今日を生きれば俺の勝ち   作:世桜

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話の都合、水無月とブールの視点が変わります。読みにくいかと思いますが、ご了承ください。
あと、タイトルコール変えました。


模擬戦開始、VSブール!! その1

『さて、ブールに水無月。準備はいいか?』

 

千冬さんの言葉に俺は無言で頷く。

全身を装甲で包んだブールさんも俺に習うように無言で頷いた。

俺と彼女はいま、第1アリーナにて先日約束した模擬戦を行おうとしていた。ちなみに観客はハレーさんのみだ。

……てかブールさんのIS、どう見てもゼル伝のファントムだよな。

 

───作者はハレーさんだそうですよ───

 

使用者曰く、性能はガチらしいからな。気を引き締めていくか。

 

「……あなたはISを展開しないのですか?」

 

そんなことをアフィリオンと話していたらブールさんが俺にそう問いかけてきた。

……まぁ、初見の人はそうなるか。

 

───自立行動するISは無人機としてよくありますが、ISと一体化した人間はマスターが初ですからね───

 

「ブール、見た目に騙されない事だな。そんなことをしていると足元を救われるぞ?」

 

「なんと。それは恐ろしいことですわ」

 

気をつけなければいけませんね。とブールさんは言った。

……鎧がですわとか言うの、シュールすぎるな。

 

───見た目はあれですけど、中身はお嬢様キャラですからね。仕方ありませんよ───

 

ま、それもそうか。

……さて。やるぞ、アフィリオン。

 

───了解、マスター───

 

「『我は星見の輩。歴史を巡り、正しき道へと導かん!』」

 

───『起動式』を確認。『モード:カルデア』起動します───

 

「『我は復讐者。憎悪を抱きし、偽りの正処女なり!』」

 

呼び出すは竜の魔女となった1人の正処女。様々な出来事が織り重なり生まれた有り得ぬ存在。

 

───『詠唱式』確認。サーヴァント『ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕』展開します───

 

人間空母の力、とくと味わえ!

 

 

 

〇⚫〇⚫

 

 

 

彼が何かを唱えたあと、光が彼から溢れ私は思わず腕で目を覆った。

光が消え、腕を下ろす彼の手には1つの大きな旗と、ボロボロになった黒のマントを羽織っていた。

 

「報復の時は来た!」

 

「……なるほど、それがあなたのISですか」

 

装備を呼び出す、ハレーのロンバックスと似たようなものだろうか。

ままならないですわね……。

ファントムとの相性を考え、そんなことを思う。遠距離武器を呼び出されたら最後、打つ手がほとんど消えてしまう。

 

「……攻めていくしかなさそうですわね」

 

ポツリと思ったことが口からこぼれる。

 

『始めッ!』

 

織斑先生の言葉を皮切りに彼は己の得物を振るった。

 

「突きとはなんと面倒な……!」

 

剣の腹で受けようものならその剣は壊れる、とまではいかなくても深手の損傷を負うだろう。

横に避けようものならそのままなぎ払いが飛んでくるだろう。

後ろに下がろうものならそのまま距離を詰められて終わるだろう。

故に―――

 

「ですが、対応出来ないわけではありませんの」

 

―――弾く。

左手の盾で旗を弾き、彼の体制が崩れた所へ右手の剣で襲いかかる。

 

「ッ!」

 

「ただただ突っ込んでくるのでは、いけませんよ?」

 

入った。その一撃は綺麗に彼の腹部を斬り裂いた。

そのはずなのに―――

 

「服が、切れてる?」

 

―――彼の洋服だけがパックリと裂けていたのだ。

ISには『絶対防御』がある。私が見ていた中で、ISスーツが切れたことは1度もない。つまり、操縦者が着ているモノに被害が及ぶような攻撃は『絶対防御』の範囲内となる筈だ。

なのに、彼の洋服は裂けていた。つまりはあちらのISが『絶対防御』を発動するに値しない攻撃と判断したということだ。

 

「ふざけんじゃねぇぞ……」

 

彼に聞こえないくらい小さな声でポツリと呟いた。

 

 

 

〇⚫〇⚫

 

 

 

あ、あっぶねぇぇ!!肌に当たる寸前で『絶対防御』が発動してよかったぁぁ!!

服が切れた時はマジで焦ったぞ!?

 

───『絶対防御』はISより内側にあるものが危険に晒された時に発動するようになっています。マスターの場合はISの上から服を着ている様なイメージなので服は『絶対防御』の範囲外という事になりますね。ちなみにマントはISの一部です───

 

な、なるほどなぁ。

……あのさ、『絶対防御』発動したじゃん。頭おかしいくらい(1000→600)SE(シールドエネルギー)持ってかれてるんだが。

 

───なんせマスターは今アヴェンジャーですから。軽減のない一撃を貰えばそうなりますよ───

 

クラス相性って、大事だなぁ……。

確かにダメージは多かった。だがその分と言っていいのか、SEとは別にカウントしてあるNPも頭おかしいレベル(0→40)でたまった。ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕は『復讐者』のクラススキルがあるから被ダメ時のNP回収量が高くなっているのは分かるのだが……。

 

───ISへ落とし込むに当たって色々とテコ入れされてますからね。巌窟王ですと黄金律を発動した場合、ダメージさえ受けていれば通常攻撃感覚で宝具を打ち込めますよ?───

 

なにそれこわい

 

───まぁ、宝具使う度にSE100も無くなるのでほぼ無理でしょうね───

 

うん、そんなことだろうと思ってたさ。ま、しばらくは邪ンヌを使うさ。……ちなみに邪ンヌの宝具発動時のSE消費は?

 

───50です───

 

ケリィレベルか……。ま、たまった時に考えるか。

そんなことを思ってブールさんに向き合う。

 

「どうしました?攻めないのならこちらから行きますよ(スキル:竜の魔女EX、自己改造EX)?」

 

俺は腰に吊るしてある剣を引っ張り出す。

さて、ほぼ初見殺しの技を受けきれるかな?

 

 

 

〇⚫〇⚫

 

 

 

「汝の道は既に途絶えた!」

 

彼は腰に吊るしていた剣を手に持ち、遠く離れたその場で振るった。

 

「……ふざけ―――」

 

私は言葉を続けることが出来なかった。上から殺気を感じたからだ。

思わず左手の盾を上に向けると、数本の黒い槍……いや、黒い旗が弾かれ私の目の前に落ちてきた。

その旗を防がなかった時を想像し、思わずゾッとした。

ほんの少し安心したのもつかの間。私は足元から燃え盛る炎に包まれた。

 

「炎!?ど、どこから出てきましたの!?」

 

「さっきの攻撃は上から旗を突き刺す攻撃では無いのよ?」

 

叫ぶ私に彼がコツコツと近づきながらそう言った。

 

「旗と炎。その2つで1つの攻撃なの。分かったかしら?」

 

「……つまり、私は綺麗に騙されたという事でしょうか?」

 

『絶対防御』が発動し肌に傷は無いものの、少なくないSEを失った私の言葉に、彼は少し不機嫌そうな顔をした。

 

「どうかしらね。私もこの技を借りてるだけなんだから、彼女の考えた本来の使い方なんて分からないわよ」

 

彼女、とは恐らく彼が今その身に降ろしている英雄の事であろう。

そういえば、旗と炎の逸話を持つ英雄とは誰なのだろうか。恐らく、彼の口上や口調もその英雄を推測するための材料になるはずだ。

『憎悪』、『復讐者』、『偽りの正処女』……駄目だ。推察するどころか、より分からなくなった。と言うよりも、『憎悪』や『復讐者』は英雄と言うよりは怪物側の言葉だと思えてくる。

だけどそんなことはどうでもいい。(オレ)を怒らせることをアイツはした。それだけが(オレ)の中で大きな炎として燻っていた。

 

「そうですか、ですが中々舐めた真似をしてくれますわね」

 

「……えっ、舐めた真似?」

 

「そうでしょう。近接戦闘が私のテリトリーなのは見て取れるはずでは?」

 

「た、確かにそうですが……」

 

それに。と私は彼の言葉へ食い気味に言った。

 

「遠距離攻撃が出来るのになぜ最初は突っ込んできましたの?」

 

「……えっと、その」

 

「あとその服。私の攻撃は『絶対防御』をするに値しないということですよね?」

 

「いや、だから……」

 

彼が何か言おうとしているが、頭に血が上った私には関係なかった。

 

「ですので、そんな真似が出来ないように本気を出そうと思います」

 

「……本気?」

 

「そうです。ですので水無月さん―――」

 

ニッコリといい笑顔で彼に言い放った。

 

「―――簡単に倒れんなよ?」

 

「……ほァ!?」

 

ファントムを剥がして自分の横に浮かせ、オレは金に輝く弓矢を手に持った。

 

「口調なんか作ってる場合じゃねぇ。その生意気なISに舐めた態度取ったらどうなるのか、しっかり教え込んでやらァ!!行けファントム!」

 

ファントムを水無月へ向かわせオレはその後ろ、水無月からは見えないファントムの影で弓の弦を引き絞った。

 

 

 

〇⚫〇〇

 

 

 

どぉぉおォ!?ファントムが飛んで跳ねてバーミュストロング!?

 

───ボーボボやってる場合ですか!しかも微妙に違いますし……。恐らくBT兵器です。それも超高性能な───

 

……でジマ?

 

───でジマ。装甲をBT兵器にし、近距離遠距離を対応できるようにしたのはすごい事ですよ。普通は思いつきません。というよりも、そんなことを出来ること自体希です───

 

あ、そうなの?

ちなみに今もファントムは俺へ襲いかかってきてるので、自分の周囲に炎を展開し、結界的な使い方をして時間を稼いでいたりする。

 

 

───セシリア嬢を見ていただければわかると思いますが、BT兵器を扱うこと自体適正が必要で、長時間の訓練が必要となります。訓練に時間を持っていかれるため、BT兵器使用者は総じて近接戦闘が苦手なのですよね。もちろん、例外もいますが───

 

つまり、ブールさんはヤベぇ。ってことでおk?

 

───おk───

 

あいよ。ならこの鬱陶しいファントムを先に殴っときますかね。アフィリオン、やるぞ。

 

「『全ての邪悪をここに』」

 

───『宝具』使用を確認。ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕宝具『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)』発動します───

 

「これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮―――」

 

それは己と周囲の怨念を魔力へと変換し、敵を骨の髄まで燃やし尽くす恨みの一撃。

 

「―――吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)!!」

 

我が憎悪に抱かれ、消えよファントム!!

 

───マスター、少し邪ンヌに侵食されてますよ───

 

おっといけねぇ。で、これで倒せる……までは行かなくても行動不能くらいにはできるか?

 

───炎と槍がどこまでファントムの外装を損傷させられるかにかかってますね───

 

今は炎が生み出した黒煙のせいで前が全く見えない。ファントムがどうなっているのか……。私、気になります!

 

───……キモ───

 

マジすまん。

そんな時だった。黒煙の中から一筋の光が俺へ向けて放たれた。

いきなりのことだったため、俺はそれを避けることも出来なかった。

 

───攻撃!?でもファントムは―――───

 

アフィリオンは最後までその言葉をつなぐことが出来なかった。

黒煙の中に、並んだ2つの光を見つけたからだ。

 

───マスターッ!ファントム、来ます!!───

 

その言葉と同時に黒煙の中から全く損傷のない鎧が現れ、俺へ斬りかかった。

……マジか、かすり傷1つも無いのかよ。

 

「そんな隠し技を持ってたなんてよ。驚かされたぜ?」

 

黒煙が晴れ、黄金に輝く弓矢を持ったブールさんがそう言ってきた。

……光の弓矢!?ファントムを使う者が光の弓矢を使うってことは……『大地の汽笛』かあのIS!!

 

「ファントムを狙うのは確かに考えたな。それが動けなくなればオレの攻撃方法はこの弓矢しか無くなる。けど、ファントムを狙うのは悪手だぜ?」

 

解説してやるよ。ブールさんはそう言って構えたいた弓矢を下ろした。それでも、ファントムを攻撃出来る圏内から外すことは無かった。

 

「ファントムは複数のBT兵器を合わせて作られてる。だからまぁ―――」

 

その言葉と同時にファントムはバラバラになって空中へ浮かんだ。

 

「―――こんな事も出来るわけよ。炎は少しまずかったが、槍に関しては問題なく回避出来たぜ。ま、中にオレが入ってたらヤバかったな」

 

さて。バラバラだったファントムを元に戻し、ブールさんは下げていた弓矢をまた俺へ向けた。

 

「そろそろ終わりにしようぜ?」

 

……アフィリオン、残りのSEは?

 

───残り300です。……何か、案がお有りで?───

 

賭けだよ賭け。昨日の夜にお前新しいモードについて話してたろ。あれ使うぞ。

 

───……了解。まだ私も全貌を掴めてないのでどうなるかは分かりません。それでもよろしいですか?───

 

もちろん。

俺は『モード:カルデア』を解き、ブールさんへ真っ直ぐ視線を向けた。

 

「なんだよ、いきなりISを解きやがって。降参でもすんのか?それともそうすればオレが攻撃の手を緩めるとでも?」

 

「……『我は電子の導き手。化身を使いて女王を止めし者なり』」

 

───『起動式』を確認。『モード:ALICE』起動します───

 

『起動式』の詠唱に、ブールさんはそのしかめっ面を笑顔へと変えた。

 

「なんだよ、まだ手札を残してやがったか!来な水無月!てめぇの力見せてみろ!!」

 

「『使うは異なる色。不遇を破った始まりの四体なり』」

 

───『詠唱式』確認。赤属性ユニット『豪焔の轟暴聖 ベリアル』複製します───

 

 

 

〇⚫〇⚫

 

 

 

「……今度は姿が変わりやがっただと?」

 

呪文のようなものを唱えたアイツはいつもの水無月では無く、銀髪の中に少ない赤髪と黒髪を混ぜ、右手には改造されたカッコいい銃を握り、バイクに跨った男へと変化していた。

 

「やっと出番だ。期待させてくれよ?」

 

その男はそんなことをオレへ向けて言った。




残り三体、わかる人にはわかると思います。
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