異世界料理店越後屋外伝   作:越後屋大輔

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今のところ唯一の完全オリジナルな一編です


浮気者とかき氷

 ある日曜日、爽快に晴れた空の下で長岡瑠華は彼女から思いきり平手打ちを食らった、昨晩違う女と一夜を過ごした、つまり浮気がバレたのだ。相手はどちらも中国からの留学生で長岡にいわせればちょっとした文化の違いから生じた誤解なのだが浮気したのは事実であり、この場合国も文化も関係ない。

 そんな個人的な事情に関係なく月曜日はやってくる、憂鬱な気持ちのままアパートをでて大学へ行く。彼は亜麻大学理工学部で電子学を専攻している二回生。講義が終わるとサークル活動へ向かう。

 

 中国文化研究会。それが長岡の所属するサークルである、当初は大好きな「西遊記」をより深く知りたいという動機で入会したが今は新しく知り合ったこれまた中国人留学生を口説く為に学んでいる。

 

 「そうか、本場中国のラーメンは日本とは随分違うんですね」先輩達の研究レポ、それも食文化に関するモノを見ながらしきりに感心している学生が目に止まる。外見は長岡よりも年下に思える、それに彼が読んでいるのは現三回生のまとめたレポだから二回生以下なのは間違いない。

 「俺、電子工学部二回生の長岡瑠華、お前はなんていうんだ?」見ず知らずの同期生に突然声をかけられたにも関わらず相手は愛想よく返してきた。

 「僕は経済学部二回生の越後屋大輔、よろしくお願いします」

 

 それから2人はキャンパスでよくつるむようになった、女好きで一見チャラ男の長岡とまじめで常に丁寧口調の大輔。まさに対照的な2人だが端から見てる第三者が不思議に思うほど互いを気に入っていた。

 

 ある夏の日長岡が大輔の家に遊びにきた、彼が幼い頃生みの親を2人共亡くして他家の養子になっているとは聞いていたが養親がオネェだとは予想してなかったので度肝を抜かれた。

 夜になり大輔の部屋で雑魚寝する、その日は記録的な熱帯夜であり2人共中々寝付けずにいた。

 「長岡さん、眠っちゃいました?」大輔から小声で尋ねられると、

 「起きてるよ、つーか暑苦しくて眠れねーよ」

 「何か冷たいモノ用意しますよ、少し待っていて下さい」大輔はそういって部屋を出る、あまり時間を置かず戻ってきた。

 「かき氷です、長岡さんはこちらをどうぞ」褐色のシロップがかけられた氷を渡される、一方大輔が手にしているのは赤の上に白と2色だが、明らかに市販のモノとは別物のフルーツの果肉が混ぜられたシロップである。

 

 「春に出た苺をジャムにして保存しておいてからシロップにしました、練乳も牛乳を煮詰めて作ってます」

 「勝手にキッチン使っていいのか?」

 「賄いなら構わんと許可済みです」これも賄いの類いか。氷を崩しながらシロップと一緒に食べると

 「これ酒か!それも蒸留酒(スピリッツ)じゃねえか?!」

 「こっちの方が好きでしょ?」

 「まあな、しかしいい酒だな」

 「ええ、マスターお手製のラム酒です」大輔は平然と言うが長岡は急に青い顔になり、

 「ヤバイって(゚O゚)!バレたら営業停止じゃ済まねぇだろ!」

 「ウチのマスター酒造免許持ってますけど(^_^;)」一瞬互いを見つめ思わず笑い合う2人、この時以来長岡は越後屋の常連客になった。

 

 この長岡という青年こそが先程の話から8年後の異世界で孫悟空に転生したルカであり、大輔もその事を知っている。

 「ルカの昔の女ってどんな娘だったの?マスター、会った事あるんでしょ?」

 「私も知りたいです!教えて下さい」ルカに惚れているディーネやトロワに詰め寄られるが

 「お断りします、男同士の約束ですから」断固として口を閉ざす大輔だった。

 

 

 

 




因みにルカは熊実の死後、跡を継いだ大輔への呼び方をマスターに変えてます
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