佐久間まゆの15年の真っ赤な日記帳。   作:桃音

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続きを出すつもりも、表現するつもりも最初はなかったんだよ…?
とりあえずこれで本当におしまい。
蛇足だったらごめんなさい。


貴女に百日紅の花を。

愛しい人に電話をかける。

ダメか。もう、夜も遅いしな……。

救急車、遅いな…。

 

 

なぁ、まゆ。どうしよう。

俺、もうダメみたいだよ。

 

まだ、まゆをトップアイドルに出来ていないのに。

 

まだ、何も伝えられていないのに。

 

まだ、傍に居たいのに。

 

 

電話がかかってくる。

きっと、かけ直しの電話だ。

体が動かない。

体がいう事を聞いてくれない。

 

まゆ。

 

まゆ。

 

ずっと黙っててごめん。

隠しててごめん。

 

それでも俺は。

 

佐久間まゆを、愛していました。

 

 

 

 

 

 

***********

 

気がついたら、自分の机の前にいた。

事務所は俺の葬式で忙しそうだ。

皆、哀しんでいて…見ているのも辛い。

 

「プロデューサーは……どこにいったんでごぜーますか?仁奈達をおいてかないでやがりますよね…?」

 

仁奈、俺はここだよ。

 

「ぷ、ぷろ…プロデューサーぁっ…。私、これから……どうすればいいんですか…!?」

 

蘭子、熊本弁忘れてるぞ。って、そんな余裕なんてないか。

 

 

 

 

まゆは、虚ろな目をしながらソファーに座っていた。

時折、日記帳を抱き締めながら何かを呟いていた。

 

 

「……ぷ、プロデューサー。そ、そこに居る……よね?」

 

小梅が俺に気付いて、話かけてくれる。

 

「なんで、ま、前もって教えてくれなかったの…?

もうすぐ、病気で死ぬ…なんて。」

「最期まで、本当の君達を見守っていたかったんだよ。

病気なんて知られたら、君達は無理をするだろう?

そんなのは望んでいなかったんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

「こんな結末の方が、誰も望んでなかった。」

 

小梅の声が冷ややかだ。

 

「皆…プロデューサーが大好きで……プロデューサーはずっと一緒だって思ってたのに……い、いきなり死んじゃダメだよ……。」

 

小梅は泣いていた。

 

前はあんなに

 

『ぷ、プロデューサーが幽霊になっても、ね。

私が必ず見つけるから……。』

 

と、言っていたのにな。

 

 

 

 

小梅以外は誰も俺に気付いてくれない。

俺はそっとまゆの傍にいく。

 

「……プロデューサーさん。プロデューサーさん。

今日、まゆはお弁当作ったんですよ。プロデューサーさん、ねぇ、食べて?

きっと美味しく出来てますから。」

 

虚ろな表情で、俺に話しかけていた。

誰もいない空間に。

 

曇ったガラス玉のような瞳から、涙が溢れだす。

 

ごめん。

ごめんな。まゆ。

 

君だけには知られたくなかったんだよ。

 

俺が最期に電話をかけたのは、まゆだった。

まゆの声が聞きたかった。

 

まゆに会いたかった。

 

すぐにかけ直しても電話に出ないから、まゆは急いで俺の部屋に行ったらしい。

 

 

 

 

そう、最初に俺を見つけたのはまゆだった。

救急隊員達は、遅かった。

道が混んでて、全く前に進めなかったらしい。

自分の不運を呪いたいよ。

 

 

 

 

しばらくしたら、まゆは元気になった。

いや。元気になりすぎた。

 

俺が死んだ事を忘れてしまったのだ。

 

赤い日記帳に俺への言葉を書き綴っていた。

「大好きです。」「早く帰ってきてくださいね。」

そんな言葉で埋め尽くされていた。

 

俺は辛かった。

ちひろさんが、丁寧に机の上に載せる度に。

 

「もうやめてくれ」

 

そう叫んでいた。

 

今のまゆを見ていたくない。

なんで俺はこんな体なんだ。

 

今すぐにまゆに話しかけたい。

抱き締めたい。

 

どうして。どうしてだよ。

 

 

 

まゆが事故に逢った時、もうこんな日々は終わるんだと、どこか安心している自分がいた。

 

最低だ。

 

まゆは記憶喪失になってしまった。

 

それでも、俺を好きでいてくれた。

 

 

まゆは知らないだけで、こんなに汚れて…こんなに最低で…こんなにまゆを傷付けているのに。

 

 

俺は、小梅に頼んでレターセットを買ってきてもらった。

まゆがちゃんと夢から目覚めた時に読んで貰えるように。

 

「なぁ、小梅。

今から言う言葉を書き綴ってくれないか?」

「……うん。わかった。」

 

 

 

 

 

最後に、いつかまゆに渡すつもりで買っていたモノを同封してもらう。

 

「…プロデューサーは…と、とても酷い人だね。」

「なんでだ?」

 

「……私も、ず、ずっと……プロデューサーが好きだったのにな。」

 

俺が好きなのはまゆだ。

小梅に「ごめんな。」と伝えると、彼女は、

 

「知ってたよ。」

 

そう微笑んだ。

 

 

 

俺が死んで15年目。

 

まゆはようやく目覚めた。

 

一度は辞めたアイドルに復帰してくれた。

 

俺の部屋に来て、手紙を読んで泣きじゃくる。

 

 

「大好き……大好きだよ。プロデューサーさん。」

 

まゆの耳元で、俺も応える。

 

「俺も大好きだよ。まゆ。」

 

ようやく、伝える事が出来た。

 

まゆは、少し驚いたように言った。

 

「プロデューサーさんの声が、聞こえましたよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きっと、俺はこれからもまゆの傍にいる。

 

だって俺は、佐久間まゆを愛しているから。




蛇足だったらごめんなさい。でもつい書きたくなったんです!
なんか、このまま終わらせたくなくて…。

まぁ手紙は相変わらず、皆様のご想像にお任せしています。


この物語を書いていると、三浦あずささんの「隣に…」がとても聞きたくなります。
なんか、本当に辛い。うん。

遠いかなたへ旅立った
私を一人置き去りにして
側にいると約束をしたあなたは嘘つきだね

この作品のまゆはプロデューサーを嘘つきだとは思っていなくても…それでもこの歌詞が合うよなぁと私は思いますね。うん。


タイトルの百日紅(サルスベリ)の花言葉は「不滅の愛」です。

なんか、素敵な花言葉ですよね。
この物語の二人にあう花言葉です。

それでは。
今作も読んでいただきありがとうございました。
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