男子高校生のきんいろな日常   作:牧弥潤巳

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連続投稿できたぜ!
けど、今回は結構重い・・・


スカウトと条件と記憶喪失

休日、海翔は一人で小説を読んでいた。その時、

 

ピンポーン

 

海翔「・・・誰だ?楓達ではないはず。」

彼らには自分の家は教えていないため、訪問者ではないと考えた。そして、海翔はドアを開ける。

そこにいたのは・・・

 

旭「やぁ、君が瀬戸海翔君かい?」

 

海翔「・・・あんたは?」

 

望月旭と氷室亜美だった。

 

旭「なーに。しがない科学者さ。」

 

紳士の如く礼をする旭。

 

亜美「旭さん。彼があれを渡すのにふさわしいと?」

 

海翔「あれ?」

 

旭「そう。そのあれとは、これだ!」

 

ババーンと音が出るかのように堂々とベルトを取り出した。

 

海翔「・・・なんだ?」

 

旭「そう!名付けて!フォーゼドライバー!」

 

海翔「フォーゼドライバー?」

 

旭「そう!」

 

「なに言ってんだこいつ」海翔はそんな目を向けた。

 

亜美「すいません。旭さんがこれなので私が代わりに説明をします。」

 

旭「そういうわけで亜美く・・・あれ?今さらっと毒はかなかった?」

 

亜美「このフォーゼドライバーはあなたのご友人、八神昴君や桐生楓君が使う物をベースに作ったものです。これを使って、怪物を倒して下さい。」

 

海翔「なんで俺がそんなことを・・・」

 

旭「・・・瀬戸心咲。」

 

海翔「!?」

 

旭「君ならわかるよね。この名前。」

 

海翔「・・・だったらなんだ。」

 

少し海翔の表情は暗くなる。

 

海翔「もう。その名前の人は・・・俺の姉は、もういない。」

 

そう。旭が口にした瀬戸心咲とは、瀬戸海翔の実の姉である。心咲はいつも自分よりも海翔中心で動いているため、いつも海翔と一緒にいた。海翔本人も、それを嫌っていたわけでなく、ごく普通の日常を送っていた。だが、7年前の交通事故で、姉は亡くなった。海翔はそう伝えられ、ひどくショックを受けた。彼が無表情になったのもこの事故が原因である。

 

旭「・・・そっか。確か君にはそう伝えられたんだっけ。彼女は今生きている。」

 

海翔「は?」

 

旭「僕、実は色んな資格を持っててね。それに、悪友に頼まれたんだ。断るわけにはいかないしね。」

 

海翔「悪友?」

 

旭「僕と君のお父さんは、大学時代に知り合ってね。あまりに意気が合ったからね。」

父親の知り合い、姉を救った人が目の前にいる。海翔は旭にこう頼んだ。

 

海翔「・・・じゃあ、俺を会わせてくれるか。」

 

旭「・・・」

 

少しマズイと目をそらす旭だが、すぐに海翔に目を戻す。

 

海翔「?」

 

旭「・・・そうだね。ちゃんと受け止めてもらわないと。」

 

海翔「・・・姉ちゃん。何してたんだよ、心配したんだぞ!」

 

心咲「・・・?」

 

彼女はロボットのように首を傾げた。

 

海翔「姉ちゃん?」

 

心咲「・・・君、誰?」

 

その場に静寂が走る。それは今の海翔には受け止められない状況だった。

 

海翔「・・・は?な、何言って・・・俺だよ!瀬戸海翔!あんたの弟だ。」

 

心咲「・・・わからない。私には、何も・・・」

 

海翔「・・・」

 

彼女の悲しげな顔を見て、海翔は血の気が引いていた。

 

旭と海翔は心咲がいた部屋から離れ、会話をしている。

 

海翔「記憶喪失・・・」

 

旭「なんとか一命はとりとめた。だが・・・君が見た通り、彼女は記憶喪失、自分の過去を忘れている。」

 

海翔「・・・」

 

旭「こんな言い方は酷いのは承知だが、君と取引をしたい。」

 

海翔「取引?」

 

旭「あぁ。彼女を君と一緒に暮らせるようにする。支給するべきものは支給しよう。その代わり、君はこれを使って昴君達と戦かってくれないかな?」

 

海翔「・・・俺にその資格はない。なんで俺なんだ。」

 

旭「・・・じゃあ、君に質問するよ。」

 

海翔「?」

 

旭「もし、君の友達が怪物に襲われてたとしたら、どうする?」

 

海翔「そんなの、助けるに決まって・・・」

 

旭「そう、それでいいんだよ。」

 

海翔「は?」

 

旭「資格なんて御大層なもの、僕が作った物に求めたくないしね。それに、資格あるなしじゃない

 

・・・君に使って欲しいんだ。」

 

旭の真剣な顔を見た海翔は少し動揺する。

 

海翔「・・・少し、考えさせてくれ。」

 

旭「・・・ふむ。確かに急かしすぎたね。気持ちが固まったらでいい。ここに連絡を。」

 

連絡先が書かれたメモを受け取る海翔。

 

旭「じゃあ、今から君達を車で送るから。」

 

海翔「たち?」

 

旭「おや?決まっているだろう?心咲君と君だよ。」

 

心咲「・・・あの、瀬戸さん。」

 

海翔「・・・海翔。」

 

心咲「え?」

 

海翔「海翔って呼んでくれ。家族に名字で呼ばれたくない。」

 

心咲「か、海翔。」

 

海翔「ここが姉ちゃんの部屋。ちょっと埃っぽいけど。」

 

心咲「埃っぽい・・・これは?」

 

一冊の本を手に取る心咲。

 

海翔「それはアルバム。昔の写真とか置いてる。」

 

心咲「アルバム・・・?私の昔?」

 

彼女は興味を抱いたのか、アルバムを開く。そこには自分と海翔が写っている写真がたくさんあった。

 

心咲「昔の私ってこういう人なのかな?」

 

海翔「まぁ、そうだな。」

 

心咲「・・・戻れるかな?」

 

海翔「!」

 

心咲の笑顔を海翔はみる。そして、こう思った。

彼女は記憶がなくなってても自分の姉なんだと。

 

海翔「・・・ちょっと風呂沸かしてくる。一人で入れるだろ?先に入る。」

 

少し早歩きで部屋を出ていく。そこには心咲だけが取り残された。

 

心咲「(あの子にとって、今の私は・・・)」

 

きっと今の自分は見ていられない存在なんだろう。そう思ってしまう。その時、

 

心咲「(この写真・・・)」

 

一枚の写真を見つける。

 

亜美「いいんですか?旭さん。彼の方のメリットを先に与えて。」

 

旭「こうすれば、なるべくオーケーを出してくれるだろう。」

 

亜美「・・・やっぱり、質が悪いですね。」

 

旭「言うな。自覚している。それに・・・」

 

彼は笑みを浮かべる。それはまるで、勝利を確信したかのような。

 

旭「彼ならやるさ。僕の目に狂いはない。」

 

亜美「はぁ・・・旭さんがそういうなら、きっとそうなんでしょうね。」

なんだかんだ言いながらも、旭を信用している亜美である。

 

一方その頃、

 

海翔「はぁ・・・」

 

海翔は湯船に浸かって、考え事をしていた。

それは、車で送ってもらっているときの旭の言葉。

 

旭『彼女は記憶を失っている。だが、もちろん取り戻せない訳じゃない。だから、君には、彼女とともに生活をして、彼女の記憶を取り戻す手伝いをしてもらいたい。』

 

海翔はこれを了承したが、まだ実感がわいていない。自分には死んだと言われた姉が生きており、記憶喪失になっていたのだから受け止めようにもできない状況である。

 

海翔「せっかく・・・生きてたのに・・・」

海翔は一人、ただ涙を浮かべていた。

 

 




はい。という訳でオリキャラ紹介です。今回は二人やります。


桐生悠木

年齢 20歳

身長 170㎝

体重 65㎏

趣味 マンガを読むこと

桐生楓の兄。大宮勇と交際しており、現役の警察官である。ヤミーの攻撃で意識を失うが、アンクが憑依したことで一命をとりとめている。



瀬戸心咲

年齢 19歳

身長 164㎝

体重 51㎏

趣味 不明

瀬戸海翔の姉。自分よりも海翔中心で動いているため、いつも海翔と一緒にいた。だが、7年前、交通事故にあってしまう。望月旭がそれを助け、一命をとりとめている。だが、彼女は意識が戻るより前の記憶を失っている。





こんな感じです。今回ちょっと重かったかと思います。すいません。



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