~E・S~転生者は永遠を望む   作:ハーゼ

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日常パートがもうちょっとだけ続くんじゃ。
主要キャラ一人一話ぐらいはやるかもです。


第二十一話 悩める乙女

ある日の昼食、事件は起こった・・・・

 

 

私は今友人の忍野(おしの)あずさと一緒に昼食をとっている。

 

 

「千冬ってさ・・・・・・暮見くんのこと好きなの?」

 

「ブフッ!?な、何を急に!?」

 

 

あずさの余りにも唐突な言葉に飲んでいたお茶を吹き出してしまった。

そしてそれは友人の顔に直撃した…

 

 

「す、すまない!しかし、お前がそんなこと言うからだぞ。」

 

「いえいえ、御馳走様です。で、どうなのさ?」

 

 

そう言って口周りについているお茶をなめとりハンカチで顔を拭きながら先ほどの続きを催促してくる。いや、ごちそうさまはおかしいと思う・・・私の周りには変態ばかりいる気がする…

 

 

「ンッンッ!質問を質問で返して悪いがなぜそう思った?」

 

 

気持ちを落ち着けるため咳払いをしながらなぜそんな風に思ったのか聞いてみる。

 

 

「ん~とね、だって千冬って暮見くんとすごく仲いいじゃん?それに千冬があんなに仲良さそうに話す男子って暮見くんぐらいじゃん。だからそうなのかなって。」

 

 

なるほど・・・・そういうことか…

確かにその話だけ聞くとそう思うのも不思議ではない。

 

 

「別に雄二はそういうのではない。ただ小さいときからの腐れ縁というやつだ。」

 

「そうなの?暮見くんかっこいいのに何とも思わないの?」

 

「確かにあいつは容姿も頭もよく、おまけに気は利くし、料理もうまい奴だが昔から一緒だからな。」

 

「えぇ~!それが普通なら贅沢な話だな~」

 

 

確かにと私は思う。言っていてなんだが、こんないい男他にはいないのではというほどの条件だな。しかしまぁ、そういうのではないと思う。いい奴だが。

 

 

「でもそっか~、千冬は暮見くんのことLOVEじゃなくてLIKEなのか~。そっかそっか。」

 

「そんなにうなずいてどうした?」

 

 

うんうん、とうなずくのが気になり聞いてみた。

 

 

「いやそれってさ、私が暮見くんのこと狙ってもいいってことじゃん?」

 

「ゴホッゴホッ!」

 

 

今度はお茶が変なところに入ってせき込む。

 

 

「あ、あいつのことが好きなのか?」

 

 

あずさは女の私から見ても魅力的だと思う。髪はふわっとしていて、顔はとても可愛らく、控えめな身長がそれをさらに引き立てている。しかし、出るとこは出ている。

そんな男子の理想が実現したかのようなこの友人があいつに気があるというのに驚いた。

 

 

「そんな以外?暮見くんって魅力的じゃん。千冬は知らないかもしれないけど暮見くんを狙っている女子ってこの学校中にいるよ。中にはわざわざ近くの中学選ばずにここに来た子もいるとか。」

 

「・・・・」

 

 

し、知らなかった。雄二はそんなにモテていたのか。そんな素振りまったく見せていないが…

しかも学校外にもファンがいるのか…しかし、そこで私は疑問に思った。

 

 

「あいつは学校外では悪い噂ばかり流れていたと思うがなぜ学校外でも人気がある?」

 

 

そう、あいつは昔からよく勘違いされて変な噂ばかり流れている。

最近聞いた噂は他校の不良と喧嘩しまくって無傷で全戦全勝する化け物とか聞いたな。

実際はカツアゲにあっている生徒を助けただけらしいが。

 

 

「あ~、確かに怖い噂はよく聞くけど暮見くんと話せば誤解だってすぐわかるし、その噂の強さや悪さに惹かれてくる人もよくいるとか。」

 

「そ、それでは本当のあいつを知った時がっかりするのではないか?」

 

 

そういったものに惹かれているのなら十分あり得る話だ。

 

 

「それがね、優しい暮見くんを知ったら知ったで惚れちゃうんだって。まぁ、確かにわからなくもない。あの顔で優しく語りかけてくるんだもん、キュンと来ちゃうよね。」

 

「・・・・」

 

 

そうくるのか…

 

 

「ではお前もあいつの笑顔に惹かれたのか?」

 

 

しかし、あずさは人を見た目だけで判断する子ではないことは知っている。

その子がなぜと思い、聞いてみる。

 

 

「まぁ、かっこいいってのは確かにあるけど・・・・その、あることがきっかけで好きになっちゃって・・・」

 

 

恥ずかしそうに頬を赤らめるあずさ。完璧に恋する乙女だった。

 

 

「あることとは?」

 

「それはね、去年の体育祭の時の準備の時にね・・・」

 

 

私が聞くとあずさがぽつりぽつりと語り始めた。

 

 

去年・・・

 

 

「これ重いな…」

 

 

体育際の実行委員だけで準備しているときがあったんだけど、準備中私は重い荷物を運べなかったの。そんな時だったな彼が来たのは

 

 

「おいしょっと!」

 

 

私が持てなかった荷物を彼は片手で悠々と持ち上げたの。

 

 

「あっ、ありがとう。」

 

「気にしないでいいよ。え~っと、忍野さん?だったよね。俺は同じクラスの暮見雄二。」

 

 

その時に初めて話したけど私は彼のことは知っていた。悪い意味でなんだけどね。

当時は確か学校外で暴れまわっている鬼とか言われてたっけ?

 

 

「なんで暮見くんはここにいるの?」

 

 

そんな不良が実行委員でもないのになんで準備を手伝っているのかなと思って聞いたの。

まぁ、どうせバカやっているのがばれたからバツとしてやらされてるんだと思った。

 

 

「手伝って欲しいって頼まれたんだよ先生と実行委員長さんに。」

 

「頼まれた?なんで?」

 

 

その時私は白々しいと思ったの。あくまでも自分の意志で参加したと言い張る彼がかっこつけたいんだなってあきれた。

 

 

「う~ん、なんか知らんけど昔からよく頼まれごとされるんだよね俺って。恩師の先生には遠回しに君には雑用の才能があるよって言われたし、それのせいかも。」

 

「なにそれ。意味わかんない。」

 

「だよね、俺にもよくわかないんだこれが。」

 

 

そういう彼の顔は苦笑いでちょっと面白かったのを覚えている。

 

 

「おーい暮見ー。ちょっとこっち手伝ってくれー。」

 

「はーい、今行きまーす。じゃ、そういうことだから行ってくるわ。またあとでね忍野さん。」

 

 

そういって彼は他の手伝いにいったわ。それから彼をたまーに見るとさっきとは全然違うところで作業してたり、あっちこっち行ってよく頑張っている姿を見たの。

 

(本当に不良なのかな?)

 

私はそう思ってた。

それでしばらくすると彼が私の方の手伝いに来たから聞いてみたの。

 

 

「暮見くんってさ不良っぽくないよね。やらされているのにそんなにがんばちゃってさ。」

 

「あぁ、その話ね。俺が言っても信憑性ないけどそれはただの噂で俺は別に不良じゃないよ。」

 

 

私はその時少し見直してたのに軽蔑した。それが嘘だと思ったから。

 

 

それからしばらくして私が壁に寄り掛かって休んでいる時だった。

 

ビュオンッ‼

 

「危ない‼落ちるぞ‼」

 

「え!?」

 

 

強風が吹き、誰かの声が聞こえて上を見ると鉄パイプが私の上に何本も落ちてきていたの。

どうやらつるして運んでいた鉄パイプが強風によってバランスが崩れ、落ちてしまったみたい。

 

 

「!?」

 

 

とっさのことで私は避けることができなくて思わず怖くて目をつぶった。

しかし一秒、二秒、三秒と時間が経っても衝撃も痛みも襲ってこなかった。

 

(助かった・・・の?)

 

奇跡的に全部外れたのかもしれない。そう思って私が恐る恐る目を開けると

 

 

「大丈夫?怪我ない?」

 

 

頭から血を流した暮見くんが目の前にいたの。

 

 

「ッ!?キャーッ‼」

 

 

突然のことで急いでその場から逃げたわ。

それで少し離れて暮見くんの周りに落ちている鉄パイプを見てわかったの。

彼が庇ってくれたんだって。私は急いでお礼と謝罪をしようとしたんだけど先生たちが事故にあった暮見くんと私のところに集まっちゃって話せなかったの。

暮見くんはケロッとしていたんだけど先生に連れてかれちゃったしね。

 

 

(私なんてことを・・・・暮見くんのこと酷い人だと勘違いしていた・・・)

 

 

もうその時の罪悪感はすごかった。命の恩人に失礼なことしてしまったしね。

 

それから暮見くんと話せたのは一時間後だった。

保健室で私は二人きりで話した。

 

 

「その・・・けがの方は大丈夫・・・?」

 

「あぁ、大丈夫大丈夫。何本かはじき損ねたのが当たっただけだから。ほんとだったらもう帰りたいとこなんだけど迎えが来るまでダメなんだってさ。大丈夫って言っているのにね?」

 

 

暮見くんの言っていることはちょっとおかしかったがとにかく元気そうでよかったと安心したが、同時にはやく謝らなければとも思った。

 

 

「く、暮見くんごめんなさい‼暮見くんが助けてくれたのに私・・・悲鳴なんてあげて・・・」

 

 

暮見くんはそれを聞き、少しキョトンとするが納得したのか

 

 

「いやいや、気にしなくていいよ。誰だって頭から血をダラダラ流しているやつがいたらそうなるしね。女の子ならなおさらだよ。それよりほんとにケガしてない?さっきは聞けなかったから心配でさ。」

 

 

この人何言っているんだろうって思ったね。馬鹿なのかとも思った。

だって頭に包帯巻いてる人が絆創膏すらつけてない私の心配をするのだから。

 

 

「え?・・・・うん、おかげさまで無事です。あっ!?ごめんなさい。まだお礼言ってなかった!?本当にありがとうございました。」

 

「いいのいいの、別にお礼とか。俺がやりたくてやっただけだからさ。それより怪我がなくて何よりだよ。勝手に突っ込んだのに守れてませんでしたとか、かっこ悪いことにならなくて良かった。」

 

 

わけがわからなかった。助けたことを誇るのでもなく

 

 

「忍野さんわざわざありがとね様子見に来てくれて。この通りピンピンしているから気にしないで帰っても大丈夫だよ。」

 

 

助けた私に何か見返りを求めているわけでもない。

混乱したねもうそれは。

で、なにを思って口走ったのか私の言ったことは

 

 

「私ってそんなに魅力ない?」

 

 

だった。今思うとほんとに何言ってんだって思う。

でもその時の私は何も見返りを求めない暮見くんに腹が立ったんだと思う。

 

自分で言うのもなんだけど私は結構可愛い部類に入ると思う。

男子たちも私のことをよく見ているし、可愛いとよく言われ、自信があった。

だからそんな私に一切見返りを求めないのにきっと腹が立った。

 

そんな彼がいった言葉は・・・

 

 

「魅力がない?君は鏡を見ない人なのかい?俺からしたら君はすごく可愛らしくて魅力的だと思うけどね。特に教室でたまに見る君の笑顔はとても楽しそうで周りも明るくなるしね。自信をもっと持ちなよ。って言っても俺からじゃ説得力ないか…」

 

 

べた褒めだった。笑顔で平然とそんなことを言ってくる。

しかも、

 

(見た目だけじゃなくていつもの私のこともちゃんと評価してくれている。)

 

よく見てないと分からないであろうことまでさらりと言ってくる。

そんなの・・・・・

 

 

(反則だよ・・・・不意打ちすぎる・・・・)

 

 

私は自分の顔が熱くなっていくのがわかり、恥ずかしくなってそのあとすぐに帰った。

 

 

「その次の日からね、暮見くんのこと無意識のうちに目線で追うようになったのは。それでしばらくして私、暮見くんのこと好きなんだなーって気づいたの。」

 

 

ベタかなといいながらあずさは恥ずかしがる。

そして私は思い出した。

 

(そうだった・・・あいつは天然ジゴロだった・・・)

 

あいつは日ごろから可愛いとか平気で言うようなやつなのだ。

そして整った容姿。なんでもそつなくこなす器用さ。

 

(なるほど・・・考えれば考えるほど雄二がモテるのは必然だな・・・)

 

最初は半信半疑だったが今では納得している自分がいる。

そしてなぜか焦燥感にかられている。

 

(私は何を焦っているんだ?)

 

頭をぶんぶん振って気を落ち着けさせる。

 

 

「千冬?どうしたの急にヘッドバッドして。バンドでも始めんの?」

 

 

あずさが気になったのか聞いてきた。

 

 

「別に何でもない…。それよりもあずさ。がんばれよ。」

 

 

あずさの肩に手を置きがんばるよう伝える。

 

 

「う、うん!私頑張るよ!そうときまれば善は急げだね。私、きょ、今日告白する‼」

 

 

その言葉を聞いた瞬間胸を締め付けられたような気分になる。

 

 

「・・・・そうか。成功するといいな。」

 

 

その中で絞り出せた言葉はそれだけだった…

 

 

 

 

 

 

「ダメだった…」

 

 

次の日の朝にあずさにそういわれ、私は頭が真っ白になる。

まさかと思い聞いてみる。

 

 

「断られたのか?」

 

「・・・・うん…」

 

 

あずさほどの女子がなぜ?

私の頭は疑問でいっぱいだったが何故だか安堵している自分がいた。

そんな自分に腹が立つ。なぜそんなことを思う…

 

 

「好きな子がいるみたい…」

 

 

その言葉を聞いた瞬間再び私の胸は締め付けられる。

昨日の時よりもはるかに強い締め付け…

 

(あぁ、そうか・・・)

 

そしてなぜ締め付けられるのか、なぜ安堵していたのかがわかった。

 

 

(私はあいつのことが・・・・雄二のことが好きなのか…)

 

 

いつからかはわからない。

もしかしたら初めて喋った日かもしれないしそれより前の初めて見たときかもしれない。

それか、一緒にいるうちにいつの間にか…

 

それは分からなかったが自分が暮見雄二に好意を抱いているというのはわかった。

 

 

「そうか・・・」

 

 

それを理解した私にはそれしかいうことができなかった…

 

 

その日の帰り。今日は束がサボっているため、私と雄二は二人っきりで帰っていた。

 

私はボーっと隣を歩く雄二を見つめていた。

 

(私はこいつのことが好きなのか…)

 

そんなことをふと考えてしまう。

 

 

「ッ!?」

 

 

そんな時だった。私が躓いて転びそうになったのは。

いつもだったらあり得ないことだ。

 

 

「うおっと‼」

 

 

あともう少しで転ぶというところで雄二の手が私の体を抱いて止める。

 

 

「大丈夫ちーちゃん?めずらしいね転びかけるなんて。それに今日はずっとボーっとしてるし。なにかあった?」

 

「すまない・・・まぁ少し考え事をな…」(何をやっているんだ私はっ‼)

 

 

自分の不注意さに腹が立つ。そんな心境なのに雄二の手が私に触れていると思うとどうしようもなく鼓動が早くなる。単純すぎて恥ずかしくなる。

 

 

「そうなの?まぁ、気を付けてね。」

 

 

そういって雄二が私から手を放そうとした瞬間、

 

 

『好きな子がいるみたい…』

 

 

その言葉が脳裏に走り、思わず雄二の服の袖をつかんでいた。

 

 

「ちーちゃん?」

 

「お、お前はその・・・・す、好きなやつとかは・・・いるのか・・?」

 

 

誰が好きなのか聞いとくべきだと思った。というよりも聞かなければこの胸の締め付けがなくならないと思った。聞いて楽になりたかった。

 

 

「好きな人?恋愛相談かなにか受けたの?」

 

「いいからはやく答えろ!私はお前に聞いているんだ。」

 

 

思わず声が大きくなり、せかしてしまう。

はやく・・・・・はやく・・・・

 

 

「わ、わかったよ。え~っと、LOVEの方でしょ?それだったらいないけど。」

 

「はっ?」

 

 

久しぶりに私はこんな間抜けな声を出したと思う。

 

 

「し、しかしお前は好きな奴がいるからあずさの告白を断ったんじゃないのか!?」

 

「え!?なんで俺が告白されたの知ってるの?」

 

 

しまった・・・思わず言ってしまった…

 

 

「え~っと・・・それはだな・・・・」

 

「あっ!なるほど。そういえばちーちゃんは忍野さんと仲いいもんね。相談していてもおかしくないってことか。でもおかしいなぁ。俺は好きな子いるからなんて言って断ってないんだけど?」

 

 

ちょっと待て。それじゃあ辻褄が合わないではないか。

いやまてよ・・・まさか・・・・

 

 

「雄二。ちなみにお前はなんて言ったんだ?」

 

「えっ?確か『ゴメン。忍野さんはとても魅力的だけど今はそういう風に見れないんだ。今は他のことで頭がいっぱいだから。』だけど。」

 

「他のこととは?」

 

「そりゃあ、もちろんIS作成に修行に家事でしょ、あとは一夏と箒にも構ってやる時間だろ。あとはよく頼まれごとされるから時間がいくらあっても足りないんだ。」

 

「お前はそれをあずさにちゃんと言ったか?」

 

「・・・・・あっ!?そういうことか!」

 

 

はぁ~、結局いつもの勘違いだった。

 

 

「なんか迷惑かけちゃったみたいだね。ごめんちーちゃん。忍野さんには明日俺からちゃんと伝えようと思う。」

 

 

元凶のこいつは納得がいったのかすっきりした顔で謝ってきた。

 

 

「あぁ、本当に迷惑だった・・・ぞ‼」

 

「グヘァッ!?」

 

 

とりあえず雄二を殴り飛ばしておいた。その後は放置してさっさと帰宅する。

その足取りは軽やかで胸の締め付けもいつの間にか消えていた。




主人公がいつの間にか主人公していた件について。
そしてついにちーちゃんを開花。
おかしい・・・プロットにはこんな展開なかったはずだ・・・・
どうしてこうなった・・・・

そしてさらりと重要キャラでもないのに名前をもらった忍野あずさちゃん。
これでネームドは鈴木に続き二人目ですか…
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