決定戦の翌日の朝のHR
「クラス代表は織斑くんに決定しましたー。」
拍手ーと言って手を叩いてる山田先生。
それに釣られてクラスの皆も拍手している。
「ちょっ、ちょっと待った!」
慌てて流れに逆らうように声を上げた。
「なんで俺なんだ?!天馬じゃないのか?」
決定戦で勝ったのは天馬だったのだからクラス代表は天馬のはずだ。
「俺様がクラス代表などという雑用などやる訳がないだろう。そんなのは貴様らの仕事だ。」
「理由はどうあれ天馬は辞退した。それだけの事だ。」
なるほど、だから天馬がクラス代表じゃないのか。
ていうか辞退が可能なら俺も辞退したい。
「織斑、因みにお前に辞退する権利はない。」
「えっ!なんでだよ千冬姉。」
「織斑先生と呼べ。」
千冬姉の手元から放たれたチョークが俺の額にクリーンヒットし、粉々になる。
割れてるんじゃないかと思うほど額が痛む。
「いってぇ〜。・・・・どうしてですか織斑先生…」
「天馬以外の連中も辞退したからだ。」
「えっ?」
俺以外辞退しているってことか?
なんで俺だけ辞退出来ないんだよ…
「だったら俺も____」
「負けたものにそんな権利はない。そしてお前以上の戦績をだした衛宮とオルコットがお前を推薦したというのも大きい。」
それを聞き、俺は二人の方を見る。
「すまん一夏。俺はそういうの向いてないし、部活もあって忙しんだ。それに一夏には一番成長性があると思う。」
隼人の奴は確か料理研究部に入っていたな。
それにそこまで言われたら何も言えない。
しかし、気になるのはセシリアの方だ。
(なんであいつが?)
俺はセシリアの方を向く。
「織斑さん、いえ、一夏さんと呼ばせて下さい。」
「い、一夏さん!?」
すると俺に興味なんて無さそうだったセシリアが俺の名前を呼んでもいいかと聴いてくる。
そしてその態度は昨日とはまるで別人のようだった。
「よろしいでしょうか?」
「お、おう。」
動揺して変な返事になってしまった。
「ありがとうございます。そして皆さん、申し訳ございませんでした。」
礼を言ったかと思ったらこんどは頭を下げるセシリア。
突然の行動にクラス中が呆気をとられる。
もちろん俺もその一人だ。
「皆さんが不快に感じる発言をしてしまい本当に申し訳ございませんでした。許して頂けるとは思いませんがどうか謝罪だけでも受け取って頂けないでしょうか。」
クラス全体を見渡してそう言うとセシリアは再び頭を下げる。
「あ、頭を上げてくれ。そんなこと言ったら俺だってお前の国を侮辱しちまった。本当にすまなかった。」
「それだったら俺だって悪い。すまなかった。」
俺に続いて隼人も頭を下げる。
「そ、そんな、お二人共頭をお上げになって下さい。その原因は私にあるのですから頭を下げるのは私の方ですわ!」
セシリアが頭を下げる。
「いや、それでも俺が悪い。」
隼人が頭を下げる。
「いやいや、俺が全部悪い。」
俺が頭を下げる。
「いえ、私が全て悪いのですから。」
「いや、俺だ。」
「だから俺だって!」
「私ですわ!」
「違う、全部俺のせいだ!」
「「「(私)(俺)が悪い!」」」
なんて頑固なヤツらだ。俺が悪いって言ってるのに…
「だから___」
「いつまでその漫才を続けるつもりだ?」
「「「漫才じゃ(ありませんわ)(ねぇ)(ない)!」」」
「皆を笑わせておいて何が漫才ではないだ。」
千冬姉にそう言われクラスを見渡すと皆笑っていた。
なんで笑っているのかわからない。
隼人とセシリアもそんな表情だ。
「お互いに自ら謝れると言うことは許し合っているということだろう、この馬鹿者ども。何を変な意地の張合いをしている。」
「「「あっ…」」」
千冬姉の言葉でようやく気がつく。
そんな俺らに千冬姉は呆れている。
「で、ですが私は…」
「なんだオルコット。お前は許してもらうのが嫌なのか?」
「そ、そんな事ありません!許していただけるのならそれはとても嬉しいです。ですが…」
「はぁ~、周りをしっかり見てから言え。」
そう言われセシリアがクラスの皆を見ると
「全然気にしなくてオッケーだからね。」
「そもそも怒ってないよ。」
「オルコットさん顔上げてー!」
誰一人としてセシリアを責めるものはなく、皆セシリアを元気を出してもらう為に声をかける。
「皆さん…ありがとうございます。そしてよろしければ私の事はセシリアとお呼びください。」
どうやら一件落着のようだ。
「よっ、セシリア。可愛いよー。」
「うん、素直なセシリアさん素敵だよ。」
〈セッシリアー!セッシリアー!〉
そして何故だか教室ではセシリアコールが響き渡っている。セシリアも恥ずかしがってはいるが満更でもなさそうな感じだ。
「静かにしろ!」
〈はい!〉
千冬姉の一言で皆静かになり、HRが続けられる。
(なんか忘れてるような気がする。)
部屋に教科書でも置いて来たのだろうか?
それとも戸締まり?電気の消し忘れ?
どれもしっくりこない。
(まぁ、大したことじゃないだろ。)
そう思い千冬姉の話に集中しようとしたところで
「織斑せんせ〜い。結局なんでセッシーはおりむーを推薦したんですか〜?」
(大したことだったー!!)
ダボダボの制服をきた子が質問した。本名は知らないため俺はのほほんさんと呼んでいる。のほほんさんは人に変わった愛称をつけている。俺の場合おりむーだ。
(って、そんなことよりも。)
「そうだった!なんで俺を推薦したんだセシリアは?」
先ほど聞きそびれたことをセシリアに聴く。
「それはですね、私は一夏さんをライバルとして認めたからですわ!ですが一夏さんの実力不足は否めません。だからこそのクラス代表ですわ。」
大きな胸を張り自慢げ言うセシリア。
「実力不足とクラス代表に何の関係があるんだ?」
「わかりやすい説明をお願いしますわ鳴海さん。」
「えっ、僕?」
セシリアから優へとバトンタッチされる。
優の説明はわかりやすいから助かる。
「優が説明してくれるなら俺でも理解できる自信があるぜ。」
「なんで僕が説明するのが決定しているのだろう?」
「鳴海、時間がもったいないから早くしろ。」
千冬姉がそういうと優がため息をつきながらも話し始める。
「まずクラス代表はその名のとおりクラスの代表でクラス委員長みたいなものなのはわかっているだろう?」
「おう。」
「でも普通の委員長とは少し違う点がある。それはこの学園ならではのことなんだけど、この学園の最大の特徴はなんだい?」
「そりゃあ、ISだろ。」
ここはIS学園なのだからISで間違いないだろう。
「正解。その学園でクラスの代表ってことはそのクラスのIS乗りとしての代表ということだ。つまり必然的にISに乗る機会が増えるため経験を積めるってこと。ISは起動時間が実力につながるからね。」
「なるほどな。」
「ちなみにもうすぐクラス代表同士のクラス対抗戦というのがあるからね織斑は。これは学年の委員長を決めるみたいなものかな。」
なんだかんだ言って説明してくれるしこちらにも考えさせるようにするから優の説明はわかりやすい。
しかし、クラス対抗戦・・・そういうのもあるのか。
「わかっていただけたようですね。ありがとうございます鳴海さん。」
「いえいえ、大したことじゃないです。」
経験を積めるってことは強くなれるってことだよな。
俺は専用機持ちの中じゃ一番弱い。これじゃあ誰も守れない。
(今の俺にうってつけってことか。)
俺は強くなって守られる側から守る側になるんだ。
「俺、クラス代表になるよ千冬姉。」
「なるもならないも元からクラス代表はお前だ馬鹿者。そして・・・織斑先生だと何回言ったらわかる。」
ズドンッと音を立てて俺の頭に出席簿がおち、クラスに笑いが広がった。
★
「衛宮、俺様が食事を振舞ってやろう。」
昼時、天馬が俺の席に来てこんなことを言ってきた。
今までこんなことがなかったので少し驚いた。
「あ~、悪い。俺は弁当持ちなんだ。」
「弁当?そんなものそこいらの犬にでも食わせておけ。」
むっ、折角作った弁当をそんなものと言われるのはちょっと腹が立つ。
「食ってもいないのにそんなものとか言うなよ。」
「食わずとも俺様の用意するものには届かんことはわかる。」
何を言っても通じない気がしてきた…
しかしそこまで言われて黙っているわけにはいかない。
「そこまで言うならご馳走になる。その代わり俺の弁当も一口食べろ。」
「まぁ、いいだろう。では行くぞ。」
そういって歩いていく天馬についていった。
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「ここ、食堂じゃないか。」
着いたのは食堂だった。まさかおごるというだけなのか?
「まぁ、待って居ろ。」
そういって天馬はカウンターに行き、少ししたら手ぶらで帰ってきた。
「ついてこい衛宮。」
そして何も持たないまま座席のほうに歩いていく。
「なぁ、これなんだ…」
今俺の目の前には黄金に輝く座席が一テーブルある。
「俺様専用の席だ。特別に同席を許可する。」
そういって席に座る天馬。
「座らないとダメか?」
「お前は立ったまま食事をするのか?マナーを知らんのか。」
天馬に言われると腹が立ったがこういわれたら座るしかない。
やけになって座ったが落ち着かない。
「普通の席じゃダメなのか?」
「衛宮、食事というのはただ食すだけの行為ではない。食べるものによってそれ相応の場を用意するものだ。」
言っていることは分かるがこれは派手すぎると思う。
そう言おうと思ったところで俺達の前にワゴンを押した女性のシェフが現れた。
「お待たせしました零士様、衛宮様。」
「俺様専属のシェフだ。」
「零士様の専属シェフをやらせていただいているローゼ=キルヒナーと申します。ローゼとお呼びください。」
「ローゼは俺が有名店から引き抜いた一流だ。味は俺が保証してやる。」
「ありがたきお言葉です。」
突然のことに唖然とする。専属シェフ?
ここは仮にも世界最高峰のIS学園だぞ。
「え~っと、学園内にはそういった人も入れないんじゃなかったか?」
「その程度の些細な事は気にするな。この程度造作もない。」
「一応、学園側のために言いますとはいれたのは私一人だけでございます。」
良かった・・・・一人だけか。
なら問題ないな。・・・たぶん。
「はいれなかったのではない、いれなかったんだ。お前ひとりで十分だったからな。」
「身に余る光栄です。」
そういうローゼさんはとてもうれしそうだ。
それだけで天馬に尽くしていることがわかる。
「それよりも早く準備しろ。」
「はい、今すぐに。」
ローゼさんがワゴンに乗っている皿をテーブルに並べていく。
どれもとてもおいしそうだ。
「こ、これは…」
「どうだ、俺様の言った通りだろう?」
悔しいが俺の腕じゃ到底かなわないだろうことが見ただけでわかる。
そして一口入れた瞬間俺は敗北した。
「俺の負けだな…」
「ハッハッハ!そうだろうそうだろう。」
完敗だった。弁当を食べさせる気も失せていた。
「負けとはいったいどういう事でしょうか?」
「衛宮の奴が自分の弁当も負けてないといっていたからな、自分の実力を教えてやっただけのことだ。」
料理に関しては俺だって自信があったのだ。
しかし、ここまでのものが出てくると誰が予想できようか。
「お弁当ですか。衛宮様、よろしければ少し頂いてもよろしいでしょうか。多少なりともお役に立てるかと。」
「はい…どうぞ…」
折角凄腕の人に食べてもらえるというのにうれしさよりも恥ずかしさがある。
どんなことを言われるのか不安で胸がいっぱいだ。
ローゼさんが唐揚げを口に運び、しばらくして飲み込み、
「悪くはないかと。むしろ予想を上回る出来でした。」
「えっ!」
「何?」
予想外の言葉に俺と天馬が疑問の声を上げる。
「本当かローゼ。」
「はい、正直な感想です。味付けは濃すぎず薄すぎずといったことはなく丁度良いものであり、丁寧な下ごしらえを感じるものでした。サイズも大きすぎず肉に切り込みをいれていることによってとても食べやすくなっているかと。」
ま、まじか。唐揚げ一つでそこまでわかってくれるなんて感動だ。
生きてきてよかった~。
「まぁ、一口は食べるといったからな。」
天馬も一つ唐揚げを口に運ぶ。
「まぁまぁだな。食えないこともないがローゼには大きく劣る。」
「ローゼさんと比べられて勝てるわけないだろう。」
「いえいえ、衛宮様の腕ならこれからもっと上達しますからもしかするとがあるかもしれません。」
ローゼさんにそういわれるとすごい自信がでてくる。
「差し支えなければ私からお教えしますよ。」
「ほんとですか!」
「はい。そういうわけなのでよろしいでしょうか零士様。」
「好きにしろ。ただし仕事に支障が出た場合やめさせる。」
天馬からの許可も下りた。なぜだか天馬も楽しそうだ。
「ありがとな天馬。」
「ありがとうございます零士様。」
「下の者の願いを叶えるのも俺様の役目、気にするな。」
天馬は少しだが楽しそうに笑う。
ローゼさんがいるからだろうか、今日は天馬の新しい一面が見れた。
(こいつってこんな風に笑うんだな。)
ローゼさんと会話する天馬はいつものような見下す笑い方ではなく、純粋に楽しむ笑い方だった。
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昼食も食べ終わり俺はローゼさんと早速キッチンに立っていた。
少しでもはやく教わりたかったのだ。
「ローゼさん、忙しいのにありがとうございます。」
「いえいえ、気にしないでください。私も誰かに教えるのは好きですから。それにお礼を言うのはこちらです。」
礼を言われるようなことなんかした覚えがない。
「零士様が誰かと一緒にお食事をされるなんて数年ぶりなんです。」
「えっ!親とか兄弟と一緒に食べないんですか?」
「はい、旦那様と奥様は海外の方で働いておりましてなかなか日本には帰ってこられず、零士様にご兄弟はいらっしゃらないので。」
こうして聞いてみると俺は天馬のこと名前しか知らないのにちょっと嫌な奴だと思っていたのがよくわかる。
「じゃあ、あいつがあんな口調なのも寂しさを紛らわせるためとかなのか…」
「いえ、そこは元からです。特に寂しがっている様子もございませんし。」
俺のしんみりした気持ちを返して欲しい。
そしてそこで疑問に思った。
「ローゼさんは一緒に食べないんですか?」
「専属シェフといっても私は使用人の一人にすぎませんから、一緒に食事をすることはありません。」
そうなのか、俺は使用人さんとかとも一緒に食べたりするけどな。
「それに零士様が男性と一緒に食べるなんて旦那様以外に初めてのことでしたから驚きました。」
「それほんとなんですか?」
さすがにそれは言いすぎなんじゃなかろうか。
「えぇ、事実です。ですから衛宮様は零士様の大切なご友人です。零士様は性格上ご友人をおつくりにならないのです。ですからこれからも零士様をよろしくお願いします。」
ぺこりとローゼさんがこちらに頭を下げてくる。
「いや、こちらこそお願いしますって感じです。話してみて結構いいやつだってわかりましたし。」
「ありがとうございます衛宮様。」
俺の言葉を聞き笑顔を見せるローゼさん。
こんな美人に尽くされている天馬がうらやましく思える。
「あっ!あと様付けで呼ぶのやめましょうよ。教わってるの俺だし、むず痒いんですよね。」
「そうですか、では衛宮君と呼びましょう。しかし、零士様のご友人をそのように呼ぶのは失礼なため他の方がいる前では様付けで呼ばせてもらいます。」
それぐらいだったら全然平気だ。
ローゼさんはとても話の分かる人だ。
「そうでした。衛宮君、ここだけの話先ほどの零士様の評価を覚えてます?」
「食えなくはないとかなんとかってやつですか?」
「それです。実は零士様の食えなくないはそこそこいけるという意味なので気にしないでください。まずいと思ったら吐き出して容赦なく言う人なので。」
ローゼさんといるとどんどん天馬の新しい一面が見れる。
「衛宮君は筋がいいので教え甲斐がありますし、どんどん成長しますよ。」
「ほんとですか!ローゼさんにそういってもらえると嬉しいな。」
ローゼさんは本当にいい人だ。
(いるんだなぁ~こういう欠点のない人って。)
「ただし・・・・」
(ん?)
「零士様へ餌付けなどをして私の場所を奪ったら・・・・・ね?」
俺の首筋には料理に使うであろう切れ味抜群の包丁が突き付けられている。
ここには二人しかいないため誰が持っているのかは言うまでもない。
「・・・・へっ?」
どうなってるんだ。意味が分からない。
ローゼさんの目からなんか光が消えてる気がするし…
「返事は?」
包丁が首に少し食い込み薄く血が出る。
「は、はいぃ‼もちろんそのようなことは致しません。神に誓って!」
「そう・・・・」
ローゼさんがうつむいたためその表情は読み取れない。
「なら良かったです。」
目に光が戻り満面の笑みでローゼさんは顔を上げた。包丁もすでに首筋から離れているため一安心。
「それじゃあ、衛宮君。改めて零士様をよろしくお願いします。」
「はい…」
俺はこの時思ったんだ。
完璧な人なんていないんだなって…
代表は原作通り一夏になりました。
そしてうちの金髪はチョロインじゃありません!
衛宮はちーちゃんからダメだといわれました(無茶するから)。
鳴海?訓練機のザコが選ばれるわけありません(白目)。
因みにローゼ=キルヒナーさんは三人目のネームドとなるキャラですね。