勢いで作ったんだけど自分の文才に絶望する…
ミリタリーは好きだがそこまで詳しく無いので悪しからず
帝記1349年9月下旬メスス島沖上空に、セントヴォルト帝国の戦闘機ベオイーグルが3機、哨戒飛行をしている。
雲量は5、雲が目立ち視界は良いとはいえない。一番機のワイト中尉は周囲を監視しつつ思う。
ーーこのまま何もなければもうすぐ旋回ポイントで母艦に帰れる。そうしたら待ちに待った休暇だ。
『ハローセントラル、テイラーからワイト中尉へ。視界内に敵影無し、そろそろ引き上げまっしょー』
無線からおちゃらけた声が伝わる、二番機だ。仮にも最前線で任務中なのだが勝利確実のムードが軍全体に広がっている。
今や多島海ではセントヴォルト帝国と秋津連邦、ハイデラバード連合共同体の三つ巴で戦争をしているが状況は国力に勝る帝国が優勢だ。
序盤こそハイデラバード(ウラノス)に取られてしまったが、現在ではハイデラバードの占領下だったサントス島を攻略し、帝国軍の支配下に置き次の進行戦の為の戦力を結集中。
敵対する2か国を落とすのはもはや時間の問題だ、という空気が一般市民から軍人まで流れている。
「1番機から2番機へ、任務中だぞ。死にたくなければ気を引き締めろ」
『サー。しかしですね中尉、後は帰還するだけでしょう?何もない哨戒飛行なんて暇で暇で、敵機に打ち落とされるより先に暇で死んじまいますよ』
「まぁな、それは言えてる」
『ヘイ、ルーキー。さっきからだんまりだが、寝ちまってんじゃねーよなー?』
『いえ…ちゃんと、起きてますよ』
ルーキー。3日前に配属になったばかりの新兵だ、歳は18。出撃数は今回で4回目、飛空士としても一人の人間としてもどこからどう見てもルーキーだ。配属前に食堂で朝食のミルクをこぼしたのを同期のやつらにからかわれたと言っていた。
ミルクをこぼすと1週間不幸が付いて回る、有名なジンクスだ。それを真に受けた様だ。
「ルーキー、ミルクをこぼした話は8日前の話だろ。大丈夫俺達は幸運に向かっているぜ」
他愛もない話をしながら旋回ポイントでターンをする。編隊を組んだまま飛び続ければ母艦に着く、はずだった。
「?」
ワイト中尉はふと違和感を感じた。目線を落とすと操縦桿を握る手に、影?
目を見開きばっと上を向く。天上に光輝く太陽の中から黒点が一つ、みるみるうちに黒点は大きくなってくる。
全身が鳥肌立ち本能が逃げろと警鐘を鳴らす。
「太陽から敵機っ!全機散開回避せよ!」
マイクを怒鳴り付け、フルスロットル、操縦桿を横に倒しフットバーを蹴る。急旋回。
機体が翻り、強烈なGが襲い掛かると同時に自分の真横に黄色い無数の死の礫が降り注ぐのを感じる。目は、無意識に太陽からの刺客をとらえ続ける。もう一度、敵機は銃撃してきた。操縦桿を祈る様に両手で持ち、頭を低くする。
被弾は無かった。
ーーかわしたぁ!?
機体を反転させ、瞬時に戦場となってしまった空域を見る。高速で降下していく敵機が一機、派手な機体だ。
プロペラスピナーと主翼の先端、胴体の識別帯が黄色い。
ーーこいつは!
「イエローファイター!」
高度3800。雲に隠れて下方を見るとセントヴォルト帝国の戦闘機が3機飛んでいる。機種はベオイーグル、高度3000、哨戒飛行中。
先程発見して、雲に隠れながら上昇しつつ追尾している。今やっと襲い掛かれる位置に着いた。絶好の攻撃位置。
ーーさて、やるか
背面も入れて周囲を見渡し、再度敵機を見ると進路を変えている。見つかった?一瞬そう思ったが、母艦に帰る為に変進したのだと判断する。こちらは、まだ絶好の攻撃位置についているが、隠れる事ができる雲はもうすぐなくなる。
隣を見ると我が列機が機体を寄せてきて、太陽を指差し次いで敵機の方向を指し、殴る仕草をした。
太陽を背にして襲撃しましょう、こんな事を言いたいのだろう。列機に頷き手信号で指示を出す。襲撃前に無線は使わない、傍受されて警戒されると困るから。
照準機のスイッチを入れる。武装の安全装置を解除。弾丸装填。油圧油温異常なし。残燃料十分。
スロットルを開き雲から飛び出す、吠えるエンジン。操縦桿を傾け背面飛行に入り狙いを定める。
敵の一番機めがけて操縦桿を引き逆落としに急降下、機速が出すぎないようにスロットルを絞る。照星の中の敵機がぐんぐん大きくなる。敵機の頭一つ分先に照準、引き金を引こうとするが、直感が囁く。
ーー気づかれた、回避される
一瞬の射撃、命中は期待してない。案の定敵機は急旋回し回避し、こちらの機首下に入り視界外へ逃れる。敵二番機も回避機動に入ろうとしているが、三番機は真っ直ぐ飛んでいる。素人だと思った。
フットバーを踏み込み、機首を無理やり敵三番機へ向ける。照準機一杯に映る機影、間髪入れず撃つ。弾丸は敵機の機首に吸い込まれ派手に火を吹いた、撃墜確実。
操縦桿を倒し下方へ抜ける。速度がついて重い操縦桿を引き機体を引き起こし弛い旋回上昇に入る、敵一番機の方向へ機首を巡らす。後方を見ると太い黒煙を引きながら弓なりに落ちていく敵機が一つと、こちらに向かって来る敵機が一つ。始めに狙った一番機はまだもたついてる。
迫り来る敵機の殺気を感じる。味方を落とされ怒っているのかも知れない。
しかし真っ直ぐに距離を詰めてくる敵機の上から降下してくる機影が一つ。上空からの肉薄そして射撃。弾幕に絡め取られ錐揉みに入り呆気なく落ちていった。
『敵機撃墜!撃墜!』
無線から威勢の良い声が響く。
「残り一機だ。このまま追い込んで仕留めるぞ」
『了解!』
最後の一機に列機が止めを刺す、横転しながら落ちていく。撒き散らす部品が光を反射してきれい。
敵飛空士の脱出はない、弾をこれでもかと言うくらい食らっていたから、飛空士が死んでいるのかもしれない。
「戻れ。編隊を組み直し帰投するぞ」
上空で待っていると二番機が上がってきて真横にピタリとつける。
操縦席を見ると安芸和泉二等飛空兵曹がにこにこしながらガッツポーズをとっている。一度の空戦で二機も撃墜した事、そして通算6機の撃墜でエースの称号を得た事が嬉しい様だ。祝福を込め敬礼を送るとバンクが返ってきた。
彼女とはメスス島を、再び秋津連邦の領土に取り返してからの短い付き合いしかない。珍しい女性の飛空士。最初は女かよと、思っていたが共に軍隊生活をし、任務で飛んでいると彼女の才能と根性がある事が良く分かる。
現に操縦技術はめきめきと上達していき、今では息の合った編隊行動ができる。部隊内ではちょっとしたマスコット的存在だ。
ちなみに秋津連邦では小隊は3機編成だが、俺の隊は2機編成だ。別に特別な配慮ではない、補充が来ないだけだ。むしろ2機の方が動き易かったりするから惰性で2機小隊で任務に当たっている。
二機翼を並べ暫く飛んでいるとメスス島の第二飛行場が見えてきた。飛行場に着いたら哨戒飛行の報告をしなければならない。
結局先の空戦ではベオイーグル3機全機撃墜、こちらの被害は無しの完勝だった。
今のところセントヴォルトの戦闘機戦では秋津連邦に軍配が上がっているが、それは奴等が弱いという訳ではなく、まだ本腰を入れていない、本気じゃない、そういった印象を受ける。
ーーまあ、お陰で新人の練習相手にちょうど良いが
管制塔の指示を受け着陸し、ラダーを操作して格納庫へ走る。馴染みの整備士達がわらわらと出てきて出迎えしてくれる。エンジンを切り完全に止まる前に機付き整備士が機体に飛び乗りバンドを解くのを手伝ってくれる。
「お帰りんさい最上准尉殿。哨戒飛行はどうでしたか?」
「あー、2機落とした」
おっ、と言う顔をして、またスコアを上げましたな、と整備士が言った。
「俺じゃない、彼女が落とした」
そう言って顎でちょうど今着陸してくる安芸二飛曹を指す。整備士は後ろを振り返り驚く。
「えっ、マジで?姫様が?やべーわ、マジやっべーわ。皆でお祝いしなくっちゃ」
「桜の花びらでもつけてやれよ」
機体から飛び降り、後を整備士に任せてを報告のため、航空指揮所に最上は歩き出した。安芸二飛曹がエースになった話は、瞬く間に整備士連中に広がった様で、タキシングしてきた安芸一飛曹の機体にむさい男共が群がっている。なっなに?何事ー!?と叫びが聞こえる。
メスス島第二飛行場航空指揮所にて、最上は哨戒飛行の報告を基地司令のドルゴルスレン中佐に報告する。
いつもの定期パトロールなのでベオイーグルを3機落としたこと以外は特に報告することがない。
列機の安芸二飛曹が2機落としたことを報告すると、司令はことのほか喜び、同席していた中隊長の長瀬大尉が気持ち悪い程の笑顔になる。
「うむ、報告ご苦労。そうか安芸ちゃんはエースになったか」
「つきましては司令。例のものを」
「ああ、長瀬にしてやられた感はあるが、そら持ってけ」
そう言って司令が渋々取り出したのは一本の角瓶、今やなかなか手に入らない純国産の高級ウィスキー響だった。
ーーこいつら部下で賭け事してたな。
前線は娯楽なんてほとんど無いからしょうがないと言えばしょうがない。ウキウキ顔で受けとる長瀬大尉。
「報告は以上です。失礼します」
「あぁ、待ちたまえ最上くん」
用も済んだので、指揮所をあとにしようとしたら司令に呼び止められた。なんだ?
「君に、近々異動命令が出る」
最上は露骨に嫌な顔をした。今は小康状態にあるメスス島でも、正真正銘最前線である。ここ以上の戦場は無い程だ。そこからの異動命令、まさか後方に下げられ教育部隊なんぞに配属になったりするのだろうか。
出撃するのが趣味になっている最上には、空戦のない後方任務に確実に耐えられない自信があった。
しかし、司令が口にした言葉は少し意外なものだった。
「君には首都防衛の任に着いてもらう」
駄作ですが読んでくれた人、感謝です