皆様ありがとうございます。
「ついにここまで来たんだね・・・」
「あぁ、ついにここまで来たんだ・・・」
「やっとか・・・・まさかお前たち二人でもこんなにかかるとはな・・・」
束、俺、ちーちゃんはあるものを目の前に話していた。
薄々気が付いていると思うが
「【インフィニット・ストラトス】、通称【IS】。ついに完成だよ。」
束が最後のパーツをつけながら言う。
そう、ついにISが完成したのだ。
「ここまで来るのにずいぶん時間をかけたな。俺達もう17になるぞ。」
「何度もプログラム書き換え直したからねぇ~。」
何度も試行錯誤し、ISはやっと完成した。
俺達はもう17歳になり高校二年だ。
「まったくだ。お前たちが納得いくまでデータを取らされたこちらの身にもなれ。」
「いや~その節は迷惑かけたね~。」
ちーちゃんはそういいながらもどこか嬉しそうだ。
ISはちーちゃんに協力してもらった運動データなどをもとに設計されているため、理論上ちーちゃんほどの人類最高峰の人が全力で扱ってもいいようになっている。
「まぁまぁ、苦労話はあとにしてさっそく動かしていこうよ。」
束の言うことはもっともである。動かなければまたやり直さないといけない。
「それもそうだな。じゃあ、ちーちゃん。頼むわ。」
ちーちゃんはいわゆるテストパイロットだ。
俺と束はデータのチェックなどの関係でモニタリングである。
「では、いくぞ・・・・」
ちーちゃんがゆっくりとISに手を伸ばす。
緊張のひと時だ…
(頼む!動いてくれ!)
俺と束は祈るように見つめる。
そしてちーちゃんが触れた瞬間・・・
『インフィニット・ストラトス起動開始します。』
機械音声が流れ、起動の成功を告げる。
しかしまだ喜ぶことはできない。
「ちーちゃん、そのまま装着してくれ。」
次は装着による不具合がないかだ。
ちーちゃんは俺の指示どうりISを装着を開始する。ISが自動でちーちゃんに装着される。
そしてISは装着者に合わせて自動フィッティングされるためサイズの問題もない。
「装着完了。バイタルオールグリーン。束、そっちはどうだ。」
「こっちも問題なし。ちーちゃん、数値上安定してるけどどう?」
「こちらも問題ない。」
手を閉じたり開いたりしてそういうちーちゃん。
よし、第二段階クリア。
次の段階に進む。
・
・
・
・
「次の飛行テストでラストだ。頼むよ、ちーちゃん。」
「任せておけ。」
ここまでは全て問題なかったがこの最後の飛行テストが一番重要だといっても過言ではない。
これが成功しなければISは翼へとなりえないからだ。
(ここまで問題なくやれた。大丈夫、大丈夫だ。)
言い聞かせるように心の中で大丈夫と繰り返す。
束を見ると不安なんかないといった表情だ。
そしてそんな束が正しいと言わんばかりにちーちゃんは悠々と飛び上がる。
空中で一旦静止し、再び空を飛び始める。
数値も何も問題はなく、俺の杞憂に終わった。
「やったね・・・雄くん」
「あぁ、俺達やったんだ・・・・束」
二人で空を飛ぶちーちゃんとISを見てしみじみと話す。
空を飛ぶちーちゃんの姿はまるで妖精が踊っているようだった。
★
「ちーちゃん、そろそろ降りてきて。」
『わかった。』
そういうとちーちゃんが下りてきた。
これですべての動作確認を終え、ISが完成した。
「どうだった!?ちーちゃん、ISの乗り心地は?」
私は気になっていることを聞いてみた。
「とてもよかったよ。まるで本当に翼があるんじゃないかと思った。」
ちーちゃんの顔はとても晴れやかで満足そうな顔をしていた。
これは私も早く乗りたい!テストも終わったから私も乗ることができる。
「雄くん、雄くん!」
「わかってる。乗りたいんだろう?俺がモニタリングしとくから思う存分乗れ。」
さすが雄くん。みなまで言わずともわかってくれる。
「やったー!愛してるぜ~雄くん。」
「はいはい、いいからはよ乗れ。」
私はISを装着し、すぐさま飛ぶ。
視界に広がる街並みや自然。いつもの目線では絶対に見られない風景。
それをカメラなどそういったものを通してでなく、私の肉眼で見ている。
そのことが何よりうれしかった。
「♪~~~~」
鼻歌を歌いながら空を飛ぶ。頬にあたる風が心地よく、私の髪がなびく。
全身を使って喜びを表現する。それはまるでこのISと踊っているような感覚だった。
・
・
・
『束、そろそろ降りてこい。』
「ん~、わかった~。」
雄くんから通信が来る。
名残惜しいが下に降りる。
「おかえり、束。」
「ただいま、雄くん。」
優しく出迎えてくれる雄くん。わたしもそれに答えるよう返事をする。
「私の時はそんなこと言わなかったな・・・・」
ちーちゃんが少し不機嫌そうに言う。
ちょっと不機嫌なちーちゃんも可愛い。
「あ、いや、その・・・・さっきは成功に舞い上がっちゃって・・・・申し訳ない。」
雄くんが申し訳そうに言うが、ちーちゃんの機嫌は直らない。
「つまり私の心配など二の次でISのことが一番なのだな。」
「そ、そんなことないさ。」
フンッっといじけるちーちゃんに弁解しようと近づいてく雄くん。
いじけるちーちゃんも可愛い。
「俺はちーちゃんのことすっごく大事に思っているし、テストパイロット引き受けてくれたちーちゃんには感謝でいっぱいだ。ほんとなんだ!信じてくれちーちゃん!」
「!?」
ちーちゃんの手をとってぐっと近づいて力説する雄くん。
あ~、近い近い。顔が近すぎだよ雄くん。
ちーちゃん顔を真っ赤にしてるし…
「わわわ、わかったから離れろ・・・その・・・・顔が近い…」
「えっ?・・・あっ!ごめん。嫌だったよねごめん。」
「別にそういうわけでは・・・」
「えっ?何?」
「なんでもないわこのたわけ!?早く離れろ‼」
「グヘッ!?」
そして殴られる雄くん。うん、いつもの流れだ。
そして申し訳なさと恥ずかしさからちーちゃんは走って帰ってしまった。
(しっかし、いつになったらちーちゃんは素直になるのかねぇ?)
まぁ、そんなちーちゃんも可愛いので問題ない。
「お~い、雄く~ん。生きてる~?」
「な、なんとか・・・」
雄くんをつんつんしながら生存確認。いつか当たり所悪くて死ぬんじゃないかな?
「イタタタタ・・・・」
頬を抑えながら立ち上がる雄くん。
うん、やっぱり頑丈だな雄くんは。心配いらないや。
あっ!それはそうと
「雄くんはIS乗らないの?」
「そうだった!乗ろうと思ってたんだ。なのになんで殴られるかな・・・」
私が質問すると思い出したかのように言う。どうやら殴られて忘れていたようだ。
「じゃあ、束。モニタリング頼む。」
「オッケー。」
「いや~俺もついに乗れんのか。空飛ぶの楽しみだな~。」
そんなこと言いながらISにぺたりと触る雄くん。
『・・・・・・・』
しかしISは何も反応しない。
「あれ?反応しない。触るとこが悪かったのか?」
ペタ
『・・・・・・・』
ペタ
『・・・・・・・』
何度か触っても反応しない。
不具合だろうか?しかしモニターを見る限り正常だ。
「束、エネルギー切れてる?」
「いや、ちゃんと十分な量が残ってるよ。」
こちらのモニターではなにも不具合は起きてないし、エネルギーもまだある。
(どういうこと?)
私は何が起こっているのかISに触れて確認しようとする。
『________』
私が触れた瞬間ISは起動した。
「あれ?起動したな。さっきは調子悪かったのか?」
ペタ
『・・・・・・・』
雄くんが再び触れるが無反応。
私が触れる 反応
雄くんが触れる 無反応
私が触れる 反応
雄くんが触れる 無反応
私が触れる 反応
雄くんが触れる 無反応
・
・
・
「「・・・・・」」
「なぁ、まさか・・・」
「そのまさかかも・・・」
「俺にはISを起動できない?」
「たぶん・・・」
さっきの結果を見る限りそうだ。
しかしなぜ雄くんには起動できないのだ?
そんなプログラミングした覚えはない。
「な、なんでだ‼なんで三人の中で俺だけ反応しない!?」
雄くんがパニくるのも仕方がない。私も混乱する。
ん?・・・・
雄くんの言葉は正しいこの三人中で雄くんだけが動かせない。
つまり私たちと雄くんで何か決定的に違うものがある。
私とちーちゃんと雄くん。動かせた者と動かせない者の違いはなんだ?
・・・・・・・・・・・・!?
「まさか・・・!?」
雄くんから驚きの声が上がる。どうやら雄くんも思い当たったらしい決定的な違いに。
「「女性にしか起動できない・・・・」」
それが私たちの出した答えだった。
「お前もそう思ったか束。しかしなぜそう思った?お前の意見が聞きたい」
雄くんに言われ、私は自分の考えをはなす。
「まず私はIS側の不調によるものだと考えていたけど私が起動できるからそれは違う。その次に考えたのが装着者の方に問題があるのではないかだった。起動できなかったのは試した中で雄くんのみ。」
「つまり、俺とお前らでは何かが違う。それも決定的な何かがな。」
「そう、そしてそれを考えた。戦闘力、身長、体重、IQ、その他いろいろ考えたがしっくりこなかったし、何よりそれは個人的差で決定的とは言えない。そこで私たちの能力で比べるのでなく私たちの人間としての違いを考え、出た答えが・・・」
「男性と女性という最も分かりやすい違い・・・だな。俺も同じ考えだ。」
どうやら雄くんも全く同じ考えらしい。
「じゃあ、とりあえずその線で調査していこう。」
「そうだね。」
その後、調査した結果私たちの考えは正しかった。
しかし、なぜ女性にしか動かせないのかは調べたが私たちにも原因不明だった。
★
「で、何とかなりそうなのか?」
「ん~、無理っぽいからこのまま発表することになった。」
家事の手伝いをしながらちーちゃんの質問に答える。
結局ISがなぜ女性だけにしか起動できないのかはわからなかった。
「いいのか?」
ちーちゃんは心配そうに聞いてくる。まぁ、もっともな疑問だ。
「まぁ、調べた結果それ以外はすべて正常でむしろいい数値が出ているから問題はないと思うよ。それにISは女性だけにしか使えない点を考慮しても素晴らしいものだよ。これが採用されれば宇宙開発は大きく進むし、女性の宇宙職進出の後押しにもなっていいと思うんだ。今のところ宇宙に行ける女性は少ないしね。」
「なるほど。」
だから俺はあまり心配していない。
それに・・・
「それに今は原因不明だけど少しずつ調べていけばきっと改善できると思うから。まぁ、気長にやっていくよ。」
「それもそうか。」
ちーちゃんも納得してくれたようでよかった。
これであとは発表するだけである。
★
「う~ん、いまいち食いつきが悪いな…」
「・・・・・」
俺達はISの発表会を行ったのだがいまいち反応が良くなかった。
一番の原因はやはり女性にしか動かせないというところだった。
「やっぱり女性だけってのがネックか…。それを差し引いても十分使えると思うんだけどな?配布資料が分かりにくかったのかな?どう思う、束。」
「・・・・・・」
束が反応しない。いつもは元気よく返事を返してくれるのに今は嘘みたいに静かだ。
「束?」
「・・・・」
心配になって名前を呼んだが反応がない。具合でも悪いのだろうか?
「おい、束!大丈夫か!」
「・・・・えっ?何?雄くん。」
揺さぶってようやく返事をした。
「大丈夫か?ボーっとしてたけど、具合でも悪いのか?」
「いや、ちょっと考え事してただけだから大丈夫。全然元気だよ。」
そういう束はいつも通りだった。なんだ、考え事か。
「で?何の話だっけ?」
「資料とかの見直しするかって話。もっとわかりやすく作んないと伝わんないっぽい。」
束も反応したので話を戻す。
「それだったらさ、束さんにすっごくいい考えがあるんだけど!」
「どんなだ?」
束のあまりのハイテンションさに期待が膨らむ。
「あいつらにいくら口で言ってもわかんないから、実際にISのすごさを見してやるんだよ!」
束の言うことはもっともだ。しかし・・・
「実績がない以上、大規模なデモンストレーションは国から許可が下りないと思うぞ。小規模なのをやっても逆効果になる可能性もでかい。それにISは宇宙で使うものだから地上ではたいしたパフォーマンスできないと思うぞ?」
いろいろと問題があるのだ。ISの性能を見せるのならそれ相応の場が必要だ。
「その点に関しては任せて!束さんがいいこと考えたから。次の発表は束さんに任せてよ。」
束が珍しくすごいやる気だ。きっといいアイデアが浮かんでいるのだろう。
任せても大丈夫そうだ。
「じゃあ、任せる。ちなみにどんなアイデアだ?」
「それはねぇ~、ひ・み・つ。見てからのお楽しみ。雄くんも絶対驚くよ!」
むむ、秘密ときたか。こういうとき束は絶対教えてくれないため、待つしかない。
「まぁ、ISはあくまで束の発明であるし、作成者にも束の名前しか載せていないから俺が口を出すことではないか。楽しみに待っているよ。」
発表会でも作成者は束だけと発表した。これは俺が望んだことだ。
ISは束の夢であり、翼だ。俺はあくまで手伝いで、これを作り上げたのは束自身だからだ。
「ふっふっふ、期待してていいよ。」
俺はその言葉通り期待して待つことにした。
しかしその選択は間違いであったことを俺はあとで知ることになる。
★
前回の発表会から一か月ほど経った。
まだ束は発表会をしていない。ISの性能をみせるための大掛かりなものでも用意しているのだろう。昨日聞いた時には近々見れると言っていた。
それを楽しみにしつつ、今は買い物帰りだ。
そんなとき・・・・
『緊急ニュースです‼日本を射程距離内とするミサイルの配備されたすべての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射されました‼繰り返します。日本を射程距離内とするミサイルの配備されたすべての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射されました‼』
とんでもないニュースが流れた。
(軍事基地を同時にハック!?そんなことできんのは・・・・)
昨日言っていた近々見れるという発言。
ISの性能を見せつけるといった発言。
そしてミサイルの脅威にさらされている日本。
(まさか・・・!?)
俺は急いで家へと向かう。しかし、普通の道は皆がパニックになっているため使えない。
そのため民家の屋根を走りながら思考をめぐらす。
(確かにISはデブリ処理などもできるように設計されているし、性能的に理論上ミサイルも容易に破壊可能だ。)
しかし・・・・
(なぜこんなことをしたっ!?そんなことをすればISは・・・・)
最悪の想像が頭をよぎり、俺はさらに飛ばした。
・
・
・
・
遅かった・・・・
俺が家に着くころにはフルフェイス型のISをまとったちーちゃんが出撃していた。
止めようかとも思ったがすでにミサイルは発射されており、IS以外ではどうすることもできない状況だった。
俺はISがミサイルをすべて破壊していくのを見ているしかできなかった…
(クソッ‼あれさえ完成していればッ‼)
俺が作っているガイアメモリ。それさえあれば今からでもなんとかできたかもしれない。
しかし、あれはまだ未完成なのである。
しかし、ないものねだりをしても状況は変わらない。
少しでも状況を良くするために俺は束のもとに急いだ。
・
・
・
・
「束‼」
「あっ!雄くんおかえり~。見てた?驚いたでしょ~?」
俺が急いで部屋に入ると束はいつもと変わらない様子で俺に聞いてくる。
その顔はほめてほしい無邪気な子供の顔だった。
「どうして・・・どうしてこんなことしたんだ・・・・?」
「どうしてって、ISの力を見せるためだけど?もしかして気に入らなかった?」
束はなんてことないって顔で告げる。
違う、俺が聞きたいのは・・・
「どうしてこんな方法をとったんだ‼」
なぜこんな方法にしたのかが聞きたかった。
「ど、どうしたの雄くん。急に大きな声上げて…」
「いいから答えろ!」
思わず怒鳴ってしまう。束はそんな俺に困惑しながらも話し始める。
「だってこうすれば手っ取り早いでしょ?ISの性能を多くの奴に見せつけられるんだから。絶対皆認めるよ。私たちのISはすごいんだって!」
束は本気でそう思っているようだった。
しかし今回のは本来の使い方じゃない。
皆は宇宙開発用のマルチフォーム・スーツなんて面は見てくれない。
今回で兵器としての利用価値にしか目がいかなくなるだろう…
(束はそれに気づいてない…。いや、気づけないんだ。ISは束にとっては翼以外のなにものでもない。だから気づけない。他の人が違う見方をするのに…)
何としてでもあれがISであることをしられてはいけない。
まだニュースでは謎の機体としかされてないいまなら何とかできる。
「束!あれがISだと公表はしたのか!?」
頼む。まだだといってくれ。
俺は最後の希望に縋りつくように祈った。
「それなら安心して。さっき全世界の政府とマスコミにISってことがわかるようにデータを送っといたから。」
しかし、現実は非常だった。
『ただいま速報が入りました!?ミサイルを撃墜した謎の騎士のような機体、あれはISというパワード・スーツのようです!』
おわった・・・・
これで完璧にISは翼をもがれた…
俺はその場に膝をついて崩れた。
「どうしたの雄くん?」
今だ状況に気が付いていない束が俺の心配をして寄ってくる。
その顔は俺のことを本気で心配してくれている顔だった。
俺は束を抱き寄せる。
「ゆ、雄くん!?」
「ごめんよ・・・・本当にごめんよ・・・・・俺に力がないばっかりに・・・・お前の夢を守ってやれなくて・・・・・ごめんよ束・・・・」
この子は悪くない。ただこの子は伝え方を知らなかっただけだ。
本当に悪いのは気づけなかった俺だ。一番一緒にいたのにきづけなかった…
「気づいてやれなくてごめん・・・・・」
「雄くん?どうしたの?」
俺は守ってやれなかったッ!止めてやれなかったッ!一番近くにいたのにッ!
俺だけがとめられたのに・・・・
「本当にごめんなさい・・・・・・」
弱い俺は抱きしめて泣きながら謝ることしかできなかった。
そして俺は自分の力のなさを嘆いた。
その後今日の事件は【白騎士事件】といわれるようになり、全世界にISを兵器として認知させる結果になった。
ついにIS起動。
そして起こってしまった白騎士事件。
今さらタグに『シリアス』追加しました。