ゼロの使い魔~仮面の貴公子~   作:人外牧場

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招来

(この際、烏でも、カエルでも、なんでもいいから来て!)

 

 トリステイン魔法学院の落ちこぼれルイズは必死な思いで杖を振る。しかし、小さな爆発以外何も起こらない。思わず込み上がる涙をのみ込み。ルイズはこれで最後と大きく息を吸い術式の詠唱を行う。そして、大きく杖を振り下ろしその場にこれまでとは違った大きな爆発が起こる。その場にいた全員が舞い上がった砂ぼこりに目を塞ぐ。そして、期待と不安のまなざしで爆心地を見つめる。そこにはおぼろげながらに人影がいた。

 

 

「アリサの所にいたのだが。何が起こった」

 

 砂ぼこりが晴れそこには鎧と仮面を付けた貴公子が立っていた。あまりの嬉しさにルイズはガッツポーズをして喜ぶが、その後ろにいた教師であるコルベールは顔を青くする。

 

(あの佇まい。どう考えても高貴な生まれの人だ。ここで対応を間違えれば首どころか戦争となってしまう可能性が)

 

 喜び勇んで呼び出した貴公子に抱きつこうと駆け寄るルイズを止め、コルベールは貴公子に一礼して出来うるだけ丁寧に状況を説明する。

 

「突然のご無礼、誠に申し訳ありません。ここはトリステイン魔法学院。貴方様は高貴な身分であるとお察しします。すぐに帰りの馬車をご用意させて頂きますのでそれまで、少しの間お待ちいただけませんでしょうか」

 

 

「先生!折角呼べた使い魔なんです!いきなり帰すなんて・・・」

 

「ルイズ君。分かるだろう。そこの御方は、貴族か、それ以上の身分だ。そうなれば無礼を働いたとして、君や私の首が飛ぶことになるかもしれない。幸いまだ日はある。サモンサーヴァントは明日にすればいい」

 

「・・・・そんな、先生。私・・・」

 

「ミスター。私は構わない」

 

 それまで沈黙していた貴公子が口を開く。本人の了承が出てしまったので、コルベールはこれ以上の言及は出来ないと分かり、貴公子と事態の説明をする。

 

「貴方様は、サモンサーヴァントに呼ばれました。両人の了承もありましたので、コントラクトサーヴァントの契約をしても構いませんか?」

 

「そこの少女がよいのならば」

 

 貴公子がコルベールの隣にいる少女に目線を移す。まるでおあずけをもらった子犬の様に少女は見るからに喜んでいた。

 

「私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。ルイズとお呼びください。では、コントラストサーヴァントの契約を」

 

「しかし、その契約とはいったいどんな・・・」

 

 貴公子が言い切る前に仮面の上からルイズにキスをされる。一瞬、右手に痛みが走るが貴公子はルイズの肩を優しく掴み引き離す。

 

「淑女がそうやすやすとキスをするものではない。しかし、今のが契約なのだな」

 

 ルイズは首を縦に振る。

 

「なるほど。自己紹介がまだだったな、私はロビンマスクだ」

 

「素敵なお名前です。ロビン様」

 

「しかし、ここは地球のどこなのだ。トリステインという地名は聞いたことが無い」

 

「チキュウとは何のことでしょうか?」

 

「なんだと。ここは地球ではないのか」

 

 驚きを隠せないロビン、ルイズはさらに残酷な事実を突きつける。

 

「もし、チキュウとは未知の場所であるならば謝っておかなければなりません」

「ハルケギニア内ならともかく、それ以外の場所へは帰る事ができません。その術はありません」

 

 いつもは冷静沈着で冷静に状況を確かめるロビンが、ルイズという少女の進退がかかっていると察して安請け合いしてしまったが為に、ロビンは完全に退路を断たれてしまった。しかし、今さら不満を漏らしてもルイズに要らぬ心配をかけてしまうとロビンは思い。平静を装った。

 

「なに、帰る方法は追々探せばいい。それに私は君と契約を結んだんだ。帰るまでの間くらいはそれに従ってもいい」

 

 ポンポンと小柄なルイズの頭に手を置く。ルイズは嬉しそうに顔をほころばせる。紳士の様な礼節と騎士の様な見た目のロビンにルイズは、昔子供の頃読んだおとぎ話の英雄を重ねていた。

 

「理不尽な状況なのに、不満一つ言わないのですね」

 

「私と君は主従の契約を結んだのだろう?僕である私に敬語は無用だ」

 

「しかし、高貴なお方にそのような・・・」

 

 ルイズは友人から聞いた使い魔との接し方を思い出し、肩の力を抜きいつもの話し方にロビンに話しかけた。

 

「この私の使い魔なんだから、恥ずかしい姿なんて見せないでよね!」

 

「期待に応えるようにしよう。ルイズ」

 

 画して、トリステイン魔法学院に旋風を巻き起こす強烈タッグが生まれる事になった。

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