この前みたいなスッカスカの話にはしてないので、読んでくれると嬉しい。
全くサブタイが思いつかない……。
ーーー昨日は一体何があったのかな?
サーヤ押し倒し事件があって、その尋問後何が起こったのか全く覚えていないんだが。
何かあったような気がするんだが、一体何だろうか。
みんな腰痛いって嘆いてるけど、ホントニナニモナイヨネ?ナカッタヨネ?シンジテモイイヨネ?
という事もあり、何故かもう1泊した俺達は、翌日の朝港を出発した。目指すはミアレシティのミアレジム。ヒヨクシティでも良かったが、それだと遠回りになるので、取り敢えず距離の遠いミアレシティに行くことにした。
「やっぱり、シンオウ地方とは違って肌寒いわ」
「……だったら、もう少し厚着してくるんだったな」
シロナの格好はゲームでお馴染みの黒を基調としたコートと黒いニーソ。未だ成長中の母性の塊はゲーム通り開けた胸元から主張し始めており、足の方も美脚と言える程すらっとしていて、妖艶な雰囲気を醸し出していた。道行く男の目線がシロナに集中し、アイドルを隣に連れている感じで歩き難い。
しかもーーー。
「何よ、なんか冷たいわね。タダでさえ肌寒いのに、クロメにまで冷たくされたら私凍っちゃうわ」
「凍らないよそんな程度じゃ。それよりもシロナ、自分の格好と周りの目線から何か察する事は無いか?」
「え?私の格好?……特に変ってわけじゃないと思うけど。あっ、なんか男の人の目線が凄い」
ーーーこのように、全く自分のことが分かっていないのだ。成長期になって間もないが、シロナの場合はどんな服を着ても色香が出てくる。それを自覚しないで更に自分の容姿に似合う服を纏えば、世の男共は生殺しである。
勿論俺は制御出来ているから問題ない。
しかし、今この天然っ娘をこの道端に置いておけば、待てを食らってた男共は一斉にシロナに群がるだろう。
それだけは嫌だな。シロナはいつまでもダメナでないとダメなのだ。主にファンの心を鷲掴みにする目的でだが。
「一応説明しておくとシロナ。お前の格好は別に普通だ。特に何の変哲もない格好だよ。そして何より今日の服装は可愛いと言える」
「えっ?そ、それは……、ありがとう」
ムックルが豆鉄砲を食らったような顔をして、動かしていた足を止めると、顔を赤く染めるシロナ。
一々反応が可愛いな。だから世の中の男に襲われそうになるんだ。
「だがしかし、それは服装だ。服装は似合っているとだけ言ったんだ。問題なのはシロナ、お前自身だ」
「私自身?身嗜みもバッチしだと思ったんだけど……」
「違う違う。身嗜みもバッチリでいつも通り可愛いぞ。でもな、これはシロナのせいではあるが、シロナは悪くは無いのだ」
「え?なにそれ?じゃあ一体何が変だって言うの?」
全く分かってない様だ。いや、確かに自分の変化は自身では分からない事が多いかもしれない。シロナも、天然だが、若干天然だが、ほんの少し天然だが、気づかないのは当たり前かもしれない。
「今のシロナはな、物凄く美しいんだ。オブラートに包んで言えば、モデル以上の美人さん。ストレートに言えば、エロい格好した綺麗な女の子なんだ。だから少し自重しろって言いたい」
「ええええええろいって何よ!!………まだ10歳の成長期の女子を変な目で見るなんて、変態しかいないのかしら」
その言葉は誰に向けられたのかは分からないが、その周りに潜んでいた大きな子供達はその冷たい言葉で心折られる。
俺はシロナをそんな目で見てはいないが、意識するとやっぱりエロいと思ってしまう。
俺は自分の着ていた黒い生地の暑いフードがモコモコした上着を渡す。上着を外した時は少し冷えたが、そこまで寒いとは言い難い寒さであった。
「シロナ、これ着てろ。その格好じゃ、街とか繰り出したらもっといやらしい目で見られるぞ」
「………あ、ありがとう。でも、寒くない?」
「心配すんな。寒くないし正直ちょっと暑かったぐらいだ。仕舞うのも面倒いから着とけって」
「うん、そうする。………ところで聞くけど、クロメも変な目で私を見てたの?」
「そんな目で見てたんなら、俺はお前に教えないだろ。俺はそんな目で見る事は今はねぇよ。青いガキが何言ってんだか」
「青いって、クロメも私と同い年じゃない。同い年に青いなんて言われたら癪に障るんですけど」
「無駄口叩くなら手を動かせ。早く着て出発するぞ」
むーっと、頬を膨らませているシロナを急かして早く上着を着させる。少し大きかったようで、ダボダボの上着から顔を覗かせている姿は小動物を連想させた。
素直に可愛いと賞賛。
「ちょっと大きい」
「小動物みたいで可愛いぞ。それなら手袋代わりにもなるからいいだろ」
「うん。………それに、クロメの匂いがする」
「なんか言ったか?」
「な、何でもないから気にしないで」
ほっこりしているシロナの手を掴んで歩かせる。
ここで立ち往生してたら日が暮れてしまう。次の街までは頑張って歩かなければならない。
と言っても、ここはミアレシティと一直線で繋がる道。途中街などなく、歩いて数時間程度なので助かった。
「………クロメ。一つ聞いていい?」
「なんだよ。そんな重っ苦しい雰囲気で」
さっきまでとは違い、何故かテンションを落としてシロナは俺に話しかけてきた。
立ち止まる事も出来ないので、歩きながら聞くことにした。
「……覚えてる?クロメが私とカレンを助けてくれた時のこと」
「…………ああ、覚えてるよ。あれは忘れろって言われても忘れられないもんだからな」
「……クロメは、あの時出会って数秒の私達を助けてくれた。でも私、怖かった。クロメが一体何を考えてるのかよく分からなかった。だけど今となっては、クロメについて来て良かったと思ってるよ?」
「そう思ってくれてるなら、俺は手を差し伸べた甲斐があったという訳だな」
「でもクロメ。1度も私達の事、聞かなかったよね?お母さんもそう。私達の事情は全く聞かなかった。別に知らなきゃならないとかそういう事じゃないけど……、聞きたいとか、思った事ないの?」
確かに、聞きたいと思ったことはある。実際俺の知っているシロナの事情とはかけ離れていた。
俺の知っている限りでは、カンナギタウンに祖父母と妹と共に住んでいたのは記憶している。親は行方不明だが、そこまでブラックな状況では無かったはずだ。
しかし、あの時のシロナの姿を見れば、とても一桁前半の年齢の子が負う傷の量では無かった。
それこそ拷問。調教。躾。いろんな事が頭を過ぎっていた。
俺というイレギュラーが介入した事で、全くもって別の世界に書き換えられてしまっている。
だから俺は知りたいと思っていた。聞いてみようとした。しかしそれは、同時にシロナの傷を開く事にも繋がる意味を持っていた。
だから聞けなかった。聞くわけには行かなかった。
ポケモンというジャンルで、出てくるキャラクターで俺が好きなのはシロナがダントツだ。……因みに2位がルザミーネ様。3位がカミツレ様で、4位がナツメ様だ。ナツメ様に至っては、携帯のホーム画にしていたほど。
話を戻すが、俺は自分が好きなキャラが傷つくのは見たくなかった。エゴかもしれないが、正直に言うとあの時シロナを助けたのは、ただの自分勝手に動いていたに過ぎなかったのだ。
「……ごめん。正直に言うと、聞きたい。でも、俺は血眼になるぐらいには聞きたいとは思ってない。人それぞれの事情があって、それをプライバシーと言う。俺は他人にずかずか聞くよりも、相手が話してくれるのを待つ人だからね。こう言うのはなんだが、無理しないで落ち着いた時に話して欲しい。それこそ、笑い話で吹っ飛ばして言える時にね」
笑い話で吹っ飛ばして言える時に。多分難しいかもしれない。今の俺は軽率だった。言ってしまった言葉は訂正できない。
恐る恐るシロナを見ると、目元に涙を薄ら浮かべ、今にも泣きそうな表情をしていた。
「な、泣く事ないだろ。俺が泣かせたみたいじゃないか」
「……で、でも……。私、嬉しくって……」
「いつまで経っても泣き虫だな。あんまり女の子が男の前で泣くと男はコロッと逝っちまうから程々にしとけよな」
「……クロメも、コロッと逝く……?」
「……さぁな、俺には嫁がいるし」
「私も嫁に入ったんだけど?」
「じゃあ既にコロッと逝っちまってるわ」
ピンッとシロナの額をデコピンし、俺よりも頭1個分低い位置にあるシロナの頭をぐりぐりと撫で回す。
シロナは撫でられるがままにされ、嫌よ嫌よと撫でる手を振り解こうとじたばたする。
「……もう、いつまでも子供じゃないのに」
「大人からしちゃ、俺達はまだまだ子供だよ。それに、まだ子供の方が好き勝手出来るだろ?」
「ホント、クロメといるとなんだか変な感じがする。兄妹がいたらこんな感じなのかな……」
「立ち位置的に俺が兄だな。シロナは世話のかかる妹」
「なんでクロメがお兄ちゃんなのよ。クロメは弟。私が姉なの」
「弟に撫でられる姉って威厳無いよな?」
「全国の姉さん敵に回しちゃったよ今」
「俺はお前の事しか言ってないし。逆に姉の威厳見せろって怒られるかもな?」
「……ぐっ、いつか私が居ないと生きていけないようにしてあげるわ!!」
「ちょいヤンデレ発言NGよ。シロナのヤンデレ見てみたいけど我慢だ我慢」
「ヤンデレ?なんだか良くわからないけど、絶対負かしてやるわ」
「頑張れ頑張れ、愚姉ちゃん」
「うがぁーっ!!もう怒った!!もう許し乞いても絶対許さないんだから!!」
ボコボコと俺の胸を殴ってくるシロナ。うん、全く痛くない。
シロナが自分の過去を自ら言うのは今まで無かったから、話を持ちかけてきた時は正直焦ったが、こうやって表情豊かになっているのを見ると、そんな焦りも無くなっていく。
ホント、心配した俺が馬鹿だったよ。
「シロナ、これからも宜しくな」
「ここっ、これからもっ!?それってつまり!!そういう事でいいの!?」
「いや旅の話だから。いくら嫁にしたからって、ホントに結婚するかは知らないけど」
「………だと思ったわよ。でもアリア達には負けないんだから!!」
「ポケモンと張り合ってもね……」
擬人化したポケモンとの結婚は正直分からん。
結婚しては行けないという事も無いし、多分していいと思うが、子供はやっぱり人型のポケモンだろうか。
人型はメスが大半らしいから、産んだとしてもメスだろうし。まぁ可愛ければなんでもいいか。
「ーーーうひょー、なんか可愛い子ちゃんがいるぜ」
突然の事に後ろを振り向いた。
すると、後ろの茂みからガサガサと音を立ててガラの悪い男が歩いてくる。
「ーーーねぇお嬢ちゃん。俺らと遊ばねぇ?」
今度は反対側から同じようにガラの悪い男が歩いてくる。
反射的に、俺はシロナを背後に隠す。
下心見え見えな表情の男達は、ポケットに手を突っ込みながら歩いてくる。
「……生憎、私達は急いでるから」
「えー?連れねぇ事言うなよぉー。すぐ終わるからさー」
「そんなひょっろい男よりも俺達の方がたのしめるぜー?」
「私はクロメの方がいいの。貴方達みたいなガラの悪い男にはついて行かないの」
シロナは俺の背後で物凄く強気に男達を否定。
男達は面白く無さそうに顔を顰め、ポケットから手を抜いた。モンスターボールと一緒に。
「ガキが。素直に従っていればよぉ。怪我なんてする事は無かったんたがな」
「2対2だ。勝ったらお嬢ちゃんは俺達についてきな」
男達はモンスターボールを空中に放り投げる。
モンスターボールが開き、青いポリゴンが飛び出す。ポリゴンは形を変え、地面についた瞬間にポリゴンが一気に分散。ポケモンが姿を現した。
「……カラマネロとゴルバット」
逆さになった大きなイカみたいな姿をしたカラマネロ。4枚の羽をはためかせているクロバット。
クロバットはシンオウ地方にいたが、カラマレロはこの世界では初めて見た。
「どうしたー?怖気付いちゃったのかなー?」
挑発的に俺達を誘ってくる男達。
俺のポケモン達からすれば、クロバットは少々面倒臭い。アリアとみかんちゃんを出せば問題ないが、そうなると今回は後者だろうか。
俺は腰のモンスターボールに手を触れる。
しかし、その手はシロナの手によって止められる。
「……シロナ?」
「ごめん。このバトルは、私一人でやる」
そう言って、シロナはモンスターボールを投げた。
クルクルと宙を舞うモンスターボールを横目に、シロナは俺の手を握ったまま前に立つ。
「クロメ。私はいつまでもクロメの後ろに立ってるだけの弱い女のままじゃいやだ。私だってメガシンカ使いになりたいの。だから、私の成長した姿をクロメに見て欲しい」
その目はとても真っ直ぐだった。覚悟を決めた奴の目だった。
その目に写っているのは何かは分からないが、根本的にシロナはもっと先を見据えていた。
そんなシロナを、止めるヤツなんていないだろう。
「分かった。シロナの成長した所、見せてもらうぞ」
「うん!!」
同時にモンスターボールが開き、ポリゴンが溢れ出る。それは形となり、シロナの相棒の姿を形作っていく。
困難だろうが苦痛だろうが、これから2人はずっと一緒にいるだろう。
シロナは前に進み、その横を相棒であるカレンが共に進んでいく。
ゲームでもそうだった。アニメでもそうだった。シロナの隣には、ガブリアスがいた。この世界でも同じ。
シロナの隣にはカレンが並んでいるのだ。
「カレン。私達の力、クロメに見せるわよ!!」
「……お前が言うまでもない。私達の力を特等席で見えるのだ。見逃す事は許さん」
カレンとシロナの戦いの火蓋が切って落とされた。
今度はバトルシーン。頑張っちゃいますよ!!