞬間、ムヒョを含めた全員の表情が驚愕に染まる

 

ズッシュウウウウウウ!!!!!

 

破魔の術の強さに岩は砕けるどころか、蒸発してしまったようだ。術を放ったロージーが一番驚いている

 

 

「ムヒョ、これ、普通の依頼だとちょっと過剰火力じゃないかな……?」

 

 

ムヒョでさえも驚く、その破壊力。普通の霊に打ったら魂ごと消滅してしまうだろう、とムヒョは考えた

 

 

「………ああ、そいつはいざというとき専用だナ。流石に霊を消滅させちまうのは色々とまずいことになる」

 

 

魔理沙はまたもや渋い顔をしている

 

 

「あーあ、あんなに強いなら私も煉を研究してみるべきかな」

 

 

霖之助は何かを考え込んでいる様子だ。その目線はロージーだけでなく、ロージーとムヒョ、二人同時に向けている

 

 

その目は先程の、兄のような暖かい目ではなく、選者のような、何かを探る目をしていた

 

 

「(まさかあれだけの力を引き出すとは…しかし、妙だ。ここまで強い力を発揮するならあの道具から僅かなりとも威圧感を感じたはずだ。だが、全く威圧感はなかった。ロージーだから発揮したのか?それとも___ムヒョが側にいたから?)」

 

 

120年以上、様々な人間と道具を見続けてきた霖之助。

 

 

しかしその霖之助もこんな現象は初めてのようだ。だが、聡明故か、それとも勘が良いのか、ムヒョとロージーには見えない繋がりがあることを感じていた

 

 

「(強い意思を持つ人間は人ならざる者に大きな影響を与える。もしかしたら彼らは、人外溢れるこの幻想郷に大きな影響をもたらすのかもしれないね。彼らがもたらすのは幸か、それとも不幸中か____いや、これ以上は僕の預かり知らぬこと。僕はいつも通り、店を構えるだけさ。人妖問わず、様々なお客様をね)」

 

 

そう結論付けると霖之助は店内に戻り、いつものカウンターの前の椅子に座り込む

 

「さて、お喋りもここまでだ。そろそろ禁書探しを再開するぞ」

 

 

ロージーのブレスレットを外した後、ムヒョはロージーに告げた

 

 

「といっても、手掛かりがないよ。どうすれば___」

 

 

そうロージーが呟くと魔理沙が閃いた!と言わんばかりの表情をしてムヒョ達に言う

 

 

「だったらもうひとつ、オススメの場所を教えてやるぜその場所は吸血鬼の住む館、紅魔館だ。空を飛べばすぐわかる。この先の湖の畔に建つ悪趣味な赤い館さ」

 

 

ムヒョは魔理沙の言葉でまた少し驚く。だがすぐに疑問の表情に移る

 

 

「………吸血鬼、実在してたとはナ。だが、なぜ吸血鬼の住む館に禁書が関係ある?」

 

 

「紅魔館は外の世界の道具とのコネクションがあるらしいんだ。それにその館の図書館に居る魔女はもしかしたら禁書についてなにか知ってるかもしれないしな。行って損はないと思うぜ?少なくともがむしゃらに探すよりはね」

 

 

そんな中、会話に混じらないロージーはと言うと……

 

 

「き、吸血鬼ぃぃぃ!?あの血を吸って人間を干物みたいにする、あの伝説の!?」

 

 

ものすごいビビってた。強い意思とはなんなのだろうか、と感じる瞬間でもある

 

 

魔理沙はポリポリと頬を掻きながら言う

 

 

「あー…あの館の吸血鬼はお子様なところがあるが、下手に手を出さなければそんな恐ろしくはないぜ。最近は丸くなったしな。魔女の方は偏屈だが、知識はある。ハハッ、考えてみたらムヒョと似てるところがあるから案外話合えるかもな」

 

 

「つまりその魔女はテメー(魔理沙)のことは嫌ってるってわけだな」

 

 

「おいおい、まさかムヒョは私のことを嫌ってるのか?」

 

 

「好かれると思ってる方が驚きだゼ。ヒッヒ…」

 

 

「まあいい、とりあえず行ってこいよ」

 

 

「そうさせてもらうゼ。いくぞ、ロージー」

 

 

「あ、うん。ムヒョ!掴まってて!」

 

 

そう言い、ロージーは空へ飛び立つ。行き先は紅魔館だ

 

 

 

とある部屋にて

 

 

「ふふ、近付いてきてるな。この館に新しく入った人間のメイドとあのロージーとやら、なにか深い関係があるみたいだな。くくく、やはり幻想郷は面白い。切れた運命が繋がって、そしてその運命は愛する者と再び巡り合わせる」

 

 

「…?お嬢様、どこを見つめておられるのですか?そちらには窓はありませんよ?」

 

 

「さあてね、私は何を見ているのだろうな。人間?運命?それとも世界?なんでもいい、暇潰しができれば、な」

 

 

「それはそうとお嬢様、お茶が入りましたよ」

 

 

「……なぁ、この紅茶、変な『臭い』がするんだが」

 

 

「ご安心を。お嬢様には毒ではありませんわ」

 

 

「毒でもなんでもいいんだが、不味いのはやめてくれ。全く、こんなモノを主に飲ませるとか従者としてどうなんだお前」

 

「新しく入ったメイドの淹れる紅茶のがよろしいですか?安全ではありますが、安心できる味ではありませんよ」

 

 

「……この紅茶を頂くとしよう」




遅れて申し訳ありません
お気に入りが10越えてるうえにUA300越え…( ̄□ ̄;)!!
これからも不定期更新になると思いますorz
オリジナル設定全開です、はい

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霖乃助→霖之助
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