「でやあああっ‼」
ガギィンッ!
派手な金属音を鳴らし、一夏と鈴は刃を交える。
夏休みも終わり、二学期最初の実践訓練は一組二組合同で行われていた。
「くそっ・・・」
「逃がさないわよ!」
勝負は終盤、最初こそ一夏が押していたものの徐々に鈴に巻き返されていた。
理由は単純。セカンドシフトした白式の燃費がさらに悪くなったためだ。
(エネルギーは残り僅か・・・一か八かあれで行く!)
(あの顔、何か仕掛けてくるわね)
「行くぜ!『
(あれが来る…!)
・・・・
剣を掲げ、起動宣言を行う一夏。
しかし、白式の姿は一向に変わらない。
「よくわかんないけどもらい!」
「!?」
そんな隙だらけな相手を見逃す鈴ではない。
数秒後アラームが鳴り、試合終了となった。
結果は言うまでもない。
・
・
・
・
「はぁ・・・なんでパワーアップしたのに勝てないんだ…?」
「そんなの燃費の悪さに決まってるじゃない。シールドエネルギー使う装備が二個よ、二個。そりゃすぐにエネルギーが底をつくわよ」
そう言うと鈴はチャーハンを頬張る。
時刻は昼休み。先ほどの敗戦によって一夏は鈴に奢らされていた。
そんな一夏へ追い打ちの如く、横から箒の意見が飛ぶ。
「第一形態でも持て余していたのだ。それが第二形態になれば尚更持て余すのは目に見えていたこと。つまり鍛錬不足だ」
「ぐっ!箒は厳しいな・・・」
「間違っているか?」
「・・・いえ、仰る通りです」
何も間違っていないため一夏には返す言葉もなかった。
「ていうかさ、さっきの試合なんで
「『
「そう、それそれ。あの黒いラインが入るやつ。録画でしか見たことないけど」
「いや、故障とかじゃなくて・・・なんていうか、実は福音戦の時以来一度も起動しないんだよ」
「「はぁ!?」」
一夏の言葉に二人は驚きを隠せない。
「あれから倉持技研とかで色々調べてもらったけど原因不明で起動法も不明。俺の夏休み大半持ってかれたってのに収穫なくてさ。それで今はいろいろ試してるって訳だ」
「だから似合いもせず剣を掲げてたのね」
「うるせー…」
「あはは!拗ねちゃってかわいい~!」
「ツンツンすんな…」
流石の一夏もここまで言われると少し拗ねる。
「そう拗ねるな。一度はできたのだから諦めなければ絶対に出来る。『辛い時こそ前を向け』だ」
その言葉は一夏にとっては昔からよく聞いていたセリフだ。
それを言うのは箒も少し意地が悪いと一夏は思った。
「・・・・あぁもう考えんのやめた!よし!放課後特訓だ!ここまで言ったんだから勿論二人とも付き合ってくれんだよな?」
「勿論だ、私も鍛錬不足だからな」
「しょ~がないわね~!」
当然、特訓は時間いっぱいまで続いた。
★
「嫁、食堂に行くぞ」
「衛宮、食事に付き合え」
「「む?」」
昼休み、隼人の席に銀髪オッドアイ×2が同時に襲来した。
「なんだ、兄も嫁と食事が目的か?共にとるか?」
「「・・・・」」
「どうした?」
突然の爆弾発言に二人は固まった。
あまりに自然で聞き間違いでは?と思うほどにさらりとしていた。
「いや、どうしたじゃなくてだな。ラウラ、今なんて言った?」
「? 『一緒に食べるか』と聞いた」
「その前だ、前」
「『兄も嫁と食事がしたいのか』」
「それだ!兄ってもしかしなくても天馬のことか!?」
「そうだが?」
隼人は再びフリーズ。
零士は先ほどからピクリとも動いていない。
「三人で何やってるの?食堂いかないの?」
そんな混沌漂う場に新たに一人やって来た。
シャルロットだ。
「それがだなシャルロット。嫁も兄もピクリとも動かんのだ。そういった遊びが流行っているのか?私はイマイチそういうのに疎いからわからん」
「そんな遊び聞いたことないけど・・・・って、兄?天馬が?」
「何かおかしいか?」
「・・・・」
「おい、シャルロット?」
「・・・・」
「やはり流行っているのか。ふむ、こうか?・・・・・」
・
・
・
「皆さま何をしていらっしゃるのですか?」
「「「ハッ!」」」
「む、終わりか。これはなかなか精神力を試されるな」
零士が来ないため心配になったローゼが様子を見に来るまでの5分間、四人はずっと固まっていた。
若干一人ずれているが・・・
「き、貴様!この俺様を誰と心得ている!」
「妙なことを聞く。兄は兄だろう?」
「貴様ァ・・・!」
「・・・・」
(あっ、終わった・・・)
ローゼのヤバさを経験済みの隼人は死を悟った。
「・・・・か」
「か…?」
「可愛いじゃないですか~‼」
「なっ!?は、離せ!?なんだお前、抱き着いてくるな!」
「えっ!?」
予想外の行動に周りは驚く。
その中で零士だけは呆れた顔をしている。
「この子とても綺麗な銀髪をしていますよ!零士様ほどではないですが!」
「な、なでなでするな!?くぅっ!離れろ!」
「・・・はぁ、興醒めだな」
「ど、どうなってるんだ?」
「あいつは気に入ったものにはとことん目がない。ああなっては放置するのが一番だ」
「ははは…ラウラが引き剥がせないって相当だよね…」
軍人であるラウラが為すすべもなく掴まっている。
その光景がさらにローゼの超人感を増していた。
「でもね」
「ッ!?」ゾクッ
「兄っていうのはどういうことですか~?」
「は、離せ!?離してくれ!?」
「ダ~メ♡この子少し借りますね?」
「よ、嫁!シャルロット!たすけ___」
「零士様、お食事は既にテーブルにご用意してありますので」
そう言ってラウラを抱えたままローゼは窓から飛び降りた。※ここは3階
「「ラ、ラウラー!?」」
「放って置け。そのうち帰って来る」
そう言う零士は遠い目をしていた。
流石に少し同情せざるおえなかったのだ。
・
・
・
時刻は昼休み終わり。
「・・・・」
ガラガラっと教室の扉を開けたのはラウラだった。
その目は心なしか虚ろである。
「「ラウラ!」」
「生きていたとは驚きだ…」
駈け寄る隼人とシャルロットに反応することなくラウラは零士のもとに歩いていく。
「ラウラ…?」
「どうしちゃったの…?」
「何か用か?」
「・・・・申し訳ありませんでした
ペコリと頭を下げるラウラ。
それを見る零士の顔は引きつっている。
「ローゼ!これは一体どういうことだ?」
「『兄』という呼び方では零士様への敬意が足りないと思いましたので」
「問題そこ!?ていうかいつの間に教室に…」
「よくできましたねラウラ」ナデナデ
「はい、姉上」※洗脳済み
これには零士も頭を抱えた。
その横で隼人とシャルロットは恐怖に震えている。
「問題はそこではなかろう。そもそもこいつに兄と呼ばれる筋合いはない!」
「そうでしょうか?きれいな銀髪に先ほど確認したところオッドアイという共通点もありました」
「確かに並んでると兄妹っぽいかも…?」
「それに可愛いです!この可愛さなら零士様の妹でも十分やっていけます!零士様もそうは思いませんか!」グイグイ
「み、見た目に関しては出来がいいのは認めてやる…」
「あの天馬が押されている…」
「そして最も重要なのが零士様が兄で私が姉と言う事は・・・キャー♡これ以上は恥ずかしいです♡」
「ねぇ隼人、これ実質全部言ってない…?」
「気にしたら負けだ…」
暴走するローゼに為すすべのない隼人とシャルロット。
零士も終始押されっぱなしだ。
「ですから何卒よろしくお願い申し上げます!」
「わ、わかった。好きにしろ」
「よろしいのですか!?」
「天馬ってそういうとこ甘いよね」
「なっ!?か、勘違いするな!これはローゼの働きに応じた報酬であって押しに弱いわけではない!」
(天馬ってローゼさんに弱いよなぁ)
「はい!ありがとうございます!」
零士の言葉にローゼは満面の笑みをこぼす。
しかしそれも一瞬後には寒気が走るような笑みに変わった。
「まぁ、それはそうとして半端な知識を吹き込んだ子にはお仕置きですけどね」
~ドイツ~
「ひっ!?今何かとてつもない寒気が・・・」
クラリッサ・ハルフォーフは未だかつて経験したことのない悪寒を感じていた。
セシリア「・・・・」