艦これ〜君と歩む道〜   作:双竜

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何故かシリアスな雰囲気になります…誰か面白いのネタ下さい。なんて冗談は置いといて。長良編です!


一緒に走りたい・長良

私には、忘れたくても忘れられない過去がある。それは、私が艦娘になる前の私の物語。

だけど、それは昔の話。今の私があるのはそのおかげとは言えど、忘れたい過去。

 

 

俺には、忘れたくても、忘れるわけにはいかない過去がある。それは、長良が長良で無かった時の、話。

俺が、初めて同じ道を歩めると思えた、たった1人の少女の話。

 

 

〜〜3年前〜〜

 

俺がまだ、鎮守府に提督として着任したばかりの頃の話だ。その頃の俺には、好きな女性の長距離ランナーがいた。名前は、覚えていない。彼女は、両親も陸上選手だったらしく、幼少期から英才教育を受けていたらしい。そんな彼女にも、1人のライバルがいた。対戦成績は、10戦5勝5負と互角の勝負を繰り広げていた。それも、だいぶギリギリの戦いをしていたことを、覚えている。

そのライバルは、小さいころから英才教育を受けていたわけでもなく、ずば抜けて運動神経がいい訳では無かった。ただただ、一心不乱に練習を重ね、そこまでの実力を身につけたらしい。

ともかく、彼女達は日本だけではなく、世界中から注目されていたと言っても過言ではなかった。

 

だが、ある日の出来事である。

 

中学最後の大会。ベスト3位に入れば海外留学が認められる。つまり、それは世界に認められると言う事ほかならない。3位に入賞すれば、世界に。日本2、3位を常に維持している彼女たちは、確実に世界に行くと、あらゆるメディアは報道した。

 

それが、彼女たちには重くのしかかったのだろう。一陸上選手だった身としては、分かってしまう。理解出来てしまう。

 

ラストスパートを彼女たちがかけた時だ。英才教育を受けていた方の子が、急にバランスを崩し、倒れた。先程までの喧騒が違う喧騒になる。それでも、彼女は立ち上がろうとし、立ち上がれなかった。その事実が理解出来なかったのか、匍匐前進の様な形で前に進みだす。抜き去っていく数多のライバルの背中を追いかけようと、体を引き摺りながらも前進する。

 

『無理して欲しくはないですね〜』

 

実況者の間の抜けた声が、テレビから聞こえる。彼の言葉は、観覧者全ての代弁だったのかもしれない。しかし、その声に、苛立ちを覚える。だが、その声も、彼女の声の前では無に等しかった。

 

『まだ…まだ私は走れる…!まだ、まだぁ!』

 

足を引きずるように、歩こうとして、前に倒れる。その姿を見てか、彼女の指導者はリタイアさせるため、体に触れに行く。監督や、指導者に体を触れられると、リタイアになるのだ。

 

『触ら、ないで…。まだ、終わってない…まだ…まだ…』

 

しかし、彼は彼女を抱き抱えた。彼女の意志より体が大事なのだ。それも、選手生命の関わる場合なら尚更だ。

 

『離してっ!離してよ!私は、まだ…まだぁぁぁ!』

 

いつの間にか、先程までの喧騒は聞こえ無くなっていた。今、カメラに拾われている音は、彼女の絶叫だけだった。

 

一週間後、俺は彼女がもう選手として走れなくなったことを知った。俺は、衝動的に明石を呼び、ある事を問いただした。明石は、困った様な表情をしたが、すぐに笑顔になった。

 

「私が信じる提督は、私を信じてください」

 

 

ランナーを引退した私に会いたいと言ってきたのは、見ず知らずの1人の軍人だと名乗る男だった。今まで、マスコミなどから話をうかがいたいとは言われてきたが、軍人だと名乗る人から話をしたいと言われたのは初めてだった。

現役だった頃は親から絶対に止められていたであろうが、走れなくなってからは関係が悪化した。だから、ある程度は自由になったと言える。自由になる代わりに、今まで練習に注ぎ込んでいた時間の使い方が分からないのだけど。

 

待ち合わせは、女子受けがいいとは言い難いカフェだった。お客さんはそこそこ入っている所を見るに、人気がない、わけではないみたい。

 

待ち合わせだ、とウェイトレスに伝えると、1人の男の席に案内された。彼は、開口一番、ありえないことを言った。

 

「軍人になる気は、ないか?」

「え?」

「軍人になる気は、ないか?」

 

聞き間違いかと思い、聞き直すが聞き間違いでは無かった。

 

「私の足は、もう、動きません」

「それは、知っている」

「だったらなんで…!」

「君は、『艦娘』という存在を知っているか?」

「…はい」

 

知っている。軍人であり、船であり、未知の敵に勝てる唯一の平気であり血の通った人間だと。

 

「まさか…」

「君を、艦娘にスカウトしたい」

「走れるように、なれるの?」

「確証はない。だが、可能性はある」

 

彼の言っている事が、言いたい事が、私にも理解出来た。成功すれば、走れる体に戻れる。失敗すれば、私は、もう…。

 

「その話、乗ります」

「親の許可は…?」

「いりません」

「……そうか」

 

数秒、目を伏せていたが、視線が会うと彼は私の前で初めて笑った。

 

 

ーー鎮守府にてーー

 

「明石、どうだった?」

「最悪ですよ」

「そうか」

「まさかこんなことになるなんて…」

 

言葉だけ聞けば、失敗したかのように聞こえるが、私は『長良』として暫く生きることになった。しかも、明石さんが言うには初めての体験(明石さんが)なのに、高性能艦との事で、流石だって言われた。

 

 

「司令官は、私をどうして艦娘にしたんですか?」

「長良なら、いい艦娘になると思ったからだよ」

「嘘は、良くないですよ。司令官」

「なにが嘘だって?」

 

司令官の声が少し引きつったのを、私は聞き逃さなかった。明石さんから聞いたことをそのまま暴露する。

 

「長良のファン、だったんですよね?」

「……明石か…」

 

明石さんからの情報だとは、肯定はしない。私も別に怒っているわけではない。ただ、純粋に嬉しい。それだけ。誰だって、『貴方のファンです』と少なからず好意を持てる人からの言葉に嫌悪感を抱く人はいないはず。少なくとも、私はそう。

 

「否定、しないんですか?」

「事実だからな」

 

顔を見合わせ、笑う。年下の私が言えることではないけれど、司令官は素直で、嘘つきで、器用で、不器用で、可愛くて、格好よくて。

だから、ついつい外堀を埋めたくなる。

 

「司令官って、陸上選手だったんですね」

「それも明石だな」

「はい。なんでも話しやがって…」

 

「その明石さんですが、司令官が、四角い箱を購入したって言ってましたよ?中身、なんなんですか?」

「いい性格してるな、長良」

「長良は、司令官の事好きですよ?」

「……はぁ。やっぱり、いい性格してるよ」

 

 

「司令官、一つ、言っていい?」

「…どうぞ」

「遅い!全然遅い!」

「何が?」

「長良の改ニ!」

 

 

 




長良って第二次世界大戦時には旧式だったけど頑張ったんですって。そんな長良の姿を想像出来たらいいんですが…

ところで、艦これって古いんですかね…?
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