いつも行かない町の東へ行こうと考え…
留美「さーてと、今日もおもろい事起こるとええなぁ」
昨日に引き続き杜王町内を歩いているが、特に面白い事が起きる事も無く昼時になってしまった
留美「やっぱそう毎回おもろい事が起こるっていうのは話がうますぎるやんなぁ」
歩き回った先で見つけたカフェで昼食を摂りながら私は考え事をしていた
留美「(一応、この2週間で杜王町の南と西は大方回れたみたいやけど…)」
午後からは東か北の方を回ろうと決めた
店員「ありがとうございましたー」
留美「さてと、お腹膨れたし、東の方に向かおうかな」
カフェを後にした私は、まず東に向かう事にした
数十分後
留美「へぇ…おんなじ町ん中やのに、こうも雰囲気変わるもんなんやなぁ…」
西の方はカフェなどの少し都会風の風景だったの対し、東の方に来るにつれ、公園や池といった自然が豊かな風景があちらこちらに広がっていた
留美「スタンドとか抜きにしてここら辺を散歩したら気持ちええやろなぁ…あっ!運ちゃん止めて!ここで降りるで!」
つい風景に見とれてしまい、もう少しで目的地を通り過ぎてしまうところだった
留美「あっぶなかったぁ…乗り過ごすとこやったわ…」
息を整えるために近くの公園で少し休むことにした
留美「でも、本当に自然豊かなとこやなあ…ん?あれ何や?」
ベンチを探していると、公園の道路に少し大きな革袋が落ちていた
留美「誰かが落っことしたんか?」
中身を見るのは流石にまずいと思い、軽く袋を揺さぶって中身を確認してみた
すると…
留美「は!?なんやこれ?血!?」
袋から血のようなものが滴ってきた
留美「まさか、怪我した動物かなんか入れてあったんか!?」
中を勝手に見るのは…という常識を秒で前言撤回し、私は急いで袋を開けた
留美「…何やこれ?ぬいぐるみか?」
中を見てみると、入っていたのは猫のぬいぐるみと血糊だった
留美「なんや、びっくりしたわぁ…」
質の悪い悪戯だとは感じたが、悪戯で本当に良かったと思った
玉美「おい!何してんだよ!」
すると、後ろから声をかけられた
留美「なんや?私になんか用か?」
振り向いてみると、そこに居たのは一般男性と比べてかなり小柄な体格のおっさんだった
玉美「うちの猫に何してくれたんだって言ってんだよ!」
留美「猫?なんの話や?」
玉美「しらばっくれんじゃねぇよ!暴れないように袋に入れといた家の猫を蹴飛ばしたのはオメェだろうが!」
留美「袋?これの事言うてんの?中身ぬいぐるみやんけ…」
玉美「なっ、もう袋開けてやがったのか…姉ちゃんよぉ、痛い目見たくなかったら金だしな」
これほどまでに典型的なチンピラがいるだろうかと思える程小物感がすごかった
留美「あんた、そないな事して自分で情けない思わへんの?」
私は女子の中ではそれなりに背は高い方(約170㎝)だし、正直言って喧嘩しても全然負ける気がしない
玉美「なんだよ…やるってのかよぉ…」
私が戦うそぶりを見せると、急に尻込みし始めた
留美「(なんやねん…口先ばっかかい…)」
あほらしくなってきたので、どこか別の場所に行こうと歩き出すと、突然後ろから体当たりされ、叫び声が聞こえた
玉美「いってぇ!いってぇよぉぉ!」
なんと、さっきのおっさんの手にペンが刺さっていた
留美「え!?おっさん何があったんや!?」
玉美「女に…この女に刺されたぁ!」
留美「はぁ!?私アンタに何もしてへんやろ!?」
だが、確かにおっさんの手に刺さっているのは私のペンだ
留美「まさか、ポケットからはみ出してたんか…?」
私のポケットの位置から見ればおっさんの手に当たっていてもおかしくはない場所だ
直後、私は急に体が重くなり、その場に仰向けに倒れてしまった
留美「な、何やこれ!?」
私の胸に大きな錠前が付いていた
留美「(な、なんやこれ!?)」
玉美「へへっ…やっと罪悪感を感じたみてぇだなぁ…」
留美「おっさん、スタンド使いか!」
玉美「おめぇもスタンド使いかよ…康一殿もだが、この町スタンド使い多いなぁ」
何やら言っているが、私はそれどころじゃなかった
留美「重っ…」
玉美「早く金払った方が身のためだぜぇ?早くしねぇとザ・ロックはどんどん重くなるからなぁ」
どうやら、私の胸に刺さっているのは、おっさんのスタンドのようだ
先程まで苦しがっていたのに、ここまでケロッとしているという事は、さっきまでのは演技だったのだろう
留美「ス、ストッパー!」
私は急いでストッパーを出し、私に刺さっている錠を殴った
すると、さっきまでの重さが嘘のように無くなった
留美「やっぱり、罪の意識を増幅して重くなるみたいやな」
能力がしっかり分からなかったが、勘は当たったようだ
玉美「な、なんで立ってられるんだよ!?」
私が立ち上がれた事に大層驚いているようだ
留美「私の方が一枚上手やったみたいやな…」
玉美「へ、へっ!俺はさっき人を呼んだんだぜ?すぐ人が来るぞ!」
留美「残念やけどな、おっさんが叫んでから結構経ってるけど、だーれも来とらんで?聞こえとらんのちゃう?」
玉美「なっ!?……!あそこに人がいるじゃねぇか!おい!助」バキィ!
全て言い切る前に、おっさんはストッパーに殴られた
玉美「……!…!」パクパク
何か叫ぼうとしているが、おっさんの声は周りに出ていなかった
留美「いくら叫んでも無駄やで?私のストッパーでおっさんの喋る機能をロックしたから」
私が胸倉を掴みながらそう言うと、おっさんはギョッとした
留美「おっさん。私は優しいから、同じスタンド使いって事に免じて、どれかええかおっさんに選ばせたる」
そう言って私は指をおっさんの前に突き出した
留美「一つ目、警察に自首する」
すると、おっさんはよっぽど警察が嫌なのか首をブンブンと横に振った
留美「二つ目、ストッパーを手の傷口に突っ込んで、血流をロックしておっさんを5分間の呼吸困難にする」
遠回しな死刑宣告におっさんは顔を青ざめさせた(やった事無いからできるか分からんけど…というより、できるだけならしたくないけど)
留美「三つ目、今後一切、誰にもこんな真似せえへんってここで誓って私の目の前から消える」
すると今度はこれでもかというくらい明るい表情になって頷いた
もちろんおっさんが選んだのは三つ目で、もうしないと必死の形相で誓った
留美「分かっとる思うけど、次こないな真似したら…容赦せえへんで?」
私に警告され、おっさんは急いで姿を消した
留美「ったく、スタンドを悪い事に使うなんてひどい奴もいたもんやなぁ…」
お前もだろと言い返されそうだが、私はまだギリギリ法に引っかかるような事はしていない為、棚に上げておくことにしよう
留美「でも、ストッパーがなかったら金巻き上げられてたかもしれへんなぁ…」
実に運がよかった
留美「あのおっさんが仲間連れてきても面倒やし、他んとこ行こ…」
別に悪い事をしている訳ではないとはいえ、私だって女だ。報復は怖いためさっさとその場から立ち去った
数日後
また1週間が経ち、為、私はまた家の近所を散歩していた
留美「それにしても、朝っぱらから若いのがようさん歩いてんなぁ」
留美「あっ、そうか。この時間帯やったら、ここらの学生が部活とかで登校してる時間やな」
腕時計を見て今がまだ7時過ぎだという事を確認し、熱心なものだと感心した
留美「うちが高校生の頃って言ったら、朝っぱらから散歩か寝るかやったなぁ…」
自分の高校生時代を振り返り、我ながら歳寄りみたいな生活だと呆れた
億泰「ん?おめぇ何日か前に家に来た女じゃねぇか?」
後ろから声が聞こえたので振り返ってみると、あの廃墟に住んでいる少年が近づいてきた
留美「アンタは…億泰…やったっけ?」
億泰「あれ?俺おめぇに名前教えてたっけよぉ?」
そういえば本人から名前を聞いてなかったな…
留美「あー…そう、アンタの家の表札に名前が書いてあったんや」
自分で言っといてなんやけど、この言い訳は苦しいと思う
億泰「表札…そこらの事は兄貴がやったから俺よくわかんねぇんだよなぁ…まあ、そうなんだろうけどよぉ」
思ったよりもこの少年は単純だった
???「どうしたんだ億泰?急に走り出して…」
億泰と話していると、もう一人男子がこちらへ来た
仗助「お?アンタ確か…」
留美「おぉ、仗助やないか。アンタらこんな早く学校行って何かする事あるん?」
億泰「なんだ?おめぇら知り合いだったのかよ」
仗助「少し前に突然家に上がり込んできてな…あんたこそこんな時間に何してんだ?」
留美「私は単に暇やから散歩してるだけや」
仗助「大学生はいいよなぁ…自分の好きな科目取って自分のペースで勉強できるんだからよ…」
留美「ちょっと待ちぃや!別にマイペースに勉強できるわけやあらへんで?ちゃんと講義の日は決まってるし、期日までに受講しとらんかったらもう一年通わないかんのやで!」
億泰「(この女、大学生なのかよ…てっきり年下かと思っちまったぜ…)」
留美「それで、なんでこないに早く学校に向かってるんや?」
仗助「俺ら別に学校に向かってるわけじゃねぇぜ?」
留美「え?そうなんか?てことは…サボり?」
仗助「おいおい…俺らこんな格好だけどよ、授業はそれなりに受けてるんだぜ?…」
留美「おっと、それは失礼した」
億泰「今から承太郎さんに会いに行くんだよ」
留美「承太郎?」
仗助「ああ、すっげぇ強ぇんだぜ。スタンドの事もよく知ってる人だ」
留美「なんや、スタンド使いになんかいな…それ、私もついてってええか?」
仗助「おいおい、遊びに行くんじゃないぜ?場合によっちゃ戦闘になる」
留美「私は興味があるからついて行くだけで、別に守ってくれへんくたって恨みはせえへんで」
億泰「仗助よぉ、俺ぁ多分この女は嫌って言っても付いて来る気だと思うぜ?」
留美「よう分かっとるやないか。クックック…」
私がそう言うと、仗助は諦めたように歩き出した
小高い丘
康一「あっ、承太郎さん、二人が来ましたよ!」
承太郎「仗助、億泰、やっと来たか…時間には間に合ってるようだが少し遅かったな」
仗助「細かい事言わないでくださいよ承太郎さん…」
億泰「それで、話って何なんだ承太郎さん?」
承太郎「あぁ、実はな…ん?ちょっと待て、後ろの女は誰だ?」
二人から承太郎と呼ばれた男性が私を見て二人に問いかけた
留美「あぁ、私は薙芝留美や。一応スタンド使いなんやけど、まあ、なんかおもろそうやったから二人についてきたんや」
仗助「言っても聞きそうになかったんで邪魔しない事を条件に付いて来させたんですよ」
承太郎「ハァ…関係のない奴を巻き込みやがったか…どうなっても知らんぞ…」
口調からも雰囲気からも呆れているというのが手に取るように分かった
それにしても…
留美「(えらくデカい男やなぁ…身長2m近くあるやん…)」
仗助と億泰も男子の中じゃまあまあデカい方やのに、承太郎さんはそれを遥かに上回る体格をしていた
対照的に、承太郎さんと一緒にいた少年は一般男子と比べてかなり背が低かった
留美「(何か…周りから見たらこの子にカツアゲしてるみたいな図やな…)」
承太郎「おい、留美とか言ったな」
留美「なんや?」
承太郎「俺はうるせー女は嫌いだ。俺達の話を聞くのはお前の勝手だが、あんまり五月蠅くされると俺がキレちまうかもしれねぇから静かにしといてくれ。わかったか?」
留美「分かった。精々シバかれへんように静かにしとくわ」
承太郎「そうか。物わかりのいい女は嫌いじゃねぇぜ」
そうとだけ言うと、承太郎さんは男3人の方へと行き、話をしだした
留美「(話を聞くのは私の勝手って言ったよな?なら、遠慮なく聞かせてもらうで…)」
そっと男4人衆に近付いて行き、話を盗み聞いた
承太郎「そいつの名前は、ジョセフ・ジョースター」
仗助「ジョセフ・ジョースターだって!?」
留美「なあ…」
億泰「なんだよ…邪魔すんなって言っただろ」
留美「いや、バイクが変な音たててるで?」
私がそう言った直後、バイクの上に河童の様な姿の生物が出現した
仗助「なっ!?R・H・C・P!!」
承太郎「なぜ電線もないこの野原に奴が!?」
R・H・C・P「正午に爺は来るようだな…そいつは港に着くと同時に俺がぶっ殺してやる!」
話をかなり終盤しか聞いていない私には自体が上手く理解できないが、一つだけわかる事がある
事件の匂いがプンプンする!
当たり前だが、こんな危機的状況で楽しそうなのは私だけである
仗助「(こ、この女、こんな状況で楽しんでやがるぞ!?頭イカレてんじゃねぇのか!?)」
あからさまに仗助に訝しげな顔をされてしまった
康一「な、なんでこいつがここに!?」
逆にこっちは敵の出現に普通の反応を示している
留美「(なんかよう分からんけど、おもろい事になりそうや♪)」
To Be Continued
レッチリの登場に背反的な反応を示す留美に内心引き気味の仗助達一行
対する留美はそんな事お構いなしのようだ
次回『レッド・ホット・チリ・ペッパー』