ゼロの使い魔~仮面の貴公子~   作:人外牧場

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微熱と情熱のコンビ

 ギーシュとの決闘より2日。今日からロビンの本格的な使い魔生活が始まった。そこで早速最初の弊害にぶつかってしまう。文字だ。会話をする程度なら不思議な事に意味が頭に入ってくるが、それを文字に直されると秀才ロビンと言えど未知の言語には対応できない。そこでルイズはしばらくの間、ロビンに暇を与え文字の学習をしてもらう事にした。ルイズ自身、勉強は出来るが四六時中ロビンにつきっきりで文字を教える訳にはいかない。そこでルイズは教師に頼み込み図書室を開放してもらいそこで図書館の主にロビンの面倒を見てもらうことにする。

 

「ロビン、彼女がタバサよ。文字や歴史についてバンバン質問してちょうだい」

 

 彼女、ルイズが紹介した少女タバサ。無口で、暇あらばいつでも本を読んでいる。小柄ながら魔法の実力は高く、高い実績を持つ者にしか与えられないシェヴァリエの称号を持っている。

 

「・・・よろしく」

 

「こちらこそ。君の負担を増やさないように私も全力で勉学に励むとしよう」

 

「じゃあ私はもう授業があるから、タバサ、おねがいね」

 

 こうして二人の授業は始まった。のだが。

 

「貴方が噂の貴公子さんね。噂以上に紳士的でうれしいわ」

 

 二人の授業は僅か30分で終わりを告げた。図書室に乱入してきたのはタバサの親友キュルケ。褐色の肌に起伏の激しいボディを持ち多くの男を魅了する魔性の女。決まった男はおらず、彼氏はいない。キュルケはどうやらルイズから図書室の話を聞いたらしく、授業を抜け出してきたらしい。

 

「仮面の下の素顔が気になるけど、きっと美男子なんでしょうね」

 

「授業を抜け出すのは感心しないな」

 

 体をべたべた触られながらロビンはノートにタバサに習った文字を書いていく。妻帯者である、ロビンに色仕掛けは通用しない。その事が分かるとキュルケはロビンから離れる。離れる直前にキュルケがロビンに囁く。

 

「さすが正義超人のリーダーね」

 

「!!」

 

 ロビンが驚きキュルケの方を見るが既に彼女は手をひらひらと振りながら図書室を出ようとしていた。ロビンは彼女を追おうと、席を立ちタバサに謝罪の言葉を述べキュルケの後を追う。途中でロビンはキュルケを中庭で見かけ中庭に急ぐ。急いで中庭につくと、そこにはロビンには見慣れた、しかし、ここでは不釣り合いな物が用意されていた。

 

「リングが何故ここに」

 

 ロビンが不思議がっていると、キュルケがリングを指さす。

 

「私への挑戦状か。良いだろう、受けて立つ!」

 

 リングの上に立つロビンの前にどこから現れたのか黒装束の男が現れる。そして、男がロビンに突進し、ロビンはそれをすかさずかわし、腋固めにするが素早い身のこなしで男が動き、逆に腕ひしぎをかけられる。あまりに流れる様な高度な返し技に苦悶の声がロビンから漏れる。しかし、すぐに技ははずれ、距離が出来る。

 

「私を試しているのか。良いだろう、策もろともにねじ伏せるのみ」

 

 ロビンが男を掴みタワーブリッジを仕掛ける。しかし、ロビンはすぐに異変に気付く。いつの間にか自分が技にかかっている。技を仕掛けたはずのロビンがなぜか技を仕掛けられている。そして、そこ答えはすぐに現れる。

 

「情けないぞ!正義超人軍のリーダーともあろう者が良いようにやられるなぞ」

 

「こっこの声は!!」

 

 ロビンを空中に投げ飛ばし、手足を掴んだ状態で相手を下にリングのキャンバスに激突させる。

 

「腕が鈍ったなロビンマスク」

 

「キン肉・・マン・・・ソルジャー」

 

 キン肉マンソルジャー、キン肉アタルの必殺技ナパームストレッチ。その威力は三代奥義にも引けを取らない程であり、ソルジャーのオリジナルフェイバリットである。

 ソルジャーもロビンを気遣い、多少威力を低くしたがそれでもロビンを気絶させるだけの威力を持っていた。

 

「珍しいわね。ソルジャーが加減を間違えるなんて」

 

「うぅむ。私もしばらく実戦を離れ鈍っていたか」

 

 そう言いながらソルジャーはリングで倒れているロビンを抱え、ルイズの部屋まで運ぶ。キュルケは授業があるからとソルジャーを残し走ってい行った。ソルジャーはロビンをベットに寝かせ、そして迷彩柄のマスクを少しだけめくる。現れた顔からキン肉星の王位継承者の資格であるフェイスフラッシュを放ち、ロビンの怪我を直す。後は備え付けの椅子に座りロビンの意識が回復するのを待った。

 

 

 

「・・・ソルジャー。なぜあなたがここに」

 

「簡単な事だ。私も君もあの光る鏡の様な物に触れてここに来たのだろう?」

 

 思い出す。今まで曖昧にしていたが、私は謎の光る物に触れてきたのだと。

 

「私はキュルケに呼ばれ、それに応じた。スグルもキン肉星の王として相応しい力と友情を身につけてくれた。私に心残りはない。後世の超人の育成もテリーマンやバッファローマン達が上手くやってくれるだろう、正真正銘、今の私はやるべき事が何一つとして無かったからな」

 

 ソルジャーは新たな自分を必要とする声に応じてこの世界に来た。では、私は?思い出せない。あの光を見た所までは思いだせる。しかし、なぜそれに振れたのかが思い出せない。気が付けばここに立っていた。

 

「どうやら、記憶に障害があるみたいだな。さすがにフェイスフラッシュでも、人の頭までは直せん。ゆっくりと思い出す事だ。ここには時間も、人も、私もいる。たまにはロビン王朝の事を忘れるのもいいことだ」

 

 ソルジャーはそういって椅子から立ち上がり部屋を後にする。部屋に残されたロビンは、黒い霧のかかった記憶に疑問を抱きながらも久しく感じる休息に負け、そのまままぶたを閉じるのだった。

 

 

 

 

 

「ひっ!な、なんなんだ。この化け物は!く来るな!」

 

「ケケケ。・・・・芸・・・ト・レン・・・大・・・」

 

 

「ぐぎゃあああああああああああああああああああああああああ」

 

 湖畔に空しく響く断末魔だけが水面を揺らした。

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