白騎士事件から二年の月日が経った。
あれから世界中でISは引っ張りだこという状況だ。
『兵器』としてだが。
そして篠ノ之家は政府の『重要人物保護プログラム』という保護という名の実質監視をされている。
政府の監視下にあることで束はISコアを作っている。いや、作らされている。
束はISコアの作成方法だけは発表しなかった。発表すれば世界はISを兵器としてでしか作らないだろうから。そのためコアを作れる束はひたすらコアを作らされているわけだ。
俺もコアをつくれるがISコアの作成はさせられていない。
というより俺が作れることは束とちーちゃん以外誰も知らない。
そんな俺は監視から逃れられる僅かな時間でISの女性しか扱えないという謎を研究していた。
あれから研究しているものの謎は解けない。設備もあり合わせというのも原因だろう。
(俺もISコアが作れることをばらして研究施設もらうか?)
いや、ダメだ。そんな実現できるかわからない研究よりも目先のISコアだ。
そして何よりも束が俺に負担をかけないために俺のことをばらしていないんだからそれをやると裏切りになるし、だれがこの研究をするんだ。
(あの時に力があれば・・・・)
机の引き出しを開ける。その中には一つのドライバーと数個のメモリが入っている。
これがあの時に完成できていれば・・・・
(はぁ~、ダメだな。こんな終わったことをうじうじ考えるなんて。)
疲れがたまっているのかもしれない。
そう思いその日は寝た。
★
「あなたたちにはそれぞれ別の場所で住んでもらいます。」
ある日政府の奴らが来て突然告げた。
奴らが言うには、家族と離れるのは心苦しいでしょうけどこれは皆さんの安全のためにも必要なことだそうだ。ただ自分たちの管理下により置きたいだけだろうに。反吐が出る。
しかし俺らに拒否権はなく、明日には皆バラバラだ。雪子さんはこのままここで神社の管理をさせてもらえるようだがそれ以外の皆はお互いどこにいるのかもわからず、連絡も取れないとかぬかしやがる。
(箒はまだ小学四年生だぞ!?こいつらふざけた真似を---)
怒りがわいてきたがきれているだけじゃ何も変わらない。
俺はその日急いであるものを作った。
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翌朝
政府の奴らが来る前に箒にあるものを渡した。
「兄さん、これは?」
箒の手にはブレスレットが乗っている。
それが俺が昨日作り上げたものだ。
「それはブレスレット型の通信機だ。それで離れていても話ができる。もちろんこれは政府の人たちには内緒だ。」
「つまりこれで皆と離れていても話せるの!?さすが兄さん!」
箒はとても喜んでくれた。だが、まだ言ってないことがある。
そしてそれは箒には辛いことだ。
「でも一日じゃ一組しか作ることができなかった。」
「えっ!?それじゃあ・・・・」
「そうだ。一人としか話せない。」
悔しいが政府の通信網を潜り抜けるほどの通信機は一日では一組しかできなかった。
「そしてこれはもう皆で相談して決めたことだがその会話の相手は一夏にした。」
「!?」
箒は顔を赤らめて驚く。
意外なことに箒と一夏は仲良くなり、箒は一夏のことが好きになっていた。
それを知っていた皆は箒のためを想い、通信機を一夏に預けることにしたのだ。
それが箒と二度と話すことができないかもしれないと分かっていて決めたことだ。
「お前もそれでいいな、箒?」
「でも・・・それじゃあ、皆は誰とも話せないということに・・・・」
「箒。さっきも言ったが皆で決めたことなんだ。お前の幸せを一番にって。だから、辛いだろうけど受け止めてくれ。」
「・・・・・・・・うん。」
箒も納得してくれたので安心だ。もう一つはすでにちーちゃんに預けているから問題ない。
あとは注意事項を伝えるだけだな。
「箒、その通信機の使い方だが相手の名前を呼んでコールと言うだけでつながる。しかし、使っていいのはもちろん誰もいない時だけだ。あとは一夏からくるコールは基本OFFにしておいて自分からかけられるときにかけること。その際は一夏の都合も考えること。これは約束だ、いいな?」
「わかりました。絶対に守ります。」
「いい子だ。」
箒の頭をいつも以上になでる。これが箒との最後になるかもしれないから。
しばらくすると政府の奴らが来て俺達は別々の車に乗せられた。
★
家族を散り散りにされてから二年が経った。
相変わらず世の中はISのことを宇宙開発のマルチフォーム・スーツという目では見ていない。
人々にとってISは最も強力な兵器であり、ブランドなのだ。
今年は『モンド・グロッソ』というISの世界大会が開かれた。
この大会は格闘・射撃・近接・飛行といったISの操縦技術を競うものだ。
そして、優勝者には最強の称号「ブリュンヒルデ」が与えられる。
今その称号を持つものはちーちゃんだ。
彼女はあの事件以降、国が行ったIS適正で一番高いSランクを出し、ISのパイロットとしてメキメキと頭角を表した。まぁ、ちーちゃんならば大会の優勝は当然だったといえる。
そしてここ数年でこの世界は男女平等主義から女尊男卑主義の世の中に変わった。
どれぐらい酷いかというとそこらに歩いている男性が小間使いにされるほどには酷い。
これもISが女性にしか動かせないというのが原因だ。
そしてその原因を作り出した俺はというと、今は大学で男性のIS起動の研究を続けていた。
女性にしかIS起動ができない謎は全世界ですでに研究されたがどこも原因不明と投げ出している。
そんな世間一般では捨てられた研究に参加しようとする物好きなどいないため、研究は一人でしている。まぁ、邪魔になる可能性が高いためそんな物好きはいらない。
(大学の設備を改造しているがやはりこの方法にも限界があるな。)
確かにISの研究をするにはそこそこ使えるのだが・・・
(やはり肝心のISコアがなければ難しいか・・・)
そう、俺の手元にはISコアはない。
それが一番の問題だった。俺が新たに作るわけにもいかないし、かといってISコアを貸してもらえるほど研究は進んでない。
現在でもISコアは450ほどしかないため、俺の研究にISコアがまわってくることはまずない。
(それでもやるしかない・・・・これは俺にしかできないことだから・・・)
ISを
その年、束は467機目のコアを作りだし行方をくらませた。
★
束が行方をくらませてから数ヶ月が経った。
この数ヶ月間は政府からの八つ当たりを受けていた。
今までよりも執拗な監視をされ、聴取をされる毎日だ。正直うんざりする。
(もともとお前らが俺らを散り散りにさせたのに束に関しての聴取など無意味に近いこともわからないのか?)
いや、こいつらはわかっている。こいつらはただ憂さ晴らしがしたいだけなのだ。
篠ノ之束という世界で一番の才能が逃げ出したことへの怒りをこちらに向けているのだ。
それだけの為にこういうことをしている。
(まぁ、おれに聴取するのは無意味というわけじゃないが。)
しかし、こと俺に関しては聴取をもっと真剣に行うべきだった。
実は俺は束が失踪する際に会っている。いや、束が会いに来たのだ。
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数ヶ月前・・・
「雄くん・・・」
俺が現在の自宅までの帰り道、後ろから声がかけられた。
それは見知った声だ。顔を見ずともわかる。
「束か。久しぶりだな。」
俺は振り返りながら俺に声をかけてきた人物、篠ノ之束に返事を返す。
「うん、久しぶり。」
「それでなんの用だ?ただ会いに来ただけじゃないんだろう?」
俺達はお互い政府の監視下にあり、会えるような状態じゃない。
「会いたくて来たっていったら?」
「それだったらとても嬉しい。今すぐにも抱きしめてやりたい気分だ。」
しかし、俺はそうしない。そうではないと分かっているから。
「やっぱり雄くんにはわかっちゃうか~。さすが私の理解者だね。」
そんな俺を見て束は嬉しそうに言うがその顔はどこか寂しそうだった。
「結局、何の用だ?はやく教えてくれ。おそらく時間もないんだろう?」
俺達は会っていてはいけないのだ。つまり悠長に話しているとそれが気づかれる。
「そうだね、じゃあ結論から言うけど、私と一緒に来ない?私はISコアの製作をやめて、行方をくらませる。その時に雄くんに一緒に来て欲しい。」
束は真剣なまなざしでこちらを見る。どうやら本気で言っているようだ。
「あきらめるのか?」
束はISコアを作り続け、ISの存在を皆により知ってもらうことでIS本来の姿、宇宙開発に目を向けてもらえるようにと必死でコアを作り続けていた。
先ほどの束の発言はこれをあきらめるということだ。
「もうね・・・うんざりしたよ・・・」
束は疲れた顔で語る。
「いくらISコアをつくってISの存在を大きくしてもあいつらはISを見ようとはしない、知ろうとしない。逆にどんどん調子に乗っていくだけ・・・・」
そう語る束の表情からは怒りや悲しみを感じる。
「だから、私はもう好きにやっていくことにした。あいつらの言うことなんか聞かない。私は私で好きに生きる。そしてそこに私は雄くんがいて欲しい。」
束はそういうと俺の方に手を差し出してくる。
束と自由気ままに生きる。それはとても魅力的だ。
「一緒には行けない。」
しかし俺はその手はとれない。
「どうして!?」
束は断られると思っていなかったのだろう。驚いている。
「俺にはやることがある。」
俺にはやらなければいけないことがある。だからついていけない。
「私と来るよりも大切なことなの・・・?」
「・・・・うん。とっても大切なことなんだ。」
それは絶対に俺がやらなければならないことだ。誰にも変わりは務まらない。
そして俺自身がやりたいことだ。これだけは譲れない。
「・・・・・・・・そっか・・・」
束は俺が絶対に曲げないことがわかったようだ。
「ごめんな、わがまま言って…」
「謝らないで。雄くんがそう決めたならしょうがないよ…」
それじゃあね・・・・
そういって束は俺の前から去っていった。その顔は泣いていたような気がした。
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もちろんこのことは俺と束以外誰も知らない。
そして数ヶ月経った今、俺は計画を始めようとしていた。
★
「まったく、あんな奴一人運ぶだけで旅客機をつかうなんて馬鹿みたいな話だぜ。」
俺は思わず悪態をついてしまう。
「まぁまぁ、こんな楽な仕事他にないぜ?タバコ吸っているだけでいいんだ。それだけでお仕事完了だぜ。」
「そうそう、それだけでボーナス出るってんだからまったく重要人物保護プログラム様様だよ。」
そんな俺に同僚たちが話しかけてくる。確かにこんな楽な仕事は他にはない。
「はっはっはっ、確かに違ぇねぇ。」
俺が同意しながら笑う。
俺達は現在、ある人物を護衛している。護衛なのに楽というのはおかしいがこれほど楽な仕事はない。
なぜなら俺達は現在そいつを運ぶためだけに旅客機に乗っているからだ。
空にいるため外から襲われる心配はねぇし、カモフラージュとして使っているこの旅客機には俺達とそいつ以外客はいねぇから内側から襲われる心配もない。
もちろん爆弾や薬品とかそういったものもチェックしたが心配はない。
つまり何の危険性のない護衛お仕事ということだ。
しかも空にいるため護衛対象が逃げる心配もないため俺達はそいつから離れて好きにしててもいい。
(これで金がもらえるんだから笑っちまうぜ。)
そんなことを思う俺達を乗せた旅客機は空を飛び続ける。
飛び立ってから数時間そろそろ目的地に着く。いたって安全な旅路だった。
このまま何も起こらないと思われたその瞬間、
ドーン‼
どこからか爆発音がし、機内が揺れた。
「爆発!?どこから!?」
「馬鹿なっ!?爆発物などの危険性はなかったはず・・・」
「馬鹿野郎!それよりもあいつのとこに向かうぞ!あいつに何かあったらボーナスはパーだ。」
俺達はあるはずのなかった爆発に驚愕しながら護衛対象のもとに向かう。
扉をあけ、そいつのいる区画に入った瞬間俺達が見たのは
「これは・・・・」
旅客機の壁にでかい穴が空いておりその周辺がひしゃげている光景だった。
そしてそのひしゃげている場所は護衛対象である
主人公が死んだ!この人でなし!