…約束の時間じゃねぇか!
時計を見て飛び起き、机の小包を持って外へ駆け出す少年。
桜が雨のように降り注ぎ、少年を祝福する。
そんな彼の脳裏に浮かぶのは少女の笑顔…
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季節は去年の春に遡る…
その頃、高2であった僕は軽い肺炎で入院していた。
折角の春休みが…とか友達と遊びたいなぁ…とか思いながら病院内を散歩していた僕だったのだが…
目の前に小さな影が見え、足を止めた。
その影は俺を見上げ、軽く考えた後に言った。
『見たことない顔…新入りさん?』
間違ってないのではい、と答える。
すると、彼女は急に顔を輝かせて言う。
『…じゃあ!私を此処から連れだしてくれな
い!?』
「…俺を王子様か何かと勘違いしてないか?」
見ず知らずの人になんて事を言うんだ…勘違いされてもおかしくないぞ。この人は…
改めて彼女を見据える。
彼女はかなり小さい方だ。顔立は幼く、中学生と言っても通るだろう。
後で聞いた話によると三つ上らしいが…
服装は清潔で、長袖長ズボン。肌の露出は無いと言って良いだろう…
さて。上目遣いで俺を見上げたまま固まってる彼女… 何これ可愛い。めっちゃ小動物っぽい…
「で、何をすれば良いんだ?出来ることなら付き
合うが…」
『つ…付き合う!?会ったばかりの人といきなりそんな事を…ふ、不束者ですがっ!』
「おい…戻ってこい。」パシッ
『はっ…私は何を!?』
なんだこいつ。面白い奴だな…
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「で、俺は何をすれば良いんだ?」
彼女は照れたように顔を搔き。
『あの…ケーキ屋、と言うものに行ってみたいので
す…』
「ケーキ屋か…行った事無いのか?」
こくんと頷く。
『私…実はこの病院から出た事無いの。生まれつき
病弱で、すぐ倒れちゃうんだ…』
『 だから、知ってる人に頼んでも、止められちゃ
うの。私達が買ってくるからって…』
『でも、そうじゃないの。
私は、あの色とりどり華やかなケーキが、
自由に並んでるところを見てみたいだけ。
それだけなのに…』
『でも、そんな簡単な事も出来ない。外に出るとすぐお迎えが来るし、その前に倒れちゃうから…
私には普通の女の子みたいな事も出来ないんだっ
て…!」
頰から流れる涙。それを見て
考える前に手が伸びていた。
俺の手は彼女のおでこに着地し、優しく撫でる。
『…!?』赤面して声も出せず固まる彼女。
「…叶えてやる。」
『…えっ』
「俺が、叶えてやる。その夢を。 …だから、泣くな…」
赤面した顔でなんとか涙を拭う彼女。
『ありがとう…お願いしていい?』
「あぁ。任せろ…約束だ。」
ピーンポーンパーンポーン♪
その時、チャイムが鳴り響いた。
「あっ…もう部屋に戻らなきゃ。じゃあ…」
『…また明日!』
彼女は弾けるような笑顔で言う。
…絶対に叶えてやるから待ってろ。
続く。
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