その日悲劇は突然に訪れた。
コンコン予士官「加賀....いるか?」
加賀「はい」ガチャ
予士官「家族の安否が確認できた....母と弟は深海棲艦による爆撃で亡くなられたそうだ。」
加賀「!!」
予士官「お悔やみ申し上げる....それとこれを」
加賀「.....」
予士官「君の母がなくなる前に書いた手紙であろう。あの日の地震と爆撃で郵便網が麻痺していたため、届かなかったものだ」
加賀「.....」ジワァ
予士官「....それでは....」
ガチャ
バタン
加賀「.....」ガサ
ペリペリ
バサ
加賀と土佐へお元気ですか?
二人の仕送りのおかげで母は薬を買えて、病気も良くなりました。
本当にありがとう。
弟も毎日家事をしてくれて、助かっています。
土佐からたまに仕送りと一緒に手紙が入っているのですが、いつも加賀のことが書いてあります。
本当に土佐はお姉ちゃんが好きなのね。
体に気をつけて、頑張ってくださいね。
またみんなと揃って会えることを楽しみにしております。
母より
加賀「うっ....ひぐっ....えぐっ.....うぅ」ポロポロ
加賀「今更....こんな手紙届いて...どうしろっていうの!!」ポロポロ
ガチャ「加賀さん一緒にお風呂....加賀さん?どうしたの!!」
加賀「今更!今更!届いて...なんになるっていうのよ!!」
加賀「土佐は海軍に殺された!家族は深海棲艦に奪われた!私にどうしろというの!」
加賀「もうイヤ!!」
赤城「....加賀さん」
スッ
赤城「!」
加賀「土佐....みんな....今行くからね....」
赤城「ダメッ!加賀さんそれだけはダメ!!」グッ
加賀「やめて!止めないで!」
赤城「ダメよ!それだけは」
加賀「貴女に私の何がわかるっていうの!!」
赤城「わかります!大切なものを失う苦しみは痛いほどわかります!」
加賀「煩い!!煩い煩い煩い!」ドン
赤城「きゃっ」
グサッ
加賀「.....!」
赤城「ひぐっ」
ズボッ
ポタ..ポタポタ
加賀「!!嘘.....私が....私が....いや...嘘....」
ギュゥ
加賀「...え?」
赤城「大丈夫、大丈夫よ、加賀さん、落ち着いて」ギュゥ
加賀「私は...私は....貴女を....」
赤城「これくらい大丈夫よ」
加賀「....でも」
赤城「私も家族はもういないの!」
加賀「!!.....え?」
赤城「だから加賀さんの痛みは良くわかるわ」
加賀「うぅ...うわぁぁぁぁ....うぐっ....」
赤城「よしよし、いっぱい泣いてください」ナデナデ
加賀「うぅ....ひっぐ....ふぅ....ふぅ....」
ギュゥ
ナデナデ
赤城「少しは落ち着きましたか?」
加賀「はい...」
加賀「なぜ?.....なんで....?貴女は...」
加賀「なぜ....?なんでそんなに明るくいられるの!?」
赤城「願いだからかな.....」
加賀「願い...?」
赤城「私の姉は解体処分になったのは聞いていますか?」
加賀「....えぇ」
赤城「解体処分で内地へ戻ったのですが、自殺したんです」
加賀「...え?」
赤城「遺書に書いてたんです。笑顔と明るさを続けてねって」
赤城「少しだけ、私の過去を聞いてくれますか?」
加賀「....」コク
赤城「私達は孤児でした。深海棲艦の攻撃で早くに両親を亡くしたんです。」
赤城「艦娘をまだ募集していなかった時でした。姉はまだ幼い私を養うために必死に働きました。時には自分の体を売ってまで....」
赤城「そんな生活が続くなか、姉の表情からは笑顔が消えて行きました。まるで今の加賀さんの様な目をしていました。」
赤城「でも姉さんは私の前ではずっと笑顔でいてくれました。」
赤城「赤城の明るさは私の癒しだわ、その明るさを亡くしてはダメよ。姉さんはいつも私にそう言ってくれました。」
加賀「......」
赤城「姉さんが居なくなったのは、とても辛かったけど、姉さんの教えがあるから、不思議と悲しくないの」
赤城「今の加賀さんは姉にそっくりですから、明るくなっちゃうんですよ」
加賀(この人も、私と同じだった....そうとも知らずに....私は....)
赤城「姉と比較してごめんなさいね。傷は気にしないでくださいね。浅いですから、もう血も止まっていますし」
加賀「ごめんなさい.....」
赤城「ううん。加賀さんが死ななくて私はとても嬉しいです!」
加賀「赤城さん.....貴女って人は....」
赤城「ふふ、やっと名前で呼んでくれましたね。それでは、消毒も手当も終わったので、お風呂行ってきますね!」
加賀「....待って」
赤城「?」
加賀「その....私もご一緒しても....?」
赤城「えぇ!もちろん!」
赤城「行きましょう!」
加賀「.....えぇ」
不思議だった
悲しみは増え、苦しみは増したのに彼女にだけは、心が許せると思ってしまった。同じ境遇だから?
いいえ。
きっと赤城さんのその明るさに私が救われたのでしょうか
土佐がいなくなってから、暗闇で覆われていた私の心に、光がさした気がした瞬間でした。
それからというもの、私は赤城さんと訓練や生活を過ごす中で、この人は絶対に守ってみせると思うようになっていったのです。
私の大切な人。
そのような存在になっていったのでした。