土佐が標的艦。
そのことを土佐が知って間も無く、私は泣き叫ぶ土佐を慰めることもできないまま、懲罰房へ監禁になりました。
加賀「いや!離しなさい!」
憲兵A「おい!暴れるな!」
土佐「姉さん!助けて....」
兵A「とっとと歩け!あまり手を煩わせるな!!」
土佐「ヤダ!ヤダ!どうして?私はまだ戦えるのに!」
兵B「決定事項だ!貴様は海軍最高峰の装甲を持つ長門型に匹敵する装甲を持っている」
兵A「新兵器の実験にはちょうどいいと判断したわけだ」
加賀「そんなことで...!これが艦娘にすることなの!」
兵A「貴様らは兵器だ!偉そうなことを言うな!」
憲兵「しつこいぞ!暴れるなと言っているんだ!!」バキッ
加賀「うっ....」
土佐「姉さん!いや!離して!!」
ガチャ
士官「やれやれ。まだ手こずっておるのか」
憲兵B「はっ!抵抗が思いのほか激しく...」
スチャ
士官「なら連行しやすくするまでだ」
パンッ!!
土佐「がっっ!!」
士官「足を撃った。これで運びやすいだろう?」
加賀「.土佐!許さない....!殺してやる!殺してやる!」バッ!!
憲兵A「おい!暴れるな!!しっかり抑えろ!」
士官「私を殺したいか、なんとでも言いたまえ。どうせ標的艦だ。」
士官「動く必要もないのだから、足を撃っても構わないだろう?」ニヤァ
加賀「フゥ...フゥ....くっ....」
土佐「ハァ....ハァ....姉...さ...ん....ごめんね....」ガクッ
加賀「土佐!!」
士官「ふん。さすが艦娘用の特殊弾だ。あまりの痛みに気絶したか。」
士官「おい!さっさと運べ!新兵器の準備はとっくにできているのだ!時間を掛けさせるな!」
兵A「はっ!!」
ズルズル
加賀「いやぁ!土佐!土佐!行かないで!いやぁ!!」
バタン!
憲兵B「もう諦めろ!おい!暴れるな!」
憲兵A「仕方ない鎮静剤を打て」
憲兵B「わかりました。」ゴソゴソ
加賀「いやぁ!いやぁ!土佐!」
チクッ
加賀「うっ!....土...佐...」ガクッ
士官「まったく、手こずらせおって。おい!こいつを懲罰房へぶち込んでおけ!!」
憲兵「はっ!了解であります!」
加賀(土佐....お姉ちゃん無力だったよ....ごめんなさい....)
加賀(神様、どうか奇跡を、土佐を救うチャンスを....)
そして私の意識はそこで途切れました。
そして神様などやはり存在しなかったのです。
加賀「うぅ....」
加賀(頭がズキズキする....)
加賀(窓すらないなんて。なんて息苦しい場所。)
カツン カツン
士官「やっと目覚めたか。ほら通告書だ」パラ
加賀「......!!嘘っ!嘘よ!」
海軍通告書
新型水雷兵器の実験
実験艦、標的対象艦
加賀型戦艦二番艦土佐
一発目、中破
二発目、大破 浸水被害増大
30分後に轟沈
除籍処分
新型水雷兵器
推進力、命中力、攻撃力ともに絶大。
以上
加賀「うっ....うぅ....」ポロポロ
士官「姉思いの良い妹を持ったな。」
士官「最後まで泣き叫んでいたよ。姉さん!姉さん!助けて!ってなぁ」
加賀「うわぁぁぁぁ!」
士官「にしても艤装システムをつけてない標的艦とは酷いものだな。さすがの私も少し気の毒だと思ってしまったよぉ。」
士官「艦娘は艤装システムによって痛覚をある程度抑制されているからなぁ」
士官「あの叫び声と言ったら、まさに地獄よのぉ。ずっと、痛い!苦しい!もう殺して!って涙でぐちゃぐちゃな顔で喚いておったわ。」
加賀「.....黙れ」
士官「あの悲痛と苦痛に満ちた顔!そそるのぉ」
加賀「黙れ!黙れ!黙れ!」
士官「無力だなぁ。貴様も結局は誰も救えやしない」
加賀「......」
加賀「....ふふふ.....ふははは.!....」
士官「ふん。心が壊れたか。兵器に心など持つから醜いものだ。我々もやりにくくて困る。」
加賀「ふふふ....」
加賀「......」
ズドン!ゴゴゴ
士官「何事だ!地震か!!」
ユラユラ
ゴゴゴ.....
士官「....収まった。凄い揺れだったな....」
兵「大変です!」
士官「どうした!上の被害は!」
兵「巨大地震によって建物は倒壊!工廠からは火災が発生!建造中の天城の竜骨が破損で再起不能!」
兵「さらに、巨大地震が起こることを予測していたのか、深海棲艦が一斉に砲爆撃を開始!街も壊滅状態です!」
士官「なんだと!急いで全艦娘を迎撃に向かわせろ!弾が出るやつは全て使え!私も指揮を執る!」
兵「はっ!」ビシッ
突如日本を襲った巨大地震によって建物は半壊、街は大火災に包まれました。
それを知っていたのか深海棲艦の総攻撃。
なんとか撃退には成功したものの
街も軍施設も壊滅的被害を受けたのでした。
加賀「土佐が沈んだなんて....家族になんて伝えればいいのよ...」
加賀「巨大地震に深海棲艦の総攻撃...」
加賀「みんな大丈夫だよね....?」
私は巨大地震と総攻撃によって足りなくなった兵員の増員として、すぐに懲罰房から出されました。
そして
私が心から憎み殺してやるとまで思った士官はこの総攻撃で戦死していたのです。
加賀(土佐...ごめんね...仇取れなかった...)
守ると誓ったのに.....何もできなかった....
もっと力が欲しい!誰かを守れるだけの強い力が!
私は欲しい!
私は兵器、絶対に強くなってみせるわ。
そして
少女の心が闇に染まり始める....
あまりにも残酷な妹の死
妹を失った悲しみから少女の心はズタズタに傷ついたのであった。
しかし少女はまだ知らない。
この時すでに少女の守るべきものが全て失われていたことを。
そして、この巨大災害と総攻撃によって少女は戦艦から空母へと改装されることとなる。
そこで出会った1人の少女。彼女との出会いが傷ついた少女の心の拠り所となる。そして少女は彼女を何があっても守ってみせると心に刻むのである。
運命の悪戯は続く
そして
この二人の少女こそが
後の栄えある第一航空戦隊。通称「一航戦」と呼ばれた最強の正規空母の二隻となるのである。
〜 序章 〜 完