『ダンジョンに強さと女を求めるのは間違っているだろうか』 作:和服座 天六
次の話は、原作『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の少し前らへんの話。
ベルがミノタウルスに襲われる場面があるかもです。
001 プロローグ
001 プロローグ
キンッ キンッ
金属と金属がぶつかり合い弾けあう音だけしかないこの場所、オラリオに存在する『ロキ・ファミリア』の本拠地『黄昏の館』にある中庭にて二人の男女が剣を交え戦っている。
少女の方の年は16歳で、金髪を長く伸ばしすごく整った顔をした女はこの街では『剣姫』と呼ばれる少女だ。
今使っている武器はレイピアのような細剣で『不壊属性』の付いた武器でもある。
そしてそんな剣姫と戦っている少年の見た目は幼いが年は15歳で、色素が全て抜けてしまっている白髪に真っ黒な黒瞳の双眸、剣姫と並んでも見劣りしないであろうその顔の作りはとても整っている。
今現在扱う武器はナイフ、しかしこのナイフはオラリオ1と名高い鍛冶師が打った業物で、不壊属性こそ付いてないものの耐久性も鋭利性も至高の一品。
しかし彼は手に持つナイフとは別に腰に一本背に一本刀を帯刀している。
「アイズ、この戦いまだ続けますか?」
少年は抜き足で後退し、アイズと呼んだ少女と距離を取る。
「うん、絶対勝つ」
アイズは一言返し、少年に特攻する。
「しかし、この戦いになんの意味があるのでしょう」
「それは自分の胸に聞けば・・・・・いい!」
喋りながら細剣を振るが、少年はそれを難なくナイフでもっていなす。
「しかし自分の胸に聞けと言われても・・・はぁ〜。なぜ、アイズやティオナ、リヴェリアにロキは私が他のファミリアの女の子と仲良くすると怒るのでしょうか」
少年は心底心外だとばかりに首をひねる、少女はその行動にまるでバカを見るような目で見る、見つめる。
「本当にわからない?」
「うっ」
「本当はわかってるくせに」
アイズの言語攻撃に少年が焦りが見える。
そして少年は思う、なぜこんな面倒なことになってしまったのかと。
* * * * * * * * * *
時は1日ほど前に遡る。
その日少年はファミリアの女の子を誘って街に繰り出そうと思っていたのだが、ファミリアの女の子全員に振られてしまいあえなく撃沈。
仕方なく一人寂しく街を歩いていると、前から青髪ショートの髪が目立つ『ヘルメス・ファミリア』の団長『アスフィ・アル・アンドロメダ』を発見。
至急声を掛けると、『ん〜〜そうですね〜、でもたまにはヘルメス様に労働をさせなければいけ無いから、たまにはいいかな』と言って結局デートした。
アスフィと共に町中を散策し楽しみ、日が沈み月が昇ってきた頃。
『ねえ、偶には私と一緒にどうですか』
と、彼女の方からお誘いを受けたのでそれを受けただけだというのに。
結局その日はアスフィと愛を深め、黄昏の館には朝帰りになった。
門番の二人をうまくかわし部屋に戻ろうとした所に、彼女たちがいた。
アイズ、リヴェリア、フィオナ、ロキ、ロキ・ファミリアの女性陣代表的な位置に居る彼女たちに言い訳が通る訳もなく、結局昨日の出来事を全部吐いた。
* * * * * * * * * *
そして冒頭に至る。
「それでアイズたちは私に何を求めているんですか?謝ったんですからもう許してくれてもいいと思うのですが」
「だめ、私と戦って。もし私に勝てたら今回のことは許す。けど、もし私が買ったらもう二度と他のファミリアの女の子と仲良くし無いで」
アイズはほっぺをぷくぅと膨らまし言う、それに対し少年は少し悩むような仕草をし、腹を括ったのか手に持つナイフをコートの内にしまう。
「わかりました、その勝負受けましょう。しかし私も女性と愛を深められなくなると少々困るので、・・・ほんの少しですが本気を出しましょう」
少年は右手を左腰に帯刀している刀に添える。
「・・・!」
アイズは目の前にいる少年これから何をするかを理解し戦慄するが、すぐに体を何時でも攻撃るようにして観察する。
少年が握ろうとしている刀は、お世辞にもいい刀とは呼べ無い見た目をしている。
柄に巻かれている布はボロボロになりほつれたり破けたりしており、鞘に至ってはその辺の廃材の方がいいのではないかと思うほど古く歪だ。
しかしあの刀を見た目で判断してはいけ無いと、彼と対峙しているアイズもこの勝負を見ているファミリア全てが理解している。
なぜならあの刀はただ一つの存在が為にある、存在している刀なのだから。
「みなさんはこの刀を持って戦う私を見たことがあるでしょうが、しかしここにいる誰もこの刀の銘を知ら無いのでしょうね」
彼は静かに柄を握り、静かに刀身を抜きながら語る。
「みなさんにとって武器とは突き詰めればただの物、しかしこの刀は私にとっていわば半身であり唯一無にの存在であり血を分けた私自身といっても過言では無いのですから」
静かに、しかし鋭く抜かれた刀は、鞘と刀身がうまくはまってい無いのか動かすたびに小さくだが刀身自体が小さく揺れる。
刀身はどこにでもありそうないい刀、一級品ではあるだろうがしかし彼が持っていてやはり違和感を覚える代物。
「この刀はただ一つの事だけを成す為に生まれた刀であり、それはこの世にあるどんな武器よりも鋭利であり絶対だ」
彼は静かに右手に持つ刀を振りかぶり、そのまま誰もい無い外壁しか無い真横に振るう。
ササササササ、ドドドドドドドドドド。
振るった剣は刀身が伸びたわけでも何か魔法を使ったわけでも無い、ただ振るったそれだけで万物を両断し切断する。
「そう、この刀は『斬る』為だけに存在し、それを私は『斬る』為だけに振るう」
ただ重力に任せ、刀の重みに任せただけで振り下ろされた刀は、10M先にある城壁を切り裂き、地面に切れ目を作る。
「斬れ過ぎるが故にこの刀を納める鞘が見つからなかった、だから私は私の血肉によって鞘を作りようやく持ち運ぶ事ができる様になった。
それ故に、この刀の事を私はこう呼んだ。鞘が無い為に刀身がむき出しになってしまった刀『鞘伏』と」
彼は静かに話す事をやめ、振るった刀を静かにアイズに向ける。
「僕は僕と鞘伏に斬れぬ存在を許さ無い。さあ準備はいいかい、アイズ」
行くよ、彼のその言葉と同時に彼は動き出す。
それは走るというより『歩く』と言った方がいい程の速度。
しかしアイズは動か無い、彼の持つその刀の唯一無にの能力と彼自身の持つ身体能力を知っているから。
こっちが動いても、攻撃が当たる瞬間にあの刀で私の持つ剣も、もしくは私自身も斬られてしまうとわかって、理解しているから。
「わかったこうさ「なにやっとんじゃワレーーー!」え・・・」
アイズが降参と言おうとした所で、彼の後方から人影が大声を出しながら向かってくる。
彼女こそこのファミリアが主神『神 ロキ』。
「おのれ〜アイズたんになにしてくれとんのじゃーー」
ロキはダッシュで彼に接近しライダーキックをお見舞いする、が彼は難なくかわしそれを何度も繰り返している。
この光景を見慣れているファミリアメンバーからは笑みが溢れ笑いが起きる、それにつられアイズも少し肩の荷が下りたようにゆっくりと地面に座る。
これから始まる物語は、ダンジョンに強さと女を求めている少年の物語。
彼、『クロ=エイワース』が紡ぐ『頂の物語』。