「どういうことなの!?」
戦闘を終えるとものすごい剣幕で川井さんが近寄ってきた。
「何のこと?っていうかなんで僕は怒られているの??格好良く勝ったんだからもっと褒めてよ!!」
「はいはい格好良く勝ったすごいすごい。そんなことよりあの剣のことよ!」
そんなことってひどくない?しかもぜんぜんほめていない。僕の造った剣がどうかしたのかな??意味が分からないよ???
そんな僕を尻目に川井さんが衝撃的なことを言う
「だから普通は物を創り出すことなんて出来ないのよ!!」
「え!?想像しろって言ってたじゃん、僕は実際に創り出したし」
「だからあなたは普通じゃないの!想像の効力はあなたが最初にした高く飛ぶとか絶対に切るとかそういう意思が身体的能力を向上させるのが大半なのよ!」
「じゃあ何で…っあ!」
「何か思い出したの!?どうしたの!?ねぇ!?」
どうやら川井さんは動揺すると内面が子供化するらしい。
「少し落ち着いて、川井さん怖いよ」
あまりの迫力に少し涙目になりながら嘆願する。すると川井さん深呼吸を数回する
「…そうね、ごめんなさい。じゃあ何があったか教えて」
今度は落ち着き払った様子で聞いてきた。
「ええっと、ここに来た時に僕は寝ちゃったでしょ、そのときにまた神?と会話してイモー…タ…ルだっけ?を授けるとか言われて…」
する川井さんはあごに手をあて考え出した。
「なるほど、普通に考えると神が何か特別な力を水無瀬君に与えた感じかしら?でもそんなことtって…」
そして一呼吸おき、
「水瀬君!よく分からないこともあるから私も知り合いに当たってみるわ。それとあと二つ聞いていいかしら」
と聞いてきた。
される質問に心当たりがあったのでその要求を素直に飲めなかった。
「じゃあまず僕の質問に答えてよ。」
「何かしら?」
「僕が何でこんなことに巻き込まれたの?」
…答えは返ってこないかもしれない。でも聞かずに入られなかった。
「あなたが大切なものをうしなったから。ただそれだけよ」
予想外に答えが返ってきたため少したじろいた。
「喫茶店でも聞いてきたけど、どういうことなの?」
「簡単に説明するわ。まずこのゲームは普通の人には無理なの、理由はこのゲームは大きな空きが必要なの、心のね。」
「心の…空き?」
「そう、何かを失った時に出来る心の隙間のこと。だから何かを失ってない人しか参加していないし、出来ない。」
「なるほどね、だから僕にあんな質問をしたのか、でもそれだと元々心の中に何もない赤ちゃんも参加できることにならない?」
「ならないわ、子供は確かに心の中は少ないかもしれないけど心全体の大きさ…つまり絶対量が少ないの」
「なるほど、…ありがとう、で聞きたい事って…何?」
何が聞きたいのか大体予想のついていた。一息ついて、僕が一番したくない話に切り込んでくる。
「あなたは何を失ったの」
「…………………」
答えようとしても胸が苦しくなり声がまったく出てこない。
「もうひとつ、あの一撃はどう考えても初心者のじゃあなかったわよね?」
「…………………」
一撃で敵の角を両断して見せた僕の一閃、いくらこのゲームが想像力(妄想力)に依存するかと言って、やはり現実の実力はある程度影響をするということをこの質問から理解することができた。だがやはりこの質問に対しても僕が声を発することはなかった。
そして話をすることをためらうということは、僕がまだあのことを引きずっているという事に他ならない
「…答えたくなかったらいいわ。」
川井さんの感情を表情から察することはできない。だけど何か僕を安堵させるよう、なそんな雰囲気が漂ってきた。
「…ごめん、まだ僕には言葉にするほどの勇気がないんだ…川井さんは…何を失ったの?」
一切の迷いも無く、まるで人事のように川井さんはこの質問に答えてくれた。
「両親よ」
この重すぎる回答でその日の僕の記憶は途切れた…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「基本をしっかりしろ」
監督が剣道の練習の時みんなに言っていた言葉だ…僕以外の。
そして僕には決まってこう言っていた。
「お前は今の…自分の剣道を貫け。それがお前のスタイルだろ。」
僕の剣道は自分で言うのもなんだけど無茶苦茶だった。だけど監督はそれを直そうとは
しなかった。
そして、その剣は僕を県大会の決勝戦まで進めた。…そこから僕は剣を握ることはなかった。
***
「あなたすごいじゃない!」
教室に入ると入学してから一番じゃないかと思うくらいの大きな声で川井さんが僕を褒め称えた。…クラスのみんなは驚いたように僕と川井さんに視線を向けている
昨日の勝利のすごさをやっと分かってくれたのか、なんて考えていたら
「 」
そこには一枚の新聞が広げられた。
それは僕について書いてある1年前の地域新聞だった…
「もしかして調べたの…?」
恐る恐る聞いてみると、
「ええっ!まさか新聞でこんなにも大きく取り上げられているなんて…」
少し子供化している委員長の話を、珍しくあせったようにしている前川清香が無理やり中断させる。
「委員長!!ちょっと話があるの、大事な話だから付いてきて!」
「えっ!?ちょっと」
呆然としている他のクラスメイトを尻目に彼女は川井さんを連れて教室から出て行ったのだった。
その行動の意味を知っている僕は心の中で清香に感謝したのだった。
その後、校舎裏…
「話って何の話かしら」
少し痛そうにつかまれていた腕を逆の手でさすりながら川井ははなす。
「あんた人の過去勝手に調べてみんなの前で言いふらすなんて、どういうつもり!」
いつもふざけている前川清香のマジな剣幕に川井華音はたじろぐ
「言いふらすって大げさ…」
そんな川井の返答を無視し、強引に前川は怒鳴る
「とりあえずみなっちの…圭の過去を詮索するのをやめなさい!!」
少しの沈黙のあと、川井は反省したような表情を作る。
「ごめんなさい…こちらにも事情があったとはいえ確かにちょっと無神経だったわ…では一つだけ聞かせて、これだけでいいから。」
一拍おいて、水無瀬圭と一番仲が良いであろうと思われる前川に疑問を投げかける。
「貴女は水無瀬君に、水無瀬圭何があったのか知っているの?」
「知らないよ。結果だけは明確なのに、何があったかは分からない。そこで何があって、みなっちが何を考えて、どう行動したかはまったく知らない…だけどみなっちは…圭は何かがあったせいで剣道を辞めた。そしてそれから何かを悟ったように人間性が変わっちゃった…一度何があったのか聞いたけど全く教えてくれないどころか、とても悲しそうな顔をしたままうつむいたんだよ!!無理やり聞けるわけがないよ・・・」
本当に悲しそうな、悔しそうな、そしてそれでも何かをあきらめきれない、そんな顔をしていた。
「だから私は待つって決めたの、絶対に圭は立ち直る!中学時代に私は圭に救われた。あの時私を救った圭が立ち止り続けるなんてありえない。信じるよ、圭がきちんと現実と向き合うことを、そのための道を作り続けることが圭のために私にできる唯一のことだもん」
どこまでも真っ直ぐな前川の言葉に、彼女は微笑みながら言った。
「あなたは水無瀬君のことが好きなのね」
前川の目には一片の曇りもなかった。
「うん。大好きだよ。これが親愛なのか恋愛なのかはわからないけど、私はみなっちのこと大好きだよ」
中学の頃前川清香と水無瀬圭の間に何があったのか、それについては全く解らなかったが本当に無邪気な、美しいほどにかわいらしい笑顔だなと川井華音は思った
ものすごい久々な感じがしますが投稿します。
誤字脱字指摘お願いします。