スーパーロボット大戦Re・disk3   作:jupi

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17話-捧げる命

 竜宮島の住民達はアークエンジェルから連絡がいっていたオーブ艦隊により保護される事になった。

 

「我々の未来を繋いでくれた事。感謝してもしきれない」

 

「頭をあげてください真壁司令。僕らは出来る限りの事をしたまでです」

 

「いや、礼を言わせてほしい」

 

 アークエンジェルの艦橋にマリュー、キラ、ユリカが真壁司令に頭を下げられていた。

 

「僅な期間ではあるが我々の戦力をあなた方に」

 

「ちょ、ちょっと待ってください」

 

 思わずユリカが制止する。

 

「それは……彼等の命にも関わる事ですよ」

 

「息子達からの願いでもある」

 

 顔を上げた真壁司令は。

 

「我々とて鉄華団と同じように、あなた方へ恩義を感じている。それに、エフィドルグの驚異と無関係を決め込むつもりは無い」

 

「……こちらとしてもファフナー隊が戦力でいてくれるのは、大いに助かりますが」

 

 キラの声のトーンが下がっている。

 それに気付いてもなお、真壁司令は。

 

「近藤剣司と近藤咲良、来栖操以外の全ファフナー隊を君達に託したい」

 

「……責任を持ってお預りします」

 

マークザイン、真壁一騎。

マークニヒト、皆城総士。

マークジーベン、遠見真矢。

マークフィアー、春日井甲洋。

ゼロファフナー、西尾里奈、鏑木彗。

スサノオ、神門零央。

ツクヨミ、水鏡美三香。

 

 八名のファフナーパイロットが改めて艦隊に参加することになる。

 

「島の皆を頼むぞ。剣司、咲良」

 

「それはいいけど、お前は大丈夫なのか?」

 

 剣司は総士に対して気遣う。

 

「恐らくそれほど長い命ではない。島の大気が生かしてくれている内に、やりたい事をやっておきたいんだ……」

 

「総士。これが別れになるなんて言うなよ」

 

「……そうだな。それより来栖」

 

「ん~。やっぱり僕も島外派遣に参加したかったなぁ」

 

「すまない。だが、お前にも仲間を守ってほしいんだ」

 

「まぁ、任せてよ」

 

 来栖操が総士へ微笑む。

 再び剣司が。

 

「後輩のケアは頼む。同化抑制材はありったけ積んでおいた。それと……」

 

「この部隊の仲間に頼るのも大事だよ。真矢はまだしも、一騎はセーブする必用がある」

 

 追加するように咲良が言う。

 その後数分だけ話してから、彼等と別れる。

 

「総士。無理はするな」

 

「甲洋?」

 

「よかったのか?残りの時間を島の皆と過ごさなくて」

 

 珍しく甲洋が優しい言葉をかけてきたので、僅かに笑う総士。

 

「フッ……わからないか。一騎や真矢、お前達がいる場所こそが、僕の居たい場所だ」

 

「……先の事は気にするな。俺が仲間も島も守る。翔子や護もお前を支える筈だ」

 

「……恵まれているな……」

 

 

 一方精密検査を終えた一騎と真矢。

 

「まだザインに乗るの?」

 

「俺はまだやれる。戦える内は乗るさ」

 

「……カノンがいたら怒ってたかも。正直、わたしも」

 

「ごめんな遠見。でも俺はここにいる。まだ総士が言う存在と無の……なんだっけ」

 

「……いちいち覚えてないよ。なんか、痛々しいし」

 

「あ……」

 

 医務室から出ると、剣之介と由希奈にぶつかりそうになる。

 

「一騎くん、真矢ちゃん。体調は大丈夫?」

 

「うん。こっちは問題ない」

 

「よかった……それじゃ」

 

 一騎達は振り返らず退室するも、やはり気掛りだった。

 

「GAUSのナビゲーター……茂住さんって言ったよな?」

 

「重体だって。意識も戻ってないし、復帰は難しいとか」

 

 

 

 そして医務室では、ソフィーとムエッタが剣之介達を迎えた。

 

「……馬鹿な真似はよせ、ソフィー」

 

 ふと、ムエッタの声がソフィーを止まらせた。

 

「いいえ。私は纏い手になってでも戦います」

 

 由希奈はソフィーに駆け寄り。

 

「それは駄目だよ。だってゼルさんにも」

 

「……自爆したイエロークラブの残骸、もう修復済みなのでしょう?」

 

 エフィドルグの機体は乗手が居なくても再生が可能。

 機体そのものにナノマシンがあるため、勝手に直っていたのだ。

 

「……おそらくセバスチャンの復帰は絶望的。ですが、剣之介と由希奈さんの実例があります。」

 

 四百年以上前剣之介は死んでいたはずだったのにも関わらず、雪姫によって救われた。

 未知の何かによって生き永らえただけではない。

 何より雪姫が纏い手として、ナノマシンが付与されていた血液を剣之介に託したからでもある。

 

「……戦場に戻りたいのなら纏い手は必要ないだろう?既に一人乗りがあるではないか」

 

 スレイプニール同様、付近の地球軍基地を散策すれば一人乗りGAUSは見つかるだろう。

 数年前と違って、GAUSはある程度生産されている。

 

「今優先すべきはセバスチャンの身体を治すことです。そして、私が戦場に出るのであれば、彼に背中を預けたい」

 

 ソフィーの言葉に反応するように、茂住が僅かに声を出す。

 

「お嬢様……」

 

「セバスチャン!意識が……あ、動いてはいけません」

 

 茂住が大人しくしたところで、再びソフィーが。

 

「……セバスチャン。選びなさい。このまま私の執事を引退するか、人の身を棄てて纏い手になるか」

 

「……二人乗りの機体なら……お嬢様に支えるために戦えるでしょうな……」

 

 ムエッタに視線を戻すソフィー。

 

「……出来ますか?」

 

「GAUSの残骸を混ぜればな。元々クロムクロのように、グロングルは二人乗りだったのだ。システム的には可能だ」

 

 後はもう、迷わなかった。

 

「頼みますムエッタ。イエロークラブに乗せてください」

 

 

 

 


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