~E・S~転生者は永遠を望む   作:ハーゼ

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お待たせしました。
遅くなって本当にすいません。


第三十八話 VSゴーレム

アリーナからはるか上空で現在俺は試合を観ている。

レーダー類は全てハックしており、エターナルはIS反応が無いため見つかる心配はない。

 

 

「なかなか善戦してるじゃないか。」

 

 

代表候補生相手に一夏はなかなか耐えている。

しかし、このままだと時間の問題だろう。

データが欲しいためもう少し耐えてくれるとうれしい。

 

 

「鈴ちゃんの実力はセシリア嬢と同じぐらいか。」

 

 

今回欲しいデータは鈴ちゃんの甲龍と白式のより詳しいデータだ。

甲龍に関しては情報は粗方調べたためおまけのような感じだ。

俺が見たいのは主に白式の方だった。

 

 

「零落白夜か…」

 

 

白式の単一仕様能力は暮桜という別の機体と同じだ。

しかし、全く同じ単一仕様能力が発現することはないため白式はイレギュラーといってもいい。

今回のデータ収集はこの謎を解くためのデータ集めだ。

 

(このために怪しまれるかもしれない行動をとったんだから何か見つかってくれると助かるんだけどな~)

 

エターナルに変身して試合の記録を取っているのだからもちろん鳴海優は下にはいない。

カメラには細工して映るがそこにいる人の目には映らない。

できる限りのことはしたつもりだがこれが危険であることには変わらない。

 

 

「さて、どうする一夏。」

 

 

しかし過ぎてしまったことより今に集中するべきだ。

動きから見るにどうやら一夏は何かしようとしているようだ。

零落白夜を使うとみて間違いないだろう。

しっかりと記録しなければ。

 

ピピッ!

 

 

「どうやらそう言ってられる場合でもないらしい。」

 

 

センサーの反応した方向から所属不明のISが近づいてきている。

こちらには気づいていないようでアリーナに一直線に向かっている。

 

 

「反応は一機か。一体どこの差し金だ?馬鹿にも程がある。」

 

 

奴が狙っているのは天下のIS学園だ。セキュリティーは万全で腕がたつ者もいる。

攻め込んできたということはアリーナのシールドぐらいは突き破れる力はあるのだろうがすぐに制圧されるのがオチだ。

 

(まぁ、学園側の対応も見ておきたいから放っておくか。)

 

白式のデータはまたいずれとれるが侵入者への対応はそうそうとれるデータではない。

悪いが馬鹿の侵入者には尊い犠牲になってもらうことにした。

そんなわけで傍観を決め込もうとしたのだが・・・

 

 

「・・・・・馬鹿じゃなく、馬鹿の天才だったか…」

 

 

謎のIS(以後Xと呼称する)は一撃でアリーナのシールドを易々と突き破りド派手に侵入していった。

ここまでならたいしたことはないのだが、Xは侵入後にアリーナのセキュリティーを一瞬で掌握し遮断シールドを最高のレベル4に設定しやがった。

この学園のセキュリティーは超のつくほどの一級品であり、こんなこと普通出来ない。

こんなことができて、馬鹿みたいな行動するやつは一人しか心当たりがない。

 

 

「束の仕業か…」

 

 

なぜこんなことするのかはわからないが十中八九束の仕業とみていいだろう。

もしかしたらちーちゃんに喜んでもらうためとかかもしれない。

昔から束はそんな感じだ。ちーちゃんが喜ぶのは稀だったが…

 

 

「さてと、どうしますかね~。」

 

 

現在目下では一夏と鈴ちゃんがXと交戦中。学園側は全力でシステムクラック中。

しばらく見ていて分かったことは三つほどだ。

 

1つ、Xは無人機のようだ。そんな馬鹿げた技術があるのは束ぐらいなので犯人は束で確定。

 

2つ、このままいけば一夏と鈴ちゃんが勝てる可能性は五分五分。

 

3つ、学園のシステムクラックはまだ時間が掛かること。ギリギリ間に合うかどうかってところだ。

 

(クラックが間に合えば犠牲なくXを制圧できるだろう。)

 

逆に言えば間に合わなければ犠牲が出るかもしれない。

だが、ここは傍観に徹する。ここで行くのはリスクが高すぎる。

ただでさえコア回収によって束には目をつけられているはずなのだ。

今までは何とか撒いてきたがそれは束の意識が向けられてないであろう場所を狙ってきたからだ。

今回は違う…

 

(すまないが助けてはやれない…)

 

俺は自分が最低な奴だと改めて実感した。自身の保身のために助けられるのに一夏達を危険にさらしている。

してやれることはクラックを怪しまれない程度にサポートしてやるくらいだ。

これで恐らくは間に合うかだろうがもしもはある…

 

 

「ごめんな…」

 

 

聞こえるはずのない謝罪は風の音に消されていった。

 

 

Xに一夏が吹き飛ばされた。壁にたたきつけられた一夏は体勢が完璧に崩れてしまっている。

次の攻撃は確実に当たってしまうだろう…

それでも俺は動かない。頭では今すぐ駆け付けたいが体がそれを許さない。

 

 

「ISには絶対防御がある。高確率で生存できる。」

 

 

絶対防御は完璧ではないことぐらいわかっているのに言い訳のように言葉が出る。

 

 

「大丈夫・・・・だいじょう_____!?」

 

 

その時箒がピットの出口から出てきて何か叫んだ。

それによってXの銃口は・・・・・

 

 

「箒ッ‼」

 

 

我慢の限界だった。箒はシールドの外側にいるがXの攻撃ならシールドを貫通させることぐらい可能だ。

このままでは確実に箒が死ぬ。

 

(クソッ!このままじゃ・・・)

 

フルスピードを出しているがこれでは間に合わない。

ならばどうするか・・・・決まっている。

 

 

「間に合う速度が出せるものになればいい。」

 

Eternal(エターナル)

 

 

瞬時にもう一つのエターナルメモリを取り出す。そのメモリの端子の色は青。

 

(頼むから成功してくれ!)

 

ベルトからエターナルメモリを抜き、新たなものを挿し込む。

このメモリの力はまだ完全にコントロールできていない。

失敗すれば箒も助けられないし、圧倒的エネルギーで俺も死ぬことになるだろう。

 

 

「うおぉぉぉ!」

 

Eternal(エターナル)

 

 

炎で視界が一瞬で赤く染まり体内から引き裂かれるような痛みにおそわれる。

そして炎の間から僅かに見えるのは必至に恐怖と戦っている箒の姿。

 

(箒ッ‼)

 

それを見た瞬間体の痛みなどどうでもよくなった。

 

 

「全部持っていきやがれー‼」

 

 

炎に抵抗するのではなく、炎をすべて受け入れる。その瞬間体全体が炎に侵食された。

壊れてもいい・・・だけど・・・・・

 

(お前だけは助ける‼)

 

次の瞬間、俺の目の前にシールドが出現した。いや、そうではなかった。

急加速によって一瞬でアリーナのシールドの前まで来ていたのだ。

勢いをそのままにシールドを突き破りXに蹴りをいれる。

凄まじい音とともにあたりは土煙に覆われた。

 

(間に合った…)

 

今、纏っている炎の色は赤から青に変わっているのが成功の何よりの証だった。

姿も両足のアンクルガードと腕の炎の意匠が青に変わっており、背には黒いマントがたなびいている。

エターナルブルーフレア。それがこの姿の名前だ。

 

 

前方からビームのエネルギー発光が見え、ビームが土煙の中を突き破ってくる。

半歩動くことでそれを回避する。

 

今の攻撃で砂煙は吹き飛ばされお互い姿が見える状態になった。Xは先ほどの蹴りを受けた箇所が見事にひしゃげていた。

 

 

『・・・・』

 

 

Xが接近してその拳を振るってくる。

どうやら俺を一番の脅威として認識したようだ。

 

(さて、一夏たちはどうしている?)

 

攻撃を避けつつ一夏たちの様子を確認する。

一夏と鈴ちゃんは俺の乱入によってどうするか迷っている。箒は既に物陰に退避しており安全といえるだろう。

 

 

「じゃあ、イレギュラー同士殺りあうとするか。」

 

 

確認も完了したため反撃を開始する。

まずは振るってきている拳にこちらの拳をぶつけてXの拳を潰す。

 

 

「まずは一本。」

 

 

Xは拳の事など気にせずに攻撃を続けてくる。

 

(無人機の弱点だなこれは。)

 

全ての攻撃を紙一重で避けていく。

全てを機械に任せるということは機械らしい合理性のある動きにどうしてもなりやすい。

それはとても優秀な動きだが

 

(だからこそ、動きが手に取るようにわかる。)

 

俺だってIS研究者の端くれだ。

これぐらい予測出来る。

そしてそこまで出来るのならある程度の介入も可能だ。

 

攻撃を避け、こちらの拳を叩き込む。

叩き込んだ箇所は装甲がひしゃげる。

そして再びXが攻撃を仕掛てくる。

それを避け、拳を叩き込む。

殴った箇所はひしゃげる。

それの繰り返し。

 

(ただの作業だな。)

 

何故こんなにも簡単に圧倒出来るかといえば、俺が攻撃をさせているからだ。

正確に言うとXにその攻撃が正しいと誤認させている。

 

Xは敵の動作を予測、計算をして動いていると思われる。つまり、こちらの動作である程度Xの行動を制限出来るのだ。そのため一方的に殴りつけることが可能になっている。

 

 

「なかなか頑丈だな。」

 

 

既にひしゃげてないところがない程に殴りつけたが未だにXは動いている。

正直これは予想外だった。さすがは束が作っているだけのことはある。

 

(あと1分39秒ってところか。)

 

そろそろ決めなければ学園側も相手にしないといけない。

負けはしないだろうが今回の目的は学園との戦闘ではない。

手元にエターナルエッジを呼び出す。

そしてXがビームを発射する構えをとる。

 

 

「出直してこい。」

 

 

すばやく懐に潜り込み、全力でエッジを二回振るう。

ゴトリッ、と何かが落ちる音がした。その音を出したのは奴の両腕だ。

切断面からはオイルやらなんやらが流れ出している。

 

構わず攻撃しようとしてくるXに蹴りをかまし距離を取らせる。

そしてドライバーからエターナルメモリを取り出し、エターナルエッジに挿し込む。

 

 

Eternal(エターナル)! マキシマムドライブ!/

 

 

エッジからエネルギー波を発し、Xの動きを拘束する。

 

 

「じゃあな。」

 

 

そこへ膨大なエネルギーの溜まった足で空中回し蹴りを放った。

攻撃を受けたXは完全に停止した。

その後、俺はXに近づきISコアを引き抜く。

すでに先ほどの一撃で完全なスリープモードに入っている。

 

(残り18秒か。)

 

目的は達成したため、突入される前に離脱する。

ブルーフレアのパワーで天井のシールドを突き破り逃走する。

あとは追跡を振り切るだけだが問題が一つある。

 

(束の追跡をどう撒くかだな…)

 

学園側の追跡なんて問題ではないのだが束の追跡から逃れるのは骨がおれる。

今までとは違って今回は直接喧嘩を売ってしまったから全力で追跡されるだろう。

こちらも全力で撒かなければいけない。

 

 

Weather(ウェザー)! マキシマムドライブ!/

 

 

ウェザーメモリの能力を使い、空を雲で覆う。

恐らく束の目は衛星だ。こうすればIS反応のないこちらの動きは把握できないはず。

しかし相手は束なので念には念を入れ、さらに海に入りこちらを捉えられないようにする。

 

 

Zone(ゾーン) マキシマムドライブ!/

 

 

そしてゾーンメモリの能力で自身を転送する。

 

 

「グッ…」

 

 

転送によって視界がぐちゃぐちゃになる。

さすがに自身を転送するのはかなりのリスクと反動が来る。

海中でおこなったのはその弱点を知られたくないのとデータを取られたくないからだ。

見られたら対策を打たれる可能性が高い。その点海中なら見られることはない。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

 

転送が完了し、鳴海優の自室に帰って来た。

変身を解き、ベッドに倒れ込む。

無事成功したが反動が大きすぎるためしばらくは動けそうにない。

 

ボタッ、ボタッ、と白いシーツに赤い模様ができていく。

鼻からは何かがこぼれ落ちていくような感覚。

 

(鼻血か…)

 

これも恐らくはゾーンメモリの反動だろう。

この程度の出血ですんで幸運だ。

 

 

「シーツ洗わないとな…」

 

 

だけど・・今は体力を・・回復させ・・・・ない・・・・と・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~、問題が山積みね…」

 

 

目の前の資料の山を見て、思わず口に出てしまった。

資料の内容はアリーナでの侵入者事件についてのものだ。

 

アリーナのシールドを易々と突き破り侵入、そしてシステムをハッキングしてきた謎のIS。

コイツによってアリーナのシステム等を一から再検討しなくてはならなくなった。

しかもそのISは無人機だったのだ。

しかし、それよりも問題なのが・・・

 

 

「ついにここまで来たのね…」

 

 

一枚の資料を手に取り、載っている写真を見る。

そこに写っているのは後からアリーナに侵入してきた奴だ。

 

 

「IS狩りのエターナル。」

 

 

前に目撃された時と色が違う部分はあるが間違いないだろう。

世界各地でISコアの強奪をしている危険人物だ。

使っている機体からはIS反応がないため、ISではないと思われる。

奴と戦った生存者による情報だと【E・S】と言うらしい。

もちろん表にはそんな情報出せないので裏で国際指名手配されている。

いずれは来るであろうと予想していたがこんなにも早く現れるとは思っていなかった。

 

この学園には訓練機と教員用のISが55機あり、専用機持ちを含めるとコア数は60を超えてくる。

つまりエターナルからしたらここは最大の目標と言っても過言ではないだろう。

 

 

「でも、今回の行動には何か違和感が…」

 

 

エターナルの今までの情報をまとめると一番油断している時やわずかなスキをついてことごとくISコアを強奪してきている。しかし今回はどうだ?

確かに無人機の侵入によって隙は生まれていた。だが奴は無人機がいるアリーナに来た。

無人機が暴れている間ならば他の個所を狙った方が効率的だ。

 

 

「それをせずに敢えてアリーナに来た理由は?」

 

 

考える限り、無人機ISという未知の技術のコアを手に入れたかったからとしか考えられない。

しかし・・・・

 

 

「本当にそうなのかしら…」

 

 

どうしてもしっくりこなかった。

他に何か思いついているわけではないのだがそうではない気がする。

女の感というのでもなく、なんとなくそう感じた。

 

(じゃあ、どうして・・・・)

 

気のせいかもしれないこの引っ掛かりがどうしても気になる。

思考の海に糸を垂らすが何もいないかのようにあたりは来ない。

 

 

「___う_ま_」

 

 

なのになぜかここには必ず何かがいる。

そう思えて仕方ない。

 

 

「お__うさ__」

 

 

何かいる・・・とてつもない何かが…

 

 

「お嬢様‼」

 

「ヒョッ!?」

 

 

急に耳元で大きな声を出され、驚いて椅子から落ちてしまった。

 

 

「いたたたぁ、何するのよ虚。」

 

 

声の主はいつの間にか隣まで来ていた幼馴染みの虚であった。

 

 

「何度もお呼びしたのにお嬢様がご反応なさらなかったので。」

 

「えっ、呼んでいたかしら?」

 

 

どうやら考えることに夢中になりすぎていたようだ。

 

 

「また簪様のことでも考えていたのですか?」

 

「ん、まぁそんなところよ。」

 

 

言っても困らせてしまいそうだからそういうことにしておく。

 

 

「大変でしょうけど今はこちらのことを考えてください。」

 

 

目の前の資料の山を見ながら虚は言う。

虚の言う通り今は気のせいかもしれないことよりも資料に目を通すべきだ。

 

 

「ついに来てしまいましたね…」

 

 

一緒に資料に目を通す虚が心配そうな顔をする。

虚は基本的に顔には出さないようにしているのだが今回ばかりは余裕がないようだ。

それも仕方ない。相手は一切尻尾を掴ませない奴なのだから。

しかし、弱気になっていては勝てない。

 

 

「だいじょぶよ、虚。私がこの学園を絶対に守るわ。」

 

「お嬢様…」

 

 

そう、私がこの学園を絶対に守って見せる。

私はこの学園の生徒会長なのだから。




戦闘より逃走の方がメモリを使っているって…
そしてあの人が登場しましたね。

もしかしたら更新ペースが次もこのぐらいになるかもしれません。
すいません。

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