~E・S~転生者は永遠を望む   作:ハーゼ

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主人公サイド~


第十六話 ライバル(裏)

「時間は5分。一本先取とする。」

 

 

気が付いたら試合直前。

あれよあれよという間に準備をさせられた。

そして他の生徒さんも集まってきていた。もうやだ・・・・

 

 

『いい?雄くんじゃちーちゃんに普通に勝つのはまず無理だから防御に専念だよ。』

 

 

そして思い出されるは準備中の束のアドバイス。

勝てないとわかる相手とやるというのがさらに辛い状況だ。

 

 

「では・・・・・・」

 

 

『狙うは攻撃後の一瞬の隙。自分から攻撃なんてしたら終わりだからね。』

 

 

しかし束がアドバイスをくれたのだから簡単に負けてやるつもりはない。

 

 

「始めッ‼」

 

 

(よっしゃ、来い‼)

 

俺は防御の構えをとり、同時にちーちゃんが仕掛けてくる。

 

(ッ!?速っ!?)

 

あわてて動こうと思ったら既にちーちゃんは目の前まで来ている。竹刀が振るわれる。

 

(ぐっ!)

 

ギリギリ防御は間に合ったが安心はできない。距離を取らなければ…

 

しかし、相手がそんなことを許してくれる訳がなかった。二撃、三撃、と上段を狙った追撃が来た。なんとか防いでいるが反撃をする余裕などない。

 

(おいおい!攻撃後の隙なんてどこにあるんだ!?)

 

 

四撃目、下段に刈り取るような一撃がくる。

 

 

「ッ!?」(そこで下かよ!!)

 

 

上段に気をやっているとこに下段。

 

間に合え・・・・‼

 

 

(ギリチョンセーフ‼)

 

 

ギリギリ防ぐことに成功。そのまま距離をとる。

ちーちゃんも今の攻撃ばかりは追撃の余裕がないらしい。

 

(あっぶねぇ…)

 

しかし今のは体が勝手に反応したという感じだ。偶然に過ぎない。

 

(反撃なんて考えている暇ねぇ…)

 

俺は反撃という考えを捨て、100%防御に専念することにする。

勝つ可能性を捨てているかもしれないが、そうでもしなければ次はない…

 

 

そして再びちーちゃんが接近してくる。凄まじい速度だがもう驚きはしない。

そして先ほどと同じような一撃目。こちらも先ほどと同じように受けようとし・・・

 

(おっもっ!?なんつう火力とパワーだよ‼)

 

先ほどと違い俺は全力で防御に専念していたのに体勢が崩れかける。

そして当然のごとく二撃目が来ている。

竹刀は間に合うがそれだけでは次が持たない。

 

 

「ッ‼」(容赦ねぇな、おい!)

 

 

とっさに竹刀で防ぎ、地面を蹴って自ら飛ぶ。衝撃は俺を加速させる。

自らの力とちーちゃんの力によって俺は二メートルほどとび、離脱に成功する。

 

 

「決まったっ!?」

 

 

ギャラリーからみたら決まっているように見えたののだろう。そんな声が聞こえた。

しかし、俺はまだやられてない。

 

(マンガ見ていて助かった…)

 

今のは自らとんで衝撃を殺すというどっかのマンガで見たやつだ。

成功したのはこの体の適応力とちーちゃんの圧倒的な力が加わったからだ。

 

(なんとかなったがもう使えないな…)

 

この技はちーちゃんのパワーを前提とするため、一度見せると力の調整を行われて使い物にならなくなるだろう。

 

 

そんなことお構いなしにちーちゃんは接近してくる。

 

(弱音吐いてる場合じゃないな。)

 

しかし、俺にできることは再び防御に100%専念してつなぎとめることだけだった。

 

 

(何分・・・たった・・・?)

 

 

俺は防ぐことで手一杯で時間の経過もわからなかった。

 

 

(少なくとも3分は経っているよな・・・)

 

 

もう何度目になるかわからないピンチを紙一重で切り抜けつつ、考える。

 

 

(なのになんで・・・・疲労のかけらも見えねぇ・・!)

 

 

こちらは満身創痍。疲労で限界が近く、全身汗でびっちょりだ。

 

たいしてちーちゃんは試合開始直後と変わっているように見えない…

試合開始直後からずっと攻めてきているのに攻撃の切れは変わらないし、隙も見せやしない。

 

 

(疲れって言葉を知らねぇのか!?)

 

 

ちーちゃんの猛攻をなんとか防ぎながら思う。

 

 

(どうやって勝てっていうんだよ‼こんなの勝てるわk『パシッ!』しまった!?)

 

 

俺は竹刀をはじかれ体制が完璧に崩れた。余計な思考と疲労により防御が甘くなってしまった。

 

そこに迫るはとどめの一撃。その一撃は確実にこの試合を終わりにするだろう。

 

 

(クソッ!?動けっ‼)

 

 

無理とわかっていても避けようとする。

 

 

(間に合わな・・・・)「ッ!?」

 

 

攻撃が当たると思われたその直前俺は掻いていた汗によって足を掬われた。

疲労によって踏ん張る力が残ってなかった俺は一切の抵抗なく体がガクンと崩れ・・・・

 

 

 

攻撃が今立っていた場所を通過していく。

奇跡が起きた。さすがのちーちゃんもこれには動揺している。

 

 

(今しかない‼)

 

 

俺はその攻撃するチャンスを逃さないべくすぐさま攻撃の構えをとる。

ちーちゃんもすぐさま次の攻撃をしようとする。タイミングは五分五分といったところ。

 

 

(さすがだな…)

 

 

いくら俺が無理な体勢から打つとしてもこの状況で五分五分までもっていくちーちゃんには賞賛しかない。

 

そして・・・

 

 

『バシンッ‼』

 

 

互いの竹刀が同時に相手をとらえた。

 

 

(やっと一撃・・・)

 

 

勝敗は分からないが俺は何より一撃入れられたことがうれしかった。

これでアドバイスをくれた束に顔を合わせられる。

 

 

「勝者・・・・・・・」

 

 

(よかったよかった。一回も攻撃できずに負けなんてならなくて。)

 

 

「織斑千冬‼」

 

 

勝負はやはりちーちゃんの勝ちだった。

打つタイミングが五分五分だったが振る速度がちーちゃんにかなわなかったのだろう。

まぁ、なかなか頑張ったんじゃないかな?

 

それから終わりの礼をお互いして下がった。

 

 

 

 

 

 

「いや~勝てなかったわ。情けないことにやっとこさ一撃だった。面目ない。」

 

 

雄くんが戻ってきてまず言ったことがそれだった。

申し訳なさそうに私に謝ってきたが、

 

 

(自分がどれだけすごいことしたかわかってないんだろーなぁ…)

 

 

今の勝負は誇ってもいい内容だった。

あのちーちゃんの猛攻を耐え抜き、一撃入れたのだ。

 

 

(しょうがない自分がなにしたか教えてあげようかな)

 

「せっかく束がアドバイスくれたのに・・・・」

 

 

と思ったがショボンとしている雄くんが可愛いので黙っておく。

そして、

 

 

「ほんとだよ。せっかく束さんがアドバイスしてあげたのに負けるなんて、プンプン。」

 

「ぐっ!面目ない・・・」

 

 

ちょっと追い打ちをかけてみる。

キャーッ‼シュンとする雄くんか~わ~いい。

じゃあ、これはどうかな?

 

 

「束さん雄くんを信じてたのに・・・」シュン

 

 

悲しんだフリをしてみる。

 

 

「ご、ごめん・・・次はもっと頑張るからさ・・えぇと・・あれだ・・」

 

 

ふっふっふ。焦っておる焦っておる。(ゲス顔)

 

 

「そんなことでは束さんの心は癒やせません・・・」

 

「えっ!?じゃ、じゃあ、どうすれば元気出してくれる?俺にできることならやるからさ。」

 

「束さんのお願い事を一つ聞くのです。そうすれば情けなかった雄くんを許しましょう。」

 

 

計画通り。このままいけば雄くんは私のいうことをきいてくれるだろう。

クックック。何をお願いしようかな?

 

 

「その辺にしておけ。」

 

 

ゴツッという音が私の頭からした。痛い・・・

 

 

「もぉ~、何するのちーちゃん!いいとこなのに。」

 

「お前がこいつを騙そうとしているからだろう。お前も気をつけろ。今のは演技だ。」

 

「えっ!?」

 

 

ぐっ!邪魔が入った。雄くんも不審がっている。

 

 

「そんなことないもん。束さんは本当に雄くんが情けなくてなさけ・・・」

 

ちーちゃんが拳を握って少し振り上げる。

 

「うっそピョーン‼雄くんはとてもよくやっていたよ。もうね束さんが誇りたいぐらいに、うん。」

 

 

ちーちゃんの拳骨をもう一発なんてゴメンだよ。すっごい痛いんだから。

 

 

「えっ!?でも俺は終始押されっぱなしだったし・・・」

 

「いやいや、ちーちゃんの攻撃をずっと防ぎ続けたことがすごいんだよ。この道場ではそんなことできるのは3人いないんじゃないかな?」

 

 

ちーちゃんの攻撃はそれほど激しいのだ。近づけさせないなどの戦法ではなく耐え続けるなんてのはそうそうできるものではない。

 

 

「まじで?」

 

「事実だ。自分で言うのもなんだが私とお前では実力差がある。それをあそこまでもっていったのだ。誇ってもらわねばこちらが困る。」

 

「そうそう、実は束さんは最初の連撃でやられると思っていたからね。それを覆したんだから誇っていいんだよ。」

 

 

私は本当に最初で終わりだと思っていたし、練習を見る限りそれが雄くんの実力だった。

しかし、雄くんは耐えた。それも何回も耐えたのだ。これは偶然ではない。

これが意味することは試合中に成長していたということだ。

実際雄くんの動きは時間が経つごとによくなっていた。

 

(まったく、ほんとに面白いよ雄くんは)

 

 

 

 

 

 

試合が終わって束とちーちゃんと話すと俺はどうやら結構すごいことをしていたらしい。

これも修行の成果なのだろうか?

 

 

「そういえば、雄くんはちーちゃんにはなしがあるんじゃないの?」

 

「あっ!?・・・」

 

「む?はなしとはなんだ?」

 

 

そうだった。ちーちゃんと友達になるために来たんだった。

それがなんで試合をしてんだ…

 

 

「織斑千冬さん。俺と友達になってください‼」

 

 

俺は頭を下げて手を前に突き出す。

なんか告白みたいだな…ドキドキしてきた…

 

 

そうしてドキドキしてると誰かが俺の手を取る。

顔を上げるとちーちゃんだった。

ちーちゃんの手はとても柔らかく、暖かかった。

 

 

「もちろんだ。しかし今さら言われるとは思っていなかったぞ。」

 

 

そういってちーちゃんはふふっと笑う。

確かに試合してさっきまで自然に喋っていたのだから今さらかもしれない。

俺も少し笑ってしまう。

 

 

「そうかもな。でもこういうのって大事だろ?だから改めて、俺は暮見雄二。よろしく。」

 

「私は織斑千冬だ。よろしくな雄二。」

 

 

俺たちは握手しながら自己紹介する。それにしても・・・

 

 

「ちーちゃんの手はすごく柔らかいな。」

 

「なぁっ!?」

 

 

あれだけ剣を振っているのにとても柔らかい。それに

 

 

「それに笑うとすごくかわいいしな。」

 

 

さっきの笑顔はよかった。真面目そうなちーちゃんの顔が柔らかい表情になるギャップだろうか?

 

 

「・・・・・・・」

 

 

ちーちゃんがうつむいてプルプル震えている。

 

 

「ちーちゃん?どったの?」

 

 

どうしたのか聞くと・・・

 

 

「ち、ちーちゃん言うなぁ‼」

 

「へぶしっ!?」

 

 

顔を真っ赤にしながら殴られた。なぜかそのあと束に追撃された。




ちーちゃんが仲間になりました。
今回それだけ。
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