fate/stay night 夢よ永遠に 作:fate信者
あれだけの傷を負ったセイバーの体が気にかかる。
「セイバー。
…その、体は大丈夫か? バーサーカーにやられた傷、ふかかっただろ」
「…?私の体は見ての通りですが。
確かにあの傷は敗北に至るものでしたが、致命的ではなかった。バーサーカーが立ち去った後、一時間ほどで治療を済ませました」
「え…じゃあセイバーはもう完全に元通りなのか?」
「無論です。ですが本調子、という訳ではありません。
バーサーカーの一撃は単純なものだったので治療できましたが、ランサーの宝具による傷は別です。
あの槍は特殊な呪いを帯びているのでしょう。彼につけられた傷は、まだ完全に治りきっていません」
…治りきっていない、か。
とてもそうは見えないが、セイバーは痛みを口にするヤツじゃない。
セイバーと戦っていく以上、よく気を配って彼女の体を気遣わないといけないみたいだ。
どすん、と。
入り口の方で、何か重い荷物が落ちる音がした。
「どすん?」
振り返ってみる。
そこには、大きなボストンバックをおいた遠坂の姿があった。
「はい?」
思考が停止する。
帰った筈の遠坂が道場にやってきて、しかも私服で、なんであんな荷物を持っているのだ?
「……何しにきたんだ遠坂?」
「何って、家に戻って荷物をとってきたんじゃない。今日からこの家に住むんだから当然でしょ」
「な!!?
す、住むって遠坂がこの家に!?」
「協力するってそういう事じゃない。 貴方ね、さっきの話って一体なんだったと思ったわけ?」
「あ…う…」
びっくりして声が出ない。
何か。何か反論しないと、とんでもないコトになっちまうっていうのに、頭がうまく働いてくれない。
「私の部屋はどこ?」
容赦なく話を進めていく侵略者
道徳上不味いのではなかろうか。
遠坂は学校のアイドルで、そんなのが俺の家に泊まったり住まわれたりしたら気が気じゃないっていうか藤ねぇやアルトねぇやイリヤに殺されるっていうか、まさかアイツ俺を混乱させてマスターを1人減らそうと画策してるんじゃなかろうな!?
「凛の部屋はちゃんと用意してますよ」
そう答えたのは、少なくとも俺の味方だと思っていたアルトねぇだった。
まさか…アルトねぇが遠坂側につくなんて
「そういえば、セイバーの部屋は何処にするの?
衛宮くん、彼女は私のアーチャーとは違ってかさばるんだし、部屋は用意して上げた方が良いわよ?」
「シロウ。 私はシロウのサーヴァントだ。
マスターを守護するのがサーヴァントです。
それに睡眠の時が一番危険です。
だから、私はシロウの部屋にいます」
と、セイバーはこう言っているが…
勿論、違う部屋に寝て貰う。
だって、思春期の男と女の子を一緒の部屋に寝かせたら俺は気が気じゃない。
「ダメだ。
セイバーには違う部屋で寝て貰う」
「シロウ。さっきも言ったと思いますが、睡眠時が一番危険なのです。
マスターが襲撃にあった時に助けられない」
どうやらセイバーも引かないらしい。
どうすれば言いかと悩んでいるとーー
「それなら、士郎の隣の部屋ならどうでしょうか?」
アルトねぇが助け船を出してくれた。
俺はアルトねぇに心の中で感謝をする
「確かにそうだ!
隣の部屋なら襲われたとしてもセイバーなら助けられるだろ? なら、それで良いじゃないか!」
俺はここぞとばかりにセイバーに畳み掛ける。
「っ! 確かにそうですが…もし、私より素早いサーヴァント。
アサシンのような気配を殺せるサーヴァントの場合、私は助けに行くのに少々遅れるのでその間にシロウの身に何かあったらでは遅いのです!」
セイバーも負けじと言い返してくる。
だが、俺はセイバーがこう返すと予想していた。
「大丈夫だ。
俺はセイバーを信じてる。
セイバーは謙虚が過ぎるんだ。
セイバーは最優のサーヴァントなんだろ?
なら、それだけで十分だ」
セイバーは俺の言葉を聞くと、不安そうな表情をしていた。
「ですが…バーサーカーの時にシロウに怪我をさせてしまったのは私の力不足です。
ですから、シロウが私を過大評価してくれるのは大変喜ばしいのですが…。
万が一という事もあります」
ーーセイバーはバーサーカーの時の事をまだ引きずってるようだ。
……何が、マスターだ。
勝手に怪我をして、セイバーに心配させて、これじゃ子どもと何も変わらないじゃないか!
俺はセイバーの方に顔を向ける。
「確かにセイバーの言うとおりだ。
俺は自分の身も守れないマスターだ。だけど、数秒ぐらいなら自分の身を守れる。セイバーが現れるまで俺はランサーから逃げてたんだ。
だから心配しないでほしい。
俺はセイバーを信じてる。
だから、セイバーも俺の事を信用してほしい」
俺はセイバーの瞳を真っ直ぐに見つめる。
彼女は小さなため息をひとつはいた。
「まったく前代未聞ですよ?
サーヴァントに心配するなっていうマスターは」
「ああ、分かってる。
自分がどんだけバカな事を言ったのか、そして、セイバーにいっぱい迷惑をかける事も」
俺は申し訳なさい気持ちになりながらセイバーの顔を覗く。
「……」
俺は言葉が出なかった。
セイバーが笑っていた。
なんでこんなに驚いているのか自分でもわからなかった。
だけど、その笑みからは自分の姉と重なって見えた。
するとーー
「はい!
話は終わったんでしょ?
なら、私は先に部屋に行かせて貰うわよ」
黙っていた遠坂が急に話した。
「凛? 部屋が判らないなら送っていきますが?」
「いえいえ、大丈夫よ。
アルトレアさんは士郎の方にいてください。
私はこの屋敷の捜索がてらに部屋に行きますわ」
「わかりました。
凛の部屋は、離れの部屋の洋室です」
「ありがとう
それじゃ、私はここら辺でおいとまさせて貰うわ」
そういって荷物を持って屋敷へ歩いていく
その背中は修学旅行の時の生徒みたいに楽しげだった。
「アルトねぇはどうするんだ?」
「私はこれからイリヤと一緒に買い出しに行ってきます。
少し帰ってくるのは遅れるかも知れません」
「わかった」
アルトねぇはイリヤの部屋に向かっていった。
さて、部屋の問題は一件落着だな。
あとはーー
いきなり仲良くしすぎた
ごめんなさい
でも、こっからだから読んでくれたら幸いです。
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してくれたらモチベが……でます!!!
それでは、次回