「……ドヤ顔でGoogle翻訳を披露されても反応に困るんだけど?」
「ななななななな何を、いいい言ってるんだ?」
「……スマート、フォンが丸見、えです」
「……うっそぉ」
ドヤ顔でカッコつけたブールさんに俺とハレーさんが言葉の暴力を浴びせていく。
「かぁぁぁ!覚えときゃ良かった……。ただただハズい……」
ブールさんはそう言って赤くなった顔を伏せる。が彼女はすぐにその赤みを消し、顔を上げた。
「まぁ過ぎたことだ、しゃーねーか。……んで、二人の返事は?」
前半の笑顔とは打って変わって、彼女の顔つきは真面目そのものだった。それに合わせるように俺とハレーさんも頭からお巫山戯を一度消す。
「もちろんボクは参加させてもらうよ。ISの戦闘力もあまり高くないからね」
「お前がそれ言ったらオレの機体はクソザコマッスィーンになるんだが……。まぁ、でも、サンキューなハレー。……で、お前はどうする?」
「えっ、と……」
どうしようかこれ。
───入っていた方が何かと便利ではあると思います。ですがマスターが原作非介入の立場にいたいのであれば話は別ですが───
それ考えると入っておいた方がいいんだよねぇ……。非介入派って訳でもないし。ただこの二人を信用していいものか悩んでるんだよ。
───……珍しいですね。マスターが人を疑うとは。何故です?───
アフィリオンがそう問いかけてくる。
いや、理由は無いんだがな。なんか身の危険を感じて。
───……入っておきましょう。危険があったらこちらで何とかしますので───
りょーかい、なら入っておくか。
「お願い、します」
「おう、よろしくな水無月」
ブールさんはそう言って右手を差し出してきた。
……握手か。はい、こちらこそよろしくお願いします。
そう言う思いで差しだされた彼女の手を握り返す。
……あ、手が柔らかい。
「さて、ならお前にやってもらいたいことがあんだよ。ハレー、『アレ』持ってきてくれ」
ブールさんかそう言うとハレーさんは立ち上がり押し入れの方に向かった。
「円滑な会話のためにも必要なことだ。絶対に成し遂げてくれ」
「はいブール。持ってきたよ」
そう言ってハレーさんが持ってきたのは1本(?)のフラッシュメモリだった。
「……これは?」
「その成し遂げるためのモノを入れたメモリだ。部屋にパソコンあるよな?」
ブールさんの言葉に頷く。
「とりあえず中身を確認してくれ」
彼女はそう言って自身のパソコンを渡してきた。言葉に従い受け取ったメモリをパソコンに繋ぎ、中に入っているファイルを開けると小学生国語の教科書が全部入っていた。
「……はい?」
え、教科書?教科書ナンデ?てかなんで持ってるの?
「毎日放課後ここに来て音読しろ」
「しょ、小学、生じゃないで、すよ?」
なぜに音読……。……にしても、懐かしいな音読ってのも。……めんどくさくて全くやらなかったがな!
「分かってるよ。そもそも声っていうのは息を吐く時に出る空気を口と舌を使って加工して出るもんなんだってこの前たしかテレビで言ってた気がした。でもそれがタジタジになるってことはどっちかの筋肉がそれに対応できてないんじゃねぇのか?」
あー、発声練習か。なるほど、だから音読なのか。
───これが『身の危険』、ですか?───
ぽいな。ならまぁ、良かったよ。……あ、『かきとかぎ』だ。懐かしいなぁ。
「んでまぁ、ひとまずのメンバーがそろった訳だ」
俺が教科書を読んでいると、ブールさんが手を叩き、注意を自身に向けるよう誘導しながらそう言った。
「うん。整備のボクに、遊撃手のブール。何が出来るか分からない水無月君ね」
「すいま、せん?」
「あ、いや、責めている訳じゃないよ?」
「それに関しては今度の模擬戦で判断するからな。しゃーねぇよ」
そうだね。ハレーさんはそう言って立ち上がった。
「ん、どうしたハレー?」
「いや、そろそろ夕食の時間だから移動しないとね」
「あー、もうそんな時間か。水無月って、飯はどうするんだ?」
「食事、ですか?いつもは、自分、の部屋で食、べてます」
あれはとても寂しい……。たまに千冬さんを部屋に呼んでるけども。
───あの人は部屋が、アレですからねぇ……───
まさに汚部屋。何であんなに汚く出来るのか気になる。……なんだろう、何か寒気が。
唐突に感じた寒気にガタガタと震えていると、ハレーさんが急に俺の腕を掴んだ。
「それはいけないね。今日はボク達と一緒に食堂で食べようか」
えぇ……。なんか凄いいきなりだな、ハレーさん。
───なんか目がギラギラしてるんですがそれは───
考えてはいけないんじゃないかな?
「食事は心の栄養素。共に食べ、語り合う友がいなければその効果は一気に低くなるからね」
ちなみに、経験談だから。ハレーさんは物悲しげにそう続けた。
経験談ェ……。
───経験談ェ……───
俺とアフィリオンの心が1つになった。……こんなことで1つになりたくなかった。
「……あー、なら食堂から3人前の食事でも貰ってくるか。水無月は嫌いなものとか、アレルギーなものとかあるか?」
「あ、特には、ありませ、ん」
「りょーかい。なら適当に持って来るわ。水無月は此処で待っててくれ。行くぞ、ハレー」
そう言って2人は部屋から出ていった。
2人が出ていったことで暇になった俺はさっき思いついた疑問をアフィリオンにぶつけた。
そういやさ、俺ここ数日、というか目覚めてから1回も食ったもん排出してないんだけど……。
───その事でしたら、心配いりません。マスターが口にしたものは全て消化し、
あ、そうなのね。……あれ、それって結構な高度技術じゃね?
───……さぁ?───
さ、さあってお前……。
───私も目覚めた時から既にあったモノを使っているだけですから、よく分からないのですよ───
あー、過去のオーバーテクノロジーをそのまま利用しているってことか?
───まさしくそれですね。ですので一般的な生活を送る程度ではSEを補給しに向かう必要はありませんので───
りょーかい。なら大人しく2人の帰りでも待ってますかねぇ。
○⚫○⚫
3人で食事を取った後、水無月は1人帰って行った。
部屋には元々いたブールとハレーの2人が残っていた。
「……行きました?」
「……うん。もう見えなくなったね」
ハレーの言葉を皮切りに、ブールは大きな息をついた。
「貴方の欲望が暴走しなくて助かりましたわ……」
「本当にね……」
扉を閉めたハレーはそう言ってベッドに倒れ込んだ。
何を隠そうこの少女、ハレー・ルディブリアムは重度のショタコンであった。
そんな中、汚れを知らない純粋な男……つまりは、ショタっ子のみが彼女を心から心配してくれたのだ。そんな経験を過去にした結果、ハレーは重度のショタコンへと進化したのだった。
「貴方のショタコン、どうにかならなくて?」
「君のよりかはマシだと思うけど?」
ハレーの言葉を聞き、言葉を詰まらせるブール。
もちろんのこと、彼女も
それは世間一般的に『ドM』と呼ばれる代物だ。
なぜ自分がその道に目覚めたのか覚えていないらしいが、本人は思い出すことを諦めている。
「まぁ、その話は置いておくよ。水掛け論になるからね。……それで、君は明日の模擬戦に勝てるのかい?」
脱線した話を戻し、ハレーは先程までとは声色を変えて言った。
「それは分かりません。あの子のISがどのような兵装を積んでいるのかによって、ですわね」
「近接戦闘型のISであれば君の『ファントム』といい勝負になるだろうね」
「逆に遠距離戦闘型のISでしたらあなたの『ロンバックス』とどこまで戦えるのか、楽しみですわ」
「……それにしても、今回の対話は結構な説明不足じゃないかい?」
一呼吸置いて、ハレーはブールにそう問いかけた。
「……と、いいますと?」
「ボク達は前世の記憶だけを持っている全くの別人だということを伝えてないじゃないか。彼は恐らく前世の記憶と人格を持ってる」
「そうでしょうね」
だったら―――。そう言いったハレーの口を彼女は己の人差し指で塞いだ。
「たしかに彼とはお友達にはなれます。ですがそれは上っ面の関係でしかありません。心から気を許した親友になれませんのよ」
「……どうしてそう思うんだい?」
まだ納得いかないようで、ハレーはほんの少しだけ頬をふくらませながら顔をブールへと向けた。
「私たちは1度死に、前世の記憶を持ったブール・エーデルシュタインと言う別人とハレー・ルディブリアムという別人へ生まれ変わりました。ここまではよろしくて?」
「うん、大丈夫」
「よろしい。しかし彼は前世の存在そのままで今の水無月という存在へと生まれ変わりました。これは私たちと同じようで全くの別物ですのよ?」
「へ、へぇ……」
プスプスとハレーの頭から煙が漏れてきた。
「えーと、とあるISコア……『A』としましょうか。Aの戦闘記録を別のISコア……こちらを『B』にしましょう。Bに学ばせてから新しく生み出されたのが私たちで、Aのように戦闘を記録したコア……『C』ですわね。Cをコアとして使い、それ以外のパーツを全て新しいものにしているのが彼ですわ」
「すごく分かった」
「あなたって、IS以外は本当にバカですわねぇ……」
呆れながらも、クスリと笑った彼女だったが、すぐにその顔を真面目なモノに戻した。
「
「ブール……―――」
ブールの言葉を聞き、ハレーはベッドから身体を起こし、彼女を真っ直ぐに見た。
「―――本音は?」
「いやそれはもう裏切られた時の恨みつらみを向けてくることを想像しただけで興奮が止まりませんこ、と……」
冷えきった目で彼女を見るハレー。
理解してはいるものの、認めることの出来ない彼女なりの抵抗だったのだが、
「……あの、その目をやめてもらえます?興奮が抑えきれなくなりそうなので……」
「……た、たしかに本音は自分の欲ですが少しは彼を思ってもいますのよ?」
「今さら取り繕っても、意味無いよ。……でも、そうだね。君の言う通りだ。ボクは君という親友がいたから腐らずにここまで来れた」
「それに関しては私も同意見ですわ。あなたがいたからこそ、私はIS学園にいるのですから」
ブールの言葉を反すうし、彼女の意見に納得の意を示す。そんなハレーへブールも彼女と同じ事を述べる。
「つまり、彼にはボク達のような同じ境遇の仲間が必要、という事かな?」
「えぇ、私たちのような『B』では無く、彼とまったく同じ『C』の人間が彼の隣にいるべきですわ。……ですが―――」
「ま、簡単に見つかるわけないよね。というか
「あとは『彼』の元に誰かがいることを願うのみですわね……」
「『彼』?……あぁ、織斑くんのことね。そうだね、テンプレ転生者がいてくれるといいけども」
そう言って2人はチラリと壁にかけてあるカレンダーに目をやる。カレンダーは1月の終わりを示している。時としては、そろそろなのだ。
「そろそろ、原作開始だね」
「私たちは1年歳上ですが、彼と『彼』のサポートはしてあげましょう」
「そうだね。先輩として、そのくらいはやってあげようか」
2人は最後にそう言い、各々思い思いの行動を始めた。
〇⚫〇⚫
「ブェックシッ!!」
「もしかして風邪か?受験が近いんだから気を付けろよな?」
場所が変わり、とある家。その中にいる2人の少年たちはテーブルに向かい合って座り、教科書とノートを広げていた。
「いや、熱は無いと思うが……。まぁ、分かった。そっちも気を付けろよな織斑」
「ついさっきくしゃみした奴に言われたく無いんだが……。暖房強くするか?」
「いや、これ以上強くしたら逆に汗かくわ」
織斑と呼ばれた少年の言葉に、もう1人の少年は笑いながらそう返した。
〇ブール・エーデルシュタイン
性別:女(前世は男) 誕生日:11月29日
職業:学生(前世はヤのつく自営業) 性癖:ドM
身長:160cm 体重:58kg
備考:身体にある程度の筋肉が付いており、部屋の中ではよく余計なことを言うハレーにチョークスリーパーを決めている姿を確認出来るが、その事実は織斑千冬以外知らない。
普段のなんちゃってお嬢様口調は彼女が頑張って作り出したキャラであり、本当のキャラは水無月との会話で出ていた男口調。ISを用いた戦闘時にも口調は戻る。IS学園の女子生徒の間では男口調の方がお嬢様口調よりも人気があったりする。ただし本人はその事実に気づいていない模様。
身長の割に胸部装甲はペたんぬだったりする。本人も気にしてるため、そのことを言うとチョークスリーパーを決められるので気をつけるように。
ISについて。
名前:ファントム
性能:全身装甲型のIS。その装甲は全てがBT兵器で作られた独立した装甲となっており、自身とは離れた場所でもISを用いた戦闘ができる。その場合、範囲は自身の視界に入る距離まで。
装甲を飛ばしている間、ブールの装備は飛行ユニットの着いた靴と弓矢のみとなっている。ちなみに装甲を飛ばしている状態でないと空中戦闘をすることは出来ない。
また、パックを変えることでファントムの性能を変えることも出来る。
1、ファントム
基本の型。全てのバランスが整っており、使い勝手が良い。その分特化した性能もない器用貧乏な1品となっている。
2、フレイムファントム
攻撃特化の型。剣に炎が纏っており、攻撃した時にISのSEを直接削る追加ダメージを与える。剣の炎による追加ダメージは自分にも通るので、武器を奪われたら目も当てられない事になる。しかも剣の炎は
3、アイアンファントム
防御特化の型。装甲を厚くし、攻撃によるSEの低下を抑える。その分、移動速度と飛行可能な高度が他のすべてよりも低く、攻撃力も落ちてたりする。
4、ワープファントム
探索特化の型。『ファントムアイ』と呼んでいる特殊なBT兵器(ぶっちゃけドローンをイメージすればOK)を用いることでより遠くへ装甲を飛ばせるようになった。その分、ブールはファントムの操作へかかりつけになるため基本使われることは無い悲しい型。
〇ハレー・ルディブリアム
性別:女(前世は男) 誕生日:2月14日
職業:学生(前世は自宅警備員) 性癖:ショタコン
身長:153cm 体重:51kg
備考:ISを深く愛する技術者見習い。ブールのISと自身のISは自作。『ルディブリアムトイーズ』というおもちゃ会社の一人娘でもあったりするが、会社を継ぐ気はない模様。よくブールに胸部装甲の事であおり、チョークスリーパーを決められている。
こちらの胸部装甲はデカァァァァァいッ説明不要!!という奴になっている。
よく『ブル×ハレ』ということを言われるが、本人は満更でも無いと思っていたりする。
ISについて。
名前:ロンバックス
性能:様々な武器を扱う装備特化のIS。
基本的に8~16の装備を量子格納に入れており、状況によって武器を切り替え戦う。
追加パックによる格納拡張をすることでより多くの武器や強力な武器を積む。
ちなみに武器は全部彼女のオリジナルなため、『開発、実験、修理』は彼女しか行えない。
本人曰く、武器には元ネタとなったゲームがあるらしいが、IS学園内ではブールと水無月を除いて誰も気がついていない。