お休みのカミサマ 作:ああああ
けもみみ
――ディスボード・キングの駒・天辺――
全てがゲームで決まる世界ディスボード。中でも高い高いこの場所で、いつものように何かを賭けてゲームをする、
前はチェス盤が置いてあったが、今日はトランプが置いてある。カードゲームをしている様だ。
「さぁ、どうする?2枚からジョーカーを引く確率は50%……僕に50%で勝つチャンスだよ!ほらほら、速く!」
「うるさい気が散る…一瞬の油断が命取り……!」
「あらら、つれないなぁ。で、どうするの?」
さて、ババ抜きというゲームをご存知だろうか?
各柄A~Kとジョーカー1枚込み、計53枚のカードを使用するトランプを使ったゲームの一つ。
同位のカードが手札に二枚揃ったら捨て、最後にジョーカーを持っていた人が負け……とてもシンプルなゲームだ。
最も、本来は3人以上で行うのが正しいルールなのだが、この2人は他に誘う相手もいない。仕方なく二人でやっているという訳だ。
現在の手札はテト2枚、レスト1枚。テトがジョーカーを握っている。レストがジョーカーでない方を引けば勝ち、という場面だ。
「……こっち?」
「どうだろうね?」
「……じゃあこっち?」
「さぁ?」
ババ抜きをやった事がある人なら、一度はやった事があるだろう。カードが二枚になった時、相手の表情を見て取るカードを決めるこの行為。
感情が表情に出やすい相手だった場合、この手は非常に有効だ。そうでなくても、多少は表情に出る場合が多い。
「……こっちにし「本当にいいの?」……!」
「僕がもしそっちをジョーカーにしていたら、君の負けだよ?……本当に、いいのかい?」
だがテトは遊戯……ゲームの神だ。
戦場では最弱だが、ことゲームにおいて、レストがテトに勝つことはほぼ不可能に近い。表情に出るも何も、表情が変わらないので見分けがつかないのだ。
しかしババ抜きはイカサマをしない限りはほぼ100%運で決着がつくゲーム。いくらテトが強いと言っても、理論上は50%で勝つことが出来る。……だが、それはあくまでも、相手が心を持たない機械だった場合だ。
「え、え?じ、じゃあこっ「本当に、いいんだね?」……あぁもうこっち!……うわ……」
「あはは、本当にわかりやすいなぁレストは!こんなしょぼい妨害で僕が思った通りに動いてくれて楽しいよ!そもそもジョーカー選んでも負けじゃないし!」
「こんの……!し、シャッフルの時間ちょうだい!」
「ん?いいよ?結果は変わらないだろうしね~♪」
「ッ!ッ!!」
相手が心持つ者だった場合、心理戦を仕掛けて判断を鈍らせたり、嘘の情報を信じさせたり……と、様々な駆け引きが発生する。
このように、相手との駆け引きがあるからこそ対人戦は難しくもあり、楽しくもある。
テトはレストを揺さぶり、自らのジョーカーを引かせるように誘導した。長いこと対戦してきたレストの思考パターン、行動パターンを熟知しているテトにとってレストが次にジョーカーを引くように誘導することくらい訳ないことだ。
それに気づいているのか定かではないが、レストはジョーカーを取らせようと必死に手札をシャッフルしている。
しかし……
「じゃあもういい?こっち!はい僕の勝ちー!」
「えっ……」
テトにはすべて見切られていた。迷いなく伸びた手はジョーカーではない方を奪い取り、レストの勝ちの芽を容赦なく摘み取っていく。
「ざーんねん!もう少しだったね!さ、約束通り……ね?」
「……と、図書館?本気?えぇ……」
「何をそんなに落ち込んでるの?ただ
「いや、人類史?……と言うかバカにしてるよね」
「何の事?僕ちょっと分からないなぁ……ささ、れっつごー!」
「くそぅ……行ってきます……!」
レストの戦績にまたもや黒星が増えた。
加えて盟約は絶対遵守。もはやどう足掻いてもテトの命令には逆らえない。哀れ。
レストが一歩踏み出すと同時に、彼の姿は掻き消えた。
この場に残ったのはテトのみとなる。
「……さて、僕は『 』の観察を続けるかな」
・
・
・
――エルキア王国・エルキア図書館(レスト視点)――
僕はテトとの勝負に負けた。
ああいや、それ自体はいつものことなんだけど。うん、いつものこと……おっと、悲しくなってきた。
あぁ、何を言いたいかというとね?
いやまぁ、時間がかかるっていってもそんな無茶苦茶長いわけじゃないけど。これだけ大きかったら司書さんもいるだろうし、聞けばすぐ見つかると思う。だからって面倒なのは変わりない。
「はぁ……」
今、テトの住処から図書館の入口まで転移してきたんだけど……少し、予想外の事態が起こったんだ。
こんなの聞いてない。ただ面倒臭いだけだと思ってたのに、いざ図書館まで来てみたら……
居る。奴が中に居る。この魔力、忘れられるもんか!
首狩り族のような言動を繰り返すイカれた
僕は昔、あいつに会った事があるんだ。
今から6000年前くらいの事だったかな、神々が
その大戦中、
最も、既にトドメの……何だったかな、すごい威力の魔法を撃っていたから、
あいつ、戦いが終わったあとの第一声が首が取れなかった、だったんだ。
もう僕は逃げたね、そこにいたらやばい。そう直感した。
とにかく、奴はヤバイ。殺傷とかその他を禁じられたこの世界であいつが何をやっているかなんて知らないけど、きっと何かヤバイ研究をしているんだ。
それはそうと、僕は今からあいつの住処に入って、本を二冊見つけて、無事に生きて脱出しなきゃいけない。
あの
……。見つかったら終わりだ。
今の僕は
「あ゛ぁどうしよぉ……」
盟約で縛られてるから逃げられない。
でもここに入って見つかったらアウト、僕ぁ一体どうしたらいいの?あれ?もしかして僕ここで終わり?
……。逆に考えるんだレスト、見つからなければいいんだ。そうだ、見つからなければいいんだ!
「音を立てるな、慎重に慎重に慎重に……!」
扉に手をかける。
僅かな音さえ許されないこの状況に手が震える。
徐々に力を入れ、音を立てずに自分が入れるギリギリのスペースを確保し、侵入。その後再び音を立てないように扉を閉める。
……成功。
一先ずは助かった……。
「ふぅ……」
安心も束の間、図書館の中に突然光が満ちる。
そう、照らされた光で気づいたんだけど、よく見たら正方形の形で本が空中に浮いているんだ。
本棚なのかな?どっちにしろ浮かせているには変わりないけど。
それにしても異様な光景……僕には到底再現不可能だ。神霊種の名が廃るなぁ……
そんな事考えている場合じゃない!気づかれた!?
いや、でもまだ何も「Excuse?そこのperson、meのlibraryにWhat御用でー?」
「ひっ……!?」
き、気づかれたッ……!やばい、死ぬ!
目の前には大きな翼を広げた
体からは神々しいまでの光が……
ん?待ってさっきなんて言った?
気のせいか、よく分からない言葉を聞いたような…
「えっ……と、なんて……?」
「oh!sorry!聞こえていませんでしたか?ではもう一度。
meのlibraryにWhat御用で?」
✱✱*✱✱✱*✱✱✱*✱✱✱*✱✱✱*✱✱✱*
「Meのbookをrentalしたい、と?」
「は、はい、あははは……ダメですか?」
あれから僕は、読書スペース?と思われる椅子が並んだ所へ案内された。
……それにしても
それにしてもこの天使、絹のような肌、自己主張する胸、柔らかそうな羽……うん、可愛い。
恋愛感情とかは湧かないけど、芸術品を見ているみたいだ。神が作りし造形品みたいなもんだし、当然だね。
いやでも首狩り族は流石にちょっとね……うん。
《
……ないね。うん、ない。
「……Meのtalkを聞いて……おっと、hearしていましたか?」
「へ?」
マズい、聞いてなかった……っ!
落ち着け、冷静になるんだレストよ、もう一度聞けばいいんだ。今の僕は
「え、えっとごめんなさい、もう一回お願いできますか……?」
「ふむ……
どうしてそうなったの!?というか物凄く馬鹿にされた……
い、いや、もしかしたらこの前のクッキーみたいに、
値切りとか貸出期間延長できますよ的なゲームだという事も有り得る!
「……宜しいですか?」
目が
「い、いやぁゲームはちょっと……」
「そうですか……では、bookのrentalは取り消「ゲームやります!」おや?どんなheart変わりがあったのか……そうですか、では――」
こんな所で盟約に誓った弊害が!?
口が勝手に動いて!
「元々我々
……あ、終わった。
僕は
だから差し出すのはこの命しか無くなった。そして恐らく僕はゲームに負ける。
だから見つかりたくなかったのに……!
でも盟約に誓った以上、絶対遵守しなければいけない。
……本を借りて帰らないとダメだけど、借りるためのゲームに負けたら死亡。
なんで僕ばっかりこんな危ない目に……
……いや、そうだ、ゲームに勝てばいいんだ。
僕は何を迷っていたんだろう?すごく簡単なことだったじゃないか!テトには負けてばかりだけど、あいつは遊戯の神!
あまりにも負けすぎて麻痺していたけど、僕は僕自身のゲームの強さをまだ知らない!
もしかしたら、この首狩り族に……勝てるかもしれない。
「……僕の、命を賭けるよ」
僕だってやる時はやる。
負けてばっかりじゃいられない。
筆者は頭が悪くて…ババ抜き、ポーカー、チェス、
ほとんどのゲームに弱いんです。
あ、ジャンケンにはなかなか強いんですよ!
……ありがとうございました。