心優しい少女に祝福の焔を   作:フェイトちゃんprpr

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第三話「なのはの本音」

「で、結局高町家まで来ちまった訳だが……」

 

「いや最初からそのつもりじゃなかったのかって言うのが今一番言いたい事なんだけどね?」

 

「そりゃあれだ、流石に三人ともなれば無理だろと考えての話だったんだよ……ったく、この俺様の考えを上回るなんてな」

 

「まあ結果的には良いんじゃない? それより僕は疲れたよぉ……」

 

 俺様達は結局のところ、恭也さんになすがままの形で高町家へと連れてこられた。

 確かに恭也さんは優しい人間だが、いくら何でも三人は難しいと思うんだが……高町家は一般家庭だろうしなァ。

 

「まあ少し待ってよう、流石にいきなり入るのは失礼だからね。恭也さんを待とうぜ」

 

 そりゃ一人なら兎も角三人なら家族と相談するのもしゃーねえ話だ。

 こちとら気長に待つとしよう。

 

 ……っと、どうやら話し合いが終わったみてえだな、足音がこっちに複数近付いてくるのが分かった。

 

「すまない、待たせてしまったな」

 

「いや、大丈夫っす。それで、どうなりました?」

 

「直球で聞くのかよ、いや昌臣らしいけど」

 

「まあいつもの事だよね……」

 

「ああ、それで君達なんだが……全員家の家族にならないか、と俺が提案したら母、妹二人は大歓迎らしい」

 

 おおっ、と三人揃って声をあげる。

 原作が始まるまでどこでどう過ごすのか、なんてのが一番の課題だったんだが見事に片付いたと言って問題ねえだろ。

 将也と創もノリ気みてえだし、満場一致ってところだな。

 

「それで、君達が良かったら家の家族にならないか?」

 

「……恭也さん達に負担が掛からねえなら」

 

「やれる事は何でもしますし!」

 

「ま、まあ何が出来るか分からないけど……」

 

「大丈夫だ、家の家業である喫茶店の手伝いはしてもらうが、出来る範囲で少しずつ教えていく。焦る事も無いから安心してくれ」

 

 ああ、確か今くらいの時系列だとなのはちゃんの親父さん、士郎さんが意識不明の重体になってるか……さっきも将也の話を聞いてたんだがいきなりだった、ってのと話を呑み込む前に恭也さんが来たから結局理解出来ねえまんまだったんだよな。

 

 つかそれだとなのはちゃんがブランコに一人いたのも合点が行くな……家が大変なのは分かるが、このまま放っておくと色々良くねえよな。

 

「はい、住まわせてもらうからにはやる事はやりますよ」

 

「う、うんそうだね……僕も一生懸命覚えます」

 

「俺様達は恩義はしっかり返す主義っすから……っと、すいませんが恭也さん、少しなのはちゃんと話したい事があるんですが良かったですか?」

 

「あ、ああ良いが」

 

 なのはちゃんは本編を見れば分かるが、我慢強い性格が持ち味だ。

 だが、我慢強すぎて他人を心配させる事も多い、だから今のうちから程良く他人や家族に頼る事を覚えさせるのが得策と俺様は見た。

 

「……っつー訳だ。お前らとしても解決しておきたいだろ?」

 

「勿論さ、出来る事は何でもするって言ったしね」

 

「うん、同感だよ」

 

「うーしっ、それなら……なのはちゃんはどうしたい? このまま寂しく過ごしたいか? それとも本音、打ち明けたいか?」

 

 ……なのはちゃんは俯いて考え込むばかり、つかこれで五歳とか改めて考えらんねえな、家族の事を想って考え込む五歳児とか居ねえっつーの。

 

「……あの、ね」

 

 暫く考えて結論が出たのか、なのはちゃんは重々しくではあるが顔を上げ、控えめに、遠慮がちではあるが口を開いた。

 

「さみしいよ、ほんねもはなしたいよ。でもね、そうするとみんなのじゃまになっちゃうんじゃないかなって、そうおもうの。だからはなすのはだめなの」

 

 ったくよぉ……こりゃ重症だな、良くもまあこんなガキに育ったもんだ。

 根っこの真面目っぷりと優しさは家族の教育の賜物だろうが、妙な察しの良さと控えめで自分の考えを押し込むのは天性のもんとしか言い様がねえ。

 

 これだとあれだな……今年見た映画のキャラクターの一人だったキリエの言葉を借りるなら『いいこ』ではあるが、早い内に身を滅ぼして早死にするタイプだな。

 実際11歳の頃に瀕死の重傷を負った経歴があったのを見掛けた事もあるしなァ。

 

「……と、なのはちゃんは言ってるが、テメエ等の意見聞かせろや。因みに俺様は話した方がぜってえ良いと思ってるがな」

 

「ぼ、僕も話した方が良いと思うな。恭也さんを見てれば分かったけど、ちゃんと受け入れてくれる人だと思う」

 

「将来、我慢強すぎると一人で全部考えちゃうからね……悪いとは言わないけど、まあ絶対後悔しちゃうとは思うよね。こう言うのもアレだけど、君を見ていると危なっかしくて堪らない」

 

「っつー訳だ、恭也さん達の事思いやってんなら話してやっても良いんじゃねえの。……ま、それでも話したくないなら無理にとは言わねえ、俺達だけでサポートしてやる」

 

 無理強いだけはさせたら逆に負担になるからなァ……その辺、面倒なんだよな、どのくらいで加減すれば良いのかとか俺分かんねえし。

 

 取り敢えずはジッとなのはちゃんの返答を待つ……どうやらかなり悩んでるらしいが、どうしたら良いのか迷ってる様子だ。

 

 ったく困ったなァ……俺ァこれ以上どうしようも出来ねえぞ。

 

「……ねえ、なのはちゃん」

 

「どうしたの、しょーやおにーさん?」

 

 俺も悩み始めた時、不意に将也がなのはちゃんに話し掛けていた。

 アイツは何を考えてるのか……まあそんな事知らんが、どうにかなるなら任せてみるか。

 

「話すの、怖い?」

 

「……うん」

 

「そっか。……なら、少しでも怖くなくなる様に、僕が手を繋いでてあげるから。何か言われたら僕もフォローしてあげる……それでもダメ、かな?」

 

「……しょーやおにーさんもいっしょなの?」

 

「そうさ」

 

「…………」

 

 将也の言葉を聞いたなのはちゃんは、無言で将也の手を握った。

 ……ま、やるんじゃねえの?

 女の扱いだけは一流ってか。

 

「……そろそろ話は終わったか?」

 

「はい終わりましたよ。すいません長い事話し込んでしまって……でも、なのはちゃんがどうしても話したい事があるみたいで、ちょっとお時間取らさせていただきました」

 

「話したい、事……? なんだいなのは、お兄ちゃんに言ってごらん」

 

「あぅ……その……」

 

 とは言ってもそのまま直で本番行けと言われても少し無理があったか、なのはちゃんはしどろもどろになっている。

 チッ、将也の奴……俺様が任せたんだからちゃんとなのはちゃんの勇気出させてやれよ、ったく。

 

 お前なら出来るだろ、将也?

 

「……僕が側にいるよ」

 

 将也が、言葉少なげに、それでいて優しく語りかけなのはちゃんの手をもう一度握り締める。

 

「……うん」

 

 応える様に、なのはちゃんは握り返す。

 

 ……ハッ! やっぱり将也はこうでねえとなあ。

 

「あのねおにーちゃん、わたしね、みんなにめいわくかけないようにっていつもじゃましなかったよ。ひとりでこーえんいってあそんでたよ。みんなのやくにたってたよね?」

 

「……あ、ああ」

 

 少し困惑した様に、恭介さんは話を聞く。

 ったく、小さいからって油断してるなこの人はよぉ。

 なのはちゃんの心の強さは、この年齢からして既に下手な大人よりしっかりあったんだ。

 でもやっぱ奥底は子どもだから、本当は我慢して。

 

 あーあ、だから今も泣きたいの我慢してるし。

 

 ……ちゃんと受け止めてあげてくれよ、なのはちゃんの兄貴なんだからよ。

 

「でもね、ほんとーはさみしかったの。ひとりでぶらんこのってても、ひとりでおへやにいても、ほんとーはみんなとあそびたかったの。おかーさん、おにーちゃん、おねーちゃん……それにおとーさんも。でもわたしがわがままいうとめいわくになるから……だから……ずっと、ね……がまん、してたの……」

 

「なのはッ……!! お前が、そんなに我慢してたなんて……すまない、すまない……!! 気付いてあげられなくて……!」

 

「……」

 

 家族の愛情、想ってるが故に気付けなかった互いの気持ち。

 そんな些細なすれ違いでも、ここまで俺様は感情を動かされるのか……諦めたと、そう思っていたのに……ったく情けねえ。

 家族なんてもん、俺様達には無いってのによ。

 

「良いじゃないか、僕等はまだそこまで堕ちてないって証拠だ」

 

「……まあ、これが本来の目的だしね」

 

 そうしている内に、騒動を聞いてか高町家のお姉さん美由希さん、お母さん桃子さんが慌てて来て、事情を恭也さんが説明しては全員で抱き合っている。

 

 

 俺様達は三人して、それを見つめる事しか出来なかった。

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