戦闘はありません。
「・・・・・おはよう・・・織斑・・・」
「おはよう優・・・・って、すげぇ眠そうだな。」
食堂で箒と朝食を取っていると目の下に隈のある優がやって来た。
箒も少し驚いている。
「枕が変わるとあまり寝つけないんだ僕は。で、そちらの子は?彼女さん?」
「か、彼女?!」
突然の優の男同士ならではの軽いジャブに箒は動揺してしまう。
「いやいや違うから、同室の篠ノ之箒っていうんだ。それで俺と箒は幼馴染みなんだ。」
「なんだ、友達か。」
「そうそう。箒が驚くからあまりそういうジョークはよしてくれよ?」
「りょうか~い。・・・あながち冗談じゃなく聞いたんだけどな。」
わかってくれたようで何よりだ。最後に何かつぶやいていた気がするがよく聞こえなかった。
まぁ、優も特に何も言ってきてないし大したことじゃないだろう。
それよりも箒がジト目で見てきていることの方が気になる。
「すみません、篠ノ之さん。僕は鳴海優といいます。以後よろしく。」
「こちらこそよろしく頼む。先ほどのことは気にしなくてもいいからな。」
二人も自己紹介を終えたようなので
「優も一緒に食わないか?」
「いや、悪いけど遠慮させてもらうよ。僕は朝弱くって、朝はゆっくりと食べたいんだ。」
俺達の皿はすでに半分ほど空になっている。
これでは急かしてしまうかたちになる。
「そうか、ならしょうがないな。」
「誘ってもらったのにごめんよ。それじゃあ僕は行くね。」
そういって優は食券を買いに行った。
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朝食も食べ終わり箒と早めに教室に行くことにした。
「おはよう一夏。結構早いんだな。」
「おはよう隼人。お前の方こそずいぶん早いじゃないか。」
中に入るとすでに隼人がいた。まだ授業までは30分以上ある。
「まぁ、少しな。で、そっちの子は?」
隼人の視線は箒に向いていた。
「あぁ、幼馴染みで同室の箒って言うんだ。で、箒。こいつは隼人だ。」
「篠ノ之箒だ。よろしく頼む。」
「こちらこそよろしく篠ノ之。俺は衛宮隼人だ。好きに呼んでくれ。」
自己紹介も終わり、三人で話し始める。
「一夏、そういえば昨日兄貴がいるとか言ってたよな。どんな人なんだ?」
隼人の質問にピクリと箒が反応した。
やはり思い出すと寂しくなるのだろう。
「あ~、え~っとだな…」
「私は別に構わないぞ一夏。」
「いいのか?」
俺が言おうか迷っていると箒がいいという。
ならばと思い、俺は話し始める。
本当の兄じゃないんだけど兄のように慕っていること。箒の兄であること。
一時期俺達の剣の師匠だったこと。優しく時に厳しかったこと。
他にもいろいろな思い出を喋った。
「へぇー、なんかいろいろすごい人だな。一度会って話してみたいな。」
「そ、それは・・・『キーンコーンカーンコーン』あっ!チャイム鳴っちまったな。はやく準備しないとな。」
チャイムが鳴ったのを理由に話を切り上げる。
隼人に少し不思議そうに見られたがしょうがない。
(もういないだなんていったら、せっかくの空気が壊れちまうしな…)
きっと雄二兄ちゃんもそういった同情はいらないと言うと思うから。
★
頭に痛みが走り目を覚ます。
「ん?ここは?」
「やっと起きたか、授業前に食堂で居眠りとはいい度胸だな鳴海。」
隣からはどすのきいた声が聞こえてきた。ちーちゃんである。
なるほど、思っていたよりも疲れが溜まっていたらしく朝食の途中で寝てしまったようだ。
その証拠に右手に箸、左手に茶碗を掴んだままの状態だった。
我ながら器用な寝かたである。
「おはようございます、織斑先生。」
そう言いながらご飯を口に運ぶ。すっかり冷えてしまっている。
もったいないことをしてしまった。
「呑気に食べているんじゃない!あと1分で授業開始だ馬鹿者。」
「もうそんなに経ってたんですね。じゃあ、これ食べたら僕は行きますので織斑先生は教室に戻られていて結構ですよ?もう寝落ちはしないので安心してください。」
俺は手を止めない。残すのは失礼だからだ。
「ほーう、目の前で遅刻宣言か。」
「その点については本当に申し訳ないです。ですが、残すのだけは自分で許せないのでお願いします。5分もすれば行きますので。」
席を立ち、直角に腰を曲げる。
「はぁ~、いいだろう。しかし後で罰はしっかりと受けてもらうからな。」
「ありがとうございます。」
ちーちゃんはこういうところ甘いんだよなぁ。
それがいいとこでもあるけど。
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「遅れました。」
授業に5分ほど遅れ教室に入る。
「はやく席につけ。」
言われた通り席に着く。
「全員そろったのでこれからクラス代表を決める。一度決まると一年間は変わらないのでそのつもりで。」
ちーちゃんの言葉に教室がざわめく。
クラス代表。それは文字通りクラスの代表、つまりクラス委員長的なものだ。
一つ違う点はクラス対抗戦というものにでることだろうか。
「自薦、推薦は問わない。誰かいるか。」
「はい!織斑君がいいと思います。」
「えっ!?俺?」
予想通り一夏を推薦する声が上がる。男だからというのが大きいだろう。
つまりこのままいけば・・・・
「はい!私は天馬様がいいと思います。」
「私は衛宮くん。」
「じゃあ、私は鳴海君。」
予想通り男子は全員推薦された。
それにクラス全体も賛成という雰囲気だ。
それだと困るので
「納得いきませんわ!」
俺が手を上げようとしたらセシリア嬢が机をたたき、席を立つ。
周りも静かになってちょうどいいので俺は発言する。
「そのような選しゅt「織斑先生。」ちょっと!今わたくs「なんだ、鳴海。」・・・・」
「言葉を遮るようですみません、オルコットさん。」
「わかっているなら!」
「でも僕が発言権をいただけたので先に話しますね。」
「その通りだ。鳴海はオルコットと違い、挙手をした。先に発言する権利がある。」
許可も得たし、セシリア嬢に詫びもいれたので遠慮なく意見を言う。
「僕はセシリア・オルコットさんを推薦します。」
突然の推薦にクラスがポカンとする。推薦されたセシリア嬢までポカンとする。
普通なのは天馬と一夏とちーちゃんぐらいか。なぜだ?
セシリア嬢はこのクラスで恐らく一番操縦技術が高いと思われる。
それを推薦してなぜこの反応なんだ?
「そ、そうですわ。あなたは見る目がありますわね、この私を推薦するなんて。」
いち早く正気に戻ったセシリア嬢が俺の意見を肯定する。
良かった。本人が嫌ならどうしようかと思った。
俺は言う事はいったので席に座る。
「えぇ!でもせっかく男の子がいるんだからそっちの方がよくない?」
「そうそう。」
「私もそう思う。」
クラスから俺に視線が集まる。いや、だからなんでだよ。
「だって、オルコットさんはイギリスの代表候補生でしょう。実力的には十分適任だと思いますし、珍しいって理由で客寄せパンダ扱いされちゃ困りますよ。せめて一回実力見てからでしょう?そういうのって。」
俺が理由を述べると先ほどまでが嘘のように静かになった。
わかってくれたようで何よりだ。これでセシリア嬢に決まりだろう。
「よ~くお分かりで!そう、代表にふさわしいのはこの私でしてよ。男が代表なんていい恥さらしですわ。それに珍しいという理由でこんな島国の猿に任せるなんてありえませんわ。」
(ん?別にそこまでは言ってないんだけどな。)
「私はわざわざこんな島国までISの技術を学びに来てるんですわ。お遊びでやっているんじゃなくってよ!だいたい、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体私にとっては耐えがたい苦痛で___」
「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。同じ島国だし、世界一まずい料理で何年覇者だよ。」
「そうだぞ。オルコットは言いすぎだ。日本の文化レベルはイギリスに負けちゃいない。日本製品は偉大だ!」
一夏と衛宮が抗議し始めた。空気は完全に喧嘩ムードだ。
天馬は何が楽しいのかニヤニヤしてみているだけだし。
このままいくと全員ちーちゃんに制裁されてしまう…
(その時は俺も巻き添いくらいそうだな…)
何とかしなければ。(使命感)
「お、おいしい料理はいっぱいありますし、文化レベルもこちらの方が上ですわ!あなた達、私のそこk「はい、ストップ。」あなたまた!「いいから、ちょ~っと黙ってもらえるかな?」ッ!?」
ヒートアップしそうなので仲裁に入る。セシリア嬢も俺の言葉で冷静になったようで口を開かない。
「君たちさぁ、なんの話をしてるわけ?」
「そんなのクラス代表に決まっているだろう。」
「そうだぞ優。お前もセシリアを推薦したんだからわかるだろ。」
セシリア嬢はおとなしくなったがまだ二人は落ち着かず、当たり前のことを口にする。
「なんだ、二人ともわかっているじゃないか。そう、今は代表決めであってお国のけなしあいじゃない。」
「でもあっちが先に言ってきたのが悪いだろ。」
衛宮は何となくわかってくれたが一夏はまだ何か言っている。
「納得いかないならただ止めるだけでよかったのに君は彼女の国をけなした。織斑、いわれたら言い返していいなんてことはないんだよ。」
「うっ!それは…」
「それに料理のことを馬鹿にするのはいただけない。もともと国によって好まれる味付けも違うのだから口に合わない人もいる。そして君は本場イギリスの料理を食べつくしたことでもあるのかい?そうでなければただの偏見だよ。」
そう言うと一夏は黙り込んでしまった。ようやく落ち着いたようでなによりだ。
「あなた、私をかばって・・・・」
セシリア嬢が俺の方に期待の目線を送ってきている。
大方、仲間か何かと勘違いしてるのだろう。一夏と衛宮も少し非難するような目でこちらを見ている。
「はぁ~、別にオルコットさんをかばったわけじゃない。さっきの話は君にも言える。先ほども言ったけど今はクラスの代表を決めるんだからお国の自慢をしたってしょうがない。料理や文化レベルは何の関係もない。それにオルコットさんは代表候補生でしょ?」
「何をいまさら・・・・ハッ!」
今の言葉でセシリア嬢も気が付いたようだ。
「そう、いわば国の名前を背負っている。そんな人が他の国をけなすような発言を不用意にするべきではない。プライベートなら好きにすればいいがここでは君は代表候補生だ。下手したら国際問題だよ?」
セシリア嬢の顔から血の気が引いていく。
しかし、これよりもまずい発言があった。
「それに君の言葉からすればこのクラスには世界最強の猿がいることになる。ね?織斑先生。」
ちーちゃんの方を向き、笑顔でちーちゃんを呼ぶ。
彼女は日本人のことを猿と呼んだ。つまりブリュンヒルデに猿といったのだ。
本人は自覚なく言っていたが…
(悪いねセシリア嬢。こんな話を盛り返しちゃってさ。でもこれも君のためだ。)
今後このような発言がないようにするにはきつ~いお灸をすえとくべきだ。
それに・・・・
(あの発言はさすがに少し頭に来ちゃったからね、しょうがないね。)
私情もたっぷりはいっている。
ちーちゃんからはものすごいプレッシャーのプレゼントがセシリア嬢に贈られる。
セシリア嬢は顔面蒼白で地面にへたり込んでしまった。
巻き添えでクラス全員冷や汗をかいている。
(うわぁ…えげつねぇ。)
セシリア嬢も頑張っている。普通こんなことされたら常人ならチビってもおかしくない。
それをへたり込むだけとはさすが代表候補生といったところか。
「まぁでも、オルコットさんが納得いかないのもわかります。だから織斑先生、なにかいいアイデアありませんか?」
このままだと授業が終わってしまうのでちーちゃんに任せる。
「そうだな、実力がわからんから衝突が起きた。ならば一度戦うのが一番だろう。」
「つまり、決闘ですわね。問題ありませんわ。」
「いいぜ、やってやる。」
「確かにそれが一番だな。」
セシリア嬢、一夏、衛宮が肯定する。うん、全員いいならそれでいいだろう。
なんとかなりそうでよかった。
「話は決まったな。試合は一週間後とする。参加者は推薦された者たち全員だ。」
「えっ?」
思わず声が出た。参加者は推薦された者、つまり俺も含まれる。
それは天馬も同じだが面白そうにクツクツと笑っているだけだ。
「何か問題があるのか、鳴海。」
「・・・いえ、なにも。」
ちーちゃんは言い出したら聞かない性格なのであきらめることにした。
まぁ、ちーちゃんらしい決め方だと思う。
そんなところでチャイムが鳴り、授業終了。
教室から出ようとしたら衛宮がこちらに来て
「鳴海って案外平然と毒はくタイプなんだな。ちょっと意外だった。」
とか言われた。聞こえていたのか周りのクラスメイトもうんうんと頷いていた。
解せぬ・・・・
セシリアが実力的にクラス代表だろ!いい加減にしろ!
そう思ってのセシリア推薦でした。
そしてやはりクラスメイト達に何かしら思われる主人公。