心優しい少女に祝福の焔を   作:フェイトちゃんprpr

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映画を観て熱が再来したので初投稿です


第一話「なのはと魔法使い」

「ここが海鳴市、藤見町か……」

 

「思ってた以上にのどかな町、かね」

 

「二人共良く平然としていられるよね……」

 

「んだよ(はじめ)ェ、お前だってこの世界に好きなキャラいるんだろ? だったら俺様みたいにもっと楽しめよな!」

 

「フッ……自分をイケメンだと思えば何事も楽しめる、この僕みたいにね」

 

「オイテメエ誰がイケメンだって? 一回鏡見てきたらどうだ?」

 

「早速喧嘩とか止めてくださいよ……」

 

 俺様の名前は國藤昌臣(こくどう まさおみ)、この世界に転生してきた現在九歳のイケメン男児だ。

 そしてこのいけ好かねえ自称爽やかイケメンは大門士将也(だいもんじ しょうや)、冴えないポッチャリは田中創(たなか はじめ)

 まあ訳あって三人で暮らしてたんだが、元々孤児集団で孤児院を脱走してきた俺達に住所なんてものは無く、気が付けば三人仲良く餓死していた、と言う訳だ。

 

 で、目を覚ましたら所謂お決りの『神の間』で転生がどうのとか言ってきたから受けたんだが、どうにもチートが付けられるだのと言うのは実際の転生には付けられないらしく、ある程度生きていける様な補助程度の能力付与だけで終わった。

 

 そして神様からこの世界の海鳴市藤見町……の隣町にリスポーンさせられ、今に至る。

 

「まあ創が言うなら今は止めといてやる……と、そりゃ良いが今って時系列どんなもんなんだ?」

 

「……確かに、この僕でさえもそれは把握してないな」

 

「大丈夫かなこの先……」

 

 まあ、幾ら何でも何の説明も無しに原作に追い付けない時系列に送られる事は無いと考える事を止め、取り敢えずベンチに座る。

 うーん、何とも静かな空間で考える時にはかなり良い場所になるかも知れないな、ここ。

 

「そうだ! 三人で手分けして原作キャラ探すってのはどうかな?」

 

「成る程……良いじゃねえか!」

 

「効率を考えてもその方が良いね、連絡はデバイスで出来る訳だし」

 

 確かに固まって行動するよりかは大分効率も良くなるな。

 そうと決まれば早速行動あるのみ!

 

「んじゃ早速行動しようぜ、ほら……何とかは急げって言うだろ?」

 

「それを言うなら善は急げ、だ。全くこれだから猪突猛進な猪はダメなんだよ」

 

「あ? やんのかゴラァ!」

 

「それよりも原作キャラ探索しなくて良いんですかね……」

 

「チッ、それもそうか」

 

「……まあ一時休戦と行こうか」

 

 ケッ、気取りやがって……まあでも喧嘩ばっかも埒が空かねえし一旦単独行動にすればそっちのリフレッシュも出来るって算段か。

 悪かねえな、乗ってやろう。

 

「……将也、テメエ分かってんだろうな?」

 

「ヒロインの一人占めなんて言うナンセンスな真似、この僕がする訳ないだろう?」

 

「ハッ、それに一人じゃ対処しきれねえ事もあんだろ。……一応は同じ釜の飯食って、一緒に脱走して生きてきた仲だ、みすみす失う訳にゃ行かねえだろ」

 

 俺様は将也といつも啀み(いがみ)あって来たが、それでも俺様のブラザーだ。創も将也も大切なブラザー、それを失うのだけは何としてでも避けないといけない。

 

 ……今言う必要があったのかは知らねえけど。

 

「ちょ、おいおいなーに柄にも無く言ってんのさ。似合わないってーの」

 

「とか言いつつちょっと嬉しそうだよねえ?」

 

「なっ!? お、おい余計な事を言うんじゃない創!」

 

 将也も将也で結局こう言う奴だから何とも言えない。

 たまにはこんな事言ってこうなるのも悪かねえんじゃないかと思ってしまうのは、流石に心の中に閉じ込めておくべきだなと秘かに頷く。

 

「ブハハッ! テメエ赤くなってやんのー!」

 

「なっ……おまっ、弄るなよ!」

 

「おーい二人共ー? 探索するんじゃないのー?」

 

 ま、そんな訳で。

 別段将也と仲が悪いとか、そう言う事は無い……んだと思う、多分。

 っと、何は兎も角、取り敢えず今は原作キャラを探して時系列の確認からしないとな。

 

「んじゃ、さっきも言ったが全員無理はすんな。あと見付けたら連絡寄越せって事で」

 

「取り敢えず夕暮れまでに何の成果も無かったらここに集まる、それで良いかい?」

 

「オーケー、分かった」

 

「うん、まあ夜は危ないしね」

 

 

「――それじゃ、行きますか!」

 

 

 こうして俺様達は各自別れて、探索を開始した。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

「やれやれ、一時間経って成果は無い、か……どうしたもんかね」

 

 僕の名前は大門士将也、猪突猛進アホと創と一緒にこの世界に転生してきた一人だ。

 

 取り敢えず今の状況を整理しているが、探索から一時間で連絡無し、こっちも成果ゼロと行き詰まっている。

 早い内に時系列を確定させて、それから魔法をスローペースで良いのか早急に成長させないと行けないかの方針が決まらない事には練習も出来ない。

 女の子達の手助けになる為にも、ちょっとでもアニメより更に良い方向に進ませる為にも、何とかして手掛りを見付けたい。

 

 そしてあわよくば恋愛に……

 

「ん?」

 

 ふと歩いている途中で、女の子を見付けた。

 公園のブランコで独り寂しく俯いている女の子を。

 歳としては……五歳くらいか、いくらのどかな街とは言えあんな小さい女の子一人でいるなんて……親は何をしているんだか。

 

 危なくないとも言えないし、話し掛けてみるか。

 

「君、一人でどうしたんだ?」

 

「ふぇ?」

 

 出来る限り怖がらせない様にその子と同じ目線まで屈んで、優しい声で話し掛けてみるのがセオリー。

 何歳であろうと女の子は女の子だからね、優しく真摯に。

 と、それは良いけどよく見るとこの顔……見た事がある様な気がする。

 それも物凄く心当たりがある。

 

 ……し、しかし焦ってはいけない。

 

 ここは兎に角この子の不安を消す事からしなくては。

 

「君みたいなちっちゃい女の子一人でいると危ないぞ?」

 

「……おにーさんは、あぶなくないひと?」

 

「そうともさ、この僕は女の子には特に優しく、それが自分の目標だからね」

 

「……うーん、じゃあなにかおもしろいことして」

 

「――はい?」

 

 いや、それはあまり関わりたくない系のファンが芸人に無茶ぶり要求する時のテンプレじゃ……

 この子五歳にして人を探るの上手くないかな、うん。

 

 さてしかしどうするか……面白い事面白い事……

 

「あっ! あるじゃないか!」

 

 リスクは大きい、それこそこの子が『あの子』で無い限り見せられない様なものだけれど……『あの子』だったらいける、いけるぞ……!

 

「一応聞いておきたいんだけど、名前を聞かせてくれるかな?」

 

「……わたしのおにーちゃんは、あんいにひとになのっちゃいけないっていってたの」

 

「ぐっ……そこを何とか、俺も凄い秘密見せるから、な?」

 

「……なのは。かめーはおにーさんのやることが面白かったらいうの」

 

 僕にとってはその名前だけで十二分だった。

 間違い様もなくこの子はリリカルなのはの主人公こと高町なのはちゃんである。

 そして会いたいと思っていた最大の人物。

 

 さあ、ここまでお膳立てをされておいて自分の秘密を明かさないと言う薄情な事は出来ない。

 いっちょやってみますか――人生初の魔法ってやつを!

 

「それなら、今からやる事は僕となのはちゃんだけの秘密に出来るかい?」

 

「うん」

 

「よし、良い子だ……行くぞ、『アイドーラン』。鳳凰形態、セットアップ!」

 

『OK、setup ladygo』

 

 一応神の間で説明は受けたんだけど、どうも僕のデバイスは形態が異様に多いらしい。

 今回はその内の一つ『鳳凰』の形態を使う事に決めた……と言うのも、やっぱり魔法と言うには空を飛ぶのが定番だからね。

 

 っと、そうこうしてる内に変身が終わったみたいだ。

 

 因みに現実の時間ではセットアップからここまで一瞬らしいけど、自分の意識内だとこうして考える時間すらあるらしい。

 

「……成る程、こりゃまた派手だね」

 

 自分の姿を見る……と、それは夜の街灯に照らされて神々しく光る黄金色に輝く、大きな、まるで孔雀の尾の様な豪勢なマントが付いたバリアジャケットを着た自分がいた。

 

「すごいすごい! おにーさんなにものなの?」

 

「うーん、そうだね……魔法使い、かな?」

 

「まほーつかいってじつざいしたの!?」

 

 僕からしてみれば君が今目の前にいて話してる事実の方が驚きなんだけどね。

 でもこれは中々良い趣味をしてるじゃないか、気に入ったよ。

 

「ああそうさ、お兄さんは優しい魔法使いさ。だからなのはちゃんを空のお散歩にご招待したいんだけど、良かったかな?」

 

「ほ、ほんとなの!? おそらとべるの!?」

 

「勿論!」

 

 ああ、純粋な笑みを浮かべてるなのはちゃん可愛すぎだっての。

 まだ五歳の女の子なのにもう惚れかけてる自分が怖いよ、幾ら僕ら三人がロリコンだとしてもそれはまずいよな……でも可愛いし仕方ないよね?

 

「それじゃあ、僕がお姫さま抱っこしてあげるから来てくれるかな?」

 

「……どーしておひめさまだっこなの?」

 

「本当は肩車かおんぶ出来れば良かったんだけど……それだとどうにも感覚からしてバランスが取りにくいと思ったんだ、ごめんね」

 

 本当は単にお姫さま抱っこしたかっただけなんだけどね、少しくらい役得したって疚しい気さえ起こさなきゃ紳士道には反しないさ。

 

「……それならしかたないの」

 

「ありがとね、それじゃ掴まってくれるかな?」

 

「わかったの。んしょ……っと、これで良かったの?」

 

「オーケー! それじゃあ空の旅にレッツゴー!」

 

「れっつごー!」

 

 満天の星空と三日月が光り輝く夜空は、僕から見ても絶景だった。

 小さい頃、孤児院のみんなで見に行ったプラネタリウムより何十倍も、本物の夜空は綺麗だった。

 

 でもそれよりも、そんな夜空を見て目を輝かせているなのはちゃんの方がその何百倍もキラキラした宝石の様に映った。

 ――守りたい、切にそう思ったからこそ、この後本格的に高町家に関わる事を決心した。

 

 

 

 

 のと同時に夕暮れ前に連絡を寄越せと言われたのを思い出し、ちょっと顔がひきつった。

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