白を撃墜。
紅及び金、稼働可能。
『La……♪』
海面に紅の反応をキャッチ。
エネルギーチャージ開始。
「おい!」
レッドアラート。
脅威を確認。
側面から高エネルギー反応。
「俺様を前にしてよそ見とはいい度胸だ。」
攻撃を確認。
数は10。攻撃脅威Aランク。
迎撃優先順位を最優先に変更。
・・・成功
「何ッ!?」
紅の反応をロスト。
目標変更、金の排除を開始。
『La……♪』
「ぐっ…!」
攻撃の着弾を確認。
攻撃を続行する。
「いい気になるな!」
シールドの展開を確認。
・・・・・攻撃を一時停止。
回避行動を優先。
「ハハハ!そらそら、止まれば自慢の羽が消し飛ぶぞ?・・・・チッ、うるさい奴らだ。撤退しろ?そんなもの俺様が決める」
被弾箇所確認
・・・・損傷レベルC、戦闘続行可能。
「・・・・しかし、もう少し楽しめると思ったが期待外れだ。期待通り終わらせてやる」
武器の展開を確認。
・・・・行動パターン解析完了
迎撃に移る。
「なっ!?押し返しているだと!」
敵射出武器の相殺に成功。
このまま殲滅に移行する。
「くそっ!俺様の力はこんなものじゃない!」
更なる武器の展開を確認。
脅威レベルC、問題なし。
殲滅を続行する。
「馬鹿な…物量で負ける…?そんなことがあってたまるかっ!」
目標への直撃まであと10秒。
10、9、8、7、6、5、4、3———
\
緊急回避
・・・・失敗、損傷レベルB
「誰だッ!」
新たな対象を確認。
・・・照合完了
『最優先目標エターナルを発見。殲滅する』
★
「チッ、面倒なのが来たな」
エターナルとやらが来た。
まだ距離はあるが奴の武器は遠距離武器のようだ。
そして福音は奴の方へ飛んで行き、奴も真っ直ぐに福音に突っ込んでいく。
あいつらめ…俺を無視とはな…!
『天馬!何度も言わせるな!即刻その場から離脱しろ。作戦は失敗だ』
しかし、武器を展開しようとしたところで通信が入る。
「鬱陶しい…」
通信からは先ほどから織斑千冬の声が響いてきている。
奴が現れてからより声がでかい…
今回はあちら側からしか切れない仕様の為、鬱陶しいことこの上ない。
「俺様が二機とも落として『いいから撤退しろ!お前の手に負える奴ではない!』…!」
こいつ…!
『お前自身も気が付いているはずだ。福音はお前の動きに対応し始めている。』
「それがどうした。あれが俺様のすべてだとでも?」
『本気でなかろうとエネルギーを消耗しているその機体でどこまでやれる?動きに対応し始めている福音に加え、エターナルを相手にする。それはただの無謀だ』
「・・・・俺様に背を向けろと?」
おめおめと逃げ帰れというのかッ!
この俺に…!
『撤退は恥ずべきことではない。お前が賢いのならどうすればいいかわかるな?』
「・・・・この借りは高くつくぞ福音ッ!」
この屈辱は必ず晴らす。
スラスターを全開でまわし、旅館の方向へ向かう。
その途中俺のハイパーセンサーが最後に捉えたのはエターナルが爆発の光に包まる姿だった。
(そうだ、この俺以外に落とされることは許さん)
待っていろ、福音。
・
・
・
・
「まぁ、こんなものか」
福音の攻撃によってエターナルが爆発に包まれる姿を確認しながらそのものは呟く。
戦闘区域から5キロほど離れた上空、そこには誰の姿もないが声はそこから発生している。
「所詮分身だな」
空間が一瞬僅かに揺らぎ、それ以降声はしなくなった。
★
「・・・・・」
私の目の前には横たわる一夏。
その身体にはいたるところに包帯が巻かれ、生命維持のために様々な装置が繋がれている。
私をかばった一夏は現在ISの搭乗者の生命維持機能によって昏睡状態にある。
これが発動するということは死の一歩手前であり、尚且つISが完全にエネルギーを取り戻すまで決して目を覚まさない。
「私の…」
私のせいだ…
私の注意力が足りなかったからだ…
「もう三時間ね…」
襖が開く音がし、後ろから声が聞こえる。
声の主は私の横に来る。
「ほら、あんたの食事持ってきたわよ」
鈴は私の食事を持ってきてくれたようだ。
目の前に食事の乗ったトレーが置かれる。
しかしとてもじゃないが何も喉を通る気がしない。
「いらない…今は何も食べたくない」
一夏がこんな状態なのに食事なんてとる気が起きないのだ。
「食べないと身体が持たないわよ」
「構わない…いや、いっそ……」
私のせいで一夏はこうなってしまったんだ…ならばいっそ―――
「———っざっけんじゃないわよ!」
鈴は私の胸倉をつかみ強制的に立たせる。
その時ようやっとみた鈴の顔は鬼を思わせるほど怒りに満ちていた。
「いつまでぐちぐちしてんのよ!そんなことするよりやることがあるでしょうが!今戦わなくてどうすんのよ!」
「わ、私は…もうISには…乗らない…」
「はっ?今なんつったの?」
「もうISに乗らないと言ったんだ。元はといえば私が未熟なのに紅椿に乗ったから・・・・私にもっと力があったなら――――」
バチンッ!
凄まじい音とともに私の頬を激しい痛みが襲った。
「いい加減にしなさいよ!力がもっとあれば成功していた?そう思うんだったら止まってんじゃないわよ!」
「・・・私は弱いんだ…私が乗ればまた…」
また誰かがきっと傷つく。
私は誰も守れない…
「誰かが傷つくのが怖い?そんなの誰だってそうよ!それでも弱い自分と向き合って必死に前を目指してもがいてんのよ!」
「…っ!」
悲しみを押し殺したその表情を見てようやく気が付けた。
(皆、同じなんだ…)
現場の私と違って、指令室では見ていることしかできない。
それはいったいどれほどの悔しさや悲しみを彼女たちに与えたのだろうか。
少なくとも並大抵の感情ではないのは確かだ。
「甘ったれてんじゃないわよ。専用機持ちってのはそんなわがまま許されるような立場じゃないの。あんただって覚悟して乗ったんでしょ?だったら立ちなさい。それができなきゃ―――」
闘志が宿った瞳が私を真っ直ぐにとらえる。
「戦うべきときに戦えない、臆病者よ」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが動き出した。
「私は弱い。だが―――」
確かな闘志を込めた瞳を鈴に向ける。
「臆病者ではないっ」
もう立ち止まるのはやめだ。
私は強くなると兄さんに誓ったではないか。
失敗を恐れるだけの臆病者では約束は果たせない。
これから私はもっと強くなる。
「やっとやる気になったみたいね。———皆、もういいわよ」
鈴が入り口に向かって声をかけると襖が開き、そこには専用機持ちの面々がいた。
「遅いぞ鈴、こちらはとっくに目標の居所は掴んでいる」
「私のせいじゃないでしょ!」
黒い軍服を着たラウラが端末をいじると地図が表示された。
「これはまさか…」
「福音の居場所を示した地図だ」
「さっすがドイツ軍特殊部隊。やっるぅー」
驚いた、既に福音の居場所を掴んでいるとは思わなかった。
「私たちも追加パッケージのインストール完了していますわ」
「準備オッケー。いつでもいけるよ」
「俺もいつでもいける。防御は任せろ」
「私は戦えないけど全力でサポートする」
「みんな…」
どうやら準備できてないのは私だけのようだ。
全くもって恥ずかしい。
だが私がまずやるべきことはわかった。
目の前のトレーから茶碗と箸を掴む。
「いただきますっ!」
ご飯をかきこみ、魚を頬張る。
そして最後に味噌汁を流し込んだら―――
「———ごちそうさまでしたっ!」
両手を合わして一礼。
これで戦うための腹ごしらえは済んだ。
「待たせた、準備完了だ」
「———ふっ、それじゃあ作戦会議開始よ。今度こそ確実に落とすわよ」
★
ざぁー……ざぁぁん……
(ここはどこだ……?)
気がつけば俺は砂浜に立っていた。
しかし昼間の砂浜ではない。
(とりあえず歩くか)
歩くたびにさく、さく、と気持ちの良い音がたつ。
なんだか心が落ち着く。
「_______」
しばらく歩いていると波の音ではない何かが聞こえた。
その音に吸い込まれるように俺は歩いた。
さくさく。
「———♪~~♪」
(声……?)
その音の正体は声・・・いや、歌だった。
とてもきれいで、とても元気な歌声。
俺はさらに声のする方へ足を進める。
さくさく。
さくさくと。
「ラ、ラ~♪ララ~♪」
(見つけた)
そこにいたのは少女だった。
波打ち際、つま先を濡らしながらその子は踊るように歌っている。
動くたびに白い髪が揺れる。日差しを反射し、眩いほどの白色。
それと同じワンピースが風に揺られてはふわりと膨んで舞う。
(ふむ……)
気がつけば俺は声もかけずに近くの流木に腰を下ろしていた。
大分時間が経っているのかこの流木も白かった。
(ここはとても白いな)
そんなことをボーっと思いながら俺は少女を見つめた。
時折吹く風がとても心地いい。
・・・・・
「あ~あ、派手にやられたなこりゃ」
突然どこからか男の声がした。
周りを見て見るが俺と少女以外は誰もいない。
空耳ではないようで少女は動きを止め、空を見上げている。
何かあるのだろうか?
(あれはなんだ…?)
上空から黒い何かが下りてくる。
ゆっくり、まるで重力などないかのようにふわりと少女の前に着地したそれは人型だった。
影をそのまま人型にしたような奴だ。
しかし、どこか懐かしい感じがする。
「まぁ、丁度いい。データを取っておくか」
先ほどの声だ。
やはりこの影が声の主らしい。
(俺はこの声を知っている気がする……)
・・・・ダメだ。
頭がボーっとして思い出せない。
(そういえばあの子は?)
視線を戻すと少女は影に抱き着いていた。
表情は見えないがとても嬉しそうなのはわかる。
しかし影は特に何をするわけでもなく立っているだけだ。
まるで少女の存在を認識していないようにも思える。
「・・・・・これは!?」
驚きの声が聞こえてくる。
一体どうしたのだろう?
「間違_ない。これは__再生して_る」
影が揺らぎ、言葉も途切れ途切れ聞こえない。
しかしその声色からは楽し気なことはわかる。
「ハ_ハハ!ま_かこんな_ころにいた_はな。こ_も運命か。コ_No.__1」
やはりうまく聞き取ることができない。
少女は聞き取れているのか、嬉しそうにぴょんぴょんと跳んでいる。
「なら、あと足り_いのはエ_ルギーか。まぁ、_ネ_ギーだけなら簡_だ」
\
はっきりとした音が聞こえた瞬間、紫色の光が世界を包み込む。
身体からは力が抜けていき、意識が遠のいていく。
「お前にピッタリのメモリだ、一夏」
薄れていく意識の中、最後に聞こえたのはそんな言葉だった。
投稿遅くてほんとにすいません。
リアルの用事は済んだのでたぶん週一に戻せると思います・・・・たぶん。