恋姫散話   作:名無しAS

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いわゆる魏ルートアフターものです

大局に逆らい身の破滅を覚悟した男の悲壮感溢れる物語です

あと革命のキャラも出ます。




馬恋無双

そんなに言うなら……ずっと私の側にいなさい

 

 

そうしたいけど……もう無理……かな?

 

 

……どうして?

 

 

もう……俺の役目はこれでお終いだろうから

 

 

……お終いにしなければ良いじゃない

 

 

それは無理だよ。華琳の夢が叶ったことで、華琳の物語は終端を迎えたんだ……

 

 

その物語を見ていた俺も、終端を迎えなくちゃいけない……

 

 

どうしても……逝くの?

 

 

ああ……もう終わりみたいだからね……

 

 

そう……

 

 

 ……恨んでやるから

 

 

ははっ、それは怖いな……。けど、少し嬉しいって思える……

 

 

……逝かないで

 

 

ごめんよ……華琳

 

 

一刀……

 

 

さよなら……誇り高き王……

 

 

一刀……

 

 

さよなら……寂しがり屋の女の子

 

 

 

一刀……!

 

 

さようなら……愛していたよ、華琳

 

 

…………一刀?

 

 

一刀……?一刀……

 

 

………ばか。……ばかぁ………っ!

 

 

……ホントに消えるなんて……なんで、私の側にいてくれないの……っ!

 

 

ずっといるって……言ったじゃない……!

 

 

ばか……ぁ……!

 

 

 

 

大陸の覇王でもある少女の慟哭が暗い中庭に静かに響き渡る

 

これは一つの外史の終わり

 

大局に逆らい、愛した女性に天下を取らせた男の末路

 

愛する少女の前で消え去った男の終わり

 

天の御使い、北郷一刀は役目を終えて、天に帰った

 

そう締めくくられる物語

 

そこに一つの疑問がわく

 

消えた一刀はどこに行ったのか?

 

元の平成の日本に戻ったのか? それとも別の外史に飛ばされたのか?

 

その飛ばされた先が、この物語の始まり

 

覇王の少女との別れの先に広がる、新たな恋姫達の物語

 

そう、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしよう」

 

10メートル先の草むらに現れ、頭を抱える北郷一刀

 

消えた先がまさかの10m先。

 

消えゆく自分について、どこに消えるのかを考えてはいたが、まさか10m先とは思いもよらなかった

 

あの、精一杯格好をつけたセリフを吐いて、この現状

 

とてもではないが、泣いている彼女の前には顔を出せない

 

 

「かずとぉぉぉぉぉぉーーーーどうして、どうしてよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

気まずい、本当に気まずい

 

これは二人の為に、少しだけ、本当に少しだけ時間を置いた方が良いのではないだろうか?

 

今出て行ったら、彼女に刺されても文句は言えない

 

ああ、身の破滅とはこういうことだったのか

 

 

よし、少しだけ、旅に出よう

 

天下は統一され、治安は良くなっている。

 

一人旅とてどうにかなるだろう

 

 

 

「ちょ、ちょっとの間だけ、さようなら 誇り高き王」

 

 

そう震えながら呟き、匍匐前進で、華琳の前から去っていく

 

実に間抜けかつ、天罰を下したい光景である

 

そして実際に、このロクでもない選択を取った男にすぐさまに天罰が下った

 

 

 

「門が全部閉まっている、だと」

 

 

 

いくら三国が統一されたとはいえ、夜に城門を開けっ放しにするはずがない。

 

見つかれば身の破滅、極限状態に追い込まれた一刀は、城の片隅に積まれている木箱の中に身を隠す。

 

 

天が一刀を助けたのか、はたまた逃げ出した天罰を下したのか、それは分からない。

 

分からないが、一刀が隠れた木箱は、涼州行きの貨物であった。

 

一刀は、魏の誰にも見つかること無く、無事に涼州へと出荷されていった。

 

 

 

「腹・・・・・・減った・・・・・・」

 

 

長い涼州までの旅路。中の貨物を食い散らかして命を繋ぐ一刀。

 

しかし、中の食品も底を付き、進退極まる。

 

素直に名乗り出たら魏への強制送還、そして身の破滅が待っている。

 

 

「一か八か、賭けるしかないじゃないか」

 

 

知らない土地も怖いが、華琳の絶はもっと怖い

 

少しでも生存率が高い方を選び、一刀は、暗闇の草原へ飛び込んでいく

 

気分は狼。気高い狼だ

 

狼となった一刀は夜の草原を駆け抜ける

 

そして賭けの結果は八であった。食料なく、水も無い。

 

いくら一刀とはいえ、体力がなくなり草原に倒れてしまう。

 

草って食べられたっけ?

 

そう思いながら、重い瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

涼州、馬一族の本拠地であり現在は馬休と馬鉄がその全てを取り仕切っている地域。

 

その取り仕切っている片割れの少女、馬鉄は草原を馬に跨がり疾駆している。

 

少し離れた集落に住む騎馬民族の友達達と夜を徹して飲み明かし、今は朝議に間に合うようにと草原を走っていた。

 

 

浴びるように馬乳酒を飲み、具たくさんの羊肉スープを食した馬鉄。

 

現在は馬の振動で、小刻みに膨れているお腹が揺すられている

 

 

「うっ・・・・・・ちょっと、きたかも」

 

 

水分をたくさん摂取したのだ。まぁつまりはそういうことだ。

 

馬から降りて、適度に伸びている草むらに入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初は全然気づかなかった。

 

後に彼女はそう馬休にそうこぼした。

 

 

 

 

 

 

朝議に遅れてきた馬鉄を怒ろうと、腰に手を当てて待っていた馬休。

 

扉が開き、さぁ文句を言ってやろうと意気込み、馬鉄が男を肩に担いでいる姿に言葉を失った

 

 

「えっと、その、蒼・・・・・・その人は・・・・・・なに?」

 

 

白く輝く不思議な服を着ている男性。

 

その服装から、とんでもないところの御曹司ではないかと思うも、

 

ではなぜ、蒼が担いでいるのかが分からない。

 

行き倒れを保護したのか? 

 

 

「えっとね、ふふ、蒼のご主人様」

 

 

「ああなんだ、蒼のご主人さ・・・・・・えっ!?」

 

 

「だーかーらー、蒼のご主人様」

 

 

「・・・・・・ごめん、蒼、意味が分からないわ。詳しく教えてくれないかな」

 

 

妹のぶっ飛んでいる答えに、頭の痛みを堪えながら、馬休は詳しく説明してくれと頼む

 

だが、馬鉄の答えは更に上を行っていた

 

 

意識がないとはいえ、蒼のアレが口の中に入り、彼の喉がこくり、こくりと動くさまに、心が経験したことがないほど震えた、とのこと。

 

そして飲んだ方も、砂漠に水を撒いたようにごくごくと飲んだことだし、これはもう相性抜群、自分の運命のご主人様に違いない。とのこと

 

 

恋する乙女のごとく、えへへと顔を赤らめて語る馬鉄であるが、聞いている馬休は口元がひくひくしている。

 

 

「うーーーーん、もう飲めない・・・・・・むにゃむにゃ・・・・・・」

 

 

馬鉄の肩で、寝言をこぼす一刀

 

その内容に、馬鉄は恍惚とした表情を浮かべ、馬休は汚物を見るよう表情を浮かべた

 

 

 

第一話 一刀、涼州へ出荷され、聖なる水を飲んで蒼に気に入られるとのこと

 

 

 




某所では、馬休、馬鉄ではなく、

華雄と祭がメインヒロインバージョンも公開中

つまり草むらからどこに逃亡するかで分岐が決まります。
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