忘れられてる気がする。
「紅魔館?」
「ええ。私たち吸血鬼が暮らしているところよ」
「何故?」
「2つ、理由があるんだけど。1つ目は、そこにあなたが探してるお2人さんがいるから。もう1つは…私の、双子の姉の遊び相手、探してて…」
「は?遊び相手?」
「…まあ、そう思うわよね。話すと長くなるからかいつまんで説明するとね、私の姉…フランドールって名前で、愛称フランって言うんだけど、そのフランが、最近遊び相手がいなくて退屈してるのよ。…遊び相手っていうよりは、弾幕ごっこの相手ね」
「…それで?」
「博麗の巫女とかどっかの森の魔法使いとかは自分のことで忙しいみたいで遊び相手になれないし、かといって妖精メイドで遊び相手が務まるかというとそうでもないの。フランは、その、ちょっと気がふれてて…おまけに、おかしいくらい強い力を持ってるの。しかも、力のセーブがうまくできなくて、下手すると相手をミンチにしちゃうし…極めつけは能力ね。あの子の能力は『ありとあらゆる物を破壊する程度の能力』で、その名の通り実体さえあればどんなものでも破壊できちゃうの。弾幕ごっこで使うことはあまりないけど、何かにいら立つとすぐ能力使って物に当たっちゃって、今、遊べないことに癇癪起こして能力乱用してるせいで、部屋中の物粉々なのよ。ついでに妖精メイドも何人か犠牲になったわ」
「…つまり、そのフランって子の癇癪抑えるためにその子と弾幕ごっこしろと?」
「まあそう言うこと。あなた、強いんでしょ?」
「………ま、いいか。最終手段もあるし…」
「あら、案外あっさり引き受けてくれるのね」
「いや、だって早くあの2人に会いたいし」
「ああ、そう言うこと」
「……ところで、グランさん。どうして戻ってきたので?」
「あ、さとり忘れてたわ。ごめんなさい」
「…別にいいですがね。…………なるほど、そう言うことですか。」
「さとりにしかわからないんじゃ意味ないから言うわね。私たち、幻想郷を旅しているんだけど、昨日ここに来たとき偶然お空が持ってたあかいくさりをちらっと見たのよ。その時はなんだかすごい力こもってるなあとしか思わなかったのだけど、そのあと地上に出てから優夜が用事あったから香霖堂行ったら、外にありすとNがいたの。見たことないから幻想入りしたんだなと思って、優夜の用事が終わるまで退屈だったからその2人と話してて、ちょっとした話題のつもりであかいくさりのこと言ったらありすが『あかいくさり!?ここに来てたの!?ちょっとあなた、それがあった場所教えて!!』って」
「ああ…そう言えば、ありすはあの時霊体化してついてきてたから、あれの形状知ってたな…って言うか霖之助さん、この2人に会ってたんですか」
「ああうん、そう言えば来てた。正しく言うなら優夜君の方に会ってた」
「…話戻すけど。それで、とりあえず場所を教えてその場を去ったんだけど、なんか気になっちゃってね。魔法で地底まで転移して、あの2人に合流したのよ」
「ああ、じゃああの時いきなりありすが地上に出たのは…」
「私の魔法で一緒に転移したからね」
「…じゃあ、なんで戻ってきたの?」
「ありすが『
「……何で?」
「気になったのよ。あの子、ものすごい魔力の塊じゃない。あんな人の形した兵器と言って差し支えない存在に懐かれてるなんてどんな女傑なんだろう、って。それに、あの子、あなたの事をすごく強いって言ってたから、フランのガス抜きにちょうどいいと思って」
「………」
「何でそんなジト目で見るのよ…」
「はあ…別にいいけど、そっち行くにはまずこっちの件を片付けなきゃいけないでしょ?どうやってどこにいるかもわからない子を探すの」
「それなら大丈夫」
グランは、そう言うと、目を閉じた。
「私は霊圧を探れるから」
「霊圧?」
「読んで字のごとく、霊…魂の圧力よ。魂を水とするなら、霊圧は水圧。なんとなくわかる?」
「まあ、何とか。…なるほど、魂の圧力だから無意識とか関係ないわけだ」
「そう言うこと。私はまだ不慣れだから、こうして目を閉じなきゃ探れないんだけど………!!見つけた!!」
「早速!?」
「ええ。この霊圧はこいしの霊圧で間違いないわ。ええと、場所は……」
右手を額に当てて考えるグラン。…その顔が、どんどん青ざめていく。
「グラン?」
「…こいしがいる場所……」
グランはわずかに間を空けて、言った。
「守矢神社だわ………」
引いて終わるしかできなくなってきた…
何とか改善しないと。