~E・S~転生者は永遠を望む   作:ハーゼ

62 / 72
第五十六話 休みの過ごし方

祭りに行った翌日。

今日は久し振りに簪ちゃんのとこのお手伝い。

 

「といってもやれることなんてほぼないんだけどね」

 

「誰に喋ってるのなるみん?」

 

「ええーっと、独り言・・・かな?」

 

夏休みだからみんなは帰省中で俺達3人しかいない。

そんでもって俺はIS弄るわけにもいかないから普段は

皆の補助係だが、人数がいない分その仕事は少ない。

だから今は簪ちゃんから少し離れたところで本音ちゃんと待機中。

 

グゥ~

 

隣からお昼を告げる音が鳴る。

 

「・・・えへへ、聞こえた…?」

 

「・・・何がだい?」

 

「き、聞こえてないならいいんだよ~///」

 

顔を赤らめる本音ちゃん。

まぁ、乙女の恥じらいってやつだろう。

 

「その・・・なるみん?そろそろ~・・・ね?」

 

「フフッ、そうだね。お昼ご飯にしよっか」

 

「わーい!」

 

恥じらいも束の間、一瞬にしてパァーっと効果音が

見えそうなほど眩しい笑顔に変わる。

単純というか純粋というか・・・

 

「可愛いなぁ…」

 

小さい頃の箒を見てるみたいだ。

今も当然可愛いけどな!

 

「か、かわいい!?///」

 

声に出てた…

でもまぁ、嘘は言ってないからセーフ?

うん、セーフだな。

でも誤解のないように伝えないとな。

 

「うん、無邪気な顔が可愛らしいなって」

 

「・・・・」

 

「布仏さん?」

 

直後に本音ちゃんが固まってしまった。

気に触ったのかも知れない。

よくよく考えれば無邪気というのは子供っぽいともとれる。

女子高生からしたら子供っぽいはあまりいい印象ではないだろう。

 

「・・・・」

 

ええーっと、ほんとに固まったまま動かないんだが…

これ大丈夫な感じじゃないよな?

少し揺すってみるか。

 

「あの~、布仏さん?」

 

「ぴゃ、ぴゃい!?」

 

良かった、反応ありだ。

『ぴゃい』ってのは少し面白かった。

女子高生特有のJK語の一つかね?

 

「大丈夫?固まってたけど」

 

「はへ…?・・・・だだだ、だいじょうぶい!元気も元気でいつも通りだよ!」

 

「ほんとに?顔が赤いけど熱とかない?・・・・ちょっとごめんね」

 

「!?」

 

額に手を置いてみるとやはり少し熱い。

 

「やっぱり熱がある」

 

「へっ…あの…その…///」

 

目も少し虚ろで泳いでいるし、休ませた方がいいな。

あれ?でもおれらって何もしてない気が…

うん、気にしたら負けだな!

 

「これは部屋で休んだ方がいいね。一人で歩くのが辛いようなら送っていくよ?」

 

「ひ、ひとりでいけるからー!」

 

そう叫びながら本音ちゃんはダッシュで部屋を出ていった。

しっかり走れているし大丈夫そうだな。

 

「お大事にー!」

 

さて、一応虚ちゃんにメールで伝えとくか。

確かこの時間帯なら生徒会室にいたはず。

 

「・・・送信っと」

 

これで良し。

後のことは虚ちゃんが何とかしてくれるだろう。

 

「飯にしますかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?本音は?」

 

「熱があるみたいだから部屋に戻ったよ」

 

驚いた。

あの元気が人の形してるみたいな子が熱をだすなんて

珍しいこともあるものだ。

 

「そっか、後で様子見てあげなくちゃ」

 

「そうだね、でもまずは・・・」

 

優が傍らに置いてある風呂敷を広げる。

そこから姿を現したのは黒塗りの大きな箱。

それも一つではなくいくつも重なっている。

 

「このお弁当をどうにかしないとね…」

 

「・・・・」

 

本音…カムバック…

広げられた弁当が私たちを囲んでいる。

 

「7:3でいける?」

 

三割…

ちょっと厳しい…

最近二の腕周りが気になるし…

 

「2だったらなんとか…」

 

「よし、それでいこう」

 

因みにいつもは私、優、本音で1:4:5だ。

それだけ日頃本音は食べているに太らないのはずるいと思う。

全部胸にいってるのだろうか…?

・・・ずるい。

 

(優も結構食べてるはずなのに全然変わらないよね…

やっぱり男の子はこういう悩みとは無縁なのかな?)

 

優の方を見ればあれよあれよという間にお弁当がなくなっていっている。

これ絶対標準より食べてるよね…?普通太るよね…?

 

「更識さん、はい、あーん」

 

「えっ!?」

 

突然優が箸をこちらに向けてきた。

因みに掴んでいる物は卵焼き。

おいしそう・・・・じゃなくて!どういうこと!?

こここ、これって間接キ、キス…!///

 

「どうかした?はい、あーん」

 

こちらがおかしいのではと疑うほど優の表情はいたって普通で混乱してきた。

あぁ、混乱してる間に箸はもう目の前まで来てるし!

今さら断るのも悪いよね…?

 

「あ、あーん///」

 

し、仕方ないよね!?

それに優がここまで当然のようにやってきてるんだから

きっと普通のことなんだよね!?

 

「どう?」

 

味は予想を裏切らないおいしさ。

甘めなのだが甘すぎず何個でも食べられる気がしてくる。

 

「お、おいしい…です…///」

 

「よかった」

 

「ッ!?///」

 

本当に…本当に安心したように優は微笑む。

私たちが「おいしい」って言うと決まってこの表情をする。

見慣れた表情…いつも通りの表情…

だというのに・・・

 

(なんで私今日はこんなにドキドキしてるんだろ…?)

 

私だけいつも通りじゃない…

疲れてるのかな…?

 

(でも・・・悪い気はしないかも)

 

何ていうか胸の奥がポカポカと暖まるような感じ。

動悸は速いのに妙に落ち着く。

 

「次は何食べたい?」

 

「えっ?うーんと、唐揚げ・・・かな?」

 

「唐揚げね。ほいっと、はい、あーん」

 

ま、また!?

わけがわからないよ!?

・・・でも、私が食べたいって言っちゃったわけだし…

ええーい!もう考えるのやめ!

 

「あーん///」

 

 

ううっ…結局二割以上食べてしまった…

あの後もあれが続き、気がつけば時すでに遅し…

 

(でもほんとにどうしてこうなったの…?)

 

聞いてみようかな?・・・いや、やっぱりダメ。

パクパク食べてしまった手前、今さら理由を聞くのは恥ずかしい…

 

「更識さん」

 

「な、なに…?」

 

「次は遠慮せずに言ってくれていいからね?」

 

そ、それは次も同じことをするってことですか!?

しかも遠慮せずにあれを頼むって・・・・無理無理無理!

恥ずかしすぎて顔から火が出る!

 

「おかず足りなかったんでしょ?」

 

「・・・えっ?何言ってるの?」

 

「あれ?」

 

優は何を言っているんだろう?

むしろおかずはありすぎたぐらいだ。

 

「ええーっと、どういうこと?」

 

「更識さんこっちのことジーっと見てたからおかず欲しいのかなって」

 

「・・・・」

 

つまり・・・・

 

「優はわたしがおかずが欲しいと思っておかずをくれたってこと?」

 

「そうだけど?」

 

「でもなんでその・・・あーんって方法だったの…?///」

 

「弁当箱があって動きづらいし、これが一番速くて楽かなって」

 

「・・・・」

 

なるほどね

そこには特別な感情はなかったと…

あくまで効率的だったからと…

 

「ええーっと、なんか怒ってる…?」

 

「怒ってる?私が?」

 

別にそんなことはないと思う。

怒る理由もないし。

 

「気のせいじゃない?優は良くしてくれてるんだから」

 

「・・・そっか、ごめんね変なこと言って」

 

「ううん、気にしないで」

 

そう、別に怒ってなんかいない。

なのに・・・

 

「じゃあ、私作業に戻るから…」

 

「うん、頑張って」

 

この胸のざわつきはなに…?

 

 

 

 

 

 

 

 

『昇竜拳‼』

 

K・O!

 

「だぁー!また負けたー」

 

「鈴は相変わらずテレビゲーム弱いな」

 

「うっさいわね!もう一回よもう一回!今度こそけちょんけちょんにしてやるんだから」

 

「鈴さん?いい加減諦めては?」

 

「何言ってんのよセシリア。あんた達も負けたままでいいわけ?」

 

夏休みも終盤。

織斑家には鈴の声が響いていた。

 

「いや、だって一夏めちゃくちゃ強いし…」

 

「誰一人として勝てていませんものね…」

 

その声に苦笑いで返すのは隼人とセシリア。

二人の手にはトランプが握られている。

 

「悔しいが並みの腕前では勝てんな」

 

机を挟んでラウラがセシリアのカードを引く。

 

「すっごいやりこんでるよねー」

 

ラウラからシャルロットがカード引く。

 

「まぁ、なんというか仕込まれたからな」カチャカチャッ

 

「仕込まれたって誰に?・・・・げっ!ポーカーフェイスうますぎだろ…」

 

隼人がシャルロットから引いたカードはジョーカー。

いわゆるババだ。

 

「あんた師匠的なのいたの?ずるくない?」ガチャッ

 

「ずるくない・・・隙あり」カチャカチャカチャッ

 

『波動拳‼』

 

K・O!

 

「・・・・」

 

「プレイ中に喋るからだぜ?」

 

「・・・ちょっとは手加減しなさいよ!あんたには優しさってもんがないの!」

 

「だってお前、手ぇ抜いたら怒るじゃん?」

 

「そりゃそうよ」

 

「どうしろってんだよ…」

 

ピンポーン

 

鈴が20連敗目を喫したところでインターフォンがなる。

 

「おっ、箒が来たかな」

 

「部活終えてから来るなんてご苦労なことよねー」

 

テレビの前から立ち、そそくさと玄関に向かう一夏。

いくら勝っているとはいえこうも連続で勝負したら疲れるものである。

一夏は箒にちょっぴり感謝していた。

 

「やっぱり箒か。ほら、あがれよ」

 

「邪魔するぞ。そうだ、これを千冬さんに。昔の記憶で選んでみた」

 

紙袋が手渡され、中にはコーヒーゼリーが入っている。

 

「今も好きかはわからないが嫌いになっているということはないだろう?」

 

「おう、今も変わらず好物だよ。わざわざ悪いな」

 

「これぐらい当然だ」

 

「千冬姉は今出かけてるから後で渡しとく」

 

そんなことを話しながら二人はリビングに向かう。

箒が扉を開け部屋に入るとコマンド練習している鈴の姿が目に入った。

というよりもゲームの方が目に入った。

 

「ストⅡとはまた懐かしいものを…」

 

「あら?箒あんたストⅡ知ってたんだ。あんまこういうの詳しくないと思ってた」

 

「まぁ、そのゲームは昔少しやっていたからな。それ以外はよく知らん」

 

「へぇーやってたんだ。ちょっと勝負しない?」

 

「別に構わないが」

 

その言葉を聞き鈴がニヤっと笑う。

その顔はまさに悪戯を楽しむ子供そのもの。

 

(よしっ!標的から外れた)

 

((((腹いせか…))))

 

トランプ組は鈴の考えが読めたが黙っておく。

さすがに20連敗している姿を見ているので同情したのだ。

 

「私はケンでいく」

 

「私はもちろん春麗よ」(ケンとリュウはほぼ同じ動きだから対策済みよ)

 

ファイト!

 

 

『竜巻旋風脚‼』

 

K・O!

 

「・・・・私の春麗が…」

 

「久しぶりにしてはなかなか動けたな」

 

「ええーっと、鈴。言う暇がなかったんだが箒は当時俺より強かったんだ…」

 

「なんであんた達こんなに強いのよ!」ウガー!

 

負けたストレスによって鈴は怪獣のように暴れだす。

 

「だから仕込まれたんだって!?」

 

「そんなこと知るかー!こうなったらリアルストⅡよ!」

 

「えっ!ちょっ、おま____」

 

その後一夏の悲鳴が外まで聞こえたとか聞こえないとか…

 

 

「はっくしょん!」

 

研究室で白髪の男―――暮見雄二は盛大なくしゃみをした。

 

「どっかで噂されたか…?」




因みにあの人たちの持ちキャラは
雄二:ガイル
千冬:リュウ
束:バルログ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。