~E・S~転生者は永遠を望む   作:ハーゼ

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今回はちーちゃん回です。
お楽しみください。


第十五話 ライバル

はいどうも。皆さんおなじみ雄二です。

 

 

束との喧嘩から早一週間が経ち現在道場にて修行中です。

もうね・・・開き直って全力でやった方が早く慣れるから楽ってことに気づきました…

 

最近は束も一緒に道場に来ている。というよりこの一週間、束とずっと一緒な気がする。

学校ではもちろんのこと家の手伝いに部屋にいるとき等々。

手伝いの時はちょっとは手伝ってくれるようになり、千春さんたちもうれしそうだ。

しかし、今日目が覚めた時に布団に入りこんできていたのには驚いた。

 

「まぁ、可愛いから別にいいんだけどね。」

 

「ん?何か言った雄くん?」

 

「いや、独り言。」

 

 

束は基本ノーパソいじっているがたまーに俺の修行に付き合ってくれる。

その時はいい感じにはかどる。束の教え方がうまいってのと束の動きも参考になる。

柳韻さん?あれはすごすぎて参考にならん。

 

その甲斐あってか最近では修行中に喋れるぐらいにはなってきた。

ちなみに現在は素振り中なのだが・・・・視線を感じる…

最近余裕が出てきて気が付いたのだが、どうやら前に和解した黒髪美少女からの視線なのだ。

彼女も結構ハードなトレーニングをしているため、同じ境遇の俺がサボってないか気になっているのかもしれない。

 

(許してくれ。柳韻さんがいるのに手を抜けるわけがないだろう?)

 

俺がサボれば美少女の方も手を抜く理由にはなるかもしれない…

しかしそんなことは死んでもできない。

確かにつらいかもだが手を抜いたほうが酷い目にあうのは目に見えている。

美少女もそれが分かっているのか手を抜く様子はない。

 

(お互いがんばろうぜ。名も知らぬ美少女よ。)

 

エールを目で送りながら素振りを続ける俺であった…

 

 

 

 

 

 

最近私はまたあいつのことをよく見ていた。

視線の先には素振りをしているあいつ・・・暮見雄二がいた。

 

あいつの噂は学校でよく耳にする。随分と悪名だかいと噂だがあいつを見ている理由はそれではない。日ごろからあいつの鍛錬を見ていればその噂が欠片もあっていないことなど明らかであるからだ。奴には誠実さがある。

ではなぜ見ているのかというと、

 

(まさか、束を道場に連れて来るとは…)

 

そう、あいつの隣にいる束が理由であった。

束から暮見雄二とは仲良くしているとは聞いていたが(初めて聞いたときは驚いたが)道場に一緒に来るほどとは思っていなかったのだ。

現に最近まで束は道場に影すら見せなかった。それがここ一週間毎日来ているのだ。

 

(暮見雄二・・・思っている以上に侮れんな。)

 

最近では私の視線に気づき、こちらに目線をやる余裕まであるらしい。

私は暮見雄二への評価をさらに上げ、鍛錬に励んだ。

 

 

 

 

 

 

1999・・・・・・・2000・・・‼

 

だぁ~・・・終わった~。きっつい!

 

この一か月で俺の修行内容は少しづつレベルアップしており、現在は素振りが2000回にまでなった。他はたいして変わっていないのだが素振りに関しては最初の二倍ある。

なんでも振れば振るほど馴染むのだそうだ。しかし、それにもちょうどいいラインはあり、この2000回という数字が今の俺にとってベストだとかなんとか。

 

 

「お疲れ様雄くん。昨日よりも腰回りの動きが良くなっていたよ。」

 

 

束がタオルと束特性ドリンクを渡してくれる。

パソコンいじっていてもちゃんと見ていてくれているんだよな。

柳韻さんもそうだったし、やっぱ親子だなそういうとこ。

 

 

「サンキュー。」

 

 

礼を言ってドリンクを飲む。このドリンクは俺用に束が作ってくれたものらしい。

コーチもしてくれているし、感謝が尽きない。

 

 

「そういえば、友達はできたの雄くん?」

 

 

最近一緒にいるんだから分かっているくせに・・・

 

 

「ぼちぼちかな…」

 

「ゼロってことね。」

 

 

そんなはっきり言わんで欲しい…

俺と皆には思ったよりも溝が・・いや、谷があり大変なのだ。

こればっかりは時間をかけてゆっくりとやるしかない。

 

 

「べつにそんな頑張らなくてもいいんだよ?束さんが付いててあげるからさ。」

 

 

束がない胸を張りながらいってくる。いやまぁ、この年である方がおかしいんだけどね。

 

 

「まぁ、ゆっくりやっていくさ。束もいるしな。」

 

 

なんとなく束の頭をなでる。

きっと束が最近決めつけるような口調でものを言わないことを褒めてやりたいのだ俺は。

束も拒否しないってことはなでてもいいということだろう。

ナデポは偉大だった・・・先生、あなたの教えは忘れません。

 

(といっても何か突破口が欲しいな。)

 

束の頭から手を放し、考える。しばらく考えた結果、

 

 

「織斑千冬…」

 

 

学校で束と同じくらいよく噂で耳にする人物だ。いわく、

 

勇者の血筋を引いている。

唯一悪魔たち(俺ら)と戦える力を持っている。

学校の守護者。

彼女の前ではいかなる悪事も行えない。

実は男であって欲しい。

 

等々、俺らとは正反対の噂を耳にする。最後のはなんかおかしいが…

そんな彼女と和解できればと思うのだが…

 

 

「どうしたものか…」

 

「ちーちゃんがどうかしたの?」

 

 

俺のつぶやきに束が反応してきたが今はちーちゃんの話はしてない。

 

 

「いや、ちーちゃんじゃなくて織斑千冬。」

 

「だからちーちゃんの話でしょ?」

 

 

ん?なんか話が噛み合わないな…。ただの子供だったらおかしくないが束だしな…

 

(待てよ・・・()()ちゃん?)

 

俺の中である考えが浮かぶ。

 

 

「束、もしかしてだがちーちゃんって織斑千冬のことか?」

 

「うん、もしかしなくてもそうだよ。で、ちーちゃんがどうかしたの?」

 

 

やっぱりか・・・いやしかし、これはチャンスなのではないか?

束からちーちゃんを紹介してもらえれば一件落着なのでは?

 

 

「いや、友達になりたいと思ってさ。よく学校でも噂を耳にするから。それにその子がちーちゃんならちょうどいい。束がお世話になっているから挨拶したいとは思っていたしな。その子紹介してくれないか?」

 

「うん、いいよ。」

 

 

よし!ちーちゃんは束と親友だから紹介してもらえればほぼ確実に友達になれるだろう。

 

 

「ありがと束。じゃあ、明日学校で紹介頼むわ。」

 

 

しかし、ちーちゃんなる人物はどんな子なのだろう?

明日が楽しみである。

 

 

「いやいや、今すぐいこうよ。近いし。」

 

「休日に家まで押し掛けるのは迷惑だろ。」

 

「家?行く必要ないでしょ。そこにいるんだから。」

 

 

束が俺の後ろを指さす。

 

 

「えっ!?」

 

 

後ろを見ると少し離れたところで剣を振るう黒髪美少女がいた。

 

 

「もしかしてあの子がちーちゃん?」

 

「そうだけど、知らなかったの?ちーちゃんこの道場で有名なのに。」

 

 

そ、そうだったのか・・・今まで邪魔しちゃ悪いかと思って誰にも話しかけなかったから知らなかった。

しかし黒髪美少女がちーちゃんだとわかった今、俺には怖いものなしだった。

この道場に来てからちーちゃんとは一番目が合っているのだ。

そのたびにエールを送りあっており、ちーちゃんとはすでにわりかし仲がいいと思う。

 

 

「なるほど、あの子がちーちゃんだったとは奇妙な縁を感じるな。」

 

「あれ?知り合いだったの?」

 

「そういうわけじゃないが仲はいい方だ。」

 

 

説明をしながらちーちゃんに近づいていく。

あちらも近づいてきていることに気が付き素振りを止める。

 

 

「ちーちゃん、ちーちゃん。雄くんのこと紹介させて~。」

 

「いや、その必要はない。暮見雄二のことならしっている。」

 

 

げっ!?知っているってもしかして例の噂のことか・・・・

 

 

「なに、心配しなくていい。噂のことなど欠片も信じていない。師範代から聞いていただけだ。」

 

 

顔に出ていたのかちーちゃんはそう言ってくれた。それならよかった。

 

 

「そして私に会いに来た理由もわかっている。」

 

 

な、なんて話の早い子なんだ!?さすが俺たち目と目で通じ合っているだけのことはある。

 

 

「試合しに来たのだろう?」

 

 

あっ、ダメなパターンだわこれ…なぜかちーちゃん微妙に怒っているし…

しかし、否定はしなければ。

 

 

「ちg「なるほど‼そういう友情なんだね‼いいね~青春だね~。」

 

 

いや、ちょ、違う!?

 

 

「だから、ちg「ほーう、お前たち試合をするのか。」・・・」

 

 

柳韻さんまでいつの間にかいるし…

そしていつの間にか隣には二人分の防具が用意されていた。

これはもうだめなやつだ・・・世界の悪意が、見えるようだよ……!

 

 

 

 

 

 

2997・・・・・2998・・・・2999・・・・3000・・・

 

3000回ほど素振りをしたところで束とあいつがこちらに来るのに気が付いた。

 

(馬鹿なッ!?もう挑んでくるというのか?)

 

確かにあいつの成長速度は異常なほど早く、ここ一か月間でそうとう腕を上げている。

試合などをしているところは見てないが恐らくこの道場であいつに勝てるのは5人もいないだろう。

しかし、私に挑むのはまだ早い。自慢ではないが私はかなりの実力を持っている。

あいつだってそれぐらいわかっているはず…

 

(何か策があるのか?)

 

考えるが一向にわからない。まぁいい。

 

 

「ちーちゃん、ちーちゃん。雄くんのこと紹介させて~。」

 

「いや、その必要はない。暮見雄二のことならしっている。」

 

 

声をかけてきた束に返事を返す。

そう、自己紹介など不要だ。私は暮見雄二を知っている。

私の言葉であいつは不安そうな表情をする。私が名前を知っている理由が例の噂だと思ったのだろう。

 

 

「なに、心配しなくていい。噂のことなど欠片も信じていない。師範代から聞いていただけだ。」

 

 

続けて、

 

 

「そして私に会いに来た理由もわかっている。」

 

 

そう、なぜ来たかもわかっている。前置きなど不要だろう?

 

 

「試合しに来たのだろう?」

 

 

単刀直入に告げるとあいつは驚いたような顔をする。まったく、白々しい。

そのつもりで来たことなど姿を見ればわかる。右手には竹刀を握ったままであり、審判をできる束を連れてきている。

 

 

「ちg「なるほど‼そういう友情なんだね‼いいね~青春だね~。」

 

 

束も珍しく乗り気である。

 

 

「だから、ちg「ほーう、お前たち試合をするのか。」・・・」

 

 

いつの間にか師範代も来ていた。師範代が持ってきたであろう防具もある。

 

 

「では10分後に開始とする。二人とも準備を開始しろ。」

 

 

その言葉を聞き、私は準備を開始した。

 

 

準備が終わり、お互い構えをとる。いつの間にか他の門下生が集まっていた。

 

 

「時間は5分。一本先取とする。」

 

 

一本先取。実力差があるとはいえ一瞬の隙が勝敗を分ける。

 

 

「では・・・・・・」

 

 

空気が張り詰めていく…

足に力を加えていき、

 

 

「始めッ‼」

 

 

開始とともに一気に前に出る。あいつは一切動かず、待ちの構えだ。

私は一太刀目を繰り出す。あいつはそれを剣で受け止め、距離を取ろうとするが逃がさない。

二太刀、三太刀と続けざまに上段に放つ。受け止められるが想定内である。

 

(待ちの姿勢をとったのは正解だったが私には通じんっ‼)

 

刈り取るように下段へ四太刀目を振るう。

 

 

「ッ!?」

 

 

ギリギリのところであいつは防ぎ、距離をとる。

今の攻撃から深追いするのは危険なため距離をとらせた。

 

(今のを防ぐとはかなりの反射神経だな。)

 

正直、今の攻撃で終わると思っていた。もちろん油断などしていなかったし、全力だった。

しかし、あいつは思っていた以上に素早いようだ。

 

 

(フッ、面白い‼この程度で終わりなど興ざめだからな。)

 

あいつは変わらず待ちの構えだ。いいだろう、その守り砕いてやろう。

私は一息置き、再び接近する。今度は連続性ではなく、一撃に重みを置いて振るう。

さっきと同じように受け止めようとするがそうはいかない。

竹刀がぶつかった瞬間あいつが体制を崩しかける。そこに続けてもう一太刀加える。

 

 

「ッ‼」

 

 

竹刀が横なぎに入り、あいつの体が二メートルほど動く。

 

 

「決まったっ!?」

 

 

ギャラリーからそんな声が聞こえるがまだだ。

あいつは竹刀をギリギリではさみ、自ら飛んで距離をとったのだ。

 

(私の攻撃を利用するとは…)

 

普通ならばそんなことはできない。

しかし、あいつは持ち前の反射神経と機転によって窮地を脱したのだ。

次こそ決めてやろうと私は再び接近した。

 

 

試合開始から4分が経過し、いまだに勝負はつかない。

決まりそうな場面はいくつもあったのだがそれをあいつはおよそ剣道に程遠い動きで紙一重で躱していったのだ。

 

(まったく、本当にたいした反射神経だ。)

 

あいつは依然待ちの構え。ここまで一本も攻撃してきていない。

 

(いったい何を考えている?)

 

防げてはいるものの攻撃しなければそれも意味をなさない。

まさか勝気がないのか?そんな考えが頭をよぎるが

 

(いや、それはない。)

 

即座に自分で否定する。あいつは策を練ってきたはずだ。

それらしいものは今だ出していない。つまり、チャンスを伺っている。

それがどんな策かはわからないが、

 

(それすらもやぶり捨てるまでだッ‼)

 

もう何度目になるかもわからない接近をする。

一太刀、二太刀、三太刀、四太刀と連続で攻撃し、相手になにかさせる暇を持たせない。

そして五太刀目・・・ついに完璧な隙が生まれた。

 

(終わりだッ‼)

 

わたしはそこへ六太刀目を加える。今回ばかりはこいつの反射神経でも間に合わないだろう。

その一太刀は必ずあたり仕留めるであろうまさに必至の一撃だった。

 

 

「ッ!?」

 

(何ッ!?)

 

 

それをこいつは・・・・避けた。

私の一撃はこいつのすぐ隣を紙一重ですり抜けていく。

そしてこいつはすでに攻撃の構えを取り始めている。

 

(やられたッ‼これがこいつの策か‼)

 

こいつは今までの速さが全力だと思わせるためにあえてこの時間までギリギリで避けていたのだ。

速さはそこまで変わらないが、この決定的に思われる場面での解放。効果は絶大である。

 

 

(くっ‼間に合うか・・・?)

 

敵はすでに攻撃をする直前。防御は間に合わないためこちらも続けざまに攻撃を仕掛けようとする。

そして・・・・

 

 

『バシンッ‼』

 

 

互いの竹刀が同時に相手をとらえる。

 

(どっちだ!?)

 

師範代の方をみる。

観客の視線も師範代の方に向いている。

 

 

「勝者・・・・・・・」

 

 

場の緊張が高まっていく・・・どっちだ?

 

 

 

「織斑千冬‼」

 

 

私の勝利だった…

 

 

あいつの方を見るとわかっていたのか特に落ち込んでいる様子はない。

この試合で私のこいつへの評価はさらに高まった。

 

結果的には私の勝ちだったが最後の場面は完璧な五分五分だった…

実力差のある私相手にこいつはそこまでもっていったのだ。

 

(まったく、大した奴だよ。ほんとに。)

 

私はこいつの成長が楽しみで仕方がなかった。




しゅ、主人公TUEEE!!
ついに力を発揮した主人公。
彼はどこまで強くなれるのか…

戦闘描写ムズイ・・・(´・ω・`)
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