デジモン×デジモン~リ:デジタイズ・アドベンチャー~ 作:行方不明
これでとりあえず中盤は終了。
ここから終盤に向かっていきます。
ではどうぞ。
あの後少し休んだ一行はすぐさま行動し、森を抜けた砂漠を前に一晩明かす。明日こそ何か手がかりがあるといいなと思いながら、同時に眠るとあの夢を見るかもしれないという恐怖から、見張りを買って出る。昼間は軽い話題で思い出さないようにしていたが、一人になると考え込んでしまう。アグモンはパートナーである。オンラインゲーム時代から、ずっと一緒の。そのパートナーに殺すことを指示していいのか。殺すことの罪を自分の指示で負わせていいのか。そんなことばかり考えて、仕方ないんだという諦めと、殺さなくちゃいけなかったという使命感が同時に襲ってくる。進化できないままでは、自分を信頼してくれるパートナーに申し訳が立たない。どうすれば?思考が堂々巡りになりかけたとき、となりに太一が来て座った。
「っよ!となりいいか?」
いいかと言いながら拒否を許さないばかりに仕方ないなぁという諦めも出てくる。はっきり言って、今は一人になりたいのだが……。黙っていたのを肯定ととったのか隣に座り夜空を見る。
「進化出来なくなったんだってな。」
「っ!」
いきなり確信を付いた言葉に思わず反応をしてしまう。どうして……というのは愚問だろう。あれからのタイガの様子はおかしかったし、さっきアグモンズと何か話していた。その時にいろいろと聞いたのであろう。
「すごい悩んでいそうな顔しているし。なあ?なんかあるなら話してくれないか?」
「……」
「別に強制はしないけどさ。自分にのせいでパートナーが進化できなくなるってのはけっこうくるからな。」
一人で考えても埒があかないし、自分より長くデジタルワールドと関わっているらしい人に意見を聞いてみるのもいい感じがして話し始める。
自分の冒険を。その過程を。
「要するにタイガ達はデジモンを倒したことはあっても殺したことはなくて。んで、目の前で消滅したところを見てしまったから悩んでて。その結果、また殺してしまうんじゃないかって思ったら、進化させられなくなっちゃったと。」
「まあ、端的に言うとそうなるんだけど……。」
一時間近い説明を一息でまとめられたのが気になるのだろう。誰だって一生懸命した説明を簡単にされたらいい気はしないのだ。それがいいことかはともかく。避難の視線を投げたら、太一はそれに気づいたのか謝った。太一は基本馬鹿ではあるが、空気は読めないわけではないのだ。
「ゴメンゴメン。でもそうなんだろ?」
「太一はさっき進化できなくなった、みたいに言っていたけどどういう?」
気になったことを聞いてみる。するとやはり聞かれると思ったのか、苦笑しながら話し始めた。
「昔、ちょっと勇気の紋章……ああ、完全体以降に進化させる道具な?それを手に入れたときにちょっと焦った時があってね。自分一人で戦っているつもりになっていた時があったんだ。おかげでアグモンを暗黒進化させてしまうし、その後成熟期にも進化できなくなったし、で大変だったんだよ。」
「それって……。どうやって直したんだ?」
成熟期にも進化できない。それは自身の今の状況と似ている。もしかしたら、解決の糸口が見つかるかもしれない。そう考えたのだが……。
「思い出したんだよ。」
「思い出す?」
何を?そう問う前に太一は当時のことを思い出しているのか、遠くを見ながら話し始めた。
「諦めちゃダメだってこと。一度失敗したからって諦めたらダメってことをね。」
「諦めちゃダメ……。」
それだけ?と求めていたことと違うことにガッカリしたのだ。進化できないという問題の前段階の問題の解決の糸口も期待していたのだ。はっきり言って期待しすぎなのだが。
「まあ、その問題だけじゃなくて、あの冒険自体、オレ一人じゃ諦めていたかもしれないけどさ。でも、オレは一人じゃなかったからな。アグモンに、ヤマトに丈に光四郎。タケルにミミちゃんに空にヒカリ。皆がいたから諦めずにやって来れたんだよ。」
その言葉に、一人じゃなかったという言葉にハッとする。そうだ、いつの間にか自分は一人で悩んでいた。これはアグモンとの問題でもあったのに……。
「まあ、いろいろあるとは思うけどさ。一人で抱えてないで、皆で頑張ろうって話。とりあえずは俺達もいるし。明日からまた頑張ろうな~。」
太一はおやすみ~!と言って眠り始めた。太一に言われたこと。今の現状。あの暗闇の夢の中、最後に光の中で聞いた言葉……。ここに来てからあったことが一気に駆け巡った。
よし。と一通りの答えを出したところで後ろに気配を感じた。アグモンだ。自分の背にもたれるように座ってきた。
「なあ、アグモン。お前……ここに来てから悩んだ?」
「え?僕?何も悩むことなんてなかったよ~?」
「ぷっ。あははっ」
いきなり笑い始めたタイガにアグモンは不服そうだ。背中合わせなので表情はわからないが、これくらいなら付き合いでわかる。
「なんだよ!オレの一人相撲だったわけか~。アレ?ケンカしていたわけじゃないから、一人相撲ってのも違うのか?まあいいか。」
「えー。何がいいの?」
「ん?アグモンは呑気でいいなって話。」
「なんだよ~。それ。」
呑気な会話をしながら考える。自分は独りじゃない。未だにデジモンを殺したことを吹っ切れたわけでもない。でも……と、いつも一緒に戦ってくれるこのパートナーがいる限り。ニコやユウヤ、アキホにミレイ。皆がいる限り、きっと自分は独りじゃない。ならば。あの暗闇の中でも。どんな苦しみの中でも。きっと進んでいける。そんな気がした。
「――――――」
「「ん?」」
太一のアグモンに見張りを代わってもらって眠りにつく。夢の最後に聞こえた声が。あの全ての始まりの声が。独りじゃないからと。そう言っている気がした。
いつも通り、誤字脱字があれば御手数ですがご報告ください。
また感想、批評、批判お待ちしております。