次の日イッセーにバカほど殴られた。痛いと思ったらそんなに痛くなかった。力無いな。女の尻ばっか追いかけてるからだ。あ、イッセーの場合は胸か。
「まあ、機嫌直せイッセー。後でエロ本買ってやるから」
「なにっ!……いや、ダメだ!俺には夕麻ちゃんって彼女がいるんだ……!」
おお、見違えたな。人は彼女が出来るとここまで変わるとは……これはまさかイッセーの言ってた事はマジなのか?
「イッセーくん。まだ言ってるの?」
母さんが朝食を運んでくるついでに俺にイッセーに聞こえないよう囁き声で聞いてくる。
「いや、エロ本を拒絶したイッセーを見てしまうと一概に嘘とは言えないな」
イッセーのエロ本への並々ならない情熱はイッセー以外でなら俺が一番良く知ってるつもりだ。あいつの12歳の誕生日にダンボール3箱分のエロ本をプレゼントした時は泣いて喜び、俺は母さんの手によって死にかけた。
あの時は大変だったなぁ…河原へ行っては拾い、公園の倉庫に行っては拾い。ああ、紙芝居のおじさんから貰ったのもあったなぁ…おじさんから貰ったエロ本だけ、やけに臭うなとあの頃は不思議だったけど、そう言う事だったんだね。
「私は時人が悪い道に行かないよう殴っただけよ。愛ある行為だわ」
「俺が肉塊になるまで殴ったのを忘れたとは言わせないよ?」
「あの頃から時人の性格はオラオラ系に……シクシク…」
母さんの演技があまりにあざとかった。自分の年齢分かってんのか?と考えそうになったがこれ以上考えるとまた肉塊になりそうなのでやめた。
「まぁいいや。イッセー学校行くぞ」
今日も昼登校でした。
もちろん昼飯食って帰った。
……母さんに(物理的)説教された。
今日は10時に自然と目が醒める。つまり休日、日曜日だ。うちの猫ちゃんは賢いもので休日は俺を起こそうとはせず布団の中で丸まっている。愛い奴じゃ。黒華が人なら間違いなく良妻だ。
「あ…そう言えば今日はイッセーが……」
今日はイッセーが天野夕麻とやらとデートをするらしい。昨日嫌という程自慢されたのが頭に残っていた。写真まで見せてきて…まあ確かに美人だった。今頃イッセーは待ち合わせ場所でソワソワしているだろう。
「まぁ…俺には関係…ない………」
そう、俺には全く関係のない事だ。イッセーが朝チュンしようとしなかろうと一発殴れば気がすむ。これは決して羨ましくて苛立ちを覚えたとかではない、うん。
と言う事で俺は再び微睡みに落ちていった…
「落ちるな。起きなさい」
母に叩き起こされた。仕方がないので寝ている黒華を抱えてリビングへベタベタと歩いて行く。
「よいしょ……っと…」
ソファにもたれ掛かって黒華を膝に置く。特にやる事も無いので近くにある黒華専用ブラシを取って愛猫の毛並みを寝ぼけながら整える。
「高校生とは思えない生活ね。お母さんはもっとキャピキャピして欲しかったわ…」
母さんが呆れた顔で俺を見てそう言った。それに少しムッとなって言い返す。
「これが普通だよ。昨日イッセーにも言ったよ。主人公じゃ無いからな、補正がないんだよ。忙しない日常なんて来ないし望んでも無い。これが男子高校生だよ。昼まで寝て意味のない時間を過ごす。その内そこそこの大学に行ってそこそこの職に就く。そこそこの女性と付き合って結婚して子供が出来てそこそこの生活、そこそこの老後だ。それが実際に出来るかも怪しい。まぁ大学までは上手くいってもその後就職に失敗してフリーターって可能性だってある。嗚呼…なりたいよ、主人公に」
一瞬イッセーの顔がチラついたが気にしない事にした。
「そう……なら………」
母さんが気味悪い顔をするので若干腰を引けた。俺、母さんに対して弱すぎだな…
「……何?」
「修行編よ」
「………は?」
「ほかにも入学編、追憶編、来訪者編etc…」
「待て待て、遂にラノベにも手伸ばし始めたのかよ」
「駒王科学園の劣等生」
「字数足りないからって無理やり「科」を足すなよ…てか駒王科って何よ!?何すんのだよ!?」
「黙りなさい。(物理的)分解するわよ?」
「グロ……」
「それは置いといて…修行はマジよ。暇な時は山籠りが一番って相場が決まってるわ」
「決まってねーよ。世間を何だと思ってんだ」
「お母さんも若い頃は修行修行で「おい、無視すんな」……そんな時、あの人に出会ったの……そう。あなたのお父さんよ」
「無理やり過去編ブチ込もうすんな。「そう…暑い夏の日のことだったわ……」え?マジで始まんの?」
「成る程ね…首の付け根を指で摘んでクイってすれば落ちるのね〜」
私は樹の枝を人の首に見立てて毎日毎日チネり続けていたわ……そんな時だった…
「Hey. Are you here alone?(やぁ。いま一人?」
肌の黒い大柄の人だったわ……
「Y…Yes……」
「Oh!Let’s go to my hotel.(おお!ならホテルに行こう!」
「(うわぁ……完全にヤバい奴だよぉ〜。行ったらおしまいだわ。ついて行ったら間違いなく孕まされるわ…)No thank you.」
「………How much?(いくらかな?)」
こ、この黒人は私を何だと思っているのかしら?流石に苛立ってきたので一発殴ろうとしたその時……
「ちょ待てよ!」
私も黒人も勢いよく声の聞こえ方へと首を回すとそこには……
「You have big breast! Take off your clothes.(おっぱい大きいね!服脱いでよ)」
更にヤバい白人が来た……
「No! No! She is my girlfriend!」
黒人が白人に対抗しようとトンデモない嘘をついてくれた。そのまま二人の言い合いは激化していった。するとその内……
「Ahh…I'm horny…(ああ…もう我慢できないぜ…)」
「me,too(僕もだよ)」
ん?なんか違和感あるぞ……?
「I wanna go to somewhere private with you.(君と何処かプライベートな場所に行きたいな)」
「It's a strange idea. I am also.(奇遇だね。僕もだよ)」
取り敢えず二人にはそっちの気が会ったようなので私を不快な気持ちなさせた罰として首をチネってから山を下りた。黒人白人が仲良しなのはいい事だね〜
「……懐かしいわね」
「オイ、巫山戯んな。父親出てこないし、気分悪くなるし損しただけじゃねーか」
「まぁ、これは嘘よ。一週間寝ずに考えて今さっき頭に浮かんだ作り話よ」
「ただの思いつきじゃん」
「とにかく。『可愛い子には山籠りをさせよ』って事で…」
「そんな言葉無いんだよ。語呂悪いし」
「お黙り」
そう言うと母さんは俺の胸ぐらを掴んで…
「えいっ!」
投げた。…………ねぇ知ってる?「えいっ」て掛け声で投げると大気圏越えるんだよ?
「え?ちょっ!マジで!?めっちゃ飛んでる!このまま本当に山籠り編なの!?ヤダ!嫌じゃぁぁぁああ!!!!!」
拝啓、名も知らぬ父へ…どうやらイッセーは街で幸せを、俺は山で苦しみを与えられるようです……
sideイッセー
久しぶりに時人を殴ったら自分の拳を痛めました。どうもイッセーです。
夕麻ちゃんとのデートは初めてにしては上手く行ったかと思う。ただ困った事に映画見ようとゲーセンで遊ぼうとその大きな大きなおっぱいが揺れる事この上なし。歩いていても上下に揺れる事限りなしときた。全く素晴らしきやおっぱい。
最後は夕方の公園でいい雰囲気になってそのまま朝チュン決め込もうとした考えていた途端に問題が発生した。
うん。刺された。
シュピーン!ドスッ!ズブブブブッ!シュン!ブゥーーン!キンッ!ガキンッ!シュパッ!バンバンッ!!ドドドドドッ!!パンパン!アンアンッ!ズプズプッ!ビュルルルルルルッ!!プシャーーだ。
え?これって後半朝チュンですよね?って思っただろ?違うんだよ。ぽっかり空いた穴から聴こえてきたんだよ!グロ過ぎる事にこの上なしだよ!
あれれ?刺さってるぞぉ〜?って思って夕麻ちゃんを見れば彼女はジェダイの騎士ばりに手に光る棒を持っていた。取り敢えず聞いておこう。
「夕麻……ちゃん………どうして……蛍光灯…持ってんの?」
「ごめんなさいイッセーくん……でもあなたが………って蛍光灯じゃないから!」
夕麻ちゃんもつっこむんだ、かわよし。もう我慢できない!
「夕麻ちゃん………結婚しよう…俺、胸に穴空いてっけど……いいかな?」
「あ、あなた何でそんなに余裕なのよ!?」
「BLE◯CHなら普通」
「違うのよ!!」
「いいじゃん。籍入れようぜ!」
「いやぁぁぁああ!!」
「そんな嫌がる事ないじゃん。夕麻ちゃんが胸に穴空いてる男じゃないと好きになれないから開けたんでしょ?全く夕麻ちゃんはツンデレさんだな!」
いや、むしろヤンデレ!!
「無駄にポジティブ!いやぁぁぁああ!!」
「てか夕麻ちゃん。黒い翼生えてるけどそれもイイね!ぺろぺろしていい?」
「いやぁぁぁああ!!!帰りゅぅぅぅ!」
そう言って夕麻ちゃんは背を向け空へと消えて言った……嗚呼…いいお尻してるな……
「あ、ヤバいかも………」
ああ……俺死ぬのかな……?嫌だなぁ……何とかならないかなぁ……転生とか今流行りだし……何とか……なんないなぁ……
とうとう脚にも力が入らなくなり倒れこむとズボンのポケットから何かが落ちた。それは夕麻とのデート前にたまたま受け取った広告用紙だった。
「ああ…この紙が光って俺の命が助かるなんて展開………はないな」
そう言えば時人に主人公補正は無いって言われたばかりだったな。とか考えてたら驚く事に広告用紙が光り始めてそこから何かが出てきた。
そして美しい紅い髪が俺の視界に映った後に俺の意識は途絶え…なかった。
「YEAHHHHHHHHHHHHH!!!!!!」
どうしてか分からないが力が湧いてきた。
「ヒィッ!!!」
隣にいた紅い髪の主が俺の急な復活に驚き上げた悲鳴が聞こえた。
「美人さん。よくわかりませんが助かりました。このご恩は忘れません!!!」
「い、いや!私まだ何もしてないわよ!まだ穴空いたままよ!?」
「美人さん…俺には穴の一つや二つどうって事ありません!皆等しく愛せます!」
「なんの話をしてるのかしらあなたは!?私はあなたの胸の穴の話をしているのよ!」
「ああコレですか?大丈夫でしょ?唾つけとけば治りません?」
こう傷わまりを一周クルンっとワセリンでも塗っとけば血は止まるだろう。
「穴は塞がらないのよ!」
「ササミ食べれば治るでしょう?俺のお隣さんは母親に無数の風穴開けられましたけどササミ食べて寝たら次の日全快でしたよ?」
「心臓がないのよ!」
「ハツ食べるだけじゃだめですか?」
「逆に何故それで治ると思うのかしら!?」
「いや、だからですね?お隣さんが……」
「そのお隣さんが可笑しいって言うのが分からないのかしら!」
ムッ失礼な……
「確かに俺のお隣さんは俺に対してあたりキツいですけどそれでも貴女に悪く言われるいわれはありません!」
ひゃぁぁーー!!俺めっちゃくちゃいい奴だろ!?時人が聞いたら泣くなコレは!
「いや、その事は謝るわ。だけどその穴は治らないから!平気でいられる意味がわからないわ!」
「日々幼馴染の理不尽な打撃のおかげで身体が丈夫なんですよね〜」
俺の体の高度をダイヤモンドまで高められるってな!まぁ嘘だけど
「ああ、もう!!話にならないわね!取り敢えず貴方、コレを胸に近づけてみなさい!」
そう言われて紅髪の美人さんは俺にチェスの駒をいっぱい渡して来た。
「何ですコレ?冷やかしですか?」
「いいから!死ぬわよ!?」
「………では一応…」
俺は美人さんの言う通りに穴の空いた胸の近くにチェスの駒を近づけるとあら不思議、駒が宙に浮いて胸の中に飛び込んで来たではありませんか〜
「おおお!!!」
おい時人!見てるか!俺は主人公補正があったみたいだぞ!こんなファンシーな出来事17年間の生涯の中でなかったぜ!
渡された全ての駒が胸の中に吸い込まれた後にもさらに不思議な事に穴が塞がった。
「…………なんか服が真ん中だけ綺麗に破けて恥ずかしいですね」
「いやそこかしら!?いや、それよりも8つの駒全部使ってしまったの!?」
美人さんはとても驚いているようだが俺にはさっぱりピーマンわけワカメってヤツだ。
「何か問題があるなら吐き出しましょうか?少しだけ汚い音出るかも知れませんけど…」
「いえ、貴方なら本当にやりそうだから結構よ……」
「そうですか。では俺はこれで失礼します」
「何処に行く気かしら?」
「そりゃマイエンジェル夕麻ちゃんの翼をぺろぺろしに行くんですよ」
「貴方あの女に何をされた分かってるのかしら!?」
美人さんは夕麻ちゃんよりたわわな果実…ゴホンゴホンッ!…おっぱいを揺らしてSっ気をかもし出しながら尋ねてきた。
「もちろんですよ。でも彼女ですから。おっぱいを揉みしだくまでは彼女は諦めきれません!」
「はぁ……コレはとんでもない子を転生させてしまったようね………ダメよ!やめなさい」
美人さんは前半独り言の様にボソボソ言うので聞き取れなかったが後半は俺を止めようと前に立ち塞がって言い放つ。
「はぁ、じゃあこうしましょう。夕麻ちゃんの一件が終わったら美人さんのおっぱいも揉みます。コレでどうです?」
俺的には良い妥協案だと思うが……
「馬鹿なのかしら?それは貴方が得をしてるだけでしょう!」
「ワガママですね〜。でも流石にこれ以上はダメですよ?本当にR-18行っちゃうんで」
流石に下無理だろ…俺が良くても世間が許してくれない。そこらへん常識あるんで!
「このっ…童貞が……」
美人さんの口調が急に荒々しくなる。まさかこんな暴言が美人さんの口から出てくるとは思わなかったので俺も一瞬だけ怯んでしまった。つまり何が言いたいかと言うと……
「………イイね」
「は?」
「ワンモア……もう一度言ってくださぁぁぁぁぁああいぃぃぃい!!!!」
「ええ!?」
「出来れば下は脱いで上は着たままでキツイヤツをお願いしたいです!」
「え…ええっ……(この子、ここまで頭のおかしな子ではないと思っていたんだけど…)」
美人さんが考えている間にもイッセーはじわじわと詰め寄り催促する。
「さあさあ……」
「ひぃっ!きょ、今日のところはここまでにするわ!!ま、また呼び出すから!」
美人さんがそう言うとその足元におかしな紋様が現れてその中に吸い込まれて行く
「ま、待ってください!せめて名前だけでも教えて下さい!」
「い、いや!!」
ふ、普通に拒絶されたぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁ!!!!
俺がショックで固まっている内に美人さんは地面に完全に吸い込まれて消えてしまった。
消えてしまったものは仕方がないので俺は夕麻ちゃん探しへと駆け出した。
side???
「はぁ…はぁはぁ……あ、危なかったわ…」
赤い紋様から物凄い形相で息を切らした女性、先ほどイッセーが剣幕に迫った女性が出てきた。
「部長!!如何したのですか!?」
「わ、私はとんでもない子を眷属にしてしまった様だわ……まさかあんな子に『兵士』の駒8つも使うなんて……」
女性の言葉を聞いた瞬間、その場にいた3人は信じられないと言った顔をする。
「確かにそれはとんでもない(才能を持った)方の様ですね」
「ええ……とんでもない(性癖を持った)子よ……私がここまで追い詰められるなんて」
「で、その人は誰なんですか?」
ソファに座ってひたすらお菓子を食べ続けている幼女が一番気になっていた質問をする。
「この学園の2年生、兵藤一誠よ」
「……有名ですよね……あっちの方で」
幼女がボソッと呟く。
「分かっていたけどあそこまで(欲望に忠実)とは思わなかったわ…」
「部長は(一誠の才能を)見抜いていたのですね。流石ですわ」
仲間内でも勘違いが始まろうとしていた。
「?とにかく…眷属にしてしまった以上は彼を放って置くわけにはいかないわ。明日呼び出すから準備しておきなさい」
「「「はい!」」」
イッセーはね…オリ主がいないとストレスで暴走するんだ。