※作者はいつもトーラスマン(両腕実弾ライフル両背中コジマキャノン)
では、どうぞ。
「‥‥‥」
「何をしているのです?」
「‥‥‥!」
第七佐世保鎮守府、食堂にて。
椅子に座ってメニューとにらめっこしていた黒いネクストの前に、駆逐艦が一人。
彼は首輪付きと称され、向かいに座っている彼女は電という。
「あぁ、メニューを選んでいたのですね」
「‥‥‥」
「‥‥‥あの」
「‥‥‥?」
「どうして首輪付きさんはいつも無口なのですか?」
「‥‥‥」
「何か、言えない事があるのですか?」
彼女はそう問いかけるが、彼はふるふると首を振り、今まで微妙に動かなかった口を動かした。
「口は災いの元‥‥‥って言うから、かな」
「それだけの理由なのですか?」
「あぁ‥‥‥セレンが言っていた」
「セレンさんって‥‥‥あの?」
「そう。僕の恩人だ」
「という事は凄い方なのですか?」
「まぁな。僕よりずっと強く、誇り高い人だ」
そう答えたあと、どれにするのか決まったのか、彼は鳳翔さんにメニューを伝える。
鳳翔さんは「わかりました。いつものですね」とにこやかに笑い、厨房に消えていった。
「そういえば電‥‥‥だっけか」
「はい、電なのです」
「先生としてのセレンはどうだ?」
「えっと‥‥‥色々不器用な人なのです。丁寧に教えたいのでしょうけどどうしても上手くいかないみたいなのです」
「そうか。やっぱりセレンはセレンだな」
「と、言いますと?」
「いや、いつになっても不器用さは変わらないなって事だよ」
と、彼がそう言葉にした時。
彼の目の前に座っていた電の顔色が青ざめる。
どうかしたのか、と彼が問いかけるが彼女は「う、後ろなのです‥‥‥」としか言わなかった、いや言えなかった。
その原因が、彼の背後にいる。
「ほう‥‥‥何処で油を売っているかと思えばお前、私に対して陰口を叩いていたのか」
「‥‥‥ッ!?」
「言わなかったか?"口は災いの元"とな」
「‥‥‥」
「‥‥‥だんまりか」
「‥‥‥ごめん、セレン」
電は普段首輪付きを戦闘時にしか見かけていない。
だからこそなのか、こんな消極的な首輪付きを見た事に驚いている様子である。
「あ、あの、セレン先生」
「む、なんだ?」
「どうしてセレン先生は首輪付きさんにだけ厳しくしているのですか‥‥‥?」
「‥‥‥さぁ、何故だろうな。さて‥‥‥行くぞ」
彼女の一言で軽く頷き、食事を済ませた首輪付き。
だが、彼は電にある物を渡した。
そのある物は、一冊の本である。
「あの、これは何なのです?」
「僕の友達‥‥‥いや、仲間だったヤツが好んで読んでいた本だよ。僕はもう読みきったから君にあげるよ」
「そんな大切な物、頂いてもいいのですか?」
「うん。その代わり大事に読んでやってくれ」
「‥‥‥わかったのです。読んだら感想を言いに行くのです」
「あぁ、楽しみにしてるよ」
そうして二人は食堂から立ち去った。
恐らく彼は彼女に絞られる事だろう。
食堂に残った電の腕に抱かれていた本の一部に"空を悠然と漂う揺り籠"と読み取れた。
まるでかつて、揺り籠を落とし人類を次のステージに進めようとした彼のように‥‥‥。
・首輪付き
→セレンの部下(忠犬)。普段は無口だが、実力は確か。
駆逐艦組によく懐かれる。
・セレン ヘイズ
→首輪付きの師匠。第七佐世保鎮守府に来る前までは"霞 スミカ"と呼ばれていた。
現在は駆逐艦組の先生をしている。
・電
→暁型駆逐艦四番艦、いわゆる末っ子。
首輪付きによく懐いており、今回首輪付きから受け取った本を大事に読んでいる。
では、次回の更新で。
感想等お待ちしてます。
ではでは(´・ω・`)ノシ