~E・S~転生者は永遠を望む   作:ハーゼ

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大変お待たせしました、復活です。
関係ないですが超英雄祭行ってきました。
エターナルかっこよすぎません?
ちなみにクウガ出た時泣いた。


第六十四話 鳴海杯《前編》

「はい!どうやら準備が整ったようです」

 

最初は確かサッカー部だったな。

実力は県大会止まりの中の上。

 

「先陣をきるのはサッカー部。種目は『PK対決』!おおっと、これはいきなり厳しい種目だ~!鳴海杯早くも終了なのかぁ!?」

 

予想通りPK対決できたか。

よかったよかった。

 

「ふふふ、鳴海君。歓迎会の準備ももう出来てるわよ?」

 

「気が早くないですか?勝ったわけでもないでしょう?」

 

「結果なんてやらなくても明白でしょ。サッカー部がサッカーで勝負するんだから」

 

「そうですかね?やってみないとわかりませんよ?」

 

キーパー用のグローブをはめ、ゴールの中心に立つ。

両手を広げれば思ったよりゴールが狭く思える。

 

「この枠にボールを入れさせなければいいだけですよ?」

 

「甘い考えね。それがどれだけ難しいことかわかっていないのかしら?」ニタァ

 

最初に蹴るのは主将。

身長156cm、体重40㎏、血液型はB型。利き手、利き脚はどちらも右。

チームの点取り頭でありポジションはFW。

サッカーにかける情熱は人一倍で人望も厚い。

しかし、流れがあるとみるとすぐに調子にのる。

その際、笑う癖がある。

そして決めにかかるときは決まって・・・・

 

「私が教えてあげるっ!」

 

「自身から見て右に蹴る」ボソッ

 

左方向へ横っ飛びすると予測通りボールはそこに来た。

それを伸ばした両の手がしっかりと捕らえる。

 

「と、止めた~!?鳴海君が初っ端からのスーパーセーブ!これにはサッカー部の皆様も驚きを隠せない」

 

「と、止められた…ゴール端ギリギリの完璧なシュートだったのに…」

 

「まずは一本」

 

今回は五本勝負。

あと二本止めて、三本決めれば勝ちだな。

 

「さぁ、次は僕が蹴る番ですね」

 

「キャプテンのシュートを止めたのは驚きだが私がゴールを守り切ればいいだけだ!」

 

キーパーの彼女は身長173cm、体重52㎏、血液型はA。

その高身長を生かしたセーブでチームの窮地を救ってきたという。

性格は責任感が強く、熱血。

美形の顔立ちとその性格から周りから熱のこもった瞳で見られることもしばしば。

そして素直さ故、搦め手に弱い。

 

「僕、右側に蹴りますからね」

 

「どういうつもりだ…?」

 

「ジャンケンでもこういう心理戦とかであるでしょう?あっ、因みに僕から見て右側です」

 

「信じると思っているのか?」

 

「信じたほうがいいと思いますよ?」

 

「・・・・」

 

考えてる考えてる。

そのまま考え続けるといい。

 

「いきますよー」

 

「・・・・!」

 

そして蹴る直前、最後にチラッとゴール左側をみる。

こうするだけで・・・

 

「ゴール!宣言通りゴール右側へと決めました!」

 

ゴールはいただきだ。

 

「彼が蹴る直前にゴール左側を見たのがポイントね。キーパーの彼女はそれを見て咄嗟にそっちに飛んでしまったのよ。優秀が故に視線に気づいてしまった結果ね」

 

「ボールを蹴るまでにそんな駆け引きがあったとは驚きです!」

 

「くっ、騙したな!」

 

「騙したなんて人聞きが悪い、宣言通りだったでしょう?」

 

流れは完璧に俺に傾いた。

このままいけばこの勝負勝てる。

まったく、手加減しながら勝つってのも楽じゃないな。

 

 

「勝者、鳴海優!」

 

今日十何度目かの勝利のアナウンスが響き渡る。

 

(ええっと、確かこれで折り返しだったな)

 

鳴海杯開始から3時間。

ようやく半分の部活との勝負が終わった。

さすがIS学園と言ったところで生徒も多いため、とにかく部活が多い。

珍しいことに「カバディ部」まであった。

正直、今回の件で初めてルール知ったからあそこが一番きつかった。

 

「続いての勝負は剣道部となります。勝負内容は『一本勝負』とのことです」

 

おっと、いつの間にか次の準備が整ったようだ。

剣道部ってことは箒も観戦してるかな~って噂をすれば箒発見!

なんとこっちに来るではないか。

 

「鳴海、これがお前の防具と竹刀だ。つけ方は分かるか?」

 

「うん、大丈夫。ありがとう篠ノ之さん」

 

「そうか、何か問題があったら遠慮なく言ってくれ」

 

あぁ、やっぱ箒は天使だわ。

優しさが心に染みわたるわ~。

 

「ここまで勝ち進んだのはなんとなく予想通りだったが・・・」

 

ん?なんか珍しく歯切れが悪いな。

ていうか箒よ、ここまでの勝利も周りからしたから予想外だと思うんだけど。

 

「恐らくここで終わりだ。今は敵だが公平を期すため言っておく。今から戦う相手はこの剣道部で誰よりも強い人だ」

 

「誰よりもって・・・それだと篠ノ之さんより強いみたいに聞こえるけど?」

 

「そのままの意味だ。・・・忠告はした」

 

そう言い残し、箒は観客席に戻った。

 

(このルールで箒以上の実力者?)

 

ハハハッ!うちの妹以上に強い子なんているわけないだろ~。

 

 

前言撤回…

いやおかしい!このルールであそこまでの子がいるとか予想外だよ!

ていうか箒出れないから剣道部完璧に情報集めてなかった…

 

(まぁ、おかげでかなり楽しめたんだが)

 

「沖田」っていったな。

彼女、才能だけならちーちゃんに迫るものを持っていたな。

このまま成長すればもしかするかもしれない。

まったく、嫌な予感がやっぱ的中したよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沖田(オキタ) 小夜(サヨ)

それが私の名前。

IS学園に通う二年生で剣道部に所属。

日本人らしい黒髪のショートに黒い目。

身長もテストの点数も平均近く。

そんなごくごく普通の女子高生である私には普通ではない所がある。

 

「コホッコホッ…」

 

「大丈夫?沖田さん」

 

「うん、大丈夫。いつもの事だから」

 

身体だ。

私は生まれつき身体が弱かった。

すぐに体調を崩すし、怪我もする。

ここ最近では体調を崩すして入院していたことが記憶に新しい。

そんなことばかりで私は大会に出場したことがほとんどない。

出たとしても体調を崩すして途中敗退。

 

「そっか、無理はしないで頑張って!」

 

「うん」

 

そんな私は今、重役を担っている。

 

「間もなく鳴海選手VS沖田選手の試合が開始されます。席にお着きになってお待ちください」

 

(プ、プレッシャー…)

 

なんでも試合に勝つと対戦相手の鳴海優君を入部させられるとの事でどの部活も相当気合が十分。

もちろんうちの部も例に漏れず気合が凄い。

なんといったって部長に泣きつかれたほどだもん。

とんでもない時に退院しちゃったよ…

 

(ていうか鳴海優(あの子)よくここまで勝ち上がってこれたよね…)

 

順番を聞いて悪いけど正直出番はないと思ってたんだけどなぁ…

まぁ、あの生徒会長がやるイベントだし一筋縄じゃいかないのは当たり前か。

退院したばっかりだからあまり激しく動きたくはないんだけど・・・

 

(請け負ったからには全力出さないとね)

 

袋から竹刀を取り出し、瞳を閉じ大きく息を吸う。

こうすると余計な考えがスーッとなくなって五感全てが鋭くなる。

それはまるで自分が一振りの刀になったような感覚。

 

(・・・よし)

 

「…!」

 

瞳を開ければ彼が驚いた顔をしてこちらを見ている。

鳩が豆鉄砲を食ったようとはまさにこのことではないだろうか。

 

「私の顔に何か?」

 

「いや、先輩いつからそこにいました?」

 

「?さきほどからいましたが」

 

おかしな質問をしてくる。

試合開始が近いのだからお互い先ほどからいたというのに。

目も何度かあったはずだが?

 

「まるで別人じゃないか」ボソッ

 

「何を笑っているのですか?」

 

「えっ?・・・あぁ、悪い癖ですね。直そうとは思ってるんですけど先輩みたいな人を見るとつい面白くなりそうだから」

 

「変わってますね」

 

「よく言われます。でも先輩ならきっとわかる時が来ると思いますよ?」

 

「何を言って―――」

 

「時間になりました!両選手は既定の位置についてください」

 

・・・時間か。

私にもわかる?どういうことだ?

 

(・・・・いや、今考えることではないな)

 

恐らく心理戦の類だろう。

迷いは太刀筋を鈍らせる。

余計な思考はいらない。

 

「よろしくお願いします」

 

「こちらこそ」

 

お互い構え、その時を待つ。

 

「それでは更識会長、合図をお願いします」

 

「両者準備は整ってるわね?・・・よろしい。それでは勝負・・・開始!」

 

開始とともに一気に前に出る。

床から腕までの力の移動。

その全てを乗せ、極限まで加速させた一振り。

 

バシンッ!

 

「・・・!?」

 

それを彼は止めた。

確認した瞬間全力で後退する。

一瞬後に私のいた場所に剣が振られた。

 

「恐ろしく速いですね」

 

(止められた…!)

 

初めてだった。

ここまで完璧な初撃を止められた。

しかも反撃までされるとは。

 

(ここは少し出方を伺うべき)

 

「ええっと・・・今何が起きたのでしょうか…?恥ずかしながら私の目には沖田選手が一瞬で消えて、現れたようにしか見えませんでした」

 

「お互い一撃ずつ放ってどちらもそれをいなしたわ」

 

「今の一瞬でお互いに一撃ずつですか…?あっ、ただいまスロー映像が送られてきましたのでスローリプレイです。・・・こ、これはぁ!流石学園最強!その目はこの激戦をしっかりと捕らえていました!」

 

彼もまた動こうとしない。

今までにない緊張感。

一瞬でも気を抜けばのまれてしまう。

そんな確信にも似た予感がする。

 

「両者動いていないというのに会場に漂うこの緊張感はなんなのでしょうか!」

 

お互い動きを伺い始めて一分。

ついに彼が動き出す。

 

「いつまでもこうしてる訳にはいかないんでね」

 

ジリジリとゆっくりとだが確実に間合いを詰めてくる。

その動きに隙はなく、無理に飛び込めば間違いなく取られる。

かといって何もしなければ間合いを潰され機動力を失う。

 

(ならばこちらの間合いに入る瞬間が勝負)

 

私が出せる最大間合いで流れをものにし、一気に畳み掛ける。

長期戦になればなるほどこちらの不利だ。

 

ジリ…ジリ…ジリ───

 

(今っ!)

 

バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!

 

「沖田選手凄まじい連撃だぁー!一体あの小柄な体のどこにそんなパワーがあるのでしょうか!?そしてこれには鳴海選手防戦一方です!というかこれは剣道なのでしょうか!?」

 

(なんという防御…!)

 

息もつかせぬ連撃をも止めるとは…

まるで手ごたえを感じられない。

 

「ッ…!」ゾクッ

 

悪寒が走る。

瞬間、上段を半歩横にズレることで逃れ、その勢いのまま距離をとる。

まさに紙一重というやつだった。

 

「お、押し返しました~!?鳴海選手あの状況で沖田選手を下がらせることに成功!どちらもすごすぎる~!」

 

(妙だ…)

 

何故私は避けることが出来た?

あれほどの技量を持つ彼ならばあの完璧なタイミングで逃すというのは考えにくい。

何故距離を詰めてこない?

この違和感・・・

 

(試してみる価値はある)

 

もう一度、踏み込む!

そして先ほどと同じように連撃。

当然それは完璧に防がれる。

 

「…!」(来たっ!)

 

先ほどの再現と言わんばかりに半歩横に身を逸らす。

唯一違う点は私が引かず、そのまま竹刀を振りぬこうとしていること。

 

「っ…」

 

「これは・・・!この試合初めて鳴海選手が後退しました!」

 

「やはり彼女は天才ね。普通あんなことできないわよ?」

 

「と、いいますと?」

 

「攻撃時のほんの僅かな隙をついたってところかしらね。隙というにはあまりにも微妙だけれど」

 

やはり攻撃の瞬間、そこが違和感の正体。

防御の時に比べ攻撃の時には僅かに動きが鈍る。

そしてその瞬間だけ防御は完璧ではなくなる。

だが・・・

 

「ハァ…ハァ…ハァ…」(出来てあと数回…?)

 

並の集中力では絶対に出来ない。

ましてや私のような貧弱なものにはかなりの負担がかかる。

 

「病み上がりでやることでは無いな…」

 

「なるほど、このままじゃ勝てなさそうですね」

 

「降参しては?」

 

「降参はしたくないです。ですから」

 

───構え変えさせてもらいますね

なんだあの構えは…

脚を大きく開き、腕は力なくダラりと下がっている。

そして最も特徴的なのがあの超前傾姿勢。

頭の高さが腰よりも低い位置にある。

 

(・・・まるで獣が獲物を目の前にした時のそれ)

 

基本とはあまりにかけ離れているというのにあまりにも自然体。

そして構えが完全に変わって一息後、全身が感じ取った。

 

(危険だ…!)

 

しかし、それでは遅かった。

構えの危険性に気づくまでのほんの一瞬、その間に既に彼の姿は私の視界から消えていた。

 

(ッ!?)ゾクッ

 

考える前に身体は後ろに動いていた。

鼻先を僅かに竹刀が掠る。

微かに見えた竹刀は下から振り上げられていた。

 

(下!?)

 

瞬時に足元を薙ぐように一線。

手応えはないが右に動いた気配は感じ取れた。

同時に反対の左へ動き、構えを立て直す。

そこで再び彼の姿を視認できた。

 

「初見で躱すだけじゃなく、反撃までするなんて恐ろしい人だ」

 

全く、恐ろしのは彼の方だ。

目の前にいたというのに視界から消える相手なんて初めてだ。

 

「ハァ…ハァ…完全には避けれてないよ」

 

「先程とは逆!今度は鳴海選手が消えたように見えました!会長、一体今の一瞬で何が起きたのですか?」

 

「まず鳴海くんは意識が薄いであろう床付近を高速移動することで沖田さんの視界から瞬間的に消えたわ」

 

「ハイレベル同士でも視界から消えられるんですね。あっ、こちらにもスロー映像が届きました。鳴海選手、確かに床すれすれを移動しています!」

 

「驚いたのはその後、沖田さんが直感だけで避けてみせただけでなく反撃したところね。まぁ、その反撃を対処する鳴海くんも鳴海くんだけれど」

 

「はい、私としてはもうスロー映像を後で会長の解説付きで流せばいいんじゃないかと思いはじめて来ました!それほどまでにこの試合はレベルが高すぎます!」

 

「因みに今はお互いさっきの攻防を踏まえて隙を伺っている状態よ。でももう少しで決着かしらね」

 

・・・さすが最強と言われる会長。

全部お見通しらしい。

残り私は動けて攻防一回だ。

 

(しかし、あの構えは厄介だ。隙だらけに見えてそうではない)

 

弛緩しきった構えは瞬時にトップスピードを引き出し、そこから体勢を立て直せるバランス力と反応できる驚異的反射神経が隙をなくす。

人間というよりまさに獣を相手にしている気分だ。

 

(私に出来ることはなんだ…?)

 

この状況でどうすれば勝てる?

動けるのは攻防一回が限度の私に何が出来る?

 

(・・・攻防?・・・そうか!)

 

なんて簡単な事だったんだ。

 

「雰囲気が変わったわね彼女、仕掛ける気ね」

 

彼もこちらの気を感じ取ったのだろう、雰囲気が変わった。

だが、私が成すべきことは変わらない。

 

「沖田小夜、参る!」

 

簡単な事だった。

攻防一回しか持たないとは防がれたら敗北を意味する。

この瞬間に置いては攻撃の後の守るための余力はいらない。

ただ全てを一突きに込めれば良いだけだった。

 

ダンッ!

 

その踏み込みは聞いた事のないほどの音だった。

 

シュッ!

 

その突きは流れるように最速に至った。

 

バチンッ!

 

その感触は今まで味わったことの無いものだった。

 

(なんだ・・?)

 

強烈な衝撃が手に伝わってきた。

竹刀は勝手に手から離れ、落ちていく。

 

(えっ、どうして勝手に落ちていくの?)

 

彼の元に最短で向かっていた竹刀がなぜ落ちていくのか分からない。

 

「勝負あり!勝者、鳴海優!」

 

(・・・・そっか…)

 

アナウンスが聞こえ、私の目の前には突きつけられた竹刀。

ようやく状況を理解した。

最高の一撃は弾かれ、私は負けたのだ。

 

(楽しかった…)

 

しかし、負けたというのに最初に感じたのは悔しさではなく、楽しさだった。

ついで、罪悪感。うぅ、部長ごめんなさい…負けちゃいました…

 

「身体は大丈夫ですか?」

 

そんなことを考えたまま座り込んでいたら心配させてしまった。

竹刀が引かれ、代わりに目の前には手が差し伸べられる。

 

「大丈夫、ちょっと疲れちゃっただけだから」

 

私はその手をとって立ち上がる。

ほんとに不思議なことに身体の調子はよい。

いつもならこれだけ動けば倒れると思うんだけど。

でも今はそれより気になることがある。

 

「ねぇ、一つだけ聞いてもいい?」

 

「いいですけど、なんです?」

 

「最後、どうして反応できたの?」

 

間違いなく私の最速だったし、初見で弾ける突きではなかったと思う。

それをどうやって的確に弾いたのかが気になった。

 

「確かに最後の先輩の動きはとても速かったです。でも──」

 

「でも?」

 

「僕はもっと速い突きを知っています」

 

今、私の顔は鳩が豆鉄砲くらったような顔をしてるだろうな。

面があってよかった。

 

「ふふっ、そっか。あの突きよりもっと凄い突きがあったか〜」

 

まったく、世の中広いなー。

まだまだ上があると分かると急に悔しさが込み上げてくる。

 

「嬉しそうですね」

 

「嬉しそう?」

 

「えぇ、すごく」

 

「・・・そうかも。悔しい以上にきっと楽しみなんだと思う。世の中まだまだ上がいるってことが」

 

その人達とも是非試合をしたい。

 

「だから私、もっと腕を磨くわ。次は君にも勝ってみせるから」

 

「僕も負けるつもりはありません」

 

「鳴海くーん、次の準備できたみたいなので移動お願いしまーす!」

 

「じゃあ、僕はこれで」

 

「うん、頑張って」

 

鳴海くんを見送ったし、私も帰ろっと。

剣道部の皆の元に。

 

「皆、ごめん!期待してもらってたのに負けちゃった」

 

「なーに謝ってんのよ。小夜は全力尽くしてくれたんだから」

 

「部長…」

 

「本当に凄かったです先輩!ぜひ私とも試合をしてください!」

 

「篠ノ之さん…」

 

「あっ、私も教えてほしいことが」「私も私も」「ずるーい、私もー」

 

「皆…」

 

「ね?誰も落ち込んじゃいないでしょ。むしろ活気があるぐらいよ。本当にありがとね、小夜」

 

「こちらこそありがとうございます。私をこの試合に出させてくれて」

 

私はこの日のことを忘れることはないと思う。

最高の試合をし、最高の仲間に出迎えて貰えた。

そして、ここでなら私はもっと強くなれると確信した。

 

「皆、これからもよろしく!」

 

今日この日、私たちは新しい一歩を踏み出した。

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