「もうちょっとでつくよ」
燐が言う。
「…………」
ドールはそれを聞いているのかいないのか、険しい表情のまま黙り込んでいる。
「…ドールちゃん、ちょっとはしゃべってよ」
「…えっ?ああ、はい、何でしょう」
「どうしたのさ、さっきからずっと険しい顔して」
「…あそこにあるらしきものがちょっと問題でして…」
「?鎖が、問題なの?」
「私の予想通りなら、あそこにあるのはただの鎖ではなく、私がいた世界の『シンオウ地方』を生み出した、神と呼ばれる伝説のポケモンを呼び出し、使役するために、ある人が作り上げた鎖…『あかいくさり』です」
「は!?神!?そんなもの呼び出してどうするわけ!?」
「その人曰く、『人は感情があるから醜い。神と呼ばれるポケモンの力を使って感情を消す』だそうで…」
「うーん、何があった」
「現代社会の闇ですかね…っと、着いたみたいですね」
「あ、ほんとだ」
屋敷内には、たくさんの動物(?)がいた。
「あ、やっぱり気になる?こいつらはさとり様のペットたち。あたしもそうだよ」
「…なるほど、心を読むことができるから、自分の意思を言葉で伝えられない動物たちに好かれるのですね」
「まあ、そういうこと」
しばらく進むと、応接室らしき場所についた。
「さとり様、言ってた子を連れてきましたー」
「わかりました」
部屋の中にいたのは、1人の少女。
ピンクの髪をショートボブにし、カチューシャをつけている(ひょっとしたら体の1部かもしれない)。
フリルの多い水色の服の下にこれまたフリフリのスカートをはいていて、かわいらしい。
ピンクの瞳と、赤い管につながったもう1つの目…サードアイが、ドールの方を見つめていた。
「初めまして。ドールさんと、魔理沙の知り合いの霖之助さんですね。私は古明地さとり。ここの主です。それで、あなたを呼んだ理由ですが。…ついさっきまでここにあった、あの赤い鎖を、知っていますね?ああ、返答は心を読むのでいいです」
「………やはり、知っていますか」
「なぜ、ここにあるの」
「…それは、あなたが1番よくわかっているのでは?」
「…えーっと、どういうこと?ドールちゃん」
「………道中で、あれはとある人が神を呼ぶために作ったもの、というのは言いましたよね」
「うん」
「私がそれを阻止しようとしたんですけど、どうしようもなくて。…そしたら、別の4体の神と呼ばれるポケモンが、呼び出された2体の神によって誕生した銀河を消して、あかいくさりを壊して、呼び出した人をあの世界と均衡を保つために存在する『やぶれたせかい』に引きずり込んだんです」
「へえ!…じゃあつまり、それは壊れて…」
「幻想入りしたんでしょうね…。はあ、よりによってあんな物が…」
「わかってるじゃないですか。理由。…それで、本題なのですが。あなた方が会いたがっているお2人は、どうやら誰かからこれの存在を知ってきたようです。そして、こんなものがあっては大変なことになるからと、破壊しようとしたのですがどうやっても壊れず、結局彼らが自分たちで保管することにしたんです」
「え?それなら、ここにはないはず…」
「…あかいくさりは2つあるんです。3体の神から取り出した結晶から作り出されたものと、それを分析することで科学によって作り出されたものが」
「そのうちのどちらかが、ここにあったものですね。…それで、ですね。最初の1つは、うちのペットのお空が持ってたんです。で、それをあのお2人が持って屋敷から出た少し後に、ここにあったもう1つの方が出現したのですが…」
「が?」
「…非常に言いにくいのですが。お燐をあなた方のところへ行かせた後、机に置いて少し目を離したすきに、こいし…私の妹が、それをもってどこかへ行ってしまって…」
「「……えっ?」」
「あのお2人もどこかへ行ってしまいましたし…」
「……一大事じゃないですかやだー!!!!!!」
こいしちゃん、無意識でとんでもないことをやらかす。