薙芝留美は冒険したい   作:フリッカ・ウィスタリア

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大学から帰る途中、いつもの帰り道に見慣れぬ路地があるのを発見し、興味本位で入ってみる事にした留美だったが…


キラークイーン

留美「あれ?こんなとこに脇道なんかあったっけ?」

大学も終わり、帰宅しようとしていると、コンビニの横に見慣れぬ路地を見つけた

留美「時々ここ通るけど、前までこんなんなかったはずなんやけどなぁ…」

最近できたのだろうか

留美「まあ暇やし、ちょっとどんな道か見てみよかな」

好奇心は猫を殺すという言葉を知らないのかという位好奇心に素直だが、1度気になったら止まらないのが私の性格だ

路地に入って行くと、向こうの方に康一君と見知らぬ青年と私服の女子の三人(と一匹の犬)がたむろっていた

留美「あれ?康一君やん。こんなとこで何しとるん?」

青年「なんだこの女は」

康一「以前知り合った留美さんですよ露伴先生」

女子「初対面の人にぶしつけな態度とっちゃダメよ露伴ちゃん」

すると、露伴と呼ばれた青年はバツの悪そうに反論した

露伴「き、君に言われる筋合いはない!」

留美「それで、何してるん?そんなとこに写真広げて」

康一「今探してる、連続殺人鬼が成り代わってる人の目星がある程度ついたから3人で探してるんですよ」

露伴「康一君の知り合いなら…まあ、見せてもいいか」

そう言うと、露伴(年上かと思ったら年下だった)は私にも写真を見せてきた

露伴「容疑者はこの三人にまで絞られた。君も何かわかったら僕になり誰かに伝えてくれ」

留美「わかった。じゃあ、私はもう少しここら探検してから帰るわ」

私がそう言うと、3人は慌てたように絶対振り返らずにこの通りを抜けろと警告してきた

なんでも、振り向くと魂を抜かれて死ぬそうだ。本当に

 

数十分後

留美「へぇ…そないな事があったんか」

直子「そうなのよ!あのおっさん、次会ったら蹴り上げてやる!」

家に帰っても特にする事もない為、私は自宅を通り越し、友人である直子の家を訪れていた

ある程度時間が経ち、ふと直子の話を聞きながら時計を見ると、午後5時を過ぎた頃だった

留美「そろそろええ時間やし、私は帰るわ」

直子「留美って明日なんかあるの?」

留美「え?別に何もないけど?明日は私が受ける講義は何もないし…」

直子「じゃあさ!いっその事泊まっていってよ!私まだ愚痴り足りないわ!」

留美「えっ、えぇ…まあ、直子がええんやったら泊まらしてもらうけど…」

再び私は床に座り、直子の話を聞きつつ、時々私も話をして時間が過ぎて行った

すると、夕方6時を回った頃、何個か隣の部屋から何やら言い争うような声が聞こえた

留美「なんや?近くの住人がえらい騒いどるみたいやけど…」

直子「あぁ、いつもの事よ。…あれ?でも、いつもの部屋の人じゃなさそうね」

少し気になったため、見に行こうと思い、直子を部屋に残したまま私は部屋から出た

すると、騒いでると思しき部屋のドア前に小学生くらいの少年がいた

留美「君、そんなとこで「静かに」え…」

少年は小声で私に静かにするように言ってきた

何が何だかわからず、私もそっとドアの隙間から部屋の中を見た

部屋の中には私服の女一人と、スーツ姿の男がいた

留美「(異様な二人やけど…なんであの人あんなに怯えとるんや?)」

別に男の方は凶器を持っている訳でもない。何を恐れる必要があるのだろうか…ただ、あのサラリーマン、どこかで見た気がするのだ

男「ほら、こんなに爪が伸びている…君、他人の爪を切った事はない?なんでも経験だよ…深爪しないように気を付けて」

すると、男は爪切りを鞄から取り出し、女に自分の爪を切るようにと促した

女「助けて…助けて…!許してぇ…」

男「ちょっと待ってくれ、私は別に怒ってるわけじゃないよ?趣味なんだ…君を選んだのも趣味だし、もって生まれた趣味だから前向きに行動しているだけなんだ」

どんな趣味やねん…

男「あぁそれと、君の彼氏がイヤリング、残してくれてたみたいだよ…」

留美「っ!?」

そう言って男が取り出した物を見て私は絶句した。それは確かにイヤリングではあったが、その先にさらに耳そのものが付いていた。しかも、まだ血が滴るくらい新鮮な物だ

男「爪切り、上手じゃないか…気に入ったよ」

次の瞬間、私は目を疑った

男の背後から猫のような人型スタンドが出て、女に触れ右手を握ると、女は手だけを残して爆発して消えてしまった

留美「(あれは…スタンド能力!?)」

私は男がスタンド使いだと理解した瞬間、少年に早く逃げるように言って、すぐ直子の部屋へ飛び込んだ

直子「ちょっ、留美どうしたの!?そんなに慌てて…」

留美「直子!ちょっとの間静かにしててや!」

そうとだけ言うと、私は玄関に張り付き、外の様子を耳で聞いた

男「誰かに見られていた気がしたが、気のせいかな…ん?あれは…早人?なぜあいつがここに…っ!?まさか!」

どうやら少年が逃げているところを見られてしまったようだ

留美「(判断を間違ってもたな…しゃーない、逃げる時間作ったるしかないな…)」

私はドアから出て、男と対面する。そして、その顔を見て確信した

留美「なんか、えらい騒いではったみたいですけど、何かあったんですか?(やっぱりや、この男、あの写真に写ってた男や)」

その男の顔は学校の帰りに立ち寄った路地で見せてもらった写真の男で間違いなかった

すると、男は私に見られているとは思っていなかったようで、普通の態度で返事を返してきた

男「あぁ、いえ、ちょっとここの主人と喧嘩になっちゃいましてね…さっき追い出されちゃったんですよ」

あくまで普通のリーマンを演じ、この場をやり過ごそうと思っているようだ

留美「(私は見てないと思ってるみたいやな…)」

これは好機だと思い、私は次の一手を打った

留美「そうやったんですか…まあ、今居はるんやったら、お裾分け持って行こか」

そう言いながら私がインターホンを押そうとすると、男は私の腕を掴んできた

留美「?…どないしはったんですか?」

男「い、いえ、今ここの主人は出て行かれましたよ。私と喧嘩して飯がまずくなったとかで」

留美「ハハハ、ここの主人なら考えそうですね。…あれ?でも鍵かかってませんね」

男「か、鍵をかけ忘れたんじゃないですか?」

留美「不用心やなぁ…まあ、冷蔵庫に入れてすぐ終わる事やし、チャッチャと…」

そう言いながら私が部屋に入ろうとすると、遂に男が本性を出した

スタンドを出して私に攻撃しようとしてきたのだ

攻撃してくることは予感していた為、私は出来るだけ自然な動きでその攻撃をかわし、少し距離を取った

留美「どないされたんですか?えらい顔青いですよ?」

男「み、見えているのか?」

急に男の口調が変わった

留美「何の事を言うてはるんですか?」

私は少しずつ後ずさり、直子の部屋から男を離そうとした

私が後ずさっているのを見て、男は私が逃げようとしていると思っているのか、先程より顔色が悪そうで少し顔が強張っている

なら、その心情を利用させてもらおう

私が一気に階段を駆け下りると、男は慌てたように私を追いかけてきた。これで直子はとりあえずは安全だろう

留美「(あの子も逃げれたかな?)」

さっきのやり取りの時点でそれなりに時間稼ぎは出来たはずである。あの少年もそう簡単に見つからない所までは逃げれただろう

留美「(というか、そろそろ私の体力も限界やな…)」

やはり運動は私に向かないようだ

まだ1,2分しか走っていないというのにもう息切れが激しくなってきた

だが、とりあえず人気のない公園までは逃げてこれた

男「ハァ…ハァ…やはり、私はジムに通った方がいいと感じるよ」

留美「ハァ…ハァ…私も通った方がええと感じるわ」

男「いいや、君には必要ないね!なぜなら、ここで消えるのだからね」

逃げた時点で私を黒と断定したのか、先程までの演技はもう欠片も無かった

留美「私をここで消す?」

戦う前からもう勝ち誇った気なのか、逃げるのをやめた私に余裕の表情を浮かべてきた

男「逃げたという事は、あの現場を見られちゃったという事だね。なら、君には消えてもらうしかないな!」

先程と同じように男はスタンドを出し、私に攻撃してきた

だが、やはり焦っているのだろうか、動きがやけに単調だ

生身の私でもなんとか避けれる

男「やはり、私のスタンドが見えているな!」

男が叫んだ直後、急に敵スタンドの動きが的確になった。おそらく、先程まではスタンド使いかどうかを見ていただけなのだろう

急激な変化にさすがに驚いた私はT・Fを出し、腕を殴って軌道を変えさせた

男「ほう…それが君のスタンドか…」

即座に距離を取り、体勢を立てなおした

今のやり取りでわかった事がある

留美「(あのスタンド、かなり近くしか攻撃できへんみたいやな)」

私と同じくらいの距離を操作できるのなら、遠くから攻撃すればいいものを、さっきからわざわざ私に接近して攻撃してきている

よくても3mまでしか行動できないのだろう

留美「(つまり、私には2m分有利ってわけや。まあ、あのスタンドの手に触られたら一瞬でお釈迦な訳やけど…)」

すると、敵スタンドはそこらに落ちていた石を掴み、私めがけ投げてきた

留美「(石は囮!本命はスタンドのはず!)」

そう思った私は石を避け、攻撃しようとした

だが…

留美「なっ!?」

私が避けた瞬間に石が爆発し、砕けた石と爆風が私を襲った

その所為でスタンドの操作が疎かになってしまい、敵スタンドにT・Fを蹴り飛ばされてしまった

男「チッ…石が小さすぎたか。殺し損ねてしまったよ」

留美「うぐっ…射程範囲からは出てたのに何で爆発を…」

敵が投げた石は明らかに敵の射程範囲から出ていた。なのに相手の技は作動したのだ

脇腹に石が刺さって少し出血しているが、そんな事を気にしている暇はなさそうだ。私はやっとの思いで立ち上がり、再び戦闘態勢に入った

男「おやおや、もう体にガタが来てるんじゃあないかい?」

私が弱ってきているのを見て、男は先程より余裕を見せてきた

男「あまり遅くなるとあのガキが女に何を吹き込むか分からないからね…さっさと終わらせてもらうよ」

留美「(あの時、確かにあの女は爆発した…遠くでも爆破出来るんやったら近付いてくる必要ないのに、なんで石を爆弾みたいに使って……爆弾?)」

その時、ようやく理解した

敵スタンドの能力は物を『爆発させる』事ではなく、『爆弾に変える』事だ

よく思い出してみれば、敵スタンドは右手を握っていたのではなく、ボタンを押すような形を作っていたのだ

留美「(つまり、触った物が爆弾、手が起爆装置ってわけかい!)」

仕組みが分かってしまえばこっちのものだ

男「…何がおかしいのか分からないが、逃げようと思ったって無駄だよ。私のキラークイーンからは絶対に逃げられない」

留美「そう思うんやったら…やってみいや」

男「言われなくてもそうするよ。それじゃ、さよならだ!」

私が普通に逃げれるような状態ではないというのを見越し、完全に勝ち誇って油断しきっている為、敵スタンドが馬鹿正直に真っすぐ私に手を伸ばしてきた

その油断をつき、私はT・Fに敵スタンドの手に触れさせた

男「何をしようとしているのか知らないが、もう遅い!」

留美「(当たっててや…一矢報いれず爆破されたら笑えへんで…)」

祈る思いで、手頃な草に触れ、右手で起爆するイメージを作りながらその場から飛び退き、右手でスイッチを押した

男「何っ!?」

男の余裕の表情は一変、驚愕の色に染まった

留美「や、やった!発動したで!」

私の予想は当たっていたようで、触れた草が爆発し、敵スタンドを牽制できた

留美「(やっぱり、オリジナル程の火力は出えへんか…)」

やはりコピーはコピー、元を超える事は出来ないようだが、能力を使えるだけで十分だ

男「同じタイプのスタンドだと!?」

留美「同じなのは当たり前や…アンタの能力なんやからな!」

T・F「自分が優位に立つなりこれやな…」

男「私の能力…だと!?」

T・F「うちがアンタのスタンド能力を借りた…爆破される恐怖から逃げるのはアンタや!鬼ごっこの鬼交替やで!」

T・Fはそう宣言すると、持ち前のスピードを駆使して敵スタンドを撹乱しながら近づき、敵スタンドや本体の近くで爆発を起こし少しずつ相手を消耗させていった

留美「(ただ、この能力5分しか使えへんから、あんまり長期戦になるとバレてまうんよなぁ…はよ逃げて欲しいわ…)」

すると、自分に勝機が無いと分かったのか、男が急に逃げ出した

留美「(まだ3分は能力は切れへんし、作戦の確実性を上げるためにも少し追いかけよか)」

運が良ければ家が特定できるかもしれないと思い、痛む脇腹を押さえ、男の後を追った

その後、能力が切れるギリギリまで追いかけてみたが、男の家には着きそうになかった為、途中の曲がり角で見失ったふりをして直子の家に戻った

留美「いやー、ごめんな。ちょっと喧嘩の仲裁しとったら遅なってしもたわ」

私は出来るだけ怪我をした所を直子に見えないように座った

直子「本当に大丈夫?なんかすっごい言い争ってたみたいだったけど…」

留美「大丈夫や。ちょっとややこしい話しとったみたいやけど、和解したみたいやし」

直子はこの件に関わらせるべきではない。適当に誤魔化しておこう

留美「(明日、あの露伴とかいう兄ちゃんに連絡しとかなあかんな…)」

 

To Be Continued

 




キラークイーンとの戦闘を何とか乗り切った留美は、明日に出も露伴に連絡することを決め、眠った
次回『キラークイーン バイツァ・ダスト』
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