恋姫散話   作:名無しAS

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華雄日記 はじまり

某月某日

 

猪、猪と敵はおろか味方からも言われる毎日

 

後付ではあるが、孫策や関羽は私を釣るために言ったのだと理解はできる

 

だが、夏侯惇、文醜、馬超、張飛に言われるのは納得がいかない

 

そしてなにより、一番応えたのは、董卓様が

 

 

「華雄さん・・・・・・もうちょっと、その猪突を控えて、へぅー」

 

 

と酒を飲みながら一人で愚痴をこぼしている姿を見たときだろう

 

 

あれは応えた。本当に応えた。思わず金剛爆斧を取り落としそうになった

 

と言うわけで、私は自分磨きの為に諸国を見聞することに決めた

 

思い立ったが吉日、鉄は熱い内に叩けという、

 

同僚の張遼に

 

 

【旅に出ます。あとはまかせた】

 

 

と書き置きをして旅立つ事に決めた

 

武よりも文に重きを置く旅だ

 

この日より、私は日記を記すことに決めた

 

この日の日記は、朝食を食べておらず、城からすぐの飯屋でご飯を食べながら書いている。

 

 

「あんの猪どこ行ったーーーーーー!!!」

 

 

と張遼の怒鳴り声が聞こえる

 

・・・・・・ふむ、城に猪が出たのか

 

なんとも羨ましい話だ。今夜はボタン鍋ではないか。

 

そう思いながら、今日の所は筆を置くものとする

 

 

 

 

 

某月某日

 

 

汜水関から旅立って一日目

 

ふと気づく

 

そういえば反董卓連合の攻勢真っ只中であるということを

 

張遼は大丈夫かな?

 

そう思うも、私の部下はまるまる預けたし、背後には虎牢関もあれば呂布いる

 

なにも心配はいらないことに気づく

 

ただ、董卓様配下の将としてなにもしないのはアレだと、

 

夜闇に紛れて、手頃な陣に強盗、もとい斬込みを掛けた。

 

成果は上々、酒食に路銀も手に入る。

 

ただ気になることろ言えば、

 

陣のど真ん中にある大きめの幕舎に入ったら

 

金髪でくるくる髪の小さな女の子が、青髪の女とアレな真っ最中であった

 

あまりにアレな光景であったが、私の同僚の張遼もそのケがあったので比較的に耐性はついていた

 

 

「こら童女の内から、そんな非生産的な行いは感心せんぞ。長じて碌な大人にならんぞ」

 

 

下着はサラシのみで、お酒大好きで仕事もよくサボる

 

うむ、張遼みたくなってはならんな

 

そう考えて、年長者の勤めとして注意をし、陣から去っていった

 

 

 

『あの女を討ち取りなさい!! 絶対に討ち取るのよ!!!』

 

 

と怒声が聞こえたが、はて? 私は討ち取られるような事を言ったのだろうか? 

 

そう思いながら本日の筆を置くものとする

 

 

 

某月某日

 

 

今日は不思議な出会いがあった

 

なんと天から男が降って来たのだ

 

男は天の上から来ただけあって、言うこと聞くこと、

 

こちらの常識にまったく当てはまらない。

 

だが、悪い人間ではないし

 

なにより、この男、字も真名もないそうだ

 

そう真名がないのだ

 

真名が無い者に、悪いものはいないと言う

 

この男に一気に親近感がわき、一緒に旅をすることに決めた

 

 

うむ、真名がなくても、人は生きていけるのだ

 

 

更に聞けば、この男、北郷一刀が住んでいた、日本という天の国では、真名は無いそうだ

 

なるほど、私は天の国と同じなのかと思うと、実に気分がいい

 

気分が良いので、敵軍より拝借してきた酒を北郷と飲みながら、この国の常識について教えてやることにした

 

酒もいい感じに回って来たので、本日の筆を置くものとする

 

 

某月某日

 

 

思いの外気分がよく酒を飲み多くの食料を食べたせいで早くも、我が兵糧はカツカツだ

 

なので、また夜闇に紛れて手頃な陣に強盗、もとい、斬込みを掛ける

 

成果は上々

 

北郷は荒事には慣れてはいないが、それでも、糧食を両手で沢山抱えて、私の隣を走っている

 

うむうむ、真面目なことは良いことだ

 

さて、逃げようとした矢先、またあの大きな幕舎を見かけたので中に入ると

 

あの金髪の童女が、年の頃は同じくらいの猫耳の頭巾を被った女の子と一緒にアレな真っ最中であった

 

あまりにアレな光景であったが、私の同僚の張遼もそのケがあったので比較的に耐性はついていた

 

 

「こら童女の内から、そんな非生産的な行いは感心せんぞ。しかも悪化しているとは親御さんは悲しむぞ」

 

 

職場見学で張遼の両親が董卓様のお城に来た時の事を思い出し・・・・・・

 

ああはなってはいけないと思い、年長者の勤めとして注意をし、陣から去っていった

 

 

 

『あの女を討ち取りなさい!! 絶対に絶対に討ち取るのよ!!!』

 

 

と怒声が聞こえたが、はて? 私は討ち取られるような事を言ったのだろうか? 

 

 

「北郷? なにかまずい事を言ったのか? 私は」

 

「いや、華雄さんは正論を言っていました。ですが正論は時に、一番人を傷付ける言葉だと思います」

 

 

 

なるほど。そう思いながら本日の筆を置くものとする

 

 

 

 

某月某日

 

 

人は大きなものを見た時、己の小ささを認識する

 

なるほど、言われてみれば確かにそうだ

 

初めて呂布の武を間近で見た時、私は確かに己の武の小ささを認識した

 

ならば、武、という括りを超えて、ただひたすらに大きいものを見れば、なにが見れるのか

 

私は、その北郷は知恵に感動した

 

 

海を見よう

 

 

そういうことになった

 

海といえば呉

 

呉といえば海

 

魚料理が美味いと聞く

 

実に楽しみだ

 

付け加えれば、あそこの孫堅には昔凹まされた記憶もある

 

それは納得の行く勝負であるが、その結果を娘がからかうのは策とはいえ腹が立つ

 

ついでにボコしてやろうと

 

そう胸に誓い、本日は筆を置くことにする。

 

 

 

 

某月某日

 

 

好事魔多し、とはよく言ったものだ

 

目の前に大きなたんこぶを作ってきゅーと伸びている

 

ピンク色の髪の女性

 

これ、孫策に似ているけど、孫策ではないな

 

呉に入って、美味い魚に舌鼓を打つこと数日

 

酒家から宿への近道で路地裏を歩いていると

 

ピンク色の長い髪に褐色の肌。そして王族を示す赤い衣服。

 

 

うむ、あれは孫策だな

 

親の七光り(物理)でこちらを煽ったバツとして、そして年長者の勤めとして、

 

 

「親の武勇で威張っては碌な大人にならんぞ!!」

 

 

金剛爆斧による峰打ちの一撃

 

そして冒頭に戻る

 

 

「間違えた」

 

「間違えましたか」

 

「妹だな」

 

「妹ですか」

 

「結構力強く叩いてな」

 

「大きなたんこぶ出来てますね」

 

「なにか策はないか」

 

 

北郷は瞳を閉じて、5秒ほど黙考し、静かに首を縦に振り右手親指をぐっと突き上げた

 

意味は分からないが、その姿がとても頼もしく見える

 

私は全てを北郷に任せて宿にかえり、このことを日記に書き記し本日は筆を置くことにする

 

 

 

某月某日

 

 

「オイカワ、素敵な名前ね、孫オイカワ、うん凄く響きが良いわ」

 

 

「むむむ・・・オイカワ? なにを言っておるのだ、そやつの名前は」

 

 

北郷一刀と言いかけた時、孫権にみえないように必死で片目をパチパチとつむる一刀

 

 

「オイカワだ」

 

 

なんとも間の抜けたやりとりだが、孫権の耳にはなにも入っていないようだ

 

いや、耳どころか視界に写っているのかも定かではない

 

孫権のことはあまり知らないが、彼女が尋常でないことはすぐに分かった

 

 

「ねぇオイカワ、いまから一緒に服屋に行きましょう。孫家御用達の服屋があるのよ。真っ赤な服、ふふ、オイカワにはきっと似合うわ」

 

 

孫家御用達にして真っ赤な服

 

なるほど、北郷め、逆玉に成功したな

 

あの時点で何がどうすれば、孫家の王配に組み込めるか不思議でならない

 

さすが北郷と褒めるべきか、やり過ぎだとたしなめるべきか大いに悩む所である

 

なにはともあれ、昨日親指をぐっと突き出した北郷の勇姿を思いながら、事の成り行きを黙って見ていることにした。

 

二人は出ていき、その日の夜

 

私は今日のことを日記に書き記し

 

 

「はぁはぁはぁ、かっ華雄さん、涼州に行きましょう!! あそこは見渡すかぎりの大草原があると聞きます。見に行きましょう」

 

息荒く、所々破けた赤い服、頬には口紅の跡と、凄まじい姿の一刀が現れた

 

 

「大草原か、ふむしかし私はまだもっと海を・・・・・・」

 

「華雄さんは騎兵です。騎兵ならば海より草原です」

 

「ふむ、その通りだな」

 

「というわけで、涼州に行きましょう、今すぐ、今すぐに」

 

「むっしかし遅くは」

 

「思い立ったが吉日、鉄は熱い内に叩けと申します。つまり――「オイワカ、オイカワはどこ!! 思春、軍を動員して、早く早く早く!!」そういうことです」

 

 

「・・・・・・分かった」

 

 

昨日は助けてもらった、その恩を返す為と思えば安いものだ

 

そう思いつつ、本日の筆を置くものとする

 

 

 

 

某月某日

 

 

路銀が尽きた

 

食料はまだあるが、お金がないのは辛いものがある

 

近くの街に入り、仕事が無いか聞いてみたところ、商隊の護衛と野犬討伐の2つしかなかった

 

実入りの良い商隊護衛の行き先は呉であり、選ぶ訳にはいかない

 

さりとて野犬討伐は安くて誰もやりたがらない

 

どうしたものかと思案をしていたら、北郷がぐっ親指を突き出してきた

 

私は北郷のこの構えに信頼を置いている、彼の指示に従うことにした

 

野犬討伐を請負い、本日の筆を置くものとする

 

 

 

 

某月某日

 

 

野犬の首をカウンターに並べ報酬を得る

 

体はどうした? と聞かれたので、

 

 

「山中に打ち捨てた、今頃、虎か熊もしくはカラスの腹の中だろう」

 

 

と、打ち合わせ通り答えた

 

少しばかりの銅貨を得て、北郷との待ち合わせの場所に行く

 

 

「さぁ、良い肉だよ。新鮮な肉の腸詰めだよ」

 

 

羊牧場の真横で犬肉の腸詰めを売っている一刀

 

しかしというか、さすがというか、北郷の底が知れない

 

犬肉という最も安いな肉を

 

高級品たる羊肉と同じ価格で売りさばく

 

一体なにがどうしてその価格で売れるのか不思議でならない

 

 

めぇぇぇぇ

 

と羊の鳴き声がする

 

 

「ふむ、お主も納得いくまいか。それもそうだな、お主のような高級肉と同じ価格で犬肉が売れているのだからな」

 

 

柵に座りながら、そう羊に語りかける

 

世の中は武だけでは解決できない出来事もあるものだと思い、本日の筆を置くものとする

 

 

 

某月某日

 

 

「そろそろ住民が気付きはじめ・・・・・・もとい犬肉も底を尽きてきたので、次の街に行きましょう」

 

 

人が入りそうなほどの多きく、銅貨がパンパンに入っているズダ袋をヨイショと担ぎ、笑顔で告げる北郷

 

 

そのなんと頼もしい姿の事か

 

天の知識かなんだかは分からないが、これも知の力なのだろう

 

今思えば、上司であり軍師の賈詡の話ももっと真面目に聞いてあげれば良かったと思う

 

だが、過去を振り返っても戻ってきはしない

 

生きている限り前進せねばいけない

 

 

が、それはそれとして、やはり今回のことは心に強く残ったので、我が主たる董卓様に報告せねばなるまい

 

 

 

前略、董卓様

 

 

自分磨きの旅の最中、いろいろとあって、天から降ってきた男と一緒に旅をしています

 

姓は北郷、名は一刀。真名はないそうです。

 

おかげですぐに意気投合出来ました

 

やはり、真名は無くて生きていけるのだと思いました

 

話は戻します、北郷は武は駄目ですが、

 

 

 

犬肉を羊肉の価格で売り、荒稼ぎをするなど、

 

 

その智謀は凄く、なぜ私は賈詡の話を真面目に聞かなかったのかと、少し後悔をしました

 

それでは、我が主董卓様のご健勝を祈り、ここで筆を置かして頂きます

 

 

 

 

 

追伸

 

犬肉の件ですが、私なりに一晩考えて見ましたが、その秘訣は羊牧場の真横で売っていたことではないか睨んでいます

 

よろしければ賈クにも聞いて頂けますでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それ羊頭狗肉ーーーー!!!!!」

 

「へううう詠ちゃん落ち着いてーーーー」

 

 

手紙を読んで額に青筋を浮かべながら、虎牢関の防衛戦を指揮する軍師の怒鳴り声が場内に響き渡ったとかなんとか

 

 

 




キャラ紹介


華雄

今作の主役にして恋姫無双が誇るヒロインの中のヒロイン。

自分磨きの旅に出る猪武者

しかし冷静に考えると、孫堅にやられたとなると、恋姫時空においては、紫苑、桔梗、祭といった【さんじゅっさい】枠に入るのか

そうかんがえるとドキドキしてぞ

中の人は鈴々も務めているとかなんとか

オラ、余計にドキドキして来たぞ



北郷一刀

皆の主人公にして今作のヒーロー兼ヒロイン

彼に口説けぬ者はなし、恋姫達にとっての28倍特攻カード

原作よりも、良い空気を吸っているお茶目さん

お茶目が過ぎて、引くに引けなくなると

【オイカワ】と名乗る困った一面もある
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