人外少女とポケモンのトモダチが幻想入り   作:菅野アスカ

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残念な美少女とか残念なイケメンとかっていいよね。


8話 迷子と向日葵

「物置にあった幻想郷の地図持った、水筒と(バスケットにサンドイッチをひたすら詰め込んだだけの)お弁当持った、包帯と絆創膏持った、スペカも持った…よし、全部持った!…よな?何か忘れてるような気がするけど…。まあ、大丈夫でしょ」

 

そう言って、ドールは家を出た。

 

~少女移動中~

 

「…………迷った……………」

 

フラグ回収乙。

 

「そうか…忘れものって…トゲキッス…。トゲキッス連れて来れば…飛んで行けたのに……ん?待てよ…セイレーンに変化すれば行けるじゃないか!ここじゃ無理だからとりあえず、空が見える場所探そう!」

 

~少女移動中~

 

「…あれ、ここは……」

 

ドールは、いつの間にかひまわり畑についていた。

 

「どこ、ここ?」

 

ドールが地図を出そうとすると、

 

「ここは太陽の畑よ」

 

背後で声がした。

 

ドールが驚いて振り向くと、そこには1人の女性が立っていた。

緑色の髪を肩にかかるくらいのところで切りそろえ、チェック模様のワンピースを着、白い日傘をさしていた。

 

「私は風見幽香。ここに住む妖怪よ。…あなたは、今朝の新聞に載ってたドールであってるかしら?」

「ええと…はい、あってますが」

「ふうん……。ねえあなた、ちょっと私と勝負してみない?」

「…………はい?」

 

「最近異変も何もなくて、退屈してたの。いいでしょ?」

「あ、あのう……」

 

私先を急いでいるんですが、というより早く、幽香が大量の弾幕を飛ばしてきた。

 

「!!」

 

とっさに躱す。

だが、弾幕の嵐は止みそうにない。

 

(反撃するか…)

 

ドールはスペルカードを出し、叫ぶ。

 

「復符『ルプリーズ』!」

 

紫色のト音記号の形をした弾幕が、撃ち出される。

…かつて訪れた異世界で、さまざまなことを教えてくれた先生をイメージした弾幕。

 

「?こんな少ない弾幕で、この量の弾幕に対抗しようというの?」

「……」

 

ドールは黙って、弾幕の操作に専念する。

 

(初心者だから、こんなに少しの弾幕しか出さないのかしら?)

 

幽香がそう考えた瞬間、ト音記号の形をした弾幕が、ひまわりにぶつかりそうになった。

 

「!!!」

 

幽香は焦って、ひまわりを守ろうとする。

 

だが。

ひまわりを倒してしまうかに思えたその弾幕は、ひまわりには何の影響も及ぼさず――()()()()()()

 

「…!」

 

バウンドした弾幕が幽香のところへ向かっていったため、幽香は避けた。

 

「なるほど…。面白いスペル考えるじゃない。燃えてきたわ!!!」

 

幽香はさらに大量の弾幕を撃ち出す。

ドールはそのすべてを、弾のバウンドを利用して相殺する。

 

(…そろそろスペルブレイク…)

 

次のスペルは何にするか、と思案するドール。

 

「…邪魔な弾幕。蹴散らすか」

 

ぽつんとつぶやき、スペカを出す。

それと同時に、スペルが終了する。

 

「軌跡『最初の勝利』」

 

大量の茶色い楕円弾が、幽香へ向かう。

…1番最初に倒したジムリーダーからもらったわざマシン、『ステルスロック』をイメージしたもの。

 

「…うっとおしいわね」

 

楕円弾は、幽香の近くへ行くとその場で静止し、幽香の動きを阻む。

 

ドールは次に、輪の形になった緑の小玉(俗にいうポンデリング)を撃ち出した。

…2番目に倒したジムリーダーからもらったわざマシン、『くさむすび』をイメージしたもの。

 

「!」

 

幽香は、それを躱す。

 

(…これ、絶妙に邪魔な位置に来るわね…)

 

輪の形になった緑の小玉を躱すと、茶色の楕円弾がそこにある。

躱しきれないわけではないが、弾幕と弾幕の隙間に入るのがすさまじく難しい。

 

かなりいやらしいスペルである。

 

(…スペルカードで蹴散らした方がいいかしら)

「花符『幻想郷の開花』!!」

 

あらゆる場所に花を咲かせ、それを弾幕として放つスペル。

 

(この子、飛べないらしいから…これは、たぶん躱しにくい…!)

 

「…これは…。まだです。まだ私のスペルは終わっていません!」

 

そう叫び、ドールは黒に近い紫のクナイ弾を撃ち出し、それと同時に茶色の楕円弾を撃つのをやめた。

…3番目に倒したジムリーダーからもらったわざマシン、『シャドークロー』をイメージしたもの。

 

5つのクナイ弾が動物―ポケモンの爪のような形になり、回転しながら幽香に向かう。

幽香の近くへ行くと、5つのクナイ弾がばらばらになり、扇状になって幽香へ向かっていく。

 

クナイ弾の間は隙間だらけだが、その間を縫うように輪の形の緑の小玉が入り込む。

弾幕の上を飛ぶか、どうにかしてクナイ弾と小玉の間に入るかしないと、避けられない。

 

(ずいぶんといやらしいスペル考えるのね、この子…!)

 

大量の花の弾幕で、ドールの弾幕が相殺される。

弾幕の合間を縫って、クナイ弾が飛んでいく。

華々しい勝負だった。…難易度はかなりの物だっただろうが。

 

ドールは、輪になった緑の小玉を撃つのをやめ、茶色い大玉を撃ち出した。

…4番目に倒したジムリーダーからもらったわざマシン、『ドレインパンチ』をイメージしたもの。

 

元の技のように体力を吸い取る力こそないものの、直線的に突っ込んでいくその動きはまさにパンチのようで、体力を吸い取る力はその後ろについていく、無数の茶色の点弾で再現している。

 

(これは…。こういう直線的に飛んでくるのはちょっと新鮮ね)

 

幻想郷の弾幕は、ほとんどがトリッキーな動きをするもの。こういった直線的なものは、あまりない。ドールは、それならばむしろこういったものの方が慣れていなくてよけにくいのではないか、と思ってこの動きにしたのだが…それは、少々甘い考えだったようだ。

 

(…割と難なく躱されてる…)

 

弾幕を躱した際、躱した場所に弾があると、躱そうが躱すまいが当たる。

だが、それは、回転したり、いきなり軌道が変わったりなどのトリッキーな動きをする弾幕だからこそできる技。

直線的な弾幕では、弾と弾の間に入ることも難しくないのだ。

 

(ミスった…)

「こんなのじゃ楽勝よ!それっ!」

 

さらに大量の花の弾幕を追加する幽香。

ドールはクナイ弾の位置を工夫し、相殺していく。

 

(…そろそろ、変化させなきゃ)

 

ドールはクナイ弾を撃つのをやめ、水色の水滴弾を大量に撃ち出した。

…5番目に倒したジムリーダーからもらったわざマシン、『しおみず』をイメージしたもの。

 

(奇数弾…なら、チョン避けでいけるわね。大玉も、動きが直線的だし)

 

幽香もかなりの実力者。弾幕の判別ならお手の物である。

 

「私のスペルはそろそろ終わるけど、あなたのはまだかかりそうね?」

「……」

 

ドールは、無言で弾幕の操作に専念する。

幽香のスペルが終了する。…が、元々幽香が大量に弾幕を放っていたため、あまり変わらない。

 

傍から見たら、ほぼ互角の戦いに見えるのだろう。

だが。

 

(…私は直撃まで行かずとも掠るくらいは何度もしてるのに、あの人は掠ってすらいない…)

 

熟練者と、初心者の差。

いくつものスペルや弾幕を見てきた幽香に対し、ドールは知識こそあるものの、実際に見たものは少ない。

それが、大きな差を生んでいるのだ。

 

「ほらほら!ぼーっとしてると当たるわよ!!!」

「!!」

 

ドールの目の前に、幽香が撃ち出した弾幕が迫っていた。

慌てて躱す。…が。

 

その途端、ドールの視界が歪んだ。

 

(…え?)

 

ドールの目には、驚く幽香が見えるはずだったが…だんだん視界がブラックアウトしていき、何も見えなくなった。

 

その直後ドールを襲った、胃がせり上がるような感覚と、心臓が普段の数倍の早さで動いているような感覚。

 

ずいぶんと、久しぶりな感覚。

本来ありえないはずの感覚。

 

(なん…で……?ケイオ…)

ドールは、自分の中の同居人に、語り掛けようとした。

 

だが…それよりも早く、意識が途切れた。




だから、戦闘シーンは苦手なんだってば…。
ちなみにドールちゃんが放ったスペカ「軌跡『最初の勝利』ですが、本来はしおみずイメージの弾幕の後、ドレインパンチイメージの弾幕が消えて銀色の追尾弾(大玉、ラスターカノンイメージ)を撃ち出し、その後しおみずイメージの弾幕が消えて白いランダム弾(中玉、ゆきなだれイメージ)を撃ち出し、その次にラスターカノンイメージの弾幕が消えて黄色の細いレーザー(チャージビームイメージ)を撃ち出す。そして最後に残ってるすべての弾幕が消えて、黄土色、茶色、赤、紫のバラ弾に囲まれた銀色の大玉(四天王とシロナさんイメージ)を撃ち出します。
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