~E・S~転生者は永遠を望む   作:ハーゼ

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原作キャラはもう少し先。
今は絡ませる準備段階です。


第四話 決定的な楔

「知らない…天井だ。」

 

目を開けたら見覚えのない真っ白い天井だった。

周りを確認しようと動こうとするが体が痛み、うまく動けない。

 

『何が…あったんだっけ?』

 

天井を見つめながらぼんやりと考える。

しかしモヤがかかったように思い出せない。

 

「ッ!?せ、先生、患者の目が覚めました!来てください!」

 

近くから声が聞こえる…。かんじゃ?

ここは病院か?なんでそんなところにいる?

…ダメだ…うまく頭が働かない。

 

「目が覚めたようだね。体の調子はどうだい雄二君?」

 

いつの間にか俺の顔を覗き込むように一人の男性が立っていた。

顔はぼやけてよく見えない。

 

「…だれ?」

 

「私はこの病院の医者で君の担当医さ。」

 

「どう…して?」

 

どうして俺は病院にいる?そう聞こうと思ったが喋るのも辛い。

 

「う~む、どうやらまだ辛そうだし、意識もはっきりしてないようだね。雄二君、もう少し寝て落ち着いたらまたお話しよう。」

 

そういうと男は俺の布団をかけなおし、どこかに行った。

頭はふわふわしてるし、起きてるのはつらかったから言われた通り眠ることにした。

 

 

 

★

 

 

 

目が覚める。さっきと同じ真っ白い天井がまず視界に入る。

動こうとするとやはり体が痛んだ。夢ではなかったようだ。

しかし首はかろうじて動かせる。

 

白い天井、ベッドに横たわる俺、点滴、花瓶の手入れをする看護師、広い部屋、窓からのぞく青空。軽く確認できたことだ。どうやら俺は個室らしい。

 

「目が覚めたのね。待っててね。今、先生呼んでくるから。」

 

看護師は俺の視線に気が付いたのか、俺の方に振り返って笑顔で対応した。

しばらくすると看護師がだれか連れて来た。

 

「おはよう、雄二君。調子はどうだい?」

 

この声には聞き覚えがある。さっきの医者の先生だ。今は顔がはっきりと見える。

30代後半といったところの真面目で優しそうな印象をうける。

 

「おはようございます。」

 

「うん!意識ははっきりしているようだね。じゃあ、早速で悪いんだが体の調子を見させてもらうよ。」

 

先生の言葉とともに看護師によってあれよあれよという間に服を脱がされた。

まず見えたのは上半身に巻かれた包帯だ。なんだよ…これ…。

 

「ふんふん。特に悪化など異常なことは起きてないね。このままいけば順当に回復するよ。」

 

いつの間にか診察?は終わっていた。ずいぶん呆然としていたようだ。

この医者ならば何か知っているだろうか?

 

「聞きたいことがあるって顔だね。」

 

顔に出ていたようだ。しかし察したということは何かしら知っているのだろう。

 

「質問には全部答えよう。でもその前にこちらからいくつか質問をするから答えてほしい。まずは君の確認をしなければいけない。」

 

確認?よくわからないが医者としてやらねばいけないことなのだろう。

それに自分にかかわることなら答えたほうがいいだろう。

 

「わかってくれたようだね。それじゃあ」

 

Q,君の名前は?    A,暮見雄二

 

Q,年齢は?      A,9歳

 

Q,家族は誰がいる?  A,母親と父親、そして妹が一人

 

Q,今は何月?     A,7月

 

Q,なぜ君が病院にいるのかは?  A,わからない

 

「なるほど…」

 

先生は手を顎にあてて、うなずいている。

おそらくは記憶の確認とかそういうのだろうと予測する。

 

「よし大体わかった。君の質問に答えよう。」

 

「俺は何でここにいるんですか?」

 

まず一番気になることを聞いた。

ここがモヤがかかったようにどうしても思い出せない。

丈夫な体を持つ俺はそうそう大怪我なんてしない。

その事実が俺に焦燥感を与える。

 

「そうだな・・・最初から説明しようか。」

 

先生は少し考えてから話しはじめた。

 

「まず、君たち家族はキャンプに行っていたと思われるそうだ」

 

「キャン…プ?」

 

キャンプ……そうだ!俺達はキャンプに行ったんだ。

それで…それで…それでどうしたんだっけ?

まただ思い出せない。頭が痛くなってきた。

 

「雄二君大丈夫かい!?」

 

頭を抱える俺に先生が心配をして声をかける。

 

「頭が痛い…。キャンプに行ったことは思い出せるのにそのあとがどうしても思い出せない。思い出そうとすると頭が痛くなる…。」

 

「それはきっと君自身が思い出すことを拒否しているんだ。」

 

俺が思い出そうとしてるのに俺が拒否?

 

「何故です…か…?」

 

何故か分からないが掠れて震えた声しか出ない。

 

「いいかい、落ち着いて聞いてくれ。薄々気がついていると思うが君達は事故にあったんだ。」

 

先生は優しくさとすように言う。

しかし対照的に俺の頭ん中はぐちゃぐちゃだった。

事故という言葉を聞いた瞬間、視界は一面黒い何かに覆われて体をズタズタにされる感覚に襲われた。

 

「ああ、ああ、うあぁぁぁぁぁァァァ!!!」

 

手を、足を、全身を使ってもがいた。

 

「体を抑えるんだ!!」

 

暗闇のなか何かに触れられる。手足が動かなくなる。

怖い怖い怖い怖い

 

「いやだいやだいやだ!!出して!!助けて!!!」

 

動かない…動けない…でられない…

 

「雄二くん!大丈夫だ!!もう大丈夫!!ここには危険はないから!!」

 

怖い怖い怖い怖い嫌だ嫌だ嫌だいや……だ

 

 

 

★

 

 

 

「気を失ったようです…」

 

看護師が彼から手を離しながら報告してくる。

私もそれを聞き彼の足から手を離す。

 

「まだ伝えるのは早かったか…」

 

これは私のミスだ。彼の心に刻まれたキズの深さは想像よりも遥かに深かった。

恐らく事故の記憶がフラッシュバックしたのだろう。

それによって彼はまだ動いてはいけない体で暴れ始めてしまった。

自分の早計さを悔やんでも悔やみきれない…

 

彼は地震によって起きた土砂災害に巻きこまれた。

自然災害で誰が悪いというわけではないが何もしてやれなかった自分に怒りが沸いてくる。

 

「先生、お手が…」

 

看護師の言葉を聞き、自分の手を見るといつの間にか血が出るほど握り締めていた。

 

「…目が覚めたら教えてくれ。」

 

そう看護師に伝え、私は部屋を出た。

私は命を救っても心までは救えていないことを実感した。




トラウマを抱えた主人公。
これからどうなってしまうのか。
そしていつになったら原作キャラはでてくるのか…

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