~E・S~転生者は永遠を望む   作:ハーゼ

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お久しぶりです。
投稿再開です。


第六十話 EとM

「 プロフェッサー、Мは勝てるかしら?」

 

目の前で行われている戦闘に目を向けたままスコールはこの戦いを仕組んだ人物に問う。

 

「さぁ?それはわかりません」

 

「わからないって…勝算もないのにぶつけたの?」

 

「そんなことありませんよ」

 

「じゃあ、Мの奴が勝つってことじゃねぇーか」

 

「ですからそれは分かりません。勘違いしてるようですが勝算があるのと彼女が勝つかは別の話ですよ?」

 

園崎の言葉にオータムとスコールは怪訝な表情をする。

しかし、それも園崎の次の言葉を聞くまでである。

 

「私の言う勝算はどう転んでも私が勝つという意味です」

 

先程までと何も変わらないニコニコした表情で園崎は言い切る。

それを聞いた二人は若干の呆れ顔だ。

 

「はいはい、()()()()()

 

「ほんっと、大した自信だよな」

 

「だって私は勝つんですから」

 

園崎は自分のことを疑わないタイプの人間。

そのためこういったことを平然と言い切れる。

 

(その態度には呆れるけど・・・)

 

(こいつがこう言う時はあながち間違ってねぇーんだよな…)

 

はたから見たらただの自信過剰。

しかし、普段から園崎という人間を見ている二人は知っている。

この言葉が見栄やハッタリではないことを。

だから呆れはするものの馬鹿にはしない。

 

「だけど今の状態で互角ってのはちとまずいんじゃねーの?赤より青の方が強いってのはマジっぽいしな」

 

「そう?対して変わっているようには見えないのだけれど」

 

一見すれば実力が落ちているとは思えないエターナル。

しかし、直に戦ったオータムは変化を感じ取っていた。

 

「確かに変わってるようには見えないが赤いあいつからはギラギラしたもんを感じねぇ。青い時のあいつはもっとギラついてやがって、全身がざわつくんだ」

 

戦った者にしかわからない感覚。

理屈ではないその感覚が本質を見抜いていた。

 

(チッ!レッドの出力ですら全開で出せないか…)

 

一方、雄二本人も自身の現状出せるパワーの低さに驚いていた。

彼の予想以上にダミーメモリとの相性は悪かった。

 

「どうした?動きが消極的だぞ?クククッ」

 

その影響が出始めたのか拮抗していた戦況がMに傾き始める。

徐々にビットがエターナルの動きを捉えつつあった。

 

「戦いの最中だと言うのによく喋る奴だ」

 

「余裕のない者にはできないだけだろうに」

 

「ホントにそうかな?」

 

Mの頬をエネルギー弾が掠める。

 

「ッ…!」

 

「どうした?余裕じゃなかったのか?」

 

「黙れ!」

 

Mの猛攻は続くものの徐々にエターナルも押し返し始める。

僅かな会話と絶妙な攻撃タイミングによって相手のペースを乱す雄二の作戦は成功していた。

 

(くっ…私が押され始めている…!?・・・いや、私にはまだあの手がある。問題ない)

 

(押せてここまでか…これ以上はメモリが必要だな…)

 

しかし、その状況に焦りを感じているのは意外にも雄二だった。

逆にMは笑ってすらいる。

 

「そろそろ決めるか」(使えてあと二本…)

 

Accel(アクセル)! マキシマムドライブ!/

 

「ここに来てまだ速度が!?」

 

アクセルメモリによる超加速を駆使し、ビットの間をすり抜けていく。

その手には既にエターナルエッジとメモリが一本握られている。

 

Heat(ヒート)! マキシマムドライブ!/

 

炎がエッジを包み込み、炎の剣が出来上がる。

 

「燃え尽きろ」

 

「そんなもの!」

 

振り下ろされる炎に対し、Mはとっさに呼び出した剣で迎え撃つ。

剣と剣がぶつかり合った瞬間・・・

 

『________』

 

一瞬の閃光が走るとともに大爆発。

 

「なんつう火力だ。余波がここまで来やがった」

 

「二人とも死んだんじゃない?あれ」

 

「いい花火ですね~」

 

空を包む黒煙の中から二人がそれぞれ飛び出してくる。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 

Mの手には焼き切られた剣の残骸が握られており、下部装甲もボロボロだ。

咄嗟に応戦した結果から辛うじて上部装甲は原型を保っている。

 

「・・・」

 

かたやエターナルは爆風によるダメージは大してない。

自身のメモリによるものだから当然と言えるだろう。

しかし、その全身にはドライバーを中心にバチバチと電流が走っている。

 

(防がれたか…)

 

本来のメモリの力を引き出せなかったとはいえ、ISを解除するには十分な威力だった。

しかし、一本の剣によってその結果が変えられてしまったのだ。

 

「フフッ、これで私の勝ちだ…!」

 

ライフルと残ったビットがエターナルに向けられる。

そして一斉に発射された。

強烈なエネルギー弾が迫る。

 

(まだ動ける…!)

 

幸いメモリによる負荷があるものの動けないことはなかったエターナル。

それに加えMのダメージが大きいこともあり、危なげなく回避行動をとれた。

 

「終わりだ」ニヤッ

 

その行動を見たMが笑みを浮かべると同時にそれは起こった。

 

「なっ!?」

 

エネルギー弾が()()()()

メモリ負荷に加え、突然の偏光射撃に反応できるわけもなくエターナルは直撃を喰らい、力なく落下する。

地上に倒れ伏すエターナルをみてMは笑う。

 

「ハハハハハ!言ったじゃないか。お前は情報によって死ぬと!」

 

偏光射撃、それはBTシステムで理論上できると言われているものでその名の通りエネルギー弾を操縦者の意志で曲げられるのだ。

当然雄二もその存在は知っていた。

しかし、現在確認されているBT適正の最高適性を持つセシリアですらそれは実現できていない。

 

「情報を知りすぎるが故に虚をつかれ、貴様は負けた!」

 

誰がそんな机上の空論による攻撃を予想できただろうか。

技術の枠を超えた才能がなければできない代物を。

ISを知りすぎている雄二にこれほど有効な手は他にはないだろう。

 

「誰が・・・・負け・・たって・・・?」

 

「!」

 

「ほおー、あれでまだ立てるんですか。いやはや恐ろしい」

 

ゆっくりとだが確実にエターナルは立ち始める。

全身に電流が流れながらもしっかりと力強く大地を踏みしめる。

メモリ負荷に重度のダメージ、通常なら既に変身が解けていてもおかしくはない。

 

(負けられない・・・どんな状態だろうと敗北は許されない・・・!)

 

今の雄二はその意志だけで立っていた。

身体はとっくに限界、これ以上やれば壊れる可能性も高い。

 

「もう壊れてるんだ…だったら…」

 

「ブツブツと何を言っている!今度こそ終わりだ!」

 

エネルギー弾が真っ直ぐにエターナルのもとに向かう。

避ける気力などあるわけがない。

 

「気にする必要はない」

 

Queen(クイーン)! マキシマムドライブ!/

 

鉄壁のシールドがすべての脅威を遮る。

エターナルの手にはトリガーマグナム。

そしてトリガーマグナムにメモリを挿す。

 

Luna(ルナ)! マキシマムドライブ!/

 

シールドがエネルギー弾を防ぐ中、ゆっくりとその銃口をMに向ける。

徐々にエネルギーが溜まっていき・・・そのトリガーを引いた。

強力なエネルギーがシールドを内側から突き破り、エネルギー弾をかき消しながらMに迫る。

 

「そんな単調な射撃があたるものか」

 

残っているスラスターにエネルギーを回し、旋回することで回避する。

しかし次の瞬間、エネルギー弾がMを追うように曲がった。

 

「なに!?」

 

強力な攻撃をMはもろに受け、落下していく。

残っていた上部装甲で受けたことでISはまだギリギリ解除を免れている。

 

「偏光射撃ができるのはお前だけじゃないってことだ」

 

鈍い音を立てながら地上に激突するM。

そしてゆっくりと近づいて行くエターナル。

目の前に立つと、Mに銃口を向ける。

 

「さて、終わりだ」

 

「うっ……うがぁ!」

 

武器も何も残っていないMは拳を振るう。

正真正銘最後の力を振り絞った攻撃。

しかし、それは受け止められた。

 

(終わり・・・か)

 

最後の攻撃を止められ、銃で打ち殺されることがわかっているというのにMの心はひどく落ち着いていた。

諦めの境地といったところだろうか。

 

(なにものこせなかったな…)

 

死の直前、人は走馬灯と呼ばれるものを見るらしい。

しかし、彼女には見るべき思い出なんてなかった。

あるのはそんな自分への虚しさのみ。

 

「私では届かなかったか…?」

 

「・・・」

 

そんな言葉と共にMは静かに瞼を閉じた。

あとは死を待つのみ。

エターナルの指がゆっくりと引き金を引き・・・

 

パンッ!パンッ!パンッ!

 

乾いた音が響き渡った。

 

「・・・気が変わった」

 

しかしそれはシールドエネルギーを削り切るだけで、Mの命までは届いていなかった。

雄二が手を離すとMはその場に力なく倒れた。

シールドエネルギーが切れたと同時に気を失ったのだ。

 

「園崎」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「組んでやる」

 

「「!?」」

 

「おやおや、よろしいので?」

 

突然の雄二の言葉にスコールとオータムは驚き、園崎は笑みを浮かべる。

 

「いったいどうゆう風の吹き回しだ?さっきまでとはまるで言い分が違うじゃねぇか」

 

オータムが食って掛かるのも無理はなかった。

一体何がどうなってそうなったのか理解できないからだ。

 

「焦るな、条件がある」

 

「条件?」

 

「それを呑めるなら組んでやる」

 

「てめぇ、偉そうにしてn「いいですよ」はぁ!?」

 

「まぁまぁ、落ち着いてください。これぐらい予想通りですよ。で、その条件とは?」

 

「こいつだ」

 

雄二は横に転がっているMを指す。

 

「こいつを俺に鍛えさせろ。もちろん所属は亡国機業(ファントムタスク)のままで構わんし、俺に預けろと言うわけでもない。定期的に俺が鍛える。それが条件だ」

 

「・・・それだけでいいんですか?」

 

流石の園崎も予想外なのか素で少し驚く。

他二人も呆然としている。

 

「それで、呑むのか?」

 

「え、えぇ!もちろんいいですよそのぐらい。こちらとしても戦力を育ててもらえるならありがたいですしね」

 

「そうか、なら連絡にはこれを使え」

 

雄二は園崎に黒い物体を投げるとそのまま飛び去って行く。

園崎が受け取った物は小型の通信機だった。

 

「どうする?追うか?」

 

「今なら仕留められそうだけど?」

 

「いや、やめときましょう。彼の逆鱗に触れたくはないですから」

 

結果を見れば園崎の勝利でこの会合は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん…」

 

ここは…?

気が付けば白い天井が私を出迎えた。

視線を横に向ければ医療器具に周りを遮るカーテン。

 

「医務室…?」

 

何故私は医務室にいるんだ?

確か・・・・

 

()っ!」

 

身体を起こそうとした途端全身に痛みが走った。

!そうだ!私はあいつと戦って・・・

 

「あら、起きたのね」

 

突然カーテンがサアーッと開かれた。

そこにはスコールが立っている。

 

「調子はどう?」

 

「見ての通り最悪だ…!」

 

くそっ、思い出した…

私は負けたんだ…!

・・・・ん?

 

「待て、何で私は生きている…?」

 

「生かされたからよ。NEVER(ネバー)にね」

 

「・・・・!」ギリッ

 

屈辱だ…!

あの状況で生かされただと!?

奴にとって私は命を取るに足らない存在だとでもいうのか…!

 

「ほらほら、そんなに怒ってると持たないわよ。用件はそのことに関係してるんだから」

 

用件・・・確かにそうでもなければこいつが来るわけもないな。

にしても、奴絡みの話か…気に食わんっ!

 

「あなた、NEVER(ネバー)の弟子になったから」

 

「・・・・は?」

 

弟子…?私が…?誰の…?

よ、良く聞こえなかった・・・と信じたい…

 

「な、なんて言った…?」

 

「だ・か・ら、あなたが弟子になるの。NEVER(ネバー)のね」クスクス

 

「・・・何故だ…?何故そうなった!?殺し合いしてたんだぞ!?その相手の弟子なんて意味が分からん!」

 

どうせまたあの狂人(プロフェッサー)が関わっているのは明らかだ。

本当にどうかしてるんじゃないかあいつ!?

 

「だってしょうがないでしょう?本人が貴方を弟子に取りたいって言ってきたんだから」

 

「・・・・」

 

もうついていけない…

奴自身が私を弟子に取りたがっている…?

意味わからん!

 

「しかもそれが組む条件ってことでプロフェッサーも二つ返事でOK出しちゃったもんだから既に決定事項よ」

 

「・・・フフッ」

 

「急にどうしたの?」

 

どいつもこいつも勝手に訳の分からない話を進めて…

私の意見や意志はガン無視か…

 

「傷が治ったら殴り倒してやる」

 

「あぁ~、プロフェッサーったら怒らせちゃった。あっ、その時は私も混ぜなさいね?」

 

とりあえずプロフェッサーと奴への報復を私は胸に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園の自室。

そこでようやくベルトからメモリを抜き、変身を解除する。

その途端喉をせりあがる何かを感じた。

それを止めることが出来ずに床に吐き出す。

 

「ゴホッカハッカハッ!・・・・ハァ…ハァ…」

 

ゴポリ、と音を立てて床を汚す赤黒い液体。

ははっ・・・・掃除しとかないとな…

 

「カハッカハッ、口から吐き出すなんて何時ぶりだ…?柳韻さんのスパルタ修行以来か…?」

 

口を押えて真っ赤に染まった手を見ながらそんなことを考える。

今、大分思考力がぶっ飛んでるんだろうな~。

 

「とりあえずこれ以上は本当に死ぬかもな」

 

Dummy(ダミー)

 

「ガッ!ググッ!・・・ガァッ!」

 

身体から引き抜く際ダミーメモリがバチバチと音を立て、激痛が走る。

俺だけでなくメモリの方にもかなりの負荷がかかっていたらしい。

 

(まったく、エターナルメモリの出力の高さを改めて実感するよ)

 

T1だからダミーメモリが耐えれたがT2タイプの方を使っていたなら壊れてたな。

危ない危ない…

体内でダミーメモリが壊れたら骨格制御やらなんやらが滅茶苦茶になって死は免れない。

 

「ふぅー…」

 

血だらけだがベッドに倒れ込む。

どうせ後でカーペットも変えないといけないんだ。

シーツぐらい汚しても構わない。

 

(自然再生は・・・始まってるな)

 

ジーンメモリによる肉体改造。

それはなにもIS適正やメモリ適正を上げるだけじゃない。

それによって俺の身体はただでさえ常人離れしたものからさらにかけ離れた自然治癒速度を得ている。

今は処置する気力もないから思う存分それに頼ろうと思う。

 

「それにしてもあの顔・・・」

 

思い出すのは今さっきまで戦っていた彼女の顔。

最後の落下した時にバイザーが砕けたのだろう。

銃口を向けた時に見たその素顔は・・・・

 

「激似・・・というか瓜二つだったな」

 

昔の織斑千冬そのものだった。

はぁ~・・・そういうことだよな・・・これって…

 

「【超越者計画】・・・通称【ブリュンヒルデ計画】…」

 

また懐かしいものが今になって出てきたもんだ…

ほんと・・・厄介だ・・・

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