異世界料理店越後屋外伝   作:越後屋大輔

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本編から8年前の越後屋。先代店主が生きていて、大輔も異世界に転移するなど想像すらしてなかった頃のお話。
今回は国民的アニメのあの人がゲスト出演します。


サラリーマンとハヤシライス

 サラリーマンの野原ひろしは今日の昼メシを決めあぐねていた。今彼がいるのは大衆食堂から専門店まで、様々な飲食店が建ち並ぶアーケード街である。

 

 大学生風の青年とすれ違う、何となく振り返ると青年は一軒の食堂に入っていく。屋根から下げられた看板には『料理店越後屋』とある、悪代官でもいそうな店名だと心の中で突っ込むが

 「余り大きなトコじゃないがこういう店が案外旨いモノだすんだよな」ひろしはここで昼メシを摂る事に決めた。中は意外と言っては失礼だが結構大入りだ、尤もキャパシティ自体20人程度の小さな店だが。

 「いらっしゃいませ」さっきの青年がお冷やとおしぼりを持ってきてくれた。感じのいい爽やかな若者だ。

 「店員、イヤ、バイトの子か?」さっきまで食事をしていた客が一斉に会計をして店を出る、テーブルにはひろしだけが残った。厨房があると店の奥から声が聞こえる。

 

 「大輔ぇ、今の内にアンタもお昼すませちゃいなさーい」野太い男の声が甘ったるい女口調で響く。この店に入ったのを猛烈に後悔するひろしだったが後戻りするのも気が引ける。

 「まあいいか、メニューを見よう」開いて見ると和食と洋食が中心になっている、その中から気になるモノを発見した。

 「すいませーん」手を上げて店員を呼ぶと、ある意味期待通りの女装したおっさんが対応にでてきた。

 

 サラリーマンだけに接待の仕事も多いひろしは取引相手の趣味に合わせてニューハーフパブなどに行く事もあるし、一時期家族で暮らしたアパートにもスーザンというオネェがいたのでこの手の人物には慣れっこであり、特に偏見もないが昼間の店で見るのは珍しいと思った。なにより彼(彼女?)はスーザンにそっくりだ。

 「この豚ハヤシライスのセットを1つお願いします」

 「はい、しばらくお待ち下さい」スーザン2号(たった今ひろしが命名)は厨房へ下がっていった。ひろしは改めて店内を見渡す。

 「建物は古そうだけどそれがまたいい味わいをだしてるよな、それに飲食店らしく清潔にしてある。ア、ラジカセだ。昔の食堂はよくこんなのおいてあったよな」そのラジカセから流れるのは彼が学生時代のヒット曲だ、ノスタルジーに浸っているところを快活な声がかき消す、しかしヤな気分にはならない。

 「お待たせしました、豚ハヤシライスとミニサラダ、コーヒーのセットです。ごゆっくりどうぞ」昼食を終えたのか再び青年が現れて料理の乗ったトレイを持って皿とカップを迅速かつ丁寧に並べて下がっていく。

 

 「う~ん、ハヤシといえば普通牛だろ?そこを敢えて豚。頼んではみたがこれはギャンブルかもしれん」そう思いつつも一口食べる。

 「旨ぇじゃねえか!このルーは手作りか?」ハヤシといえば牛、昨日までひろしが抱えていたそんな固定概念が心の中で音をたてて崩れていく。

 「豚バラは脂がしっかり感じられるが胃に凭れなさそうだ、玉ねぎは溶けてなくなるギリギリまで火を通してあってまさにベストな甘さに仕上がっている!」ここのハヤシライスは結構大盛りでひろしも普段なら食べ残すくらいの量だったが今日に限って平らげてしまった。

 

 「税込みで900円になります」青年に会計をして店を出るひろし。

 「午後の仕事も頑張るか!」アーケード街を抜けて双葉商事のオフィスへ戻っていった。

 

 

 

 




まさか先代店主までオカマだったとは私も想像してませんでした(笑)。こうしてみると拙作にはオカマが登場する比率が高い気が(焦)
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