「孫策、すまぬすまぬ、太守にしてやるという約束を守れそうにないのじゃ」
「いっいや、その、大丈夫です。本当に大丈夫ですから」
「本当にすまぬのじゃー、朝廷からも横槍ばかりで、ううう……もう妾には土下座をするしか、いや、いっそ、妾の首で、許してたもれ」
「大丈夫、大丈夫ですから袁術様、だからお立ちください。お願いしますお願いします」
玉座の間で泣きながら頭を下げる袁術。その横では、いつもの豪快な姿は影もない孫策が、ただひたすらに恐縮しきっていた。
恋姫ちょこっと正史風味 ~頑張れ!女社長は19才~
謝る袁術に慌てふためく孫策
さて、なぜこんなことになってしまったのか。
ことの発端は、正史において、袁術と孫策の仲違いの原因の一つである、
太守にならせてやるという約束を破った話である。
親の部下を返してもらい、袁術の下で獅子奮迅の活躍をする孫策。
そんな孫策に、袁術が、「今度の戦いで活躍をすれば太守にしてやる」と約束をした。
だが、活躍した孫策は太守になれず別の者が太守になった。
約束が違う!
かくして袁術と孫策の間に溝が入った。
「なるほど、実に愉快な話だ。その話をしている人間を連れてこい」
額に青筋を浮かべる周瑜。
「どうやら貴様も知らんようだから教えてやろう。いいか」
そもそも太守とは、その地の政治と軍事を司る要職も要職である。
そんな要職に着くのだ。身分もさることながら、年齢もある程度なければならない。
曹操 37歳
袁昭 36歳
孫堅 31歳
劉備 47歳
の時に、太守になっている。ちなみに今の雪蓮の年齢は19だぞ!
皇族でもそんな年齢では無理だ!
「だから、正直この話に横やりが入って助かっている。ホッとしている。それなのに約束が違うと袁術様に反感を抱く。その戯言の出処を探せ!これは厳命だ!!」
いつもの冷静さをかなぐり捨てて吠える周瑜
「冥琳・・・・・・噂の出処は?」
「んっ?・・・ああ雪蓮、もう大丈夫なのか」
「袁術様は泣きつかれて寝たわ。でも本当に参ったわ。『今度の戦いで活躍をすれば太守にしてやる』なんて、誰がどう聞いても冗談でしょ」
「当たり前だ! どう聞いても出陣前の景気づけのホラではないか!」
「そうよね。第一、太守って・・・・・・冥琳、もし太守になったら・・・・・・」
「太守をするほど孫家に武官も文官もいない。第一、一地方のすべてを取り仕切けるほど孫家に力はない。内はボロボロ。外も19才の太守だ、他所からの嫉妬が凄いことになるな」
これまでの流れを現代日本風に言えば、
従業員1000名の警備会社の社長令嬢が17歳になった日に親が亡くなり、会社を相続。
さぁ雪蓮社長。頑張って1000人を食べさせよう、である。
それを先代社長の大お得意様である袁術が、雪蓮達と従業員1000人の面倒を見てくれた。
そんな恩人が、とある合戦前に
「頑張るのじゃ! 活躍すれば、県知事と県警本部長、その県の裁判所のトップにしてやるぞ」
「ははは、それは凄いわね。袁術様ありがとうございます(19才)」
本気にする方がどうかしているし、そもそもの母体が1000人の警備会社だ
どうやっても、県知事と県警本部長と裁判所の仕事を回せるはずがない。
「とりあえず張勲と連携して、うまくやって行くしかないな」
「頼むわ冥琳。ああ・・・・・・袁術様の善意が辛い、そしてそれ以前にあの噂・・・・・・アタシって世間からそう見られてるの」
目に涙を浮かべて酒を呑む雪蓮
頑張れ雪蓮。
きっと良いことあるさ
次回
恋姫ちょこっと正史風味 ~頑張れ!女社長は19才~
お願い! 小覇王なんて呼ばないで!
続くかもしれない