病院系恋愛小説(仮)   作:春ショウ

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1話

…約束の時間じゃねぇか!

 

時計を見て飛び起き、机の小包を持って外へ駆け出す少年。

 

桜が雨のように降り注ぎ、少年を祝福する。

 

そんな彼の脳裏に浮かぶのは少女の笑顔…

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季節は去年の春に遡る…

その頃、高2であった僕は軽い肺炎で入院していた。

 

折角の春休みが…とか友達と遊びたいなぁ…とか思いながら病院内を散歩していた僕だったのだが…

 

目の前に小さな影が見え、足を止めた。

 

その影は俺を見上げ、軽く考えた後に言った。

『見たことない顔…新入りさん?』

間違ってないのではい、と答える。

 

すると、彼女は急に顔を輝かせて言う。

 

 

『…じゃあ!私を此処から連れだしてくれな

い!?』

 

「…俺を王子様か何かと勘違いしてないか?」

 

 

見ず知らずの人になんて事を言うんだ…勘違いされてもおかしくないぞ。この人は…

 

改めて彼女を見据える。

 

彼女はかなり小さい方だ。顔立は幼く、中学生と言っても通るだろう。

後で聞いた話によると三つ上らしいが…

服装は清潔で、長袖長ズボン。肌の露出は無いと言って良いだろう…

 

さて。上目遣いで俺を見上げたまま固まってる彼女… 何これ可愛い。めっちゃ小動物っぽい…

 

「で、何をすれば良いんだ?出来ることなら付き

合うが…」

『つ…付き合う!?会ったばかりの人といきなりそんな事を…ふ、不束者ですがっ!』

「おい…戻ってこい。」パシッ

『はっ…私は何を!?』

なんだこいつ。面白い奴だな…

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「で、俺は何をすれば良いんだ?」

 

彼女は照れたように顔を搔き。

 

『あの…ケーキ屋、と言うものに行ってみたいので

す…』

「ケーキ屋か…行った事無いのか?」

 

こくんと頷く。

『私…実はこの病院から出た事無いの。生まれつき

病弱で、すぐ倒れちゃうんだ…』

『 だから、知ってる人に頼んでも、止められちゃ

うの。私達が買ってくるからって…』

『でも、そうじゃないの。

私は、あの色とりどり華やかなケーキが、

自由に並んでるところを見てみたいだけ。

それだけなのに…』

『でも、そんな簡単な事も出来ない。外に出るとすぐお迎えが来るし、その前に倒れちゃうから…

私には普通の女の子みたいな事も出来ないんだっ

て…!」

 

頰から流れる涙。それを見て

 

考える前に手が伸びていた。

 

俺の手は彼女のおでこに着地し、優しく撫でる。

 

『…!?』赤面して声も出せず固まる彼女。

 

「…叶えてやる。」

『…えっ』

 

「俺が、叶えてやる。その夢を。 …だから、泣くな…」

 

赤面した顔でなんとか涙を拭う彼女。

 

『ありがとう…お願いしていい?』

「あぁ。任せろ…約束だ。」

 

ピーンポーンパーンポーン♪

その時、チャイムが鳴り響いた。

 

「あっ…もう部屋に戻らなきゃ。じゃあ…」

『…また明日!』

 

彼女は弾けるような笑顔で言う。

…絶対に叶えてやるから待ってろ。

 

続く。

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